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電動機制御装置

国内特許コード P07A011850
整理番号 /NO30617
掲載日 2007年11月30日
出願番号 特願2000-224213
公開番号 特開2002-044804
登録番号 特許第4544709号
出願日 平成12年7月25日(2000.7.25)
公開日 平成14年2月8日(2002.2.8)
登録日 平成22年7月9日(2010.7.9)
発明者
  • 渡邉 朝紀
  • 山下 道寛
出願人
  • 財団法人鉄道総合技術研究所
発明の名称 電動機制御装置
発明の概要 【課題】 本発明の課題は、速度センサを用いずに、電動機が空転・滑走した場合の再粘着制御を適切に行うことである。
【解決手段】 電動機制御装置1は、各誘導電動機の入力端に備えられた電流センサ30によって検出された電流に基づいて、各誘導電動機に発生した空転あるいは滑走を検出する。そして、各誘導電動機に流入する負荷トルク電流Iqに基づいて、空転・滑走発生前のトルクが推定され、再粘着後、再度の空転・滑走を発生させることなく、誘導電動機10の負荷トルクを推定トルクにまで速やかに上昇あるいは下降させる。したがって、一旦空転・滑走が発生した後、再度、空転・滑走発生前の状態に復帰する時間が短縮され、スムーズに復帰させることができる。
従来技術、競合技術の概要
従来、誘導電動機を動力とする電動機構(電車の駆動機構等)において、誘導電動機(以下、単に「電動機」という。)を制御する際に、駆動軸(電車の車軸等)の回転速度を速度センサによって検出し、検出された速度に基づいて、電動機に対する給電を制御する電動機制御装置が知られている。
【0003】
図10は、速度センサを用いて、空転・滑走の検出および再粘着制御を行う電動機制御装置100の制御部の構成を示す図である。
図10において、電動機制御装置100は、電動機110(111~114)、インバータ120、電流センサ130、ベクトル制御演算器140、粘着制御演算部160を備えている。さらに、粘着制御演算部160は、各電動機の回転速度(速度センサの出力信号)に基づいて空転・滑走の発生を検出する検出回路161を備えている。なお、電流センサ130からフィードバックされる電流値(Ia,Ib)は、インバータから出力される電流が電流指令に基づく値(目的値)に制御されているか否かを把握するためにのみ利用される。
【0004】
この速度センサを用いる方式の電動機制御装置100においては、例えば、電車の電動機を制御する場合、電車の床下の車輪間に設けられた電動機110(111~114)に速度センサが備えられ、車軸を駆動する電動機111~114の回転速度(ωr-1~ωr-4)が検出される。
【0005】
速度センサは、図示しないが、主に、電動機に組み込まれたコイルおよびコイルに発生する誘導起電力を検出する起電力検出部から構成される。そして速度センサは、検出した起電力に基づく信号(速度センサ信号)を検出回路161に出力する。図11は、図10の電動機制御装置100に備えられる検出回路161の一例を示す図である。
【0006】
電動機の速度センサによって車軸の回転速度を検出する原理は以下の通りである。速度センサは、電動機軸に嵌め込まれた歯車と、これと対向するように電動機の固定子側に固定されたコイル及び増幅器とから構成される。電動機軸が回転すると、速度センサのコイルと歯車の“山”が対向するか、或いは“谷”が対向するかによって、速度センサの歯車とコイルの間の距離が変化し、コイルのインダクタンスが変化する。このため、コイルに一定電圧を加えると、流れる電流の大きさがコイルに対向する歯車の山谷に合わせて変化する。これを増幅器にて波形整形し、コイルに対向する歯車の歯に対応した矩形波の電圧又は電流信号を得る。さらに、得られた電圧又は電気信号に基づいて所定の処理を行うことにより電動機の回転速度を検出し、検出した回転速度をさらに電動機と車軸の回転数比で割ることによって車軸速度を検出する。
【0007】
電動機制御装置100においては、この検出された回転速度に基づいて、粘着制御演算部160の検出回路161によって、車軸の空転・滑走が検出される。
また、このとき、粘着制御演算部160において誘導電動機のトルク電流を調整するための信号(トルク電流指令)がベクトル制御演算器140に出力され、誘導電動機100のトルクが制御される。
【0008】
この速度センサを用いる電動機制御装置100には、以下のような問題があった。
速度センサが車軸の回転速度を検出する場合、車軸の歯車の歯(歯幅4mm程度)が磁束を切る際にコイルに発生する微小な誘導起電力を検出しなければならず、精密に誘導起電力の検出を行う必要があった。また、起電力検出部はIC等のデバイスを多数備えているため、電動機付近のような環境条件の厳しい場所に配設された場合、故障が発生しやすかった。さらに、微小信号である速度センサ信号には、電動機110の制御動作に伴うノイズがのりやすく、検出回路の動作にエラーが生じやすかった。
【0009】
また、速度センサは、上述の通りコイル等の検出機構を備えるため、比較的大型となり、車輪間の限られたスペースに配設される場合には、電動機110の占有スペースを圧迫することとなっていた。そのため、電動機110の大型化が阻まれ、電動機110の出力を制限する要因となっていた。
