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鉄道車両用アンチロックブレーキシステムおよび鉄道車両用の制動制御方法

国内特許コード P07A011082
整理番号 /NO33449
掲載日 2007年11月2日
出願番号 特願2004-105617
公開番号 特開2005-289172
登録番号 特許第4843198号
出願日 平成16年3月31日(2004.3.31)
公開日 平成17年10月20日(2005.10.20)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発明者
  • 川口 清
  • 竹内 泰裕
出願人
  • 公益財団法人鉄道総合技術研究所
  • シンフォニアテクノロジー株式会社
発明の名称 鉄道車両用アンチロックブレーキシステムおよび鉄道車両用の制動制御方法
発明の概要

【課題】制動力を付与するためのブレーキシリンダ圧を高圧に維持してブレーキ性能を保ったまま、車輪のロックを防止し、ブレーキ種別に応じて適切に制動することが可能な鉄道車両用アンチロックブレーキシステムおよび制動制御方法を提供する。
【解決手段】鉄道車両Tに対する制動力を調整して車輪6のロックを抑制する鉄道車両用ABS1において、ブレーキ設定器4と、車輪速度の検知装置7と、制動力発生装置9と、制動力を維持、緩和する滑走防止装置8と、制動力を供給するブレーキ制御装置10と、滑走防止装置8に対して制御指令を出力するための滑走防止制御演算装置2とを備え、滑走防止制御演算装置2には、制動力を緩める際の基準となる閾値が、車両速度および各車輪の速度の差等に対して予め複数設定されており、車両速度およびブレーキ設定器4から入力されるブレーキ信号に応じて閾値を切り替えるように構成されている。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


走行している鉄道車両に強いブレーキを掛けて車輪をロックさせてしまうと、車輪がレール上を滑走して摩耗し、車輪に平坦面が形成され、車輪がスムーズに回転し難くなり、騒音や振動の原因となる。アンチロックブレーキシステム(以下、ABSという。)は、このようなロックによる車輪の摩耗を防止するために、鉄道車両の各輪軸毎または各台車毎に制動力を調整して車輪のロックを抑制するためのシステムであり、通常、車輪の回転速度を検知する速度検知装置を備える。そして、ブレーキを掛けて車輪がレールに対して滑り始めると、そのままブレーキを掛け続けると車輪がロックするので、ブレーキシリンダの押圧力を緩めて車輪に対する制輪子の制動力を緩めて車輪の速度Vを回復させ、滑りがなくなると、再度制輪子の制動力を強めるという動作を繰り返して車輪のロックを回避する技術である(図7参照)。



このように、ABSは、もともと車輪のロック回避のための技術として開発されたものであるが、このABSを用いて車両を制動した場合、車輪をロックさせて車両を制動させる場合と比較して制動距離が短くなるという重要な特性を有する。そのため、その後、車両の制動安定性の要請もあり、特に自動車産業等の分野で研究が盛んに進められてきた。鉄道分野においても、近年、このABS技術の改良が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。



鉄道車両における通常のABSは、例えば、図8のグラフに示すように、車両の速度Vtと車輪の外周における周速度V、すなわち車輪の速度Vの差が閾値ΔVa以上になった場合(図中の直線Pから下の部分)、または、車両の速度Vtと車輪の速度Vの差の車両の速度Vtに対する比(α=(Vt-V)/Vt)が閾値(αa)以上になった場合(図中の直線Qから下の部分)、或いはその両方の条件を満たす場合(図中の斜線部分)に、車輪がレール上を滑走していると判断するように構成されている。そして、車輪にブレーキを掛け、前記のいずれかの条件を満たす状態になった時点で車輪に対する制輪子の制動力を緩め、車輪の速度Vが回復して、これらの条件から外れると、再度車輪に対して制動を加えるという動作が繰り返されて、車両が制動される。

【特許文献1】特開2003-220946号公報

産業上の利用分野


本発明は、鉄道車両用アンチロックブレーキシステムおよびそれを用いた制動制御方法に係り、特に、レールに対する車輪の滑り易さ係数がストライベック曲線における混合潤滑領域に入り得る高速の鉄道車両用のアンチロックブレーキシステムおよびそれを用いた制動制御方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
鉄道車両の各輪軸毎に制動力を調整して車輪のロックを抑制するための鉄道車両用アンチロックブレーキシステムであって、
ブレーキハンドルを備えたブレーキ設定器と、
前記車輪の速度を検知するための検知装置と、
前記各輪軸毎に制動力を発生させるための制動力発生装置と、
制動動作にある場合に前記各輪軸毎に前記制動力発生装置により発生された制動力を維持し、または緩めるための滑走防止装置と、
前記滑走防止装置を介して前記制動力発生装置に前記制動力を供給するためのブレーキ制御装置と、
前記滑走防止装置に対して制御指令を出力するために、前記検知装置から入力される速度情報に基づいて、前記車輪の速度の減速度の変化率を演算可能に構成された滑走防止制御演算装置と、
を備えた鉄道車両用アンチロックブレーキシステムにおいて
記滑走防止制御演算装置には、
前記車両の速度域が高速域、中速域および低速域に場合分けされており、かつ、前記滑走防止装置が前記制動力を緩める際の切り替え可能な前記変化率に対する第一の閾値が予め前記各場合についてそれぞれ設定されており、
前記車両の速度および前記各車輪の速度の差、または前記差の前記車両の速度に対する比の少なくとも一方に対して、前記滑走防止装置が前記制動力を緩める際の基準となる前記差または前記比に対する第二の閾値が、予め前記各場合についてそれぞれ設定されており、かつ、少なくとも前記第二の閾値は、前記高速域の場合が最も大きく、前記高速域、前記中速域、前記低速域の順に漸次小さい値になるように設定されており、
前記滑走防止制御演算装置は、
制動時には、前記車両の速度に応じて、前記車両の速度域がいずれの速度域にあるかを判定して、前記第一の閾値および前記第二の閾値当該速度域に対応する値に切り替え
前記車両の速度がいずれの速度域にある場合においても、前記変化率が前記第一の閾値を超えている前記車輪については、当該車輪の前記輪軸に対応する前記滑走防止装置を当該輪軸に対する前記制動力を緩めさせるように制御して、ストライベック曲線における混合潤滑領域に入った車両の滑走状態を前記混合潤滑領域から境界潤滑領域に引き戻し、
前記変化率が前記第一の閾値を超えていない前記車輪については、当該車輪に対応する前記差または前記比が前記第二の閾値を超えている場合に、当該車輪の前記輪軸に対応する前記滑走防止装置を当該輪軸に対する前記制動力を緩めさせるように制御するように構成されていることを特徴とする鉄道車両用アンチロックブレーキシステム。

