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適応フィルタ コモンズ

国内特許コード P07A012474
整理番号 ID5111
掲載日 2007年12月28日
出願番号 特願2005-218605
公開番号 特開2007-036791
登録番号 特許第4324676号
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
登録日 平成21年6月19日(2009.6.19)
発明者
  • 島村 徹也
  • 津田 雄亮
出願人
  • 学校法人埼玉大学
発明の名称 適応フィルタ コモンズ
発明の概要

【課題】誤差信号の平均自乗誤差を十分小さくすることができる適応フィルタを提供する。
【解決手段】入力信号が入力する第1のトランスバーサルフィルタ11と、第1のトランスバーサルフィルタと同一の次数を有し、第1のトランスバーサルフィルタと同一の入力信号xnが入力する第2のトランスバーサルフィルタ21と、第1のトランスバーサルフィルタの出力信号ynと所望信号dnとの差分enの低減を図るためのフィルタ係数を算出して、第1のトランスバーサルフィルタ及び第2のトランスバーサルフィルタのフィルタ係数を更新する係数調整部20とを備えており、第2のトランスバーサルフィルタの出力信号ypnがフィルタ出力として出力される。第2のトランスバーサルフィルタ21は、第1のトランスバーサルフィルタ11から得られた係数を利用して、再度フィルタリングを施すことにより、第1のトランスバーサルフィルタにおける誤差を小さくする。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


適応フィルタは、出力信号と目標にする信号(所望信号)との誤差が最小になるように適応処理を行うフィルタであり、通常、有限長インパルス応答(finite impulse response:FIR)フィルタが使用され、そのフィルタ係数が、適応アルゴリズムを用いて、入力信号が入力するごとに調整される。
図8は、適応フィルタの概念図を表している。適応フィルタ10は、離散時間nの入力信号xnに対し、フィルタ係数Cnを用いて積和演算を実行し、出力信号ynを出力する。出力信号ynが入力した加算器30は、所望信号dnと出力信号ynとの差分を表す誤差信号enを出力し、適応フィルタ10は、この誤差信号enが減少するように、フィルタ係数をCn+1に更新する。そして、このフィルタ係数Cn+1を用いて次の離散時間n+1の入力信号xn+1に対する積和演算が実行され、この手順が繰り返される。



図9は、適応フィルタの構成をブロック図で示している。この適応フィルタは、積和演算を行うトランスバーサルフィルタ回路11と、適応アルゴリズムによりトランスバーサルフィルタ回路11の係数を更新する係数調整部12とを備えており、トランスバーサルフィルタ回路11は、入力信号xnを遅延する複数の遅延素子13、14と、入力信号xn及び遅延した各入力信号xn-1、xn-2に対して係数調整部12が設定した係数c0(n)、c1(n)、c3(n)をそれぞれ乗算する乗算器15、16、17と、各乗算器15、16、17の出力を加算して出力信号ynを出力する加算器18とを備えている。



適応アルゴリズム(適応フィルタの係数調整アルゴリズム)としては、最も基本的な最小平均自乗(Least Mean Square:LMS)アルゴリズムが、従来から広く用いられている。このアルゴリズムでは、誤差信号enの平均自乗誤差E[(en2]を最小化するように係数の更新が行われる。



また、LMSアルゴリズムの係数ベクトルの収束条件を扱い易いものに改良した正規化LMSアルゴリズムも、近年、多く用いられている。
正規化LMSアルゴリズムを用いた適応処理は、数式で次のように記述できる。
入力信号は(数1)によりベクトルXnで表す。
【数式1】


