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免疫組織化学的染色方法による抗原の検出方法 コモンズ

国内特許コード P07A010665
掲載日 2007年10月4日
出願番号 特願2003-183193
公開番号 特開2005-017133
登録番号 特許第3899407号
出願日 平成15年6月26日(2003.6.26)
公開日 平成17年1月20日(2005.1.20)
登録日 平成19年1月12日(2007.1.12)
発明者
  • 蓮井 和久
出願人
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 免疫組織化学的染色方法による抗原の検出方法 コモンズ
発明の概要

【課題】本発明は、抗原の検出に際して、検出時間の大幅な短縮、染色に用いる色素の選別、方法の自動化にも適する抗原の検出方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の抗原の検出方法は、呈色物又は発光物で抗原を多重染色する多重免疫組織化学的染色方法を用いて二以上の異なる抗原を検出する抗原の検出方法であって、非特異反応抑制処理を行なうことによって、一次抗体と非特異的に結合する非特異的結合物質へ非特異反応抑制物質を被膜し、前記一次抗体と非特異的結合物質との結合を抑制することを特徴とする。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要
近年の免疫科学の進歩により、抗原抗体反応を用いて微量の物資を感度良く検出する免疫測定が広く用いられている。免疫測定の中で一般的なものとして、免疫組織染色及び酵素免疫測定がある。
【0003】
免疫組織染色とは、組織上の特定の抗原を、その抗原を特異的に認識する抗体によって検出する方法である。通常、組織を固定後パラフィン包埋したブロックから薄切した切片上に特定の抗原を認識する抗体を反応させ、反応した抗体の有無から抗原の存在を判断する。最初に抗原と反応させる抗体を、通常、第一抗体(一次抗体ともいう)と呼ぶ。第一抗体に、視覚又は機器により検出し得るシグナルを発する物質を結合させておけば、そのシグナルの強度から第一抗体の量がわかり、それは即ち切片上の抗原の量に対応する。この目的を達成するためのシグナルを発する物質として蛍光物質、酵素などが挙げられる。
【0004】
光学顕微鏡での染色像の解析が可能となった現在では、シグナルを発する物質として酵素を用いるのが一般的となった。免疫組織染色を行う際、一次抗体に酵素を結合させておけば、その酵素の発色性の基質を加えることにより酵素活性に対応した発色が得られ、それは抗体の量に対応、即ち組織上に存在する抗原の量に対応する。しかし、この方法では通常十分な感度が得られない。
【0005】
抗原を検出する免疫組織化学的染色方法には、一次抗体を可視化できる酵素や標識物で標識したものを用いる直接法と一次抗体を標識せずに二次抗体を標識する間接法があることが記載されている(酵素抗体法 学際企画 20002.2.18発刊、p.23-25(以下、非特許文献1という))。一般に、間接法には、抗原を一次抗体で標識した後に、この特異抗体を標識する間接法に属するペルオキシダーゼ抗ペルオキシダーゼ法(以下、PAP法という)、ストレプトアビジン-ビオチン複合体法(以下、sABC法という)、二次抗体と標識酵素とのポリマーへ結合させたポリマー試薬法、フルオレセインイソチオシアネート(以下、FITCということがある)で標識した一次抗体ないし二次抗体としてHRP標識(以下、西洋ワサビペルオキシダーゼをHRPということがある)抗FITC抗体を用いる方法、sABC法に異化レポーター沈着反応(以下、CARDという)を追加した超高感度の免疫組織化学的染色方法がある。
【0006】
PAP法は、「改訂四版 渡辺・中根 酵素抗体法 名倉宏、長村義之、堤寛編 学際企画 20002.2.18発刊、非特許文献1」に記載されている。これには、ウサギの一次抗体を反応させ、次に、過剰なブタ抗ウサギ抗体を反応させる方法である(当該文献、p.136-138)。ブタ抗ウサギ抗体の2つのウサギ抗体に対する結合部の一つに、ウサギ抗HRP抗体とHRPを可溶性結合させた複合体(PAP複合体)を抗原抗体反応で結合する。HRPと過酸化水素水とジアミノベンチジン(以下、DABということがある)等のカップリング色素で抗原の存在部位に呈色反応を生じさせる。ヘマトキシリン溶液で核を対比染色した後に、濃度の漸増するエタノール系列に切片を浸し脱水し、キシレンを浸透させ、カバーラスでプラスチック溶剤を用いて封入する。
【0007】
