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機能性酵素重合アミロース誘導体合成のための新規プライマー

国内特許コード P07A012160
整理番号 P04-016
掲載日 2007年12月21日
出願番号 特願2004-123063
公開番号 特開2005-306748
登録番号 特許第4774506号
出願日 平成16年4月19日(2004.4.19)
公開日 平成17年11月4日(2005.11.4)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発明者
  • 秋吉 一成
  • 森本 展行
出願人
  • 国立大学法人 東京医科歯科大学
発明の名称 機能性酵素重合アミロース誘導体合成のための新規プライマー
発明の概要

【課題】本発明は、新規なアミロース合成用プライマーを提供することを課題とする。特に、マルトペンタオースの還元末端を末端アミノ基又はヒドラジド基を有する化合物で修飾してえられる新規アミロース合成用プライマーを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明者は、そのラセン形成により疎水性分子を選択的に取り込む高分子ホストとして興味あるアミロースの合成プライマーとして、疎水性長鎖アルキル基やリン脂質にマルトペンタオース基を導入した両親媒性プライマーを合成した。また、両親媒性合成高分子-アミロースハイブリッドを得るための新規重合性プライマーの合成を行った。さらに、タンパク質アミロースハイブリッド体合成のためのチオール反応性プライマー、核酸とのハイブリッド体合成用のインターカレーター置換プライマーや塩基性高分子(ポリリジン、ポリアルギニンなど)置換プライマーを提供した。

従来技術、競合技術の概要


多糖には螺旋形成が可能なものがあり、その一つがアミロースである。アミロースはグルコース残基がα-1,4結合で結びついた直鎖状のものである。結晶状態では主にヘリックス構造を有しているA, B, Vなど種々の形態が知られている(非特許文献1、2)。水溶液中においては通常、アミロースは局所的に不規則な螺旋性を持つ可能性があるがほぼランダムコイル状であると言われている(非特許文献3~5)。しかし、アミロースの周りに疎水性分子が存在するとコンフォメーションが大きく変わり、アミロース主鎖はゲストの大きさに応じて6~8グルコース残基で一周の螺旋を巻きその疎水性分子を包接する。
このようにアミロースは高分子ホストとして期待される物質であるが、溶液中では老化と呼ばれる凝集や沈殿しやすい性質があり、これはアミロース分子間での二重螺旋形成によって螺旋表面の親水性領域が減少するためである(非特許文献6)。このときアミロース主鎖も歪みを伴って引き延ばされ、分子全体としてコンパクトな状態となり、螺旋内部に物質を取り込めるような空間がなくなってしまう。また、アミロースの包接複合体も沈殿しやすい性質がある。
ホスホリラーゼ (EC 2. 4. 1. 1) はα-1, 4-グルカン鎖を非還元末端から順次加リン酸分解してa-D-グルコース-1-リン酸 (G-1-P) をつくる酵素であるが(非特許文献7)、反応が可逆的であり、糖鎖中のグリコシド結合と分解生成物中のリン酸エステル結合が同程度のポテンシャルを有しているため、平衡の著しいかたよりはなく、G-1-Pから高分子量のα-1,4-グルカン鎖を合成することも可能である。動物臓器の中でホスホリラーゼの含量が高い筋肉と肝臓の細胞内ではG-1-Pの濃度に比べて無機オルトリン酸 (Pi) の濃度が高いので、この酵素は生理的にはグリコーゲン分解の方向に働いている。
動物ホスホリラーゼは二重の活性調節性(アロステリック調節とリン酸化・脱リン酸化による調節)を持つことで知られるが、ジャガイモやトウモロコシのような高等植物組織から精製されたホスホリラーゼは常に活性型として存在することから酵素合成に適していると言える。
一方、基質グルカンに対する特異性もホスホリラーゼの起源によって大きく異なる。ウサギ筋肉ホスホリラーゼはグリコーゲンやアミロペクチンのような枝分かれを持つα-グルカンを良い基質とするが、直鎖のアミロースにはうまく働かない。それに対してジャガイモのホスホリラーゼはアミロペクチン、アミロースなどをほぼ同程度の良い基質とするが、グリコーゲンに対する親和性は非常に低い。
ジャガイモホスホリラーゼを用いた酵素合成によってアミロースを得る手法は古くから用いられてきた。1954年、Whelanらはこの反応ですべてのプライマーで反応が同じ速度で進行することや、マルトテトラオースより長いプライマーを用いることによって反応が効果的に進行することを明らかにした(非特許文献8)。その後、得られるアミロースの分子量分布が非常に狭いことや、反応条件をうまく合わせることによって重合度を制御できるということも分かった。更にこの反応がアミロースの非還元末端側から合成が進行することから、1987年、Ziegastらはアミロースオリゴマーの還元末端側を修飾したものをプライマーに用いて種々のアミロース誘導体を合成した(非特許文献9)。その後、酵素合成の手法を用いた様々なアミロース誘導体が合成されている(非特許文献10~15)。
本発明者はアミロースの高分子ホストとしての機能を利用することを目的とし、ポリエチレンオキシド (PEO) とアミロースがA-B型に結合したPEO-アミロース の合成に成功した(非特許文献17、18)。PEOは両親媒性の高分子で、水及び種々の有機溶媒に可溶である。このため種々の合成高分子の基盤材料として用いられているほか、タンパク質の機能化にも用いられている。このPEO-アミロースは水溶液中での溶解性が向上し、クロロホルムなどの有機溶媒にも溶解することが明らかとなっている。PEGは両親媒性の高分子で、水および有機溶媒に可溶である。このPEGを有するPEG-アミロースは水溶液中での溶解性が向上し、クロロホルムなどの有機溶媒にも溶解することが明らかとなっている。またクロロホルム中にてアミロースを内核とするミセルを形成し、特異な包接挙動を示すことを明らかにしてきた(非特許文献16、17)。