【0010】
このような問題を解決すべく、近年、速度センサを用いない電動機制御方法が開発されつつある。
【0011】
図12は、複数の電動機を給電する総電流に基づいて、複数の電動機を一括して制御する電動機制御装置200の制御部を示す概略図である。
図12に示す電動機制御装置200は、図10に示す電動機制御装置100において、速度センサを用いて車軸を駆動する電動機111~114の回転速度を検出する代わりに、電流センサ230を用いて電動機211~214を給電する総電流を検出する。そして、電流センサ230によって検出された総電流に基づいて、ベクトル制御演算器240が電動機211~214に印加する電圧を算出し、インバータ220に指示信号を出力する。このようにして、インバータ220が電動機211~214を1つの仮想電動機210として制御する。
【0012】
この電流センサを用いる電動機制御装置200の場合、電流センサ230は、もともとインバータの制御に必要なもので、速度センサがない分、電動機211~214の大型化を図ることができ、電動機211~214の高出力化が可能となる。また、電流センサ230は、一般的に耐環境性に優れている。このような利点から、電流センサと速度センサを用いる方法に代えて、電流センサのみによって電動機を制御する方法の実用化が期待されている。
【0013】
しかし、電流センサを用いる電動機制御装置において車軸等の空転・滑走が発生した場合、従来、速度センサを用いて行われていた空転滑走検出および再粘着制御は適用できないため、適切な方法で再粘着を行う必要がある。
【0014】
ここで、電流センサを用いる電動機制御装置のうち、現在、既に開発されているものは、上述した電動機制御装置200と同様の、1つの制御部により複数の電動機を制御するものである。尚、この制御においては、複数の電動機を1つの電動機と仮想する。そして、当該仮想電動機を給電する電流、即ち、インバータ等から複数の電動機に流出する総電流を検出することによって、複数の電動機を制御している。そのため、仮想電動機の回転速度(より正確には仮想電動機の回転速度として想定される回転速度)を算出(想定)することは可能であるが、各電動機の回転速度の差を算出することができない。
したがって、仮想電動機の回転速度の変化に基づいて、仮想電動機の回転加速度を算出(想定)し、この回転加速度に基づいて車軸の空転あるいは滑走が検出・制御されている。
【0015】
しかしながら、各電動機の回転速度の差を算出(想定)せず、仮想電動機の回転加速度を算出(想定)して車軸の空転あるいは滑走を検出・制御する場合、各車軸等の微少な空転あるいは滑走が検出できず、また、複数の電動機に駆動される各車軸のうちの1つが空転あるいは滑走したことを直ちに検出することができなかった。したがって、空転・滑走が発生した場合に適切な再粘着制御を行うことができなかった。
【0016】
また、従来の他の方法としては、再粘着に要するトルクを直接推定せず、電動機の発生トルクを変動させながら、再粘着に適するトルクを探知する手法がある。しかしこの方法では、空転・滑走が発生した場合に、再粘着が迅速に行えないという問題があった。
【0017】
本発明の課題は、速度センサを用いずに、電動機が空転・滑走した場合の再粘着制御を適切に行うことである。
産業上の利用分野
本発明は、誘導電動機を動力とする電動機構における電動機制御装置およびその再粘着制御方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 給電ラインに複数並列に接続された誘導電動機を、ベクトル制御による給電によって一括して制御する電動機制御装置であって、
前記複数の誘導電動機それぞれに流入する電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段によって検出された電流の挙動に基づいて、前記複数の誘導電動機それぞれが空転あるいは滑走(以下特許請求の範囲において「空転滑走」という。)した時、直前あるいは直後の車軸とレールとの接線力に相当する負荷トルクを推定するトルク推定手段と、を備え、
前記電流の電流振幅の差、前記電流の位相差、前記電流の電流振幅の時間変化、前記電流の位相時間変化、前記電流の各電流ベクトルの変化及び前記電流の総電流ベクトルの変化の少なくとも1つに基づいて、前記複数の誘導電動機それぞれが駆動する駆動軸の空転滑走が発生したか否かを検出し、前駆動軸の空転滑走が発生したことを検出した場合に行う再粘着制御において、再粘着したと判定した後、前記トルク推定手段によって推定された負荷トルクに基づくトルク電流指令値を、前記ベクトル制御を行なうベクトル制御演算部に出力することにより、前記駆動軸の回転速度検出手段を設けることなく前記空転滑走前のトルク状態に復帰させる再粘着制御を行うことを特徴とする電動機制御装置。
産業区分
  • 鉄道
  • 発電、電動
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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