次に、sABC法は、上記非特許文献1のp.138-144に記載されている。この方法によれば、固定組織パラフィン切片のパラフィンの除去、非特許文献1のp.163に記載されている0.03%過酸化水素水メタノール液に20分間浸し内因性ルオキシダーゼ活性を抑制し、リン酸緩衝液で親水化する。切片中の抗原を一次抗体で標識する。ビオチン化二次抗体を一次抗体と反応させ、ストレプトアビジン-HRP複合体で標識し、HRPと過酸化水素水とジアミノベンチジン等のカップリング色素で抗原の存在部位に呈色反応を生じさせる。ヘマトキシリン溶液で核を対比染色した後に、濃度の漸増するエタノール系列に切片を浸し脱水し、キシレンを浸透させ、カバーグラスでプラスチック溶剤を用いて封入する。
【0008】
また、HRP標識抗FITC抗体を用いる方法は、上記非特許文献1のp.158に記載されている。これによれば、sABC法と同様に固定標本切片を親水化し、FITC標識の一次抗体で抗原を標識するか、抗原と反応させた一次抗体をFITC標識二次抗体で標識し、そのFITCをHRPなどの酵素で標識した抗FITC抗体と反応させ、HRPなどの呈色反応で、抗原の検出を間接的に行う。ザイメッド社のホームページ(以下、非特許文献2という)に、商業的にこのキットの記載がある。
【0009】
また、特開2001-181299号(以下、特許文献1という)では、ポリマー試薬法が知られている。特許文献1では、ポリマーを担体として酵素(HRPなど)と抗体(蛋白)の複合体で、高感度に特異抗体で標識される物質の検出が可能との記載がある。この特許文献1の請求項13に、ポリマー試薬法の記載がある。また、上記非特許文献1のp.147に、以下に示すポリマー試薬法の実施法の記載がある。SABC法と同様に固定標本切片を親水化し、切片中の抗原を特異抗体と反応させ、二次抗体とHRP等の酵素とポリマーの複合体と反応させ、HRPなどの呈色反応で、抗原の検出を間接的に行う。商業的には、ENVISION、ChemMate ENVISIONがダコサイトメーション社から、simple stain systemがニチレイから、二次抗体の代わりに特異抗体と酵素とポリマーの複合体を用いるEPOS systemがダコサイトメーション社から供給されている。
【0010】
また、CARDは、米国特許第5,731,158号(以下、特許文献2という)に記載があり、この特許文献2では、claim 9(請求項9)に、ビオチン化タイラマイドや蛍光標識(FITC等)タイラマイドの利用の記述がある。この特許文献2の請求項9に、ビオチン化タイラマイドのCARDの記載がある。上記非特許文献1のp.150-152とJ Immunol Methods. 1989(以下、非特許文献3という)では、酵素反応での特異物質の沈着を特定の物質の検出の増幅に用い、超高感度の検出が可能であるとの記載がある。また、Lab Invest.(以下、非特許文献4という)では、化学固定された組織のパラフィン切片で、抗原回復処理と[非特許文献1]の標識シグナルの増幅法の組み合わせ(ImmunoMax法)で、化学固定された組織のパラフィン切片では検出できなかった抗原を検出することができるとの記載がある。上記非特許文献3及び上記非特許文献4に、超高感度の免疫組織化学的染色法の以下に示す実施法の記載がある。すなわち、sABC法と同様に固定標本切片を親水化し、抗原回復し、sABC法で抗原を標識し、HRPによるビオチン化タイラマイドを沈着させ、ストレプトアビジン-HRP複合体で標識増幅を行い、抗原の検出感度をsABC法の1000倍に増幅する超高感度の免疫組織化学的染色を行う方法である。この染色方法はImmunoMax法として報告され、商業的にはcatalyzed signal amplification (CSA) systemとしてダコサイトメーション社より供給されている。しかし、抗原回復による内因性ビオチンによる非特異反応は強く、非特許文献1のp164-165に記載の内因性ビオチンを0.1%アビジン溶液と0.01%ビオチン溶液に浸しマスクする方法を導入したものが開発された。そして、DENDRITIC CELLS 1997(以下、非特許文献5という)と平成10年度~平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 HTLV-1関連疾患のHTLV-1超高感度組織化学的検出法による研究(以下、非特許文献6という)に記載のmodified ImmunoMax法が開発された。また、sABC法の代わりに、HRP標識抗FITC抗体を用いる方法に、HRPによるビオチン化タイラマイドを沈着させ、ストレプトアビジン-HRP複合体で標識増幅を行い、抗原の検出感度をHRP標識抗FITC抗体を用いる方法の1000倍に増幅する超高感度の免疫組織化学的染色方法がキット化され、非ビオチン法としてザイメット社から供給されている。さらに、米国特許第6,203,989号(以下、特許文献5という)では、標的核酸を標識するin-situ hybridizationの増幅したシグナルを可視化する方法として、HRP、アルカリフォスファターゼなどの酵素反応の他に、蛍光標識(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)等)が利用できるとの記載がある。特許文献2の請求項9と特許文献5にCARDでの沈着したタイラマイドの標識に、蛍光物質を使う記載がある。