【非特許文献1】Wu, H.-C. H.; Sarko, A. Carbohydr. Res. 1978, 61, 7-25.

【非特許文献2】Wu, H.-C. H.; Sarko, A. Carbohydr. Res. 1978, 61, 27-40.

【非特許文献3】Kitamura, S.; Yunokawa, H.; Kuge, T. Polym. J. (Tokyo) 1982, 14, 85-91.

【非特許文献4】Kitamura, S.; Yunokawa, H.; Mitsuie, S.; Kuge, T. Polym. J. (Tokyo) 1982, 14, 93-99.

【非特許文献5】Ebert, B.; Elmgren, H. Biopolymers 1984, 23, 2543-2557.

【非特許文献6】Immel, S.; Lichtenthaler, F. W. Starch/Staerke 2000, 52, 1-8.

【非特許文献7】福井俊郎; 中野憲一 化学と生物 1985, 23, 357-365.

【非特許文献8】Whelan, W. J.; Bailey, J. M. Biochem. J. 1954, 58, 560.

【非特許文献9】Ziegast, G.; Pfannemueller, B. Carbohydr. Res. 1987, 160, 185-204.

【非特許文献10】Braumuhl, V. v.; Jonas, G.; Stadler, R. Macromolecules 1995, 28, 17-24.

【非特許文献11】Enomoto, N.; Furukawa, S.; Ogasawara, Y.; Akano, H.; Kawamura, Y.; Yashima, E.; Okamoto, Y. Anal Chem. 1996, 68, 2798-2804.

【非特許文献12】Kobayashi, K.; Kamiya, S. Macromolecules 1996, 29, 8670-8676.

【非特許文献13】Loos, K.; Stadler, R. Macromolecules 1997, 30, 7641-7643.

【非特許文献14】Loos, K.; Braumuhl, V. v.; Stadler, R. Macromol. Rapid Commun 1997, 18, 927-938.

【非特許文献15】Kamiya, S.; Kobayashi, K. Macromol. Chem. Phys 1998, 199, 1589-1596.

【非特許文献16】Akiyoshi, K.; Kohara, M.; Ito, K.; Kitamura, S.; Sunamoto, J. Macromol. Rapid Commun. 1999, 20, 112-115.

【非特許文献17】K. Akiyoshi, N. Maruichi, M. Kohara, Shinichi Kitamura, Biomacromolecules, 3,280-83 (2002).

【非特許文献18】稲田祐二ほか タンパク質ハイブリッド 共立出版

産業上の利用分野


本発明は、アミロース合成用プライマーに関するものである。さらに詳しくは、マルトペンタオースの還元末端を末端アミノ基又はヒドラジド基を有する化合物で修飾してえられるアミロース合成用プライマーに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式2で表されるアミロース合成用プライマー;
式2
【化学式2】


(式中Rは、炭素数5~30のアルキル基)

【請求項2】
アルキル基がヘキサデシル基、ドデシル基、又はオクチル基である請求項1に記載のアミロース合成用プライマー。

【請求項3】
式3で表されるアミロース合成用プライマー;
式3
【化学式21】


(式中C(=O)R2、C(=O)R3は、炭素数10~30の脂肪酸残基)

【請求項4】
C(=O)R2及びC(=O)R3がパルミトイル基である請求項3に記載のアミロース合成用プライマー。

【請求項5】
式4で表される化合物;
式4
【化学式22】


(式中Aは炭素数1~10の脂肪族炭化水素基)

【請求項6】
Aがエチレン基である請求項5に記載の化合物。

【請求項7】
請求項5または6の化合物と、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、N-イソプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N-ビニルピロリドン、アクリルアミド、及び2-アミノエチルメタクリレートから選ばれるメタクロイル型モノマーとの共重合体。

【請求項8】
メタクロイル型モノマーが2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)である請求項7に記載の共重合体。

【請求項9】
請求項7または8に記載の共重合体からなるアミロース合成用プライマー。

【請求項10】
請求項1~9のいずれか一に記載のアミロース合成用プライマー、化合物、又は共重合体を用いた機能性酵素重合アミロースの製造方法。
産業区分
  • 有機化合物
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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