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交流電磁場測定法による探傷検査装置及び方法

国内特許コード P07A010822
整理番号 /NO33529
掲載日 2007年10月26日
出願番号 特願2005-111771
公開番号 特開2006-292496
登録番号 特許第4180578号
出願日 平成17年4月8日(2005.4.8)
公開日 平成18年10月26日(2006.10.26)
登録日 平成20年9月5日(2008.9.5)
発明者
  • 藤原 貢
  • 大黒 光喜
  • 笹原 利彦
  • 武藤 行伸
  • 真野辰哉
  • 養祖次郎
  • 坂本博
  • 牧野一成
出願人
  • 株式会社IHI検査計測
  • 西日本旅客鉄道株式会社
  • 公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明の名称 交流電磁場測定法による探傷検査装置及び方法
発明の概要

【課題】 被検体が台車枠のような複雑な溶接構造物であっても、ノイズや擬似信号の影響を低減することができ、経験の少ない検査員によっても容易かつ確実に傷等を判別でき、傷等の位置とその大きさ及び深さを容易かつ確実に求めることができる交流電磁場測定法による探傷検査装置及び方法を提供する。
【解決手段】 交流磁場発生コイル12、Bx測定コイル13、Bz測定コイル14、及び位置センサ18を有する探傷プローブ10と、探傷プローブに交流磁場を与え、磁束密度BxとBzを出力する交流電磁場測定装置20と、磁束密度BxとBzをデータ解析して、被検体表面に存在する傷等の位置を検出するデータ解析装置30とを備える。各コイルの位置誤差により生データを補正し、次いで平滑化処理と基準化処理したデータを作成し、これから原点Oから点(Bz、Bx)までの磁束密度ベクトルB(z,x)を設定し、このベクトルのベクトル積Aを算出し、ベクトル積Aが所定の閾値を超えるときに、傷等が存在すると判別する。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


鉄道車両用の台車枠には大きな荷重がかかるため、長期間の使用により溶接箇所等に傷や亀裂が発生したり、微細な傷が大きな亀裂に成長することがある。そこで、台車枠の表面に存在する傷や亀裂を定期的に検査する必要がある。以下、傷、亀裂及び欠陥を単に「傷」又は「傷等」と呼ぶ。



従来、かかる台車枠の検査には、磁粉探傷法が主に採用されていた。磁粉探傷法は、表面あるいは表面近くに欠陥がある箇所を磁化してその表面に微細な磁粉を塗布すると、傷等の存在によって生じる漏洩磁束のために磁粉が欠陥部の表面に凝集吸引されて磁粉のパターンに乱れが生じることを利用したものである。
しかし、磁粉探傷法を適用する場合、検査箇所の塗装を剥がす必要があり、その前処理、後処理に多大な手間がかかる問題点があった。



そこで、渦電流探傷法を適用することが、例えば、[特許文献1]に提案されている。しかし、渦電流探傷法は、塗装を剥がさずに適用はできるが、検査箇所表面に発生する渦電流の傷等による乱れを同一の渦電流センサで検出するため、表面で発生するノイズの影響が大きく、傷等との識別が困難であった。また、傷等の大きさや深さをキャリブレーションで求める必要があり、経験が豊富な検査員でない限り、正確な判断ができない欠点があった。



一方、傷等の大きさや深さをキャリブレーションなしで求めることができる探傷検査法として、交流電磁場測定法(Alternating Current Field Measurement:以下、「ACFM」と略す)が[非特許文献1]で提案されている。
図13は、ACFMにおける座標系を示す図である。被検体1の表面に細長い開口傷2がある場合に、表面に沿って、傷2の方向をx、xに直交する方向をy、表面に直交する方向をzと定義する。x方向(傷の方向)に外部から交流磁場3を付与すると、傷に直交するy方向に交流誘導電流4が発生する。



