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固定構造物の圧力波低減構造

国内特許コード P07A011220
整理番号 /NO30866
掲載日 2007年11月2日
出願番号 特願2003-064032
公開番号 特開2004-270345
登録番号 特許第4205456号
出願日 平成15年3月10日(2003.3.10)
公開日 平成16年9月30日(2004.9.30)
登録日 平成20年10月24日(2008.10.24)
発明者
  • 飯田 雅宣
  • 福田 傑
  • 菊地 勝浩
出願人
  • (財)鉄道総合技術研究所
発明の名称 固定構造物の圧力波低減構造
発明の概要 【課題】固定構造物の出入口に移動体が突入するときに発生する圧力波とこの出入口から移動体が退出するときに発生する圧力波とを低減することができる固定構造物の圧力波低減構造を提供する。
【解決手段】仕切壁5は、線路2aと線路2bと間を仕切る垂直な壁である。仕切壁5は、側壁3c,3dまでの距離Lの中間点が線路2a,2bの中心O,O と略一致する位置に設置されているため、列車1を中心としてトンネル3の断面形状が左右対称に近くなる。その結果、線路2aをA方向に移動する列車1が坑口3aに突入すると、トンネル3に仕切壁5を設置しない場合に比べて、C方向に放射する突入波Wが低減する。同様に、線路2bをB方向に移動する列車1が坑口3aから退出すると、トンネル3に仕切壁5を設置しない場合に比べて、D方向に放射する退出波Wが低減する。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要 図20は、トンネルに列車が突入するときに坑口から外部に放射する圧力波の概念図である。図21は、トンネルから列車が退出するときに坑口から外部に放射する圧力波の概念図である。図20に示すように、列車101がトンネル103の坑口103aに突入すると列車101の前方のトンネル103内に圧縮波Wが発生し、この圧縮波Wがトンネル103内を伝播する。その結果、パルス状の圧力波(以下、トンネル微気圧波という)Wが突入側の坑口103aとは反対側の坑口103bから外部に放射する。また、図21に示すように、列車101がトンネル103の坑口103bから退出すると列車101の後方のトンネル103内に圧縮波Wが発生し、この圧縮波Wがトンネル103内を伝播する。その結果、トンネル微気圧波Wが退出側の坑口103bとは反対側の坑口103aから外部に放射する。このトンネル微気圧波W,Wは、坑口103a,103b付近で衝撃音を発生させたり、坑口103a,103b付近の家屋の建具などを揺らしたりして、環境問題を引き起こす場合がある。このため、このようなトンネル微気圧波W,Wを低減するトンネル緩衝工を、列車101が突入する突入側の坑口103a,103bに設置したり、列車101の列車先頭部の形状を先鋭化したりするなどの対策がなされている。一方、列車101の高速化とともに新たな問題が発生している。図20に示すように、列車101がトンネル103の坑口103aに突入すると反対側の坑口103bから放射されるトンネル微気圧波Wだけではなく、20Hz未満を主成分とする圧力波(以下、突入波という)Wが突入側の坑口103aから外部に放射される。また、図21に示すように、列車101がトンネル103の坑口103bから退出すると反対側の坑口103aから放射されるトンネル微気圧波Wだけではなく、20Hz未満を主成分とする圧力波W(以下、退出波という)が退出側の坑口103bから外部に放射される。この突入波W及び退出波Wは、トンネル微気圧波W,Wと同様に坑口103a,103b付近の家屋の建具などを揺らすなどの環境問題を引き起こす場合がある。この突入波W及び退出波Wは、振幅が列車101の速度の3乗に略比例し、坑口103a,103bから観測点までの距離に略反比例するような特性を有し、新幹線などの高速鉄道では環境に与える影響が大きくなる。また、この突入波W及び退出波Wは、列車101の移動方向に対して前後方向で強さが異なり(指向性があり)、坑口103a,103bの明り側よりもトンネル103側に強く放射される。例えば、列車先頭部が坑口103aに突入すると、先頭車両の運転席から見て前側(トンネル103の奥側)のほうが後側(トンネル103の手前側)よりも突入波Wが強く放射される。さらに、複線トンネルの場合には、列車101を中心としてトンネル103が左右対称ではない。このため、この突入波W及び退出波W は、列車101の移動方向に対して直交する左右方向で強さが異なり(指向性があり)、トンネル103の中心軸線に対して列車101の中心軸線が偏っている側(トンネル103に対して列車101が偏っている側)に強く放射される。例えば、日本の鉄道のように列車101が左側通行である場合には、列車先頭部が坑口103aに突入すると、列車101の先頭車両の運転席から見て左側のほうが右側よりも突入波Wが強く放射される。このため、坑口から外部に向かって斜め側壁を設置したり、フランジ部やフレア部を坑口に設置したり、複線トンネル緩衝工の側壁にスリット状の開口部を設置したりして、突入波W及び退出波Wを低減するトンネル圧力波低減構造が知られている。例えば、従来の複線トンネルの圧力波低減構造は、列車の移動方向に対して前後方向の突入波及び退出波を低減するために、複線トンネル緩衝工の坑口にフランジ部を備えている(特許文献1参照)。また、従来の複線トンネル緩衝工は、列車の移動方向に対して直交する左右方向の突入波及び退出波を低減するために、この複線トンネル緩衝工の坑口に突入する側の側壁を線路の外側に拡大して、複線トンネル緩衝工の中心軸線と列車の中心軸線とを一致させている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001-115795号公報(段落番号0022及び図1)
【特許文献2】特開2002-21500号公報(段落番号0022~0025及び図1)
産業上の利用分野 この発明は、上下線の一方の本線を移動する移動体が固定構造物の出入口に突入するときにこの出入口から外部に放射する圧力波と、前記上下線の他方の本線を移動する移動体が前記出入口から退出するときにこの出入口から外部に放射する圧力波とを低減する圧力波低減構造に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 上下線の一方の本線を移動する移動体が固定構造物の出入口に突入するときにこの出入口から外部に放射する圧力波と、前記上下線の他方の本線を移動する移動体が前記出入口から退出するときにこの出入口から外部に放射する圧力波とを低減する固定構造物の圧力波低減構造であって、 前記固定構造物は、前記移動体が時速300km/h以上の高速で内部を通過する複線トンネル又は複線トンネル緩衝工であり、これらの内部の左右の側壁のうち前記移動体に近接する側壁側に強く放射される前記圧力波を低減するために、前記出入口を前記上下線の間で仕切る仕切手段を備え、 