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集電舟の揚力特性安定化構造

国内特許コード P07A011158
整理番号 /NO31075
掲載日 2007年11月2日
出願番号 特願2004-330077
公開番号 特開2006-141169
登録番号 特許第4725835号
出願日 平成16年11月15日(2004.11.15)
公開日 平成18年6月1日(2006.6.1)
登録日 平成23年4月22日(2011.4.22)
発明者
  • 鈴木 昌弘
  • 池田 充
出願人
  • 公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明の名称 集電舟の揚力特性安定化構造
発明の概要

【課題】 集電舟に作用する揚力特性を簡単な構造によって安定化させることができる集電舟の揚力特性安定化構造を提供する。
【解決手段】 トロリ線1aに対してすり板7が接触移動すると、新品状態のすり板7が徐々に摩耗する。すり板7の上面7aと前端面7bとのなす角度θがすり板7の摩耗の前後で変化せず一定であり、集電舟8の上側前面8cと前端面7bとの継ぎ目には段差がなく直線状である。その結果、集電舟8の周囲の気流Fの流れが変化しないため、すり板7の摩耗の前後で集電舟8に作用する揚力Lの変動が少なく、上側角部7cからのみ気流Fの流れが剥離し空力音が大きくなるのを抑えることができる。また、すり板7の摩耗の前後で上側角部7cから剥離した気流Fが上面7aで常に再付着又は再付着しないようにすり板7の幅Wが設定されている。このため、すり板7の摩耗の前後において剥離の性質が変化するのを抑えることができる。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


近年、新幹線などの高速化が進むにつれて集電装置(パンタグラフ)の空力特性が問題となっている。集電装置の空力性能には、トロリ線との接触力を一定に保つために揚力の安定化を図ることと、空力音の発生を抑えて低空力音化を図ることの二つが要求されている。集電装置の構成部品のうち空力性能に密接に関わる部分は集電舟(舟体)である。揚力の安定化を図るためには、集電舟に対する気流の迎角が変化しても揚力は迎角に関わらず略一定である必要がある。このため、迎角に鈍感な集電舟の形状として角張った形状が考えられるが、このような鈍頭形状では空力音を低減することが困難である。一方、空力音の低減を図るためには、集電舟の断面形状を可能な限り剥離を抑えることができる流線型にすることが好ましいが、迎角の変化に揚力が敏感に反応し、すり板が摩耗して集電舟の外観形状が変化すると、この集電舟の周囲の空気の流れが変化して揚力の変化の要因となる。このように、揚力の安定化と低空力音化の両方を同時に満たすことは極めて困難である。



図6は、従来の集電舟(従来技術1)を模式的に示す断面図であり、図6(A)はすり板の摩耗前の状態を示し、図6(B)はすり板の摩耗後の状態を示す。図7は、従来の集電舟(従来技術2)を模式的に示す断面図であり、図7(A)はすり板の摩耗前の状態を示し、図7(B)はすり板の摩耗後の状態を示す。図8は、従来の集電舟(従来技術3)を模式的に示す断面図であり、図8(A)はすり板の摩耗前の状態を示し、図8(B)はすり板の摩耗後の状態を示す。



図6に示す従来の集電舟(従来技術1)101は、A方向に移動して新品の状態のすり板102が摩耗しても、集電舟101の周囲の気流Fの流れが大きく変化しない。このため、集電舟101に作用する揚力Lの変化が少ないが、集電舟101の断面形状が鈍頭形状であるため空力音が大きくなる問題点がある。図7に示す従来の集電舟(従来技術2)201は、A方向に移動して新品の状態のすり板202が摩耗すると、集電舟201の周囲の気流Fの流れが変化する。このため、集電舟201に作用する揚力Lも変化して集電性能が安定化せず、集電舟201の断面形状が鈍頭形状であるため空力音が大きくなる問題点がある。図8に示す従来の集電舟(従来技術3)301は、A方向に移動したときに集電舟301の断面形状が流線型であるため空力音は小さくなるが、新品の状態からすり板302が摩耗すると、集電舟301の周囲の気流Fの流れが大きく変化する。このため、集電舟301に作用する揚力Lも大きく変化し集電性能が安定化しないという問題点がある。このように、二つの相反する空力性能を満たすために、現状では風洞試験などを繰り返して集電舟の形状を求めており、多くのコストと時間を要している。



