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反射防止構造および該反射防止構造を有する発光素子

国内特許コード P07A011419
掲載日 2007年11月6日
出願番号 特願2007-045170
公開番号 特開2007-264613
登録番号 特許第5082097号
出願日 平成19年2月26日(2007.2.26)
公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
登録日 平成24年9月14日(2012.9.14)
優先権データ
  • 特願2006-053731 (2006.2.28) JP
発明者
  • 伊藤 雅英
  • 谷田貝 豊彦
  • 星野 鉄哉
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 反射防止構造および該反射防止構造を有する発光素子
発明の概要 【課題】界面での高い全透過率を与えると同時に適度に入射光を拡散反射または拡散透過させ、しかも、全透過率や拡散角度の波長依存性の小さい凹凸を安価に得ることを課題とする。
【解決手段】凹凸をもつ媒体1と媒体2の界面における媒体2の表面に対して、光が垂直に入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(1)、(2)を充たすΛとdを持ち、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減する。
(1)0.45×Λ<d
(2)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


反射防止膜は、ディスプレイを中心に多くの用途で用いられている。さらに、近年、広い波長範囲に対応できる反射防止構造が開発された。この反射防止構造は波長以下の溝幅を持つことを特徴とするものであり、この反射防止構造には多くの人が取り組んできた(非特許文献1、2、3参照)。



しかし、上記反射防止構造は、溝幅が波長以下で微細であるゆえに作製が難しく、必ずしも普及していない。それを解決するには、波長以上の溝幅にある共鳴領域で反射防止構造を作ればよい。ここで共鳴領域とは波長の数倍から数十倍の溝幅の領域を指している。実際、反射防止構造の文献には、共鳴領域に着目した文献もある(非特許文献4参照)。しかし、反射率2%前後と、従来の反射防止膜や反射防止構造に比べて見劣りがし、また、反射率波長依存性がある。



共鳴領域の反射防止構造をさらに、ディスプレイや照明の白色光へも適用するには出射角や反射率の波長依存性を抑えることが重要である。反射防止用途で波長分散をなくすためには、上記非特許文献1記載のように溝幅を一定でなくしたり、非特許文献2記載のように溝幅を短くしてゼロ次光のみを利用したり、或いは多層膜(非特許文献5参照)にしたり、等の方法が採用されてきた。しかし、反射防止構造の波長分散をなくす試みは、共鳴領域では行われていない。



本発明者らは、共鳴領域の低い反射率を十分に活用することを目標とし、この領域で出射角や反射率の波長依存性を抑えることを考えた。共鳴領域に着目した理由は、安価な光学素子作成方法である機械加工が適用できるからである。また、溝幅が大きいとアスペクト比(縦横比)を高くしても、熱や湿気による影響で構造が変形することも少ない(非特許文献6参照)。したがって、材料選択の幅が広がり、多様な目的に用いることが出来る。



しかしながら、一方で、溝幅があまりに大きな構造では、周期性のある画素との干渉によるモアレがしばしば問題となる(非特許文献7参照)。したがって、波長依存性だけでなく、モアレの抑制も考慮した光学設計が必要である。



ところで、溝幅が共鳴領域にある金属膜の反射型回折格子について、斜めから入射した光の波長が変わっても出射角度分布に大きな変化がないことは、知られている(非特許文献8参照)。また、拡散用途ではホログラム拡散体のように、スペックルパターンを用いて波長依存性をなくした光学素子もあるが、この拡散体も溝幅が共鳴領域にある(非特許文献9参照)。これらは、波長分散を小さくする手法としてヒントになる。



また、近年、ディスプレイ用途で反射率を下げる試みとして、有機ELの表面に凹凸を作製する試みがされている。(非特許文献10参照)さらに、半導体発光素子の表面に凹凸を形成することで光取り出し効率を上げる試みもされている。(特許文献1、2参照)このように、反射防止構造は産業上有用である。



