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ペニシリウム属に属する新規微生物

国内特許コード P07P005318
整理番号 IP275
掲載日 2007年12月21日
出願番号 特願2006-115315
公開番号 特開2007-282590
登録番号 特許第4876247号
出願日 平成18年4月19日(2006.4.19)
公開日 平成19年11月1日(2007.11.1)
登録日 平成23年12月9日(2011.12.9)
発明者
  • 藤井 克彦
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 ペニシリウム属に属する新規微生物
発明の概要

【課題】
柑橘類果皮、さのう、圧搾滓等の柑橘類廃棄物を効率良く分解することを可能とし、その廃棄物を減量する新規な方法を提供すること。
【解決手段】
ミカン果皮を分解することができる新規な微生物を用いると、上記柑橘類廃棄物を減量することができる。また、この新規微生物からペクチナーゼ及び/又はセルラーゼを製造することができる。このペニシリウム属(Penicillium属)に属する新規微生物を独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部に寄託した。寄託番号はNBRC101300である。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


日本における2003年度のミカンの生産量は1,147千トンに達する(2005年の経済産業省の報告)。生産されたミカンの一部は家庭内で消費されるが、その多くは工場に移送され、ミカン果実を利用した各種製品が製造されることになる。それら工場では、前記各種製品の製造に伴う多量の果皮、さのう、圧搾滓等のミカン廃棄物の処理が大きな問題となる。
この廃棄物の一般的な処理は焼却又は埋立による。前者の場合、重油などの燃料の消費などのコストがかかり、しかも環境の悪化を招きやすく、後者の場合、埋立用地を確保しにくい等の問題がある。従って、廃棄物処理量が少なくなれば、それだけ有利であり、廃棄物の減量が求められているところである。
また、前記ミカン以外に、例えば、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、八朔、すだち、ざぼん、柚子、かぼすなどの柑橘類を用いて工場で果汁飲料や缶詰等の各種製品を製造することができるが、その際にも上記と同じ問題が生じる。すなわち、柑橘類を用いる各種製品の製造に際し、果皮、圧搾滓等の廃棄物の処理が大きな問題となる。また、柑橘類を一定の基準で選果する際に、基準から外れた不良品が廃棄物となり、この処理も大きな問題である。



柑橘類廃棄物には多量の皮繊維質が存在するが、これらの有効利用法については実用化された例はまだない。特にミカン皮繊維質はセルロースおよびペクチン等から構成されているが、これらの有効利用法についても実用化された例はまだなく、各分野の研究者が実用化を目指した研究を継続している現状にある。
従来からの柑橘類廃棄物の処理の研究手法として、物理化学的な手法、及び、生物学的な手法を挙げることができる。
前記物理化学的な手法の研究例としては、例えば、硫酸溶液に浸したミカン果皮を加圧・加熱して加水分解する技術があり、ミカン果皮の分解によって生じる単糖類や少糖類をアルコール発酵の原料に用いることが目標である(非特許文献1)。この技術は(1)硫酸を用いる点、(2)高圧および高熱をかける点、(3)加熱に伴うメイラード反応で繊維質の一部が変性する点、(4)反応後にアルカリで中和する必要がある点、(5)そのアルカリも劇毒物であり、取扱いに慎重を要する点、(6)事故発生時には、酸・アルカリの漏洩による環境汚染の懸念がある点等の、問題点があり、実用化までには多くの解決しなければならない課題が残されている。
また、柑橘類廃棄物を炭化させ、その炭化物からセメント用混和剤を得る技術が報告されている(特許文献1)。



一方、生物学的な手法を用いる研究は、前記物理化学的な方法を用いる研究に較べて時間がかかる点で不利であるがあるが、高圧・高熱といった危険プロセスがなく、劇物も扱わないことから、環境に対して非常に優しい技術であり、極めて好ましい手法である。しかし、具体的に報告された研究例は数が少なく、例えば、柑橘類廃棄物を発酵処理し、有機肥料化する技術が知られている(特許文献2、特許文献3)。前者の技術は自然界に存在する微生物を利用するので、環境に対して非常に優しい技術であるといえるが、肥料を得るために極めて長い時間を必要とし、しかも、複雑な処理操作を必要とする不都合さがある。その点、後者の技術は、ミカン用酵母という特定の微生物を用いることにより、廃棄ミカンやミカンジュース製造残渣から有機質肥料を製造することができたのであるが、この技術は、廃棄ミカンやミカンジュース製造残渣を用いるに止まり、ミカン果皮を含めた柑橘類廃棄物を処理する技術ではない。
例えば柑橘類の果皮、特にミカン果皮には各種セルロースと各種ペクチンが共存しており、ミカン果皮の分解は従来の技術を単に用いれば解決されるというような単純ものではなく、今までに実用的な技術に関する報告はない。



なお、ペニシリウム属(Penicillium属)に属する微生物は抗生物質ペニシリンやカビチーズでも知られる有名な糸状菌であり、その糸状菌に関する研究の歴史も古いし、数十種にも及ぶ種(species)がこれまでに見つかっている。これらの中にはセルラーゼあるいはペクチナーゼといった酵素を生産するものも知られている。しかし、セルラーゼおよびペクチナーゼの両方を生産しており、両酵素を同時に生産するペニシリウム属(Penicillium属)に属する微生物はこれまで報告されていなかった。つまり、従来の菌株で柑橘類果皮からの酵素生産・廃棄物減量を行う場合、セルラーゼ生産菌とペクチナーゼ生産菌の両者を準備することが好ましいのであるが、両微生物の生育に適した培養条件を検討する必要があり、その適する培養条件が見つからないときには、それら微生物の培養自体を諦めざるを得ない場合がある等の困難な点がある。




【特許文献1】特開平10-287545号公報

【特許文献2】特開2002-96048号公報

【特許文献3】特開2005-239489号公報

【非特許文献1】Bioresource Technology 54,129-141.

産業上の利用分野


本発明はミカン果皮分解能を有するペニシリウム(Penicillium属)に属する新規微生物に関する。また、本発明はその微生物を用いる柑橘類廃棄物の減量方法に関する。さらに、本発明は、その微生物の培養液からペクチナーゼ及び/又はセルラーゼを製造する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
セルラーゼ活性およびペクチナーゼ活性を同時に併せ持ち、寄託番号はNBRC101300である、ミカン果皮分解能を有するペニシリウム(Penicillium属)に属する微生物。

【請求項2】
請求項1記載の微生物を用いて柑橘類廃棄物を分解することを特徴とする柑橘類廃棄物の減量方法。

【請求項3】
請求項1記載の微生物の培養物からペクチナーゼ及び/又はセルラーゼを得ることを特徴とするペクチナーゼ及び/又はセルラーゼの製造方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 食品
  • 処理操作
  • 廃棄物処理
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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