Tは転置である。また、係数は(数2)によりベクトルCnで表す。
【数式2】


このとき、適応処理は、(数3)(数4)(数5)により記述される。
【数式3】


【数式4】


【数式5】


ここで、μは、正規化LMSアルゴリズムにおけるステップサイズパラメータであり、
0<μ<2 (数6)
のとき、係数ベクトルは収束する。この収束範囲は、LMSアルゴリズムにおける収束条件と違って、入力信号に依存しない。そのため、正規化LMSアルゴリズムは、LMSアルゴリズムに比べて扱い易い。この範囲内でμの値を大きく取れば時定数が低減し、係数ベクトルの収束速度が向上する。逆に、μの値を小さく取れば、時定数が増大し、係数ベクトルの収束速度が低下する。
また、βは、0による割り算を避けるために導入された小さな正の実数値であり、“安定化パラメータ”と呼ばれている。
なお、正規化LMSアルゴリズムについては、下記特許文献1あるいは下記非特許文献1に詳述されている。



こうした適応フィルタの係数を適応的に更新し、適応フィルタの出力を、適宜選定した所望信号に追随させることで、伝送路の自動等化、通信回線におけるエコーキャンセリング、雑音に埋もれた信号の検出、逆に信号に僅かに混入した雑音の検出、信号の予測等が可能になる。
例えば、図10は、適応フィルタ10を用いて通信路の自動等化を行うシステムのシミュレーションモデルを示している。ここで、Hnは通信路(未知システム)32のインパルス応答を示し、加算器31で加算されるvnは、伝送中の送信信号snに加わる付加雑音を示している。
このシステムでは、送信側と受信側とが擬似的に同じ信号系列を参照できるトレーニングモードにおいて、送信側は送信信号snを送信し、受信側は、その送信信号snと同じ信号を所望信号dnに用いて、受信信号を入力信号とする適応フィルタ10の出力信号ynが所望信号dnと一致するようにフィルタ係数を調整する。このシミュレーションモデルでは、送信信号snを遅延器33で遅延させて、所望信号dnとなる信号sn-Dを生成している。



また、図11は、適応フィルタ10を用いて未知システム32の同定を行うシステムのシミュレーションモデルを示している。このシステムでは、未知システム32及び適応フィルタ10に同一の入力信号xn(白色雑音)を入力し、未知システム32の出力信号に付加雑音vnが加えられた信号を所望信号dnとして、適応フィルタ10の出力信号ynが所望信号dnと一致するようにフィルタ係数を調整し、付加雑音vnを含む未知システム32を同定する。

【特許文献1】特開2004-64681号公報

【非特許文献1】池原雅章、島村徹也共著「マルチメディア信号処理 上」培風館、2004年1月20日発行、pp.182~207

産業上の利用分野


本発明は、適応フィルタに関し、特に、目標にする信号への追従性能を改善したものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
入力信号を遅延する複数の遅延素子と、入力信号及び各遅延素子からの出力信号の各々にフィルタ係数を乗算する複数の乗算器と、各乗算器の出力を加算する加算器とを備える第1のトランスバーサルフィルタと、
前記第1のトランスバーサルフィルタに入力する入力信号と同一の入力信号が入力し、前記入力信号を遅延する複数の遅延素子と、各遅延素子からの出力信号の各々にフィルタ係数を乗算する、前記第1のトランスバーサルフィルタと同数の乗算器と、各乗算器の出力を加算する加算器とを備える第2のトランスバーサルフィルタと、
前記第1のトランスバーサルフィルタの加算器からの出力信号と所望信号との差分を誤差信号として出力する加算手段と、
前記誤差信号の低減を図るための更新用のフィルタ係数を算出して、前記第1のトランスバーサルフィルタ及び第2のトランスバーサルフィルタの同一序列の各乗算器で乗算される前記フィルタ係数を同一の値のフィルタ係数更新する係数調整部と、
を有し、
前記係数調整部では、更新用の前記フィルタ係数を算出する際のステップサイズμが、
(1-μ)2<1
となるように設定され、前記第2のトランスバーサルフィルタの加算器からの出力信号フィルタ出力として出力されることを特徴とする適応フィルタ。

【請求項2】
請求項1に記載の適応フィルタであって、前記係数調整部が、正規化最小平均自乗アルゴリズムにより前記更新用のフィルタ係数を算出することを特徴とする適応フィルタ。
産業区分
  • 伝送回路空中線
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005218605thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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