【非特許文献1】
FUJIMOTO AkiraとASAKAWA Koji著:”Higher Luminescence LED Using Nanostructured Surface Fabricated by Self-Assembled Block Copolymer Lithography”、東芝レビュー、Vol.60、No.10、2005年、p .32~p .35
【非特許文献2】
Y. Kanamori、M.SasakiとK. Hane著:”Broadband antireflection gratings fabricated upon silicon substrates.”、Optics Letters、Volume 24、 Issue 20、1999年、p .1422 ~p .1424
【非特許文献3】
Ping Sheng、A. N. BlochとR. S. Stepleman著:”Wavelength-selective absorption enhancement in thin-film solar cells”、Applied Physics Letters、15、 1983年、Volume 43、Issue 6、p .579~p .581
【非特許文献4】
L. Escoubas、J.J. Simon、M. Loli、G. Berginc、 F. Flory とH. Giovannini著:”An antireflective silicon grating working in the resonance domain for the near infrared spectral region. ”、Optics Communications、Volume 226、 2003年、p .81~p .88
【非特許文献5】
H. A. MacLeod著:”Thin Film Optical Filters Second Edition”、ADAM HILGER LTD、(英国)、(1986)、p .85~p .156
【非特許文献6】
Pere Roca-Cusachs、Fe'lix Rico、Elena Marti'nez、Jordi Toset、Ramon Farre'と Daniel Navajas:”Stability of Microfabricated High Aspect Ratio Structures in Poly(dimethylsiloxane)”、Langmuir、Volume 21、2005年、p .5542~p .5548
【非特許文献7】
Makoto Okui、 Masaki Kobayashi、Jun AraiとFumio Okano著: ”Moire fringe reduction by optical filters in integral three-dimensional imaging on a color flat-panel display”、APPLIED OPTICS、 Vol. 44、 No. 21、2005年、p .4475~p .4483
【非特許文献8】
Hiroyuki Ichikawa著:”Numerical analysis of microretroreflectors: Transition reflection to diffraction.” Journal of Optics A: Pure Applied Optics、 Vol.6 、2004年、p .S121~p .S127
【非特許文献9】
Sien Chia著:”Fabrication of light-shaping diffusion screensYing Tsung Lua”、Optics Communications、 Vol.214 、2002年、p .55~p .63
【非特許文献10】
Toshitaka Nakamura、Naoto Tsutsumi、Noriyuki Juniと Hironaka Fujii著:”Thin-film waveguiding mode light extraction in organic electroluminescent device using high refractive index substrate”、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、 Vol. 97, Issue 054505 、2005年、p .1~p .5
【特許文献1】
2003-174191号公報
【特許文献2】
2005-223100号公報

産業上の利用分野


本発明は、各種平面ディスプレイや白色の発光素子等に使用可能な反射防止構造およびその反射防止構造を有する発光素子に関する発明である。

特許請求の範囲 【請求項1】
凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(1)、(2)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減し、
凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らないことを特徴する複数の波長に対応した白色光用反射防止構造。
(1)0.45×Λ<d
(2)4<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2

【請求項2】
凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化し、媒体1から媒体2に入る光の反射を防止する場合に、媒体2の前記界面と反対側の面が接する媒体3の屈折率が媒体2と0.2以下異なるか、または直交する偏光の片方だけを利用し、
凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らないことを特徴とする白色光用反射防止構造。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2

【請求項3】
凹凸を持つ透明な媒体1と透明な媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、媒体2の凸部の頂角が96°以下であり、媒体2から媒体1に入射する光の反射を防止する場合に媒体2自身が発光体であるかまたは、媒体2から発光源までの媒体の屈折率が媒体2よりも高いか等しく、
凹凸の溝幅の80%以上が、平均溝幅×{1±λ1/Λ}の範囲に入り、しかも、溝幅の50%以上が平均溝幅×{1±λ1/(5・Λ)}の範囲に入らないことを特徴とする白色光用反射防止構造。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2

【請求項4】
周期的な凹凸を持つ媒体1と媒体2の界面に対して光が入射するときに、凹凸の平均溝幅をΛ、平均深さをd、媒体1での波長をλ1、媒体2での波長をλ2として、下記式(3)、(4)の条件を充たす平均溝幅Λと平均深さdを持ち、溝の頂角が96°以下であり、かつ深さ方向への平均屈折率が連続的に変化することによって界面での全反射率を低減するとともに、凹凸の一周期の両端が左右にほぼ線対称な不等辺三角形である凹凸形状を規定する変数a、b、cについて、aが左側の三角形の底辺を、bが右側の三角形の底辺を、cが両端の三角形を平行移動によりつけたときの山と山の距離を表すとき、次の(7)、(8)式を満足する界面の凹凸を1周期の両端に含むことを特徴とする白色光用反射防止構造。
(3)0.45×Λ<d
(4)3<Λ/λ1<120
但し、λ1>λ2
(7)0.8<a/b<1.2
(8)c/(a+b)>1.2 または c/(a+b)<0.8

【請求項5】
前記界面の凹凸の斜面が、平均粗さRaがλ以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の白色光用反射防止構造。

【請求項6】
媒体2における前記界面の凹凸のある面と反対側の面が、ディスプレイのフロントパネルの観察者側の表面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが200λ1以下であり、かつ前記反対側の面と粘着または接着剤との屈折率差が0.2以下であることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の白色光用反射防止構造を持つディスプレイ。

【請求項7】
前記界面の凹凸のある面と反対側の面が、有機または無機の発光素子の出射面に粘着または接着剤を介して貼り付けられて使用され、該粘着または接着剤の厚さが20λ1以下であり、かつ前記界面の凹凸のある面と反対側の面との屈折率差が0.01以上0.6以下であることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の白色光用反射防止構造を持つ発光素子。

【請求項8】
前記媒体2における、媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面の距離から、平均深さdを引いた値のある断面での平均が4λ1以上100λ1以下であり、媒体2と、媒体1との界面の凹凸のある面と反対側の面で媒体2に接する媒体3とで屈折率が0.1以上異なることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の白色光用反射防止構造。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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