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落下水膜の振動抑制装置及び振動抑制方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P07A012470
整理番号 ID5100
掲載日 2007年12月28日
出願番号 特願2005-127850
公開番号 特開2006-307441
登録番号 特許第4182225号
出願日 平成17年4月26日(2005.4.26)
公開日 平成18年11月9日(2006.11.9)
登録日 平成20年9月12日(2008.9.12)
発明者
  • 佐藤 勇一
  • 長嶺 拓夫
  • 三浦 秀一
出願人
  • 学校法人埼玉大学
発明の名称 落下水膜の振動抑制装置及び振動抑制方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】落下水膜13の振動を安定して抑制できる落下水膜の振動抑制方法を提供する。
【解決手段】水膜13の落下位置に障害物20を配置したり、斜めの底板を配置して、水膜13の落下距離を不均一に設定し、水膜各点の落下終了位置での水平方向の変位に位相差を発生させて、水膜背後の閉空間の圧力変動を相殺する。水膜背後の閉空間の圧力変動を抑えることにより、水膜振動は抑制される。水膜13の水量が多い場合でも、また、落下水膜13に風などの外乱が加わった場合でも、安定して水膜振動を抑えることができる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


砂防ダムのような固定堰、あるいはゲートのような堰から水が膜状になって落下する場合、しばしば水膜振動が発生し、近隣の民家の障子や窓ガラスを振動させたり、ゲートそのものを振動させたりして問題となることがある。この水膜振動は、水膜背後空間の圧力変動が要因と考えられており、対策として、越流水膜をある幅で分割するスポイラー(水膜分離装置)を堰に設け、水膜背後と前方との圧力差を無くす方法が採られている。しかし、この方法を採用しても、水膜の厚さが厚い場合は、水が切れずに振動が発生する。



本発明の発明者等は、先に、落下水膜の挙動について解析し、スポイラーに代わる落下水膜振動の抑制方法について提案している(下記非特許文献1)。
落下水膜の挙動解析には、図9の実験装置を使用した。この装置は、上部水槽10と下部水槽11とを備えており、上部水槽10の底に開けた幅aN、長さ300 mmのスリット12から水が下部水槽11へ落下し、落下高さhの水膜13が形成される。また、上部水槽10と下部水槽11との間には、スリット12からbだけ離れて垂直に立つ背面板14と、水膜13の両側に垂直に立つアクリル製の側板15、16とを具備しており、水膜13、側板15、16、背面板14及び下部水槽11内の水によって閉空間が形成されている(但し、側板15、16及び背面板14と上部水槽10の底との間には僅かな隙間が存在する)。また、上部水槽10は、ポンプで汲み上げた下部水槽11の水を上部水槽10に供給する給水管17と、ハニカム状の整流板18とを備えており、この整流板18の作用で、上部水槽10のスリット12上の水は、水位dの静かな液面を形成する。



図10は、水膜振動が十分発達した状態での振動の一周期にわたる水膜形状と、閉空間内の圧力変動とを示している。(a)~(h)の各水膜の右側が閉空間である。また、振動する水膜の山の一つに注目し、その山の各瞬間での位置を三角印で示している。
この図から、水膜振動が上から下へ向かう進行波的であること、水膜下部ほど振幅が増加していること、また、重力によって加速されるため、水膜下部ほど流速が速くなり波長が長くなっていることが分かる。閉空間内の圧力は、水膜振動と同じ振動数で周期的に変動しており、図10(a)に示すように、水膜最下部が開空間側(左側)に変位したときに圧力は最高となり、図10(e)に示すように、閉空間側(右側)に変位したときに最低となる。また、この水膜最下部の変位が最大(最小)となる付近で閉空間圧力は急に増加あるいは減少している。



また、振動していない静止状態の水膜が振動を始める場合に、いくつかの異なる振動数の水膜振動が発生する(それぞれの振動数で水膜振動する各状態を「モード」と呼ぶことにする)。図11は、aN=3.1mm、h=620mm、d=250mmの場合に発生した(a)9.8Hzと(b)14.0Hzの二つの振動モードの水膜振動を示している。他の実験条件では1~4のモードが観察された。
実験条件を同じにしても複数のモードが現れる。振動発生直後の落下水膜には複数の振動モードが混在しているが、どのモードが選択されるかというメカニズムは分からないが、短時間(2~5秒程度)でいずれか一つのモードに落ち着く。ただ、複数のモードの中には、その条件により、発生し易いモードと発生し難いモードとが存在している。



ここで、各モードにおいて、流体が上部水槽10から落下して下部水槽11の水面に達するまでの落下時間をT、その水膜13の振動数をfとして、S=T×fを求めると、実験結果は、
S=(整数値K)+ (約1/4)
と表されることを示している。このSは、落下時間の間に、ある位置の水膜が何回振動するかを示している。複数の水膜振動におけるSが同じ場合は、それらの水膜に含まれる波の数は等しい。
以下、Sに含まれる整数値Kが1であるモードを1stモード、Kが2であるモードを2ndモード、・・・と呼ぶことにする。図12には、1stモード(a)、2ndモード(b)、3rdモード(c)、4thモード(d)及び5thモード(e)の各振動の形を示している。