【0011】
現在、固定組織標本パラフィン切片中の二つ以上の抗原を検出する免疫組織化学的染色方法には、二つの抗原(以下、第1抗原と第2抗原と記載)を検出する場合には、第1抗原を検出し呈色反応物(以下カップリング色素ということがある)ないし発光反応物の沈着を含む免疫組織化学的染色後に、沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物をpH3以下ないしpH9以上の緩衝液で洗浄することで除去し、第2抗原の免疫組織化学的染色を行う古典的多重免疫組織化学的染色方法がある。
【0012】
また、古典的多重免液組織化学的染色方法の、一般的な説明と実施法の解説が知られている(非特許文献1、p.191-194)。この染色方法で行われる沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物をpH3以下ないしpH9以上の緩衝液での洗浄は、一般に、0.1Mグリシン塩酸緩衝液pH2.2が用いられ、第1抗原の免疫組織化学的染色を終えた固定組織パラフィン標本切片をこの緩衝液に浸し、室温で、数時間、攪拌させながらこの緩衝液を3度は交換することで行われると記載されている。また、この文献においては、加熱処理によって、抗原回復を行うことも記載されている。すなわち、この文献のp.195に抗原回復の加熱処理を行うことで第1抗原の検出の免疫反応産物の沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物を無効又は除去する方法の説明の記載がある。この方法は、一般に、第1抗原の免疫組織化学的染色を終えた固定組織パラフィン標本切片を0.01Mクエン酸緩衝液pH6.0に浸し、加熱型攪拌器やオートクレーブで加熱することにより行われる。抗原回復の加熱処理を行うことで第1抗原の検出の免疫反応産物の沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物を無効又は除去する方法の一つが、ダコサイトメーション社からキット化されて供給されている。
【0013】
その他に、免疫組織化学的染色方法に含まれる抗原抗体反応等の飽和状態を利用するか、抗原回復の加熱処理を行うことで第1抗原の免疫組織化学的染色の沈着したカップリング色素ないし発光反応物以外の免疫反応産物を無効又は除去し、第2抗原を検出する免疫組織化学的染色の呈色ないし発光反応物の酵素反応における酵素を例えば西洋ワサビペルオキシダーゼからアルカリフォスファターゼに変えて実施する方法がある。
【0014】
また、第1抗原と第2抗原を検出する免疫組織化学的反応の特異抗体(以下一次抗体という)の抗原性の異なるものを用いるか、異なる抗原抗体反応ないし化学的反応で特異的に検出できる標識物例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識した一次抗体を用いて、同時に第1抗原と第2抗原を標識し、その標識された二つの抗原を一次抗体の抗原性ないし標識物の特異性に依存して検出する方法がある。
【0015】
これらの二つ以上の抗原を検出する免疫組織化学的染色方法は多重免疫染色法と呼ばれるが、三つ以上の抗原を検出する方法は実用性があまり無く、実用性のある二つの抗原を検出する免疫組織化学的染色方法が二重免疫染色法と呼ばれている。この多重免疫染色法は、一般に、免疫組織化学的染色方法で一度検索された二つの抗原の関係を知る為に用いられる。
【0016】
また、免疫組織化学的染色における非特異反応は、目的とする抗原以外の非特異的結合物質をも染色され、ひいては目的とする抗原として最終的に検出されてしまうという問題がある。
【0017】
このような非特異反応は、固定組織標本切片に内在する原因によるものと固定組織標本切片の処理に起因するもの、染色の各反応の試薬の問題、染色の各反応後の洗浄の問題、染色操作の問題が原因となるものがある。
【0018】
このような非特異的反応による問題を解決するために、内因性ルオキシダーゼ活性による非特異反応の抑制方法が知られている(上記非特許文献1のp.163)。内因性ルオキシダーゼ活性による非特異反応は、固定組織標本切片の内在する原因による非特異反応の一つである。内因性ルオキシダーゼ活性の抑制は、固定組織標本パラフィン切片のパラフィンを除き親水化の前に、0.03%過酸化水素メタノール溶液に切片を20分間浸すか、親水化後に0.3%過酸化水素リン酸緩衝液に5分間浸して行う。
【0019】