従来の集電舟の揚力制御構造は、集電舟の前縁部の上側に形成された上側空気孔と、集電舟の前縁部の下側に形成された下側空気孔と、上側空気孔と接続する上側空気管と、下側空気孔と接続する下側空気管と、上側空気管からの空気の吐き出し量及び吸い込み量を調整する上側絞り弁と、下側空気管からの空気の吐出し量及び吸い込み量を調整する下側絞り弁と、上側空気管及び下側空気管に接続される空気だめと、上側空気管及び下側空気管に圧縮空気を供給するとともに上側空気管及び下側空気管から空気を吸い込むコンプレッサなどを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の集電舟の揚力制御構造では、集電舟に作用する揚力を減少させるときには、上側空気孔からの空気の吐き出し量を増加させるか、下側空気孔からの空気の吸い込み量を減少させている。一方、このような従来の集電舟の揚力制御構造では、集電舟に作用する揚力を増加させるときには、上側空気孔からの空気の吐き出し量を減少させるか、下側空気孔からの空気の吸い込み量を増加させている。




【特許文献1】特開2000-270403号公報

産業上の利用分野


この発明は、集電舟の揚力特性を安定化させる集電舟の揚力特性安定化構造に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
集電舟の揚力特性を安定化させる集電舟の揚力特性安定化構造であって、
前記集電舟に支持されてトロリ線と接触するすり板の摩耗量に関わらず、このすり板の前端面とこのすり板の上面とが交わる上側角部の角度が一定であり、
前記すり板の前端面と前記集電舟の上側前面とが同一面であり、
前記すり板が摩耗前の状態であるときに前記上側角部から剥離した気流が前記すり板の上面で再付着する場合には、前記すり板が摩耗後の状態であるときにも前記上側角部から剥離した気流が前記すり板の上面で再付着するように、このすり板の幅が設定されており
前記集電舟は、この集電舟の長さ方向と直交する平面で切断したときの下側以外の部分の断面形状が、係数a,b、揚力L、すり板が摩耗していない状態new、すり板が摩耗している状態old、平均値ave、実効値rms及び迎角αであるときに、以下の数1に示す目的関数が最小になるような形状であること、
【数式1】


を特徴とする集電舟の揚力特性安定化構造。

【請求項2】
集電舟の揚力特性を安定化させる集電舟の揚力特性安定化構造であって、
前記集電舟に支持されてトロリ線と接触するすり板の摩耗量に関わらず、このすり板の前端面とこのすり板の上面とが交わる上側角部の角度が一定であり、
前記すり板の前端面と前記集電舟の上側前面とが同一面であり、
前記すり板が摩耗前の状態であるときに前記上側角部から剥離した気流が前記すり板の上面で再付着しない場合には、前記すり板が摩耗後の状態であるときにも前記上側角部から剥離した気流が前記すり板の上面で再付着しないように、このすり板の幅が設定されており
前記集電舟は、この集電舟の長さ方向と直交する平面で切断したときの下側以外の部分の断面形状が、係数a,b、揚力L、すり板が摩耗していない状態new、すり板が摩耗している状態old、平均値ave、実効値rms及び迎角αであるときに、以下の数1に示す目的関数が最小になるような形状であること、
【数式1】


を特徴とする集電舟の揚力特性安定化構造。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の集電舟の揚力特性安定化構造において、
前記集電舟の前端面が流線型であること、
を特徴とする集電舟の揚力特性安定化構造。

【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の集電舟の揚力特性安定化構造において、
前記集電舟の下面が流線型であること、
を特徴とする集電舟の揚力特性安定化構造。
産業区分
  • 鉄道
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2004330077thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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