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中空の殻内部に含フッ素アルキル基を有する中空遷移金属錯体、及びその製造方法 コモンズ

国内特許コード P07P004702
整理番号 N052P36
掲載日 2007年10月11日
出願番号 特願2006-064326
公開番号 特開2007-238519
登録番号 特許第5025970号
出願日 平成18年3月9日(2006.3.9)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
登録日 平成24年6月29日(2012.6.29)
発明者
  • 藤田 誠
  • 佐藤 宗太
  • 飯田 淳也
  • 鈴木 康介
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 中空の殻内部に含フッ素アルキル基を有する中空遷移金属錯体、及びその製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】
n1個(n1は6~60の整数を表す。)の遷移金属原子と、2(n1)個の、置換基を有する二座有機配位子とから形成されてなる中空の殻を有する遷移金属錯体であって、前記置換基が少なくとも末端に含フッ素アルキル基を有し、前記中空の殻内部に配向するように形成されている中空遷移金属錯体、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
中空の殻を有する中空遷移金属錯体であって、前記中空の殻が、n1個(n1は、6~60の整数を表す。)の遷移金属原子と、2(n1)個の二座有機配位子とから形成されてなり、前記二座有機配位子が、末端に含フッ素アルキル基部分をもつ置換基を有するものであり、かつ、前記置換基が中空の殻内部に配向するように形成されていることを特徴とする中空遷移金属錯体、及びその製造方法。
【選択図】 なし。
従来技術、競合技術の概要 厳密に制御されたナノサイズの中空構造体は、表面、内面、孤立内部空間の3つの領域に分類することができる。これまで、その表面や内部空間については盛んに研究が行われてきたが、人工系において内面を利用した研究例はほとんど報告されていない。

近年、フェリチン等の球状タンパク質や球状ウイルスCCMVなど、自然界のナノスケール構造体の内面を利用した研究が行われている。これらの構造体は人工的な刺激により分解されても、再び自己組織化によって元の構造に復元する。球殻構造(中空の殻を有する球状構造)の内面に向くようにサブユニットに対し官能基修飾を行い、自己組織化によって再び球殻構造を形成させることで、球状の内面へ官能基を精密に配置することができる(非特許文献1、2)。

本発明者らも、有機配位子と遷移金属イオンとの配位結合を利用した自己組織化を検討している。配位結合は適度な結合力があり方向性が明確に規定されているため、精密に構造が制御された分子集合体を自発的かつ定量的に構築することが可能である。また、金属の種類や酸化数に応じて配位数や結合角を制御することができるため、多様な配位結合性の構造体を得ることができる(非特許文献3~5)。

例えば、平面四配位性のPd(II)イオンを用いた場合には配位結合の方向を90度に規定できる。特に、シス位がエチレンジアミン(en)で保護されたパラジウムエチレンジアミン硝酸錯体[(en)Pd(NO](M)と、パネル状の有機配位子(L)からは、配位子に応じた様々な中空構造が最も安定な状態として自己集合する(非特許文献6~11)。

また、多成分からなるM1224組成の立方八面体型の球状錯体の自己集合も見出されている(非特許文献12)。得られる錯体は、中心がフランやベンゼンである約120度の折れ曲がり型二座有機配位子24個とPd(II)イオン12個が自己集合し、8枚の正三角形と6枚の正方形の計14枚の面から構成されている。この場合、頂点の数は12、辺の数は24で各々金属イオンと配位子の数に相当する。

この構造は、X線結晶構造解析により明らかになっており、直径約3.5nm、内部空間容積約22nmであり、巨大な三次元中空構造が構築されている。また、配位子の長さを変化させた二座有機配位子からも同様にM1224組成の球状錯体が構築されることがわかっており、直径5nmの球状錯体が自己集合する。これらの錯体は、球状という内部の空間が最も広くなる構造をとっており、このサイズであると生体分子のタンパク質や核酸などが包接できる大きさである。

上記M1224組成の球状錯体では配位子の所定位置に官能基を導入することによって、自己集合反応を経て球状カプセルのナノ表面に24個の官能基を一挙にかつ精密に配置できることが明らかとなっている。例えば、ポルフィリンやフラーレンを表面に精密に配置した錯体が報告されており(非特許文献12)、球状構造のナノ表面を利用した生理活性や光物性などへの応用が期待されている。

また、カチオン性のトリメチルアンモニウム基を導入することで、表面に48の電荷を持つカチオンボールが構築され、タンパク質の変成作用を著しく増大させるといったナノ表面特有の機能が見出されている(非特許文献13)。