抗体の非特異反応は、染色の各反応の試薬の問題、染色の各反応後の洗浄の問題による非特異反応に含まれる。染色に関わる非特異的反応の問題に対して、断片化免疫グロブリン抗体を特異(一次)抗体や二次抗体に用いることで非特異反応を抑制することが知られている米国特許第5,869,274号(以下、特許文献4という)では、特異抗体反応の前に一価の抗体を反応させることで、抗体の非特異反応を抑制できるとの記載がある。この特許文献4と上記非特許文献1のp.43)。非特許文献1のp.185に、抗体希釈液に一次抗体と対応したウマ、ヒツジ、ウサギなどの動物血清を1%から5%加えることで非特異反応を抑制することの記載がある。また、非特許文献1のp.115に、0.25%カゼイン溶液を抗体反応の前に5~30分間反応させることで非特異反応抑制することの記載がある。抗体希釈液に0.1%Tween20などの界面活性剤を添加したトリス緩衝液が商業的に供給され用いられている。
【0020】
また、抗原回復法による非特異反応は、固定組織標本切片の処理に起因するものであるが、超高感度の免疫組織化学的染色法で問題となる。その主たる原因が抗原回復された内因性ビオチンである。非特許文献1のp164-165に、0.1%アビジン溶液で、内因性ビオチンをマスクし、アビジンの残余ビオチンとの結合部を0.01%ビオチン溶液でマスクする方法の知られている。この方法をsABC法を含む超高感度の免疫組織化学的染色方法に導入することも知られている(Hasui K, Sato E, Tanaka Y, Yashiki S, Izumo S. (1997) Quantitative highly-sensitive immunohistochemistry (Modified ImmunoMax) of HTLV-1 p40tax and p27rex proteins in HTLV-1-associated non-neoplastic lymphadenopathy (HANNLA) with estimation of HTLV-1 dose by polymerase chain reaction. DENDRITIC CELLS 1997 Japanese Dendritic Cell Society 7:19-27.(以下、非特許文献5という。))。この非特許文献5には、[非特許文献2]のImmunoMax法で、内因性ビオチンによる非特異反応があり、従来発表されているアビジン溶液とビオチン溶液でのビオチンのマスクを導入し、反応後の洗浄条件を変えることで、超高感度免疫組織化学染色が可能であるとの記載がある。(蓮井和久 平成10年度~平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 HTLV-1関連疾患のHTLV-1超高感度組織化学的検出法による研究(課題番号 10670166)平成123)(以下非特許文献6という)。この文献には、p.3-9で、HRPによるビオチン化タイラマイドの沈着反応による標識の増幅が1000倍であること、内因性ビオチンのマスク法の超高感度免疫染色法への至適導入部、各超高感度免疫組織化学的染色の反応後の洗浄、後固定の非特異反応抑制条件等の記載がある。
【0021】
免疫組織化学的染色法の洗浄液は、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、界面活性剤を加えたトリス緩衝液が用いられる。免疫組織化学的染色では、各反応後に、5分間3回の洗浄が行われる。非特許文献5と非特許文献6に、超高感度免疫組織化学的染色方法では、それに含まれるsABC法で充分な反応後の洗浄が必要であり、CARDのビオチン化タイラマイドの沈着は非特異なものであるので、非沈着ビオチン化タイラマイドの残留を除く洗浄と沈着ビオチン化タイラマイドのHRP標識ストレプトアビジンによる標識後のある程度の洗浄が必要になることの記載がある。また、非特許文献5と非特許文献6に、キャピラリーギャップ法の染色装置を用いた場合には、sABC法の充分な洗浄は35℃に加熱した界面活性剤を加えたトリス緩衝液で、HRPによるビオチン化タイラマイド沈着反応後は室温トリス緩衝液での洗浄が必要であるとの記載がある。
【0022】
一方、免疫組織化学的染色法の基準化の為に、自動免疫染色装置が普及してきている。キャピラリーギャップ法と呼ばれる2枚の固定組織標本切片のスライドグラスを向き合わせ、その間に毛細管現象を利用して反応液や洗浄液を吸い上げ、反応ないし洗浄後に吸収材で溶液を吸収する。この操作をコンピューター制御するものである。また、コンピューター制御で、反応液や洗浄液を所定の場所からマイクロポンプで吸引し、水平に配置した固定組織標本切片のスライドグラスに反応液や洗浄液を滴下する滴下型がある。この滴下型の自動免疫染色装置の染色方法は用手法と同じもので、普及して来ている。更に、加熱温度制御の出来る基盤の上に、基盤に固定組織標本切片を対面させてスライドラスをセットし、反応液や洗浄液を基盤とスライドラスの間に送り、温度制御下で諸反応と洗浄を行う自動免疫装置も出現している。
【0023】