【請求項2】
前記滑走防止制御演算装置は、制動時には、各車輪の速度の中で最も高い速度を車両の速度とし、前記差または前記比の少なくとも一方を演算し、前記車両の速度および前記ブレーキ設定器から入力されるブレーキ信号に応じて、前記第一の閾値および前記第二の閾値を切り替えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用アンチロックブレーキシステム。

【請求項3】
前記滑走防止制御演算装置は、前記第一の閾値および前記第二の閾値として、常用ブレーキおよび非常ブレーキのブレーキ種別やブレーキノッチ指令のブレーキ種別に対して前記閾値がそれぞれ予め設定されており、かつ、前記ブレーキ種別について制動力が強くなるに従って前記各閾値が漸次大きな値になるように設定されており、制動時には、前記ブレーキ設定器から入力されるブレーキ信号に応じて、前記ブレーキの種別がいずれのブレーキ種別であるかを判別し、前記閾値を切り替えるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用アンチロックブレーキシステム。

【請求項4】
前記滑走防止制御演算装置は、前記検知装置から入力される速度情報に応じて、前記車輪の速度の減速度を演算可能に構成されており、かつ、演算された前記減速度について、前記滑走防止装置が前記制動力を緩める際の切り替え可能な閾値が予め複数設定されており、前記車両の速度および前記ブレーキ設定器から入力されるブレーキ信号に応じて、前記閾値を切り替えるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の鉄道車両用アンチロックブレーキシステム。

【請求項5】
鉄道車両の各輪軸毎に制動力を調整して車輪のロックを抑制するための鉄道車両用の制動制御方法であって、
車両の速度域が車両の速度により高速域、中速域および低速域の各速度域に予め場合分けされており、車輪の速度の減速度の変化率に対する第一の閾値を、前記速度域毎にそれぞれ予め設定し、
前記車両の速度および各車輪の速度の差、または前記差の前記車両の速度に対する比の少なくとも一方に対して前記差または前記比に対する第二の閾値を前記速度域毎にそれぞれ予め設定し、かつ、少なくとも前記第二の閾値を、前記高速域の場合が最も大きく、前記高速域、前記中速域、前記低速域の順に漸次小さい値になるように設定し、
かつ、制動時には、前記車両の速度に応じて、前記車両の速度域がいずれの速度域にあるかの判定を行い、前記判定に応じて前記第一の閾値および前記第二の閾値当該速度域に対応する値に切り替え
前記車両の速度がいずれの速度域にある場合においても、前記変化率が前記第一の閾値を超えている前記車輪については、当該車輪の前記輪軸に対応する前記滑走防止装置を当該輪軸に対する前記制動力を緩めさせるように制御して、ストライベック曲線における混合潤滑領域に入った車両の滑走状態を前記混合潤滑領域から境界潤滑領域に引き戻し、
前記変化率が前記第一の閾値を超えていない前記車輪については、当該車輪に対応する前記差または前記比が前記第二の閾値を超えている場合に、当該車輪の前記輪軸に対応する前記滑走防止装置を当該輪軸に対する前記制動力を緩めさせるように制御することを特徴とする鉄道車両用の制動制御方法。

【請求項6】
前記判定の前に、常用ブレーキおよび非常ブレーキのブレーキ種別やブレーキノッチ指令のブレーキ種別に対して閾値それぞれ予め設定し、かつ、前記ブレーキ種別について制動力が強くなるに従って前記各閾値が漸次大きな値になるように設定し、制動時には、ブレーキ信号に応じて、前記ブレーキの種別がいずれのブレーキ種別であるかを判別し、前記閾値を切り替えることを特徴とする請求項5に記載の鉄道車両用の制動制御方法。

【請求項7】
前記閾値のほかに、前記車輪の速度の減速度に対する閾値を、前記車両の速度域および前記ブレーキ種別毎にそれぞれ予め設定し、制動時には、前記判定および前記判別を行い、前記判定および前記判別に応じて前記閾値を切り替えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の鉄道車両用の制動制御方法。
産業区分
  • 自動車
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004105617thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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