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酸化物超電導体及びその製造方法

国内特許コード P07A011948
整理番号 /NO32954
掲載日 2007年12月7日
出願番号 特願平11-061135
公開番号 特開2000-256082
登録番号 特許第3100370号
出願日 平成11年3月9日(1999.3.9)
公開日 平成12年9月19日(2000.9.19)
登録日 平成12年8月18日(2000.8.18)
発明者
  • 富田 優
  • 村上 雅人
出願人
  • 公益財団法人鉄道総合技術研究所
発明の名称 酸化物超電導体及びその製造方法
発明の概要 【課題】 熱歪等の内外力や腐食環境に影響されずに高い捕捉磁場の確保や長期にわたる性能維持が可能を酸化物超電導体及びその製造法を提供する。
【解決手段】 酸化物超電導体を、図3に例示する如く、「樹脂含浸層を有し、かつ線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する樹脂層で覆われた構成」とするか、「表層部に前記フィラ-材を分散して含有する樹脂の含浸層を有した構成」とするか、あるいは「前記フィラ-材を分散して含有する樹脂の含浸層を有し、かつ外表面が前記フィラ-材を分散して含有する樹脂層で覆われた構成」とする。なお、バルク体に適量のAgを添加しても良い。この酸化物超電導体は、減圧雰囲気下で液状樹脂やフィラ-入り液状樹脂とを接触させてこれらを浸透させたり、更にその外表面にフィラ-入り液状樹脂を塗布したりして作成し得る。
従来技術、競合技術の概要



近年、金属酸化物超電導材料の研究は著しい広がりを見せているが、これらの研究によって LiTi23, Ba(Bi,Pb)O3 ,(Ba,K) BiO3 等といった比較的臨界温度(Tc)の高い酸化物超電導材料が見出され、更に今日に至って従来の予想を超えるほどの高い臨界温度(Tc)を持つ(La,Sr)2CuO4 ,REBa2Cu37 (REは希土類元素),Bi2Sr2Ca2Cu310,Ti2Ba2Ca2Cu310,HgBa2Ca2 Cu38 等の銅酸化物超電導材料が次々と生み出されるに至っている。

ところで、超電導材料は常電導材料に比べて臨界電流密度が高いために大電流を損失なく流すことが可能であるが、このように大電流を流した場合には、超電導体に大きな電磁力が働くので材料強度によっては材料が破壊する場合が知られている。また、最近、溶融法によるバルク高温超電導体(特に銅酸化物超電導体)の特性向上と大型化に伴ってバルク体に捕捉できる磁場の大きさが飛躍的に向上し、5テスラを超える磁場が捕捉されるようにまでなっているが{「SuperconductorScience andTechnology」11 (1998), 第1345~1347頁}、このように捕捉磁場が増加するとそれに伴って材料にかかる電磁力も増大するため、最近では材料強度によって捕捉磁場が制限されてしまうといった事態に至っている。そのため、捕捉磁場を利用したバルク超電導磁石の性能向上のためには、捕捉磁場の更なる向上よりもむしろ材料の機械的特性向上が重要となってなっている{「PhysicaC」 Vol.7, No.9(1991), 第4989~4994頁}。

そこで、溶融法によるバルク酸化物超電導体の強化方法として、次の2つの方法が提案されている。1つは「材料へのAg添加」という手法であり、この方法を講じることによりバルク酸化物超電導体の機械的強度が著しく改善されるとされている{「JapaneseJournal of Applied Physics」Vol.70, No.9 (1991) の第4989~4994頁、 並びに「Superconductor Science and Technology 」11(1998), 第1345~1347頁}。他の1つは「バルク超電導材料の回りを金属リングで囲むことによって材料に予め“圧縮の歪”を付加しておく」という手法である{「Extened Abstract ofISTEC International Workshop」(1998),第 115~ 118頁}。なお、この方法によると、予付加の圧縮歪により磁場を捕捉させた時に生じる引張応力が緩和されるので材料の破壊が抑えられ、捕捉磁場が向上するとされている。

しかしながら、上記「Ag添加による強化」や「金属リングによる補強」といった方法は作業性やコストの面での更なる改善が望まれるものであり、また腐食性環境での長期使用によって強化性能が劣化するという問題も認められた。

そこで、本発明者等は、大きな電磁力や使用時の急激な昇温・冷却に伴う熱歪といった外力や内部応力に耐えると共に、腐食性環境にも悪影響を受けることがなく、長期にわたって高い捕捉磁場を発揮できる酸化物超電導体を容易かつ安価に提供する手立てを求めて研究を重ねたが、その過程で次の知見を得た。

a) 溶融法による酸化物超電導バルク体は疑似単結晶状態のセラミックスであるが、実際にはその製造過程において微小なクラックや気孔が内在されるのを防止することが困難である。特に、その表層部に微小クラックや気孔が内在されがちである。

b) そして、このような酸化物超電導バルク体に“大きな機械的衝撃力",“急激な温度変化による熱衝撃力",“大きな電磁気力”等が加わると、前記クラックや気孔に応力集中が起こり、このクラックや気孔を起点として比較的大きな割れに進展する。

c) また、長時間、湿気や炭酸ガスの多い腐食性雰囲気に曝されるような場合には、腐食によって酸化物超電導バルク体材料が劣化したり反応相が生成したりして新たな割れが生じ、これが比較的大きな割れに進展する。