自動免疫染色装置は、コンピューター制御下の装置で、組織化学的染色方法を実施するものである。組織標本の切片を貼付したスライドの装置へのセットの方法で、二枚のスライドを狭い間隙で重ね、その間に毛細管現象で反応試薬等は入ってくるキャピラリーギャップ法とその変法、スライドに反応試薬等を滴下する滴下型がある。また、免疫組織染色方法の各反応の時間、各反応後の洗浄の方法等をコンピューターのプログラムとして供給されているものと、各反応の試薬の各スライドへの分配、各反応の時間、各反応後の洗浄方法を、任意に設定できるものがある。前者は、特定の免疫組織化学的方法を実施するもの(固定型装置)であり、一般に、その試薬や洗浄液等が共に供給されることが多い。後者は、その使用者の設定した免疫組織化学的染色法を実施させることが可能なもの(自由型装置)がある。米国特許第6,349,264号(以下、特許文献3という)では、コンピューター制御による水平に配列したスライドへの滴下方式での自動免疫染色装置の記載がある。この特許文献3に、この自由型装置の記載がある。また、Appl Immunohistochem Mol Morphol. 2001 Mar(以下、非特許文献7という)では、抗原回復を加熱式攪拌装置での熱処理による抗原回復法と従来発表されているアビジン溶液とビオチン溶液でのビオチンのマスクを導入した超高感度免疫染色法(CSA法)の自動免疫染色装置での実施が可能であるとの記載がある。この非特許文献7には、この自動免疫染色装置での超高感度の免疫組織化学的染色が可能であると記載されている。http://www.ventanadiscovery.com/product/index.html(以下、非特許文献8という)では、加熱温度制御の出来る基盤の上に、基盤に対応する面に固定組織標本切片が来る形でスライドグラスをセットし、反応液や洗浄液を基盤とスライドグラスの間に送り、温度制御下で諸反応と洗浄を行う自動免疫装置(The Ventana Discovery)の記載がある。この非特許文献8には、加熱温度制御の出来る基盤の上に、基盤に対面して固定組織標本切片のスライドラスをセットし、反応液や洗浄液を基盤とスライドラスの間に送り、温度制御下で諸反応と洗浄を行う自動免疫装置の記載がある。
【0024】
【特許文献1】
特開2001-181299号公報(株式会社ニチレイ、平成13(2001)年7月3日、酵素-タンパク質複合体)
【特許文献2】
米国特許第5,731,158号明細書(Bobrow, et al. March 24, 1998, Catalyzed reporter deposition)
【特許文献3】
米国特許第6,349,264号明細書(Rhett, et al. February 19, 2002 Method and apparatus for automatic tissue staining)
【特許文献4】
米国特許第5,869,274号明細書(Tsao, et al. February 9, 1999 Immuno-histochemical method that reduces background staining)
【特許文献5】
米国特許第6,203,989号明細書(Goldberg, et al. March 20, 2001 Methods and compositions for amplifying detectable signals in specific binding assays)
【非特許文献1】
改訂四版 渡辺・中根 酵素抗体法 名倉宏、長村義之、堤寛編 学際企画 20002.2.18発刊
【非特許文献2】
ザイメッド社のホームページ(http://www.zymed.com/)のNBA kit(非ビオチン法のキット)のページ(http://www.zymed.com/pindex/index9.html)
【非特許文献3】
Bobrow MN, Harris TD, Shaughnessy KJ, Litt GJ. Catalyzed reporter deposition, a novel method of signal amplification. Application to immunoassays. J-Immunol-Methods. 1989 Dec 20; 125(1-2): 279-85
【非特許文献4】
Merz H, Malisius R, Mannweiler S, Zhou R, Hartmann W, Orscheschek K, Moubayed P, Feller AC (1995) ImmunoMax. A maximized immunohistochemical method for the retrieval and enhancement of hidden antigens. Lab Invest. The United States and Canadian Academy of Pathology. LWW, Lippincott Williams and Wilkins publishes 1995 Jul;73(1):149-56.