図14は、交流電磁場測定法の原理図である。図13のように発生した交流誘導電流4により発生するx軸方向の磁束密度Bxと、z軸方向の磁束密度Bzは、それぞれx軸を中心とするBx測定コイルと、z軸を中心とするBz測定コイルで検出することができる。以下、これを「Bx成分」及び「Bz成分」と呼ぶ。
すなわち、交流誘導電流4は、傷2の存在により、x方向の傷2の両端外側では電流密度が高く、傷の位置では電流密度が低くなるため、この図の(b)に示すようにBx成分は傷の両端外側で高く、傷の位置で低くなる。
同様に、交流誘導電流4は、傷2の存在により、x方向の傷2の両端外側では外側に膨らんで流れるため、この図の(c)に示すようにBz成分は傷の一方では高く、他方では低くなる。
従って、Bx成分とBz成分がこのような特性を示したときに、傷が存在すると判断でき、傷の大きさと深さをキャリブレーションなしで求めることができる。



図15は、非特許文献1に開示されているデータ処理法の説明図である。試験体1及びその開口傷2が、試験片のような単純な形状である場合には、Bx成分及びBz成分として、この図の(a)に示すような、典型的な波形が得られる。この場合、両成分の横軸は時間であり、検出速度により変化するため、同一の試験片であっても、検出毎に異なる波形が得られ、傷の識別が困難になる。
この図の(b)は、横軸にBx成分、縦軸にBz成分をプロットしたもので、「バタフライプロット」と呼ばれる。このバタフライプロットは、時間成分がなくなるため、検出速度が変化しても、同一の試験片であれば、常に同一の波形が得られ、傷の識別が容易になる特徴がある。また、一般的に、傷があるとバタフライプロットは中心から離れた閉じた形状となること知られている。



非特許文献2は、上述した交流電磁場測定法を用いて傷の大きさと深さを解析する方法を開示している。この方法は、Bz成分を増加領域と減少領域に区分し、減少から増加に転じたデータから増加から減少に転じたデータまでを傷領域と判別し、この傷領域のBx成分とBz成分をx成分、z成分としてz-x座標に図16のようにバタフライプロットを作成し、このプロットが囲む面積を計算して、その大きさにより傷の有無とその大きさと深さを計算するものである。



さらに、交流電位差測定法を用いた非破壊検査法として、特許文献2が開示されている。この方法は、上述したような傷の検出やその大きさと深さを検査する目的とは相違し、微細な亀裂が複数存在するような表面欠陥について、亀裂の平均深さ及び数を定量的に検査することを目的としたものである。




【非特許文献1】“THE ACFM TECHNIQUE”,TSC Inspection Systems,[平成17年3月14日検索]、インターネット<URL: 1112925638984_0.htm

【非特許文献2】Jiannong Zhou,et al.,“An ACFM automated Crack Detection System Deployed Vy An Underwater Roving Vehicle”,NDT.net September 2003,Vol.9 No.09




【特許文献1】特開2004-117138号公報、「鉄道車両用台車枠の探傷用センサーユニット及びこれを用いた探傷設備」

【特許文献2】特開平8-313473号公報、「亀裂深さの非破壊検査法及び亀裂数の非破壊検査法」

産業上の利用分野


本発明は、交流電磁場測定法により表面の傷等を検査する探傷検査装置及び方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検体表面のx軸方向に交流磁場を与えこれに直交する被検体表面のy軸方向に交流誘導電流を発生させる交流磁場発生コイルと、前記交流誘導電流により発生するx軸方向の磁束密度Bxを検出するBx測定コイルと、前記交流誘導電流により発生するz軸方向の磁束密度Bzを検出するBz測定コイルと、被検体表面に沿ってデータポイントを検出する位置センサとを有する探傷プローブと、
該探傷プローブに交流磁場を与え、前記磁束密度BxとBzを出力する交流電磁場測定装置と、
前記磁束密度BxとBzをデータ解析して、被検体表面に存在する傷等の位置を検出するデータ解析装置と、を備え
前記データ解析装置は、記憶装置と演算装置を有し、
該記憶装置により、探傷プローブで検出したデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応する前記磁束密度BxとBzの生データを時系列的に記憶し、
前記演算装置により、交流磁場発生コイル、Bx測定コイル、及びBz測定コイルの位置誤差により前記生データを補正し、次いで前記データを一定範囲の移動平均を取り細かなリップルを取る平滑化処理をしかつ初めの信号値、母材無欠陥部の信号値、信号波形の高次近似曲線、一定範囲の移動平均値などを基準とする基準化処理した基準化データを作成し、
該基準化データからz-x平面上において原点Oから点(Bz、Bx)までの磁束密度ベクトルB(z,x)をデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応して設定し、
データポイントiとi+1に対応する磁束密度ベクトルB(z,x)のベクトル積Aを算出し、
該ベクトル積Aが所定の閾値を超えるときに、傷等が存在すると判別する、ことを特徴とする交流電磁場測定法による探傷検査装置。