d) 酸化物超電導体においては、上述のような比較的大きな割れが生じると、これが超電導電流の妨げとなるため捕捉磁場の大きな低下をもたらす。

e) ところが、一般に溶融法によって製造されるために材料密度が非常に高くて塗料等の内部浸透などが起こり得る筈がないと考えられがちであった“酸化物超電導バルク体”であっても、真空中における樹脂含浸等の手法を適用すると、表面に開口した微小クラック部だけでなく、これらを通して表層部全体に、更にはバルク内部にまでも樹脂が浸透し、表面の耐食性が著しく改善される上にバルク超電導材料そのものの機械的強度が飛躍的に向上するので、使用時の外力,内部応力あるいは腐食による割れの進展が極力抑えられ、長期にわたって高い捕捉磁場を維持することが可能になる。

f) しかも、樹脂含浸による酸化物超電導バルク体マトリックスの超電導特性の劣化は全く認められないため、この方法は、溶融法による酸化物超電導体の優れた超電導特性を維持したままで機械的特性,耐食性を向上するという極めて有利な手段である。

そして、本発明者等は、先に、上記知見事項等に基づいて、外力や内部応力による割れが少ない上に腐食性環境にも悪影響を受けることが殆どなく、長期にわたって高い捕捉磁場を発揮できる溶融法により製造された酸化物超電導体として「樹脂含浸層を有した酸化物超電導バルク体(例えば希土類元素を含む銅酸化物超電導バルク体)ら成る酸化物超電導体」を提案し、更に「減圧雰囲気下に保持した酸化物超電導バルク体と液状樹脂とを接触させて酸化物超電導バルク体に樹脂を含浸させることから成る上記酸化物超電導体の製造方法」に関する提案も行った(特願平10-361722号) 。

しかしながら、その後も続けられた本発明者等の検討・研究により、先の提案に係る前記“樹脂含浸層を有した溶融法による酸化物超電導体”にも次のような改善すべき点のあることが分かった。即ち、機械的衝撃や熱応力に対して従来材に比べ著しい耐割れ性を示す“樹脂含浸層を有した酸化物超電導体”であっても、使用の際に臨界温度以下にまで急冷した際、時として、冷却して間もない時間帯において樹脂含浸層に微小クラックが発生し、酸化物超電導バルク体の割れ防止や腐食防止という“樹脂含浸層を設けることによって得られると期待された効果”が十分に発揮されない事態が生じる場合のあることが明らかとなったのである。

このようなことから、本発明が目的としたのは、大きな電磁力に起因した機械的歪や使用時の急激な昇温・冷却に伴う熱歪等による割れ発生の危険性がより一層十分に解消され、通常環境であっても腐食性環境であっても長期にわたって高い捕捉磁場を発揮できる溶融法により製造された酸化物超電導体の容易かつ安価な提供手段を確立することである。

産業上の利用分野



この発明は、電磁力や熱歪等の内外力や腐食環境に影響されずに高い捕捉磁場の確保や長期にわたる性能維持が可能な酸化物超電導体、並びにその製造方法に関するものである。常電導材料に比べて臨界電流密度が高く、大電流を損失なく流すことが可能である超電導材料は、マグネットやエレクトロニクス応用において画期的性格を持つものとして注目を浴びており、近年、核融合実験装置,医療診断用超電導MRI,磁気浮上列車,発電機,エネルギ-貯蔵装置,脳磁計等への応用研究が盛んに行われるようになっている。

特許請求の範囲 【請求項1】
樹脂含浸層を有し、かつ外表面が線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する樹脂層で覆われた溶融法による酸化物超電導バルク体から成ることを特徴とする、酸化物超電導体。

【請求項2】
表層部に線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する樹脂の含浸層を有した溶融法による酸化物超電導バルク体から成ることを特徴とする、酸化物超電導体。

【請求項3】
表層部に線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する樹脂の含浸層を有し、かつ外表面が線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する樹脂層で覆われた溶融法による酸化物超電導バルク体から成ることを特徴とする、酸化物超電導体。

【請求項4】
樹脂がエポキシ系樹脂である、請求項1乃至3の何れかに記載の酸化物超電導体。

【請求項5】
フィラ-材が石英,炭酸カルシウム,アルミナ,水和アルミナ,ガラス,タルク及び焼石膏のうちの1種又は2種以上である、請求項1乃至4の何れかに記載の酸化物超電導体。

【請求項6】
減圧雰囲気下に保持した酸化物超電導バルク体と液状樹脂とを接触させて酸化物超電導バルク体に樹脂を含浸させた後、これに線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する液状樹脂を塗布することを特徴とする、請求項1,請求項4及び請求項5の何れかに記載の酸化物超電導体の製造方法。

【請求項7】
減圧雰囲気下に保持した酸化物超電導バルク体と線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する液状樹脂とを接触させて酸化物超電導バルク体に樹脂を含浸させることを特徴とする、請求項2乃至5の何れかに記載の酸化物超電導体の製造方法。

【請求項8】
減圧雰囲気下に保持した酸化物超電導バルク体と線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する液状樹脂とを接触させて酸化物超電導バルク体に樹脂を含浸させた後、これに線膨張係数の小さいフィラ-材を分散して含有する液状樹脂を塗布することを特徴とする、請求項2乃至5の何れかに記載の酸化物超電導体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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