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電動車両の制御装置 新技術説明会

国内特許コード P07A010718
整理番号 DP1182
掲載日 2007年10月11日
出願番号 特願2005-324003
公開番号 特開2007-135276
登録番号 特許第4686774号
出願日 平成17年11月8日(2005.11.8)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
登録日 平成23年2月25日(2011.2.25)
発明者
  • 加藤 利次
  • 井上 馨
出願人
  • 学校法人同志社
発明の名称 電動車両の制御装置 新技術説明会
発明の概要

【課題】加速・減速時にスリップ現象が生じ易くなり、車両の挙動が不安定になるという従来の問題を、駆動トルクを損なうことなく解決する。
【解決手段】駆動輪と路面の間のスリップ率を表現するスリップ状態量αを取得する取得手段1と、予め定めた制御則f(α)に基づき前記取得手段1で取得したスリップ状態量αを用いてドライバーから入力されるトルク指令値T*に変換を加える指令値変換手段2と、この指令値変換手段2で変換された値をトルク入力値Tとして電動モータEMの駆動を行う駆動手段3とを具備する。そして、前記制御則f(α)により、トルク入力値Tに対するスリップ率λと仮想摩擦係数μとの平衡点の関係を表す同図(b)の定スリップ率曲線μ*(T、λ)を、任意のトルク指令値T*に対して路面摩擦関数μ(λ)と常に1点で交叉するような定スリップ率曲線μ*(T*、λ)に変形するようにした。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


路面の状況に対してトルクの掛け方次第によっては、加速・減速時に大きなスリップ現象が生じ易くなり、車両の挙動が不安定になるばかりか、危険な状況に陥り易い。このような状況を改善するには、駆動力を確保しつつスリップ率を抑えることが重要である。



特に電動車両の場合は、トルクの応答時定数が非常に小さいため、駆動輪のトルクを自由に制御することができる反面、駆動輪へのトルクのかけ方によっては、駆動輪のスリップ率が大幅に変動する可能性がある。その原因については従来より考察が加えられ、次のようなメカニズムが明らかになっている。



例えば、図8(a)、(b)に示す2WDの電気自動車についてみると、タイヤ駆動力Fは、路面摩擦関数μ(λ)と垂直抗力Nを用いて図10(1)式のように表される。ここで、路面摩擦関数μ(λ)は、車両速度V、車輪速度Vωを用いた(2)式で定義されるスリップ率λのみで求まる非線形関数である。路面摩擦関数μ(λ)の曲線形状はタイヤと路面状況により決まる。因みに、車両の解析においては、路面摩擦関数μ(λ)を近似式(3)でモデル化したものが一般に用いられる。図8(c)はその曲線概要を示しており、路面状況によって概ねμ(λ)~μ(λ)の範囲の変動が予想される。



ところで、車両の運動方程式は車両重量をMとして図10(4)式で表され、駆動輪の運動方程式は駆動軸の合成慣性モーメントをJ、駆動輪の角速度をω、駆動輪軸の駆動トルクをT、タイヤ半径をrとして(5)式で表される。



また、(5)式で表される駆動輪の運動方程式を、(4)式で表される車両の運動方程式の次元に合わせると、駆動輪軸の慣性モーメントの重量換算値をMω、駆動輪軸の駆動トルクTの力換算値をFとし、ω=Vω/rが成り立つとして、(6)式の関係式が得られる。以上の(1)~(5)式に示した関係を用いたモデルの概略が図9に示される。



ここで、駆動輪に一定の駆動トルクTを加えたとき、スリップ率λがある値で平衡状態となるようなタイヤ駆動力F、指令トルク力換算値Fとの関係は以下のように考察される。



モータの粘性摩擦係数や転がり抵抗が無視できるとすると、図10(2)式の両辺を時間tで微分して(7)式が、この(7)式に(4)式及び(6)式を代入して(8)式がそれぞれ導かれる。そして、スリップ率λの平衡状態を考えているので、(8)式でスリップ率の時間変化dλ/dtを0とすると(9)式が得られ、この(9)式と(1)式及び、F=r・Tとから、(10)式が導出される。



