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アスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法

国内特許コード P07A011755
掲載日 2007年11月16日
出願番号 特願2005-250599
公開番号 特開2007-105552
登録番号 特許第3747246号
出願日 平成17年8月31日(2005.8.31)
登録日 平成17年12月9日(2005.12.9)
発明者
  • 小島 昭
  • 藤重 昌生
出願人
  • 国立高等専門学校機構
発明の名称 アスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法
発明の概要 【課題】繊維状アスベストを含む複合材を、フロン代替物質を含む特定化合物を含有する反応液を低温で加熱することにより、複合材の繊維状アスベストを、粒状または粉状に分解してアスベストを無害化する方法を提供する。
【解決手段】繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬して該反応液を複合材中に含浸させた後、600~800℃の温度で加熱することにより、アスベスト化合物中のMgとSiの化学結合を切断し、繊維状アスベストを粒状または粉状に分解することを特徴とする。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要 【背景技術】アスベスト(石綿)は天然に産する鉱物繊維である。それには、蛇紋岩系のクリソタイル(白石綿、Mg6Si4O10(OH)8)や角閃石系のアモサイト(茶石綿、(Fe,Mg)7Si8O22(OH)2)などがあり、耐熱性、耐薬品性、絶縁性などの諸特性に優れているため、建設資材、電気製品、自動車および家庭用品など 3,000種を超える利用形態が存在すると言われている。しかし、アスベスト暴露と種々の疾病(石綿肺、肺癌、悪性中皮腫など)の因果関係は1960年代頃から既に示唆されていたにもかかわらず、日本では今もなおアスベストが使用され続けている。1930年から2002年の間に日本国内で消費されたアスベストは1000万トンにも及び、その9割以上は建築資材(建材)として使用されたものである。アスベストの使用形態は、紡織品として単独で使用される場合と,鉄骨の耐火被覆材および壁材の吸音・結露防止用としてセメント-アスベスト系の複合材が使用される場合とが挙げられる。セメント-アスベスト系複合材は,吹き付けアスベスト,アスベスト保温材およびアスベスト成形板の3種類に大別することができる.この中で、使用量が多く,アスベスト含有量が高く,破壊時にアスベストが飛散しやすいのは、吹き付けアスベストである。吹き付けアスベストは、鉄骨等の建材の耐火被覆層として用いられ、具体的には、火災時に鉄骨の融解、崩壊を防ぐために、セメントとアスベストを混合し、スプレーガンなどから吹き付けるものである。吹き付け材中に含まれるアスベスト量は、通常、50~95%程度である。この吹き付け材中のアスベストは、全体として繊維状(綿状)を呈し、機械的強度はもたないが、空隙を多く持つことから断熱材としての機能を保有する。アスベストを含んだ耐火被覆層を形成した建材は、建築物が解体されて廃材になる場合には、建材から耐火被覆層を剥離し、剥離した耐火被覆層はその後、特定管理物質として処分される。最近(2005年6月)、アスベストによる健康問題が一気に社会問題となり、吹き付けアスベストの取り扱いに関しても世論が一層厳しくなった。今後、アスベストを含む耐火被覆層を形成した建材を有する建築物の解体や廃棄がピークを迎えることから,アスベストを含む複合材の処理問題がますます深刻化することが予想される。これまでに大量に生産された耐火被覆建材は、使用後廃棄された場合には産業廃棄物として処分されている。しかしながら、セメント硬化物が中性化すれば繊維状のアスベストの飛散、放散が予測されることから安全な対策が求められているが、現状では特別な対策はない。アスベストの分解無害化するための手段としては、例えば、特許文献1記載の密閉型電気炉溶解法や特許文献2記載のスラグ浴融解法などが挙げられるが、いずれの方法も1000℃以上の処理温度を要し、膨大なエネルギー消費問題を抱えていることから実用化には至っていない。 また、高温プラズマで溶融させる試みもあるが実施はされていない。
【特許文献1】特許第3085959号公報
【特許文献2】特開平7-171536号公報
このため、本発明者のうちの一人は、特許文献3において、アスベストとフロン分解無害化処理によって生成されたフロン化合物とを混合し、次いで当該混合物を低温加熱処理して成るアスベストの無害化処理方法を提案した。すなわち、アスベストを無害化するためには、加熱して融解させることであると考えた。そして、エネルギー消費問題を解決するために、できる限り低温でアスベストを融解させる融解剤を求めた。鉄鋼関係では融解剤にフッ素化合物が使用されており、本発明者がこれまでに取りくんできたフロン分解物でも可能ではないかと考えた。
【特許文献3】特開2005-168632号公報
ここでいう「フロン分解物」とは、フロンの分解処理工程において最終的に得られる物質である。フロン分解法の一つである「プラズマ方式」では、フロンはまず塩化水素とフッ化水素、二酸化炭素に分解され、それらを水酸化カルシウムに吸収させた後、塩化カルシウムを水洗することにより、炭酸カルシウムとフッ化カルシウムを成分とするフロン分解物が得られる。フロンもまたアスベスト同様、アメニティー社会構築のために幅広く使用されてきた物質で、その安定性、不燃性、無毒性から冷蔵庫やクーラーの冷媒、半導体や精密機器の洗浄剤、スプレーの噴霧剤などに用いられていた。しかしながら、フロンがオゾン層破壊物質であり、現在では全世界で使用が禁止され、回収が義務付けられているため、回収されたフロンの分解物を再資源化や再利用する範囲でアスベストの分解無害化する方法に用いるのは好ましいものの、アスベストを分解無害化するために有害なフロンを新たに生成することはできないため、フロン分解物を用いることなく、環境に悪影響を及ぼさないようなフロン代替物質を含む化合物を用いてアスベストを無害化する方法を開発する必要があった。また、フロン分解物は、アスベストとの反応ができさえすれば、アスベストを分解無害化することができるが、例えば、セメントとアスベストの複合材で構成されるような吹き付けアスベストの場合には、セメントがアスベストとフロン分解物との反応を妨害するため、十分にアスベストを分解無害化することができない場合があった。加えて、フロン分解物を用いて繊維状アスベストを分解した後の形態は、繊維状のままの形態を維持している場合もあり、必ずしも粒状または粉状までに分解されているとは限らないため、アスベストが十分に無害化されているとは言えない場合があった。
産業上の利用分野 本発明は、アスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法に関し、特に、鉄骨等の建材表面に形成される繊維状アスベストとセメントの複合材からなる吹き付け耐火被覆層の繊維状アスベストを、粒状または粉状に分解してアスベストを無害化する方法に関するものである。
特許請求の範囲 【請求項1】繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬して該反応液を複合材中に含浸させた後、600~800℃の温度で加熱することにより、アスベスト化合物中のMgとSiの化学結合を切断し、繊維状アスベストを粒状または粉状に分解することを特徴とするアスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法。
【請求項2】前記複合材は、鉄骨等の建材表面に吹き付けられて形成した耐火被覆層である請求項1記載のアスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法。
【請求項3】前記反応液は、塩化カルシウムに加えて他のカルシウム化合物をさらに含有する請求項1または2記載のアスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法。
【請求項4】前記他のカルシウム化合物は、炭酸カルシウムおよび/または水酸化カルシウムである請求項3記載のアスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法。
【請求項5】前記反応液は、低温で溶融塩を形成する補助添加化合物をさらに含有する請求項1~4のいずれか1項記載のアスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法。
【請求項6】前記補助添加化合物は、塩化カルシウム以外の塩化物および/またはフッ化物である請求項5記載のアスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法。
産業区分
  • 処理操作
  • その他衛生
  • 廃棄物処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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