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航走体の流体抵抗と自己放射雑音レベルを同時に低減する船殻用多層構造材料及びその方法

国内特許コード P07A011745
整理番号 2048
掲載日 2007年11月16日
出願番号 特願2003-150591
公開番号 特開2004-352024
登録番号 特許第3772216号
出願日 平成15年5月28日(2003.5.28)
公開日 平成16年12月16日(2004.12.16)
登録日 平成18年2月24日(2006.2.24)
発明者
  • 倉野 重光
出願人
  • 防衛装備庁長官
発明の名称 航走体の流体抵抗と自己放射雑音レベルを同時に低減する船殻用多層構造材料及びその方法
発明の概要 【課題】エンジン等の振動発振源からの広周波数帯域機械振動雑音の船殻への伝搬を遮断し経年劣化することなく長期間安定して航走体の放射雑音レベルを所定値まで低減し、同時に流れ方向断面積が変化する航走体の流体摩擦抵抗を低減する事である。
【解決手段】航走体の船殻に2層の低比重量の弾性材であるCFRP材で粘弾性新素材であるエラストマー材を挟さみ込みサンドイッチ構造にした板材又は円筒形材の流体接触面にリブレット付フィルムをリブレットの溝方向と流体流れの方向を一致させて張り付けた多層構造の板材又は円筒形材を用いることにより航走体の流体抵抗低減と自己放射雑音レベルの低減を同時に可能とする。
【選択図】 図9
従来技術、競合技術の概要


従来の航走体の自己放射雑音低減技術は、「機械工学便覧」(社)日本機械学会編p887~p899(以下公知の文献1)で開示された航走体内部で発生し、種々の伝搬経路を経て船殻振動となる機械雑音を低減対象としている。



すなわち、航走体の自己放射雑音は、大きく二つに分けられる。一つは、プロペラ雑音で、これは、プロペラの推進作用及び航走体が航走することによって、船殻の外側に生じる流体雑音である。その主なものはプロペラの回転運動によって起こるキャビテイションである。もう一つは、航走体内部の電動機又はエンジンや減速機等の回転に伴う振動と軸受けでの機械的摩擦振動であり、これが機械の据え付け部分から種々の伝搬経路を経て船殻の振動雑音となる機械雑音である。



本発明が低減対象とする航走体の自己放射雑音は、前記放射雑音の内、後者の航走体内部で発生し、種々の伝搬経路を経て船殻振動となる機械雑音である。
該機械雑音が自己放射雑音として、音響センサー等の目標探知性能に影響を与える伝搬経路は二つある。一つは、機械振動雑音が船殻を音響センサー部まで直接伝搬して外部雑音となるもの、他は、船殻の振動エネルギーが船殻全体から水中に放射され航走体周囲の水中放射雑音となって、音響センサー部に回り込み外部雑音となるものである。図1に本発明により低減対象となる機械雑音の音響センサー等への伝搬経路を示す。



公知の文献1で開示された従来の機械雑音による自己放射雑音の低減法は、発振源となる電動機又はエンジン等の船体への取り付け部分に空気バネや振動ゴムを挟み込んだ制振装置により振動エネルギーを吸収し低減させる振動伝搬絶縁方式を採用している。図2に従来の振動伝播絶縁装置の一例を示す。



航走体の流体抵抗低減法に関する従来の発明としては、D.W.Bechert and M.Bartenwerfer,1989,"The viscous flow on surfaces with longitudinal ribs ", J.Fluid Mech.vol.206,pp.105-129.(以下、公知文献2)に乱流流れにおいて流体抵抗低減効果を有する、鮫の鱗に由来する多くの種類のリブレットの形状と流体抵抗低減効果の関係が開示され、またK.Choi,1989,"Near-wall structure of a turbulent boundary layer ", J.Fluid.Mech,vol.208,pp.417-458.(以下、公知文献3)に乱流運動モデルを用いたリブレットによる乱流抵抗低減効果の基本原理も開示されている。更に、K,Choi, 1992、「リブレット-表面粗さによる乱流摩擦抵抗の減少方法-」日本機械学会誌、95巻、888号、pp1013-1017、(以下、公知文献4)において実際に流体中を航走する航走体表面に張り付けたフィルム上に加工されたリブレットの形状と乱流摩擦抵抗低減効果の関係についての実験的結果が開示されている。