モータの発生する駆動トルクTは、トルク入力値Tと一致するように調整される。そこで、Tを固定しλの関数としてみると、摩擦係数は図11のような曲線μ*(T,λ)を描く。この曲線μ*(T,λ)は、トルク入力値Tが大きくなるほど全体として上に移動し、トルク入力値Tを一定にすることで一意に決まる。これはあるスリップ率λにおいて、そのスリップ率λが変化しなくなる(つまり平衡点となる)ような仮想的な摩擦係数(以下、「仮想摩擦係数」とする)を表しており、このようなスリップ率と仮想摩擦係数との平衡点の関係を表したものが定スリップ率曲線と称され、図10(11)式のμ*(T,λ)で示される。そして、この定スリップ率曲線μ*(T,λ)と路面摩擦関数μ(λ)との交点が動作点となる。



ここで、トルク入力値Tを大きくしていくと、交点は1点(T<T)→2点(T=T)→3点(T<T<T)→2点(T=T)→1点(T<T)へと変化する。そして、交点が2点→1点に変化するとき(μ(λ)の最大値を超えるとき)に、路面摩擦係数μ(λ)上におけるスリップ率λと摩擦係数μの値が大きくジャンプする現象が生じる。摩擦係数μの変動は駆動力の変動に直結しているため、この現象は駆動力の低下のみならず乗り心地の悪化や車輪の寿命を短くするなどの問題につながる。



このような不具合を解消するためには、スリップ率λの大幅な変動を抑制し、なお駆動力を極力損なわないためのトルク制御方法が必要となる。スリップ時にモータに発生する逆起電力を捉えてスリップ率λを制御する手法も考えられているが、これだと制御が後手に回り、スリップ率の大幅な変動を抑止する上では不十分である。



そこで、例えば非特許文献1、2等に示されるように、摩擦係数μが路面摩擦関数μ(λ)上のどの位置にあるかを逐次推定し、それが最大値となる付近のスリップ率λを超えないようにスリップ率制御器からトルク指令を出して、実際のトルク指令に反映させモータを駆動制御する手法が提案されている。

【非特許文献1】東京大学工学部堀研究室,「電気自動車の制御に関する研究」(東大三月号の研究),1999年5月

【非特許文献2】電気学会論文誌D分冊120巻4号,「ファジィ推論を用いた電気自動車用トラクションコントロールシステムのための最適スリップ率推定器」,平成12年4月

産業上の利用分野


本発明は、トラクションコントロールやブレーキ制御等に好適に利用される電動車両の制御装置に関する。なお、本明細書において電動車両とは、電気自動車、電車、ハイブリッド車、電動バイク、アシスト式自転車、燃料電池車など、駆動のための電動モータを内蔵している車両全般を称する。

特許請求の範囲 【請求項1】
駆動輪と路面の間のスリップ率を表現するスリップ状態量を取得する取得手段と、スリップ率の上昇につれてトルク指令値を減じる項を少なくとも一部に含む関数からなる制御則を予め定め、この制御則に基づき前記取得手段で取得したスリップ状態量を用いてドライバーから入力されるトルク指令値に変換を加え、スリップ率と仮想摩擦係数との平衡点の関係を表す定スリップ率曲線の傾きを変換前に比べて急峻にすることで,任意のトルク指令値に対して当該定スリップ率曲線を路面摩擦関数と常に1つの交点で交叉する形に変形する指令値変換手段と、この指令値変換手段で変形された定スリップ率曲線上の前記1つの交点における前記スリップ率に対応するトルク入力値に基づき電動モータの駆動を行う駆動手段とを具備しことを特徴とする電動車両の制御装置。

【請求項2】
駆動輪と路面の間のスリップ率を表現するスリップ状態量を取得する取得手段と、あらゆるトルク指令値に対してスリップ率の上限を規定する項を少なくとも関数の一部に含む関数からなる制御則を予め定めこの制御則に基づき前記取得手段で取得したスリップ状態量を用いてドライバーから入力されるトルク指令値に変換を加え、スリップ率と仮想摩擦係数との平衡点の関係を表す定スリップ率曲線の傾きを変換前に比べて急峻にすることで,任意のトルク指令値に対して定スリップ率曲線を路面摩擦関数と常に1つの交点で交叉する形に変形する指令値変換手段と、この指令値変換手段で変形された定スリップ率曲線上の前記1つの交点における前記スリップ率に対応するトルク入力値に基づき電動モータの駆動を行う駆動手段とを具備しことを特徴とする電動車両の制御装置。

【請求項3】
スリップ状態量としてスリップ率を直接取り扱うようにしている請求項1又は2記載の電動車両の制御装置。
産業区分
  • 鉄道
  • 内燃機関
  • 自動車
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005324003thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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