【請求項2】
前記データ解析装置は、更に画像表示装置を有し、該画像表示装置により、
前記ベクトル積Aと、前記ベクトル積Aが所定の閾値を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示する、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査装置。

【請求項3】
前記ベクトル積Aは、ベクトル外積値又は隣接する差分ベクトル内積値であり、
該ベクトル外積値を使用する場合はベクトルの方向(ベクトル外積値の正負)もきずの判定に使う、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査装置。

【請求項4】
前記探傷プローブの位置センサは、被検体表面に接触してy軸方向の回転軸を中心に自由に回転可能な検出ローラと、該検出ローラを被検体表面に向けて伸縮可能に押付ける付勢装置と、検出ローラの回転量を検出するロータリエンコーダとからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。

【請求項5】
前記探傷プローブは、前記データポイントと磁束密度BxとBzの検出開始と検出終了を制御するための押釦スイッチを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。

【請求項6】
前記探傷プローブは、検出ローラが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了する構造のスイッチを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。

【請求項7】
被検体表面のx軸方向に交流磁場を与えこれに直交する被検体表面のy軸方向に交流誘導電流を発生させ、前記交流誘導電流により発生するx軸方向の磁束密度Bxとz軸方向の磁束密度Bzを被検体表面に沿ったデータポイントと共に検出する探傷ステップと、
前記磁束密度BxとBzをデータ解析して、被検体表面に存在する傷等の位置を検出するデータ解析ステップと、を備え、
前記データ解析ステップは、探傷プローブで検出したデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応する前記磁束密度BxとBzの生データを時系列的に記憶する生データ記憶ステップと、
交流磁場発生コイル、Bx測定コイル、及びBz測定コイルの位置誤差により前記生データを補正し、次いで前記データを一定範囲の移動平均を取り細かなリップルを取る平滑化処理をしかつ初めの信号値、母材無欠陥部の信号値、信号波形の高次近似曲線、一定範囲の移動平均値などを基準とする基準化処理した基準化データを作成する基準化データ作成ステップと、
該基準化データからz-x平面上において原点Oから点(Bz、Bx)までの磁束密度ベクトルB(z,x)をデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応して設定するベクトル設定ステップと、
データポイントiとi+1に対応する磁束密度ベクトルB(z,x)のベクトル積Aを算出するベクトル積算出ステップと、
該ベクトル積Aが所定の閾値を超えるときに、傷等が存在すると判別する傷判別ステップと、を有することを特徴とする交流電磁場測定法による探傷検査方法。

【請求項8】
前記データ解析ステップは、前記ベクトル積Aと、前記ベクトル積Aが所定の閾値を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示する画像表示ステップを有する、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査方法。

【請求項9】
前記ベクトル積Aは、ベクトル外積値又は隣接する差分ベクトル内積値であり、
該ベクトル外積値を使用する場合はベクトルの方向(ベクトル外積値の正負)もきずの判定に使う、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査方法。

【請求項10】
被検体表面に接触してy軸方向の回転軸を中心に自由に回転可能な検出ローラを被検体表面に向けて伸縮可能に押付け、ロータリエンコーダにより検出ローラの回転量を検出する、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査方法。

【請求項11】
探傷プローブに取付けられた押釦スイッチにより、前記データポイントと磁束密度BxとBzの検出開始と検出終了を制御する、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査方法。

【請求項12】
探傷プローブに取付けられたスイッチにより、検出ローラが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了する、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査方法。

【請求項13】
きずに直交してプローブを走査してBx信号とBz信号を取得し、この2つの信号を横軸にBz信号、縦軸にBx信号としてバタフライパターンをプロットし、該バタフライパターンがきずに平行にプローブ走査したバタフライパターンの中心点に対し点対称となる曲線を描くとき、きずを判定する、ことを特徴とする請求項に記載の探傷検査方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005111771thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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