これらの水膜振動は、図13(a)(実験装置(図9)の断面図)、図13(b)(図13(a)のA-A断面図)に示すように、水膜背後の閉空間を遮るバッフル板19を、下部水槽11の水面から、最低次モードの水膜振動の1/4波長に相当する位置に設けることで抑制できる(バッフル板19の位置は、図9にも点線で示している)。
これは、次のような理由による。
図14において、水膜の太線の領域は、落下水膜が閉空間の圧力に対して正の仕事をする領域を表し、水膜の細線の領域は、落下水膜が閉空間の圧力に対して負の仕事をする領域を表している。落下水膜中に含まれる1周期の波は、閉空間の圧力に対して、正の仕事をする領域と負の仕事をする領域との両方を含むから、正負の仕事がほぼ相殺される。従って、落下水膜に含まれるK個の波は、閉空間の圧力に大きな作用を及ぼさず、結果的に水面付近の1/4波長の水膜による仕事が、閉空間の圧力変動を生起し、水膜を振動させている。



これは、図15の観測結果からも確かめることができる。図15(a)は、静かに流れ落ちる水膜(O)の上部に開空間側より短時間だけ空気を送り(A)、その外乱に基づいて継続的な水膜振動を発生させたときの水膜形状を示しており、図15(b)は、このときに測定した、水膜背後の閉空間における大気圧との圧力差p(細線)と、水膜最下部の水面での変位ηh(太線)とを、横軸に時間を取って示している。pとηhとは高い相関を有しており、落下水膜背後の閉空間の圧力変動が、主に水膜最下部付近の変位によって齎されることを示している。
この水膜最下部付近の変位によって発生した圧力変動は、閉空間を介して水膜の上流側を揺する圧力の基となり、それによって発生した水膜の乱れが、水膜最下部付近の変位を助長し、水膜の乱れと閉空間の圧力変動とのフィードバックループが形成される。



これに対して、水面から1/4波長付近の高さにバッフル板19を取り付けた場合は、バッフル板19の下方で発生する圧力変動の影響がバッフル板19の上方に伝わり難くなる。その結果、フィードバックループが遮断され、水膜の乱れによる閉空間内の圧力変動が抑制され、水膜の振動が抑えられる。
また、下部水槽11の水面から最低次モードの振動の1/4波長位置にバッフル板19を取り付けた場合は、高次モードの振動の1/4波長位置が、すべてバッフル板19の下になるため、高次モードの振動で発生する圧力変動の影響もバッフル板19の上方には伝わらない。

【非特許文献1】佐藤勇一他「落下水膜の挙動に関する研究」日本機械学会機械力学・計測制御部門CD-ROM論文集(2004年9月)

産業上の利用分野


本発明は、堰やダム等から落下する水膜の振動を抑制する装置とその抑制方法に関し、特に、落下水膜の振動に起因する低周波音の発生を防止するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
水膜の背後に当該水膜の水膜振動によって圧力変動を受ける空間が形成される落下水膜の振動を抑制する振動抑制方法であって、
前記落下水膜が水膜の形状で落下を開始する水膜発生位置から水膜の形状での落下を終了する落下終了位置までの落下距離が、前記落下水膜の幅方向において不均一となるように、前記落下水膜の落下位置の一部に水膜の形状での落下を終了させる1または複数個の障害物を配置し、当該障害物が存在しないときに前記落下水膜に発生する水膜振動において、落下終了位置変位と逆位相の変位を発生する位置が、前記障害物による落下終了位置となるように設定することを特徴とする落下水膜の振動抑制方法。

【請求項2】
水膜の背後に当該水膜の水膜振動によって圧力変動を受ける空間が形成される落下水膜の振動を抑制する振動抑制方法であって、
前記落下水膜が水膜の形状で落下を開始する水膜発生位置から水膜の形状での落下を終了する落下終了位置までの落下距離が、前記落下水膜の幅方向において不均一となるように、前記落下水膜の落下位置に水膜の形状での落下を終了させる、前記幅方向に傾斜した傾斜面を配置し、当該傾斜面が存在しないときに前記落下水膜に発生する水膜振動において、前記空間に及ぼす圧力変動が打消し合う変位を発生する位置が、前記傾斜面による落下終了位置に含まれるように設定することを特徴とする落下水膜の振動抑制方法。

【請求項3】
水膜の背後に当該水膜の水膜振動によって圧力変動を受ける空間が形成される落下水膜の振動を抑制する振動抑制装置であって、
前記落下水膜が水膜の形状で落下を開始する水膜発生位置から水膜の形状での落下を終了する落下終了位置までの落下距離が、前記落下水膜の幅方向において不均一となるように、前記落下水膜の落下位置の一部に水膜の形状での落下を終了させる1または複数個の障害物を配置し、当該障害物が存在しないときに前記落下水膜に発生する水膜振動において、落下終了位置の変位と逆位相の変位を発生する位置が、前記障害物による落下終了位置となるように設定したことを特徴とする落下水膜の振動抑制装置。

【請求項4】
水膜の背後に当該水膜の水膜振動によって圧力変動を受ける空間が形成される落下水膜の振動を抑制する振動抑制装置であって、
前記落下水膜が水膜の形状で落下を開始する水膜発生位置から水膜の形状での落下を終了する落下終了位置までの落下距離が、前記落下水膜の幅方向において不均一となるように、前記落下水膜の落下位置に水膜の形状での落下を終了させる、前記幅方向に傾斜した傾斜面を配置し、当該傾斜面が存在しないときに前記落下水膜に発生する水膜振動において、前記空間に及ぼす圧力変動が打消し合う変位を発生する位置が、前記傾斜面による落下終了位置に含まれるように設定したことを特徴とする落下水膜の振動抑制装置。
産業区分
  • 土工
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 権利存続中
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