前記仕切手段は、前記移動体の移動方向における長さが前記出入口の断面積と同一の断面積を有する円の半径以上であり、この出入口にこの移動体が突入するときに前記固定構造物の内部に発生する圧縮波の波面の長さ以下であること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項2】 上下線の一方の本線を移動する移動体が固定構造物の出入口に突入するときにこの出入口から外部に放射する圧力波と、前記上下線の他方の本線を移動する移動体が前記出入口から退出するときにこの出入口から外部に放射する圧力波とを低減する固定構造物の圧力波低減構造であって、 前記固定構造物は、前記移動体が時速300km/h以上の高速で下方を通過する跨線橋、橋上駅又は立体交差であり、これらの下方の左右の脚部のうち前記移動体に近接する脚部側に強く放射される前記圧力波を低減するために、前記出入口を前記上下線の間で仕切る仕切手段を備え、 前記仕切手段は、前記移動体の移動方向における長さが前記出入口の断面積と同一の断面積を有する円の半径以上であり、この出入口にこの移動体が突入するときに前記固定構造物の内部に発生する圧縮波の波面の長さ以下であること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切手段は、前記固定構造物を上り線側の空間と下り線側の空間とに完全に仕切る仕切壁を備えること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切手段は、前記固定構造物を上り線側の空間と下り線側の空間とに空間の一部を仕切る仕切壁を備えること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切手段は、前記固定構造物の断面形状が前記移動体を中心に略左右対称になるように上り線側の空間と下り線側の空間とを仕切る仕切壁を備えること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項6】 請求項5に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記固定構造物は、前記出入口から内部に向かって前記上り線を覆う単線トンネル部と前記下り線を覆う単線トンネル部とを備え、 前記仕切壁は、隣接する前記単線トンネル部の間の壁部であること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項7】 請求項5又は請求項6に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切壁は、断面形状が略Y字状又は湾曲状であること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項8】 請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切壁は、長さ方向のトンネル奥側の端部に上下方向に傾斜する傾斜部を有すること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項9】 請求項3から請求項8までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切壁は、この仕切壁を貫通する複数の貫通孔を有すること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項10】 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記固定構造物は、前記出入口から外部に向かって前記上下線の外側に一対の傾斜側壁を備え、 前記仕切手段は、前記出入口から外部に向かって前記上下線の間に前記一対の傾斜側壁と略同一形状の傾斜壁部を有する仕切壁を備えること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項11】 請求項1又は請求項2に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切手段は、前記上下線の間に流体を流して流体膜を形成する流体膜形成装置を備えること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項12】 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記固定構造物は、前記圧力波を低減するために前記出入口にフランジ部を備えること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項13】 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切手段は、前記移動体の側面と対向する前記固定構造物の側壁を垂直な側壁に近似したときに、この垂直な側壁までの距離の中間点がこの移動体の中心と略一致する位置に設置されていること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項14】 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記仕切手段は、前記移動体の移動方向と交差する水平方向に放射する前記圧力波の強さが上り線側と下り線側とで異なるように、前記上り線側又は前記下り線側にずらして設置されていること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項15】 請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記移動体の移動方向と交差する方向に前記仕切手段による仕切位置を可変する可変手段を備えること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項16】 請求項15に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記可変手段は、 前記移動体が前記出入口に突入するときには、この移動体が突入する側の空間がこの移動体を中心に略左右対称になるように前記仕切位置を可変し、 前記移動体が前記出入口から退出するときには、この移動体が退出する側の空間がこの移動体を中心に略左右対称になるように前記仕切位置を可変すること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
【請求項17】 請求項15又は請求項16に記載の固定構造物の圧力波低減構造において、 前記可変手段は、前記上下線を移動する移動体の速度が異なるときに、速度の速い前記移動体が移動する側の空間がこの移動体を中心に略左右対称になるように前記仕切位置を可変すること、 を特徴とする固定構造物の圧力波低減構造。
産業区分
  • その他建築
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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