【非特許文献5】
Hasui K, Sato E, Tanaka Y, Yashiki S, Izumo S. (1997) Quantitative highly-sensitive immunohistochemistry (Modified ImmunoMax) of HTLV-1 p40tax and p27rex proteins in HTLV-1-associated non-neoplastic lymphadenopathy (HANNLA) with estimation of HTLV-1 dose by polymerase chain reaction. DENDRITIC CELLS 1997 Japanese Dendritic Cell Society 7:19-27
【非特許文献6】
蓮井和久 平成10年度~平成11年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究成果報告書 HTLV-1関連疾患のHTLV-1超高感度組織化学的検出法による研究(課題番号10670166)
【非特許文献7】
Hashizume K, Hatanaka Y, Kamihara Y, Tani Y. Automated immunohistochemical staining of formalin-fixed and paraffin-embedded tissues using a catalyzed signal amplification method. Appl-Immunohistochem-Mol-Morphol. 2001 Mar; 9(1): 54-60
【非特許文献8】
http://www.ventanadiscovery.com/product/index.html
産業上の利用分野
本発明は、抗原の検出方法に関し、特に、多重免免疫組織化学的染色方法を用いた抗原の検出方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 抗原を呈色物又は発光物で多重染色する多重免疫組織化学的染色方法において、抗原と抗体との抗原抗体反応を繰り返すことによって抗原を検出するにあたり、
(a)抗体と抗原との反応前の非特異反応抑制処理を行う工程、
(b)抗体と抗原とを反応させる工程であって、前記抗原の免疫反応物の呈色物及び発光物がpH3以下又はpH9以上の緩衝液によって除去される場合には、前記呈色物又は発光物を画像として記録するか又は検出する処理を含む工程、
(c)別の抗体と抗原との反応前の先の抗体と抗原との反応後の免疫反応物を除去する工程であって、前記先の抗体とそれに直接的ないし間接的に結合している免疫反応産物をpH3以下又はpH9以上の緩衝液で7分以下で除去する工程、及び
(d)抗原を検出する工程であって、前記緩衝液での免疫反応物の除去後の別の抗体と抗原との反応後に呈色物又は発光物によって抗原を検出する工程
を含むことを特徴とする抗原の検出方法。
【請求項2】 前記非特異反応抑制処理を、第一抗原と一次抗体との抗原抗体反応の前に行う請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記非特異反応抑制処理が、動物血清による処理、スキムミルクによる処理、ノンファットミルクによる処理、及びカゼイン溶液による処理からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】 前記カゼイン溶液による処理を、0.025~2.5%の範囲のカゼインを含む溶液により行う請求項3記載の方法。
【請求項5】 さらに、非特異反応生成物、及びその他の残存反応物を除去するために、25~60℃の範囲内で加熱した洗浄液によって洗浄する工程を含む請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】 前記抗体とそれに直接的ないし間接的に結合している免疫反応産物の除去を最後に検出する抗原の染色前であって最後に検出する抗原以外の抗原の検出後に行う請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】 免疫組織化学的染色方法が、異なる成分強度を有する複数の色素を用いて染色する方法であり、前記成分強度の差異に基づいて抗原を検出する請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】 前記成分が、R(赤)成分、B(青)成分、及びG(緑)成分からなる請求項7記載の方法。
【請求項9】 前記呈色物又は発光物が可視化することができる物質である請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】 可視化することができる物質が、免疫組織化学的反応の標識酵素の基質との反応で呈色ないし発光するカップリング物質である請求項9記載の方法。
【請求項11】 可視化のために用いる物質が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種である請求項9記載の方法。
【請求項12】 反応液、反応時間、及び洗浄回数をプログラムして自動免疫装置に組み込み、自動化して行う請求項1~11のいずれか1項記載の方法。
産業区分
  • 試験、検査
  • 微生物工業
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
鹿児島TLOでは鹿児島大学、鹿屋体育大学から特許に関する技術移転を受託しています。
上記の特許・技術に興味を持たれた方はお問合せ下さい。


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