図3に流線型鮫の鱗の形状を示す。比較のために図4に三角形型と貝殻型リブレットを示す。



図3、4を用いてリブレットによる乱流抵抗低減効果の基本原理を説明する。
水中又は水上を航走する航走体に作用する水の抵抗は、二つの部分から成っている。即ち、摩擦抵抗と形状抵抗である。該摩擦抵抗は、航走体表面に沿った水に作用する剪断応力の結果として発生する。一方の形状抵抗は、航走体の形状によって決まり、その力は、航走体表面に作用する。両者とも流体の粘性によってその値は決定される。



粘性の力が最も大きくなる部分は、航走体表面に隣接した領域で境界層と呼ばれる。この層の厚さは、航走体と流体の相対速度が増加するにつれて減少する。この境界層の厚さは、航走体表面から流速が粘性力の影響を受けない領域の流速の99.0%となる範囲までを言う。境界層の外側に対しては粘性力は弱くなるので理想流体の流動方程式が適用できる。



公知文献2によって鮫肌に分布する鱗状リブレットと呼ばれる突起が境界層内の乱流挙動を抑制して摩擦抵抗低減効果を示すことが開示された。さらに公知文献3によって、縦に並んだリブレット表面上の境界層内粘性流れには、縦に並んだ遅い回転の渦で出来たすじ構造が存在し、このすじ構造がリブレット表面の流体抵抗低減効果と深く関係することが開示された。



さらに、公知文献3によって、リブレットの摩擦抵抗低減効果は、リブレット表面が流れに直角方向の乱流混合長パターンに強く影響して乱流流れの振動運動を抑制し、縦に並んだ遅い回転の渦を生じることによってエネルギーの熱放散率を低下させて摩擦抵抗低減効果を生じるものであることが開示された。これらの低速度すじは、ヘアピン渦に属し既に流体工学の分野で明らかにされている乱流境界層内で起こる混合長パターンであることも開示された。

産業上の利用分野


本発明は、航走体の燃料の節約及び運動性能の向上のための航走体の流体抵抗低減と航走体に設置された音響センサーの目標探知性能向上のための自己放射雑音レベルの低減を同時に行う方法及びその方法を可能にする航走体船殻用多層構造の板材及び円筒形材料に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】航走体の流体抵抗低減と自己放射雑音レベルの低減を同時に可能にする2層の低比重量のカーボンファイバーレインフォースプラスチック材(以降、CFRP材と言う。)で粘弾性新素材である熱可塑性ポリマーアロイ型材(以降、エラストマー材と言う。)を挟さみ込みサンドイッチ構造にした板材又は円筒形材の流体接触面にリブレット付フィルムをリブレットの溝方向と流体流れの方向を一致させて張り付けた航走体船殻用多層構造材料。
【請求項2】流れ方向断面積が変化する航走体においてリブレットの溝間隔と航走体船殻の流れ方向断面の周長の比を一定とすることによって航走体船殻の全流体接触面にリブレットの溝数を変えることなくリブレットを設けた流体摩擦抵抗低減のためのリブレット付航走体船殻。
【請求項3】航走体の船殻に2層の低比重量の弾性材であるCFRP材でエラストマー材を挟さみ込みサンドイッチ構造にした板材又は円筒形材の流体接触面にリブレット付フィルムをリブレットの溝方向と流体流れの方向を一致させて張り付けた多層構造の板材又は円筒形材を用いることにより航走体の流体抵抗低減と自己放射雑音レベルの低減を同時に可能とする方法。
【請求項4】流れ方向断面積が変化する航走体においてリブレットの溝間隔と航走体船殻の流れ方向断面の周長の比を一定とすることによって航走体船殻の全流体接触面にリブレットの溝数を変えることなくリブレットを設けた流体摩擦抵抗低減方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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