【非特許文献1】R.M.Kramer,C.Li,D.C.Carter,M.O.Stone,R.R.Naik,J.Am.Chem.Soc.,2004,126,13283
【非特許文献2】T.Douglas,E.Strable,D.Willits,A.Aitouchen,M.Libera,M.Young,Adv.Mater.,2002,14,415
【非特許文献3】P.J.Stang,B.Olenyuk,Acc.Chem.Res.1997,30,507
【非特許文献4】M.Fujita,Chem.Soc.Rev.,1998,27,417
【非特許文献5】B.Olenyuk,A.Fechtenkotter,P.J.Stang,J.Chem.Soc.Dalton Trans.1998,1707
【非特許文献6】M.Fujita,K.Umemoto,M.Yoshizawa,N.Fujita,T.Kusukawa,K.Biradha,Chem.Commun.,2001,509
【非特許文献7】M.Fujita,D.Oguro,M.Miyazawa,H.Oka,K.yamaguchi,K.Ogura,Nature,1995,378,469
【非特許文献8】N.Takeda,K.Umemoto,K.Yamaguchi,M.Fujita,Nature,1999,398,794
【非特許文献9】K.Umemoto,H.Tsukui,T.Kusukawa,K.Biradha,M.Fujita,Angew.Chem.Int.Ed.,2001,40,2620
【非特許文献10】M.Aoyagi,S.Tashiro,M.Tominaga,K.Biradha,M.Fujita,Chem.Commun.,2002,2036
【非特許文献11】T.Yamaguchi,S.Tashiro,M.Tominaga,M.Kawano,T.Ozeki,M.Fujita,J.Am.Chem.Soc.,2004,10818
【非特許文献12】M.Tominaga,K.Suzuki,M.Kawano,T.Kusukawa,T.Ozeki,S.Sakamoto,K.Yamaguchi,M.Fujita,Angew.Chem.Int.Ed.,2004,43,5621
【非特許文献13】矢倉健一郎、卒業論文、東京大学

産業上の利用分野 本発明は、遷移金属原子と、末端に含フッ素アルキル基部分をもつ置換基を有する二座有機配位子とから形成される中空の殻を有し、二座有機配位子の置換基が中空の殻内部に配向してなる中空遷移金属錯体、及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
中空の殻を有する中空遷移金属錯体であって、前記中空の殻が、n1個(n1は、6~60の整数を表す。)の遷移金属原子と、2(n1)個の二座有機配位子とから形成されてなり、
前記二座有機配位子が、式(I)

【化1】



{式中、R、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m1、m2はそれぞれ独立して、0~4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、R同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
Aは、下記式(a-1)~(a-4)

【化2】



〔Rは、式:-D-Rfで表される基を表し、Dは、式:-(O-CH)s-で表される連結基(sは1~20の整数を表す)、式:-(CH)t-で表される連結基(tは1~20の整数を表す)、又はこれらの組み合わせからなる連結基を表し、Rfはパーフルオロアルキル基を表す。
は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m3は0~3の整数を表し、m4は0~2の整数を表す。m3が2以上、m4が2のとき、複数個のRは同一であっても、相異なっていても良い。
Qは、-Nr1-(r1は水素原子、アルキル基、アリール基若しくはアシル基を表す。)、-O-、-C(=O)-、-S-、または-SO-を表す。〕で表される基を示す。}で示される化合物であり、かつ、
前記が中空の殻内部に配向するように形成されていることを特徴とする中空遷移金属錯体。

【請求項2】
中空の殻を有する中空遷移金属錯体であって、前記中空の殻が、n2個(n2は、6、12、24、30または60である。)の遷移金属原子と、2(n2)個の二座有機配位子とから形成されてなり、
前記二座有機配位子が、式(I)

【化1】



{式中、R、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m1、m2はそれぞれ独立して、0~4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、R同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
Aは、下記式(a-1)~(a-4)

【化2】



〔Rは、式:-D-Rfで表される基を表し、Dは、式:-(O-CH)s-で表される連結基(sは1~20の整数を表す)、式:-(CH)t-で表される連結基(tは1~20の整数を表す)、又はこれらの組み合わせからなる連結基を表し、Rfは、炭素数が1~20のパーフルオロアルキル基を表す。
は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m3は0~3の整数を表し、m4は0~2の整数を表す。m3が2以上、m4が2のとき、複数個のRは同一であっても、相異なっていても良い。
Qは、-Nr1-(r1は水素原子、アルキル基、アリール基若しくはアシル基を表す。)、-O-、-C(=O)-、-S-、または-SO-を表す。〕で表される基を示す。}で示される化合物であり、かつ、
前記Rが中空の殻内部に配向するように形成されていることを特徴とする中空遷移金属錯体。


【請求項3】
遷移金属化合物(M)と前記二座有機配位子(L)とから、前記二座有機配位子(L)のRが中空の殻内部に配向するように自己組織的に形成されてなる、式:Mn12(n1)(n1は、6~60の整数であり、M同士、L同士は、それぞれ同一であっても、相異なっていても良い。)で表される請求項1に記載の中空遷移金属錯体。

【請求項4】
遷移金属化合物(M)と前記二座有機配位子(L)とから、前記二座有機配位子(L)のRが中空の殻内部に配向するように自己組織的に形成されてなる、式:Mn22(n2)(n2は、6、12、24、30または60であり、M同士、L同士は、それぞれ同一であっても、相異なっていても良い。)で表される請求項2に記載の中空遷移金属錯体。

【請求項5】
前記遷移金属錯体を構成する遷移金属原子が、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の中空遷移金属錯体。

【請求項6】
前記二座有機配位子が、式(I-1)

【化5】



(式中、D及びRfは、前記と同じ意味を表す。
で示される化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の中空遷移金属錯体。

【請求項7】
前記遷移金属化合物(M)と二座有機配位子(L)とを、遷移金属化合物(M)1モルに対し、二座有機配位子(L)を1~5モルの割合で反応させることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の中空遷移金属錯体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 医療に向けた自己組織化等の分子配列制御による機能性材料・システムの創製 領域
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