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内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体の調整方法と、該コア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法 コモンズ

国内特許コード P07A012590
整理番号 K055P02-2
掲載日 2008年1月4日
出願番号 特願2006-307140
公開番号 特開2007-105873
登録番号 特許第4478959号
出願日 平成18年11月13日(2006.11.13)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
登録日 平成22年3月26日(2010.3.26)
発明者
  • 鳥本 司
  • 大谷 文章
  • 岩崎 健太郎
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体の調整方法と、該コア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法 コモンズ
発明の概要 【課題】 内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を構成要素とする構造体及びその調製方法を提供する。
【解決手段】 内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体1を構成要素とする構造体7であって、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体1が、ナノ微粒子からなるコアと、コアを空隙を介して覆う数ナノメーターから数十ナノメーターの径を有するシェルと、から成り、空隙が、コアの粒径を制御することにより所望の大きさに制御されている。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


多孔質材料は、触媒、吸着剤、界面活性剤等に広く利用されている。
多孔質材料は、一定形状の細孔を有した物質であり、細孔の径が2nm以下の多孔質材料はミクロ多孔体と呼ばれ、細孔の径が2~50nmの多孔質材料はメソ多孔体と呼ばれている。ミクロ多孔体は、例えば、ゼオライトが良く知られている。ゼオライトは、SiあるいはAl等の金属原子が酸素を介して結合した結晶体であり、一定形状の細孔を有しており、この細孔を利用して、例えば、重質油をガソリンに分解する接触分解触媒として、また、分岐アルカンは通さずに直鎖アルカンのみを通す分子ふるい吸着剤として利用されている。



さらに近年、より大きな空隙を有する多孔体、すなわち、メソ多孔体が、触媒機能の向上と、新しい機能実現のために提案され、シリカなどの金属酸化物からなるメソ多孔体の調製が盛んに研究されている。メソポーラスシリカに代表されるメソ多孔体は、これまで、界面活性剤のミセルや、無機あるいは有機ナノ粒子などの自己組織化有機分子集合体を鋳型として、このまわりに金属酸化物薄膜を形成させた後、鋳型を除去することにより調製されている。鋳型として用いる材料の大きさ、及び、その配列構造を制御することによってメソ多孔体の細孔構造を制御することができ、細孔がランダムに分散したメソ多孔体、細孔が規則的に配列したメソ多孔体、あるいは球状細孔が3次元規則配列したメソ多孔体など、数多く実現されている。
メソ多孔体は、原子レベルの規則性はないものの、メソスケールの空隙が規則的に配列したこれまでにみられない新しいタイプの結晶であり、今後、吸着・分離材(特定の分子を空隙に吸着し、分離する働きを持つ材料)や、触媒、界面活性剤などの工業材料として活用が期待される。また、空隙にさまざまな原子や分子の集合体を導入するなどして、新しいエレクトロニクスデバイス材料としての利用も可能にするなど、さまざまな分野での利用が大いに期待されている。



ところで、ナノ粒子とナノ粒子を包摂する細孔との間に形成される空隙の大きさは、触媒反応・材料合成などの化学反応空間、物質吸着あるいは物質包接場を特徴づける量として極めて重要である。
すなわち、制御された空隙をナノ粒子近傍に有する構造体、及びこの構造体を構成要素とする構造体は、従来の触媒に比べて極めて高効率な触媒となり得ること、触媒反応にあずかる化学種の選択性を付与できること、従来触媒が存在しなかった化学反応の触媒となり得ること、あるいは、ナノデバイスに必要なナノ物質を調製する土台として使用できることが予測できる。
例えば、酸化チタン等の光触媒は、光触媒表面で触媒反応が生起されるので、光触媒をナノ粒子に加工して表面積を増大させ、高効率の光触媒を実現しようとする研究が数多くなされている。しかしながらナノ粒子は、ファンデルワールス力によって凝集してしまうので、触媒反応にあずかる化学種が触媒ナノ粒子に吸着することができず、期待通りの効果が実現できない。すなわち、ナノ粒子近傍に制御された空隙が存在しないために高効率の光触媒を実現できない。
ナノ粒子近傍に空隙を設けることができれば、触媒反応にあずかる化学種が触媒ナノ粒子に吸着することができ、高効率の光触媒を実現できる。また、ナノ粒子近傍の空隙の寸法を制御する、すなわち制御された空隙をナノ粒子近傍に形成すれば、吸着できる分子種を制御できるから、触媒反応にあずかる化学種の選択性を付与できる。また、制御された空隙をナノ粒子近傍に有する構造体を構成要素とする構造体は、構造体の形状に基づく特定の分子種を配列させることができるから、従来触媒が存在しなかった化学反応の触媒となりえ、また、ナノデバイスに必要なナノ物質を調製する土台として使用できる。



従来、制御された空間をナノ粒子近傍に有する多孔質材料は、メソ多孔体と金属あるいは半導体のナノ粒子とを複合させたものである。
メソ多孔体内にナノ粒子を形成させる従来の方法は、メソ多孔体にナノ粒子の原料となる反応ガスを導入して反応・分解させ、メソ多孔体の細孔内にナノ粒子を成長させるものである。
しかしながら、この方法で作製したナノ粒子・メソ多孔体複合体では、ナノ粒子の粒径がメソ多孔体内の場所によって異なり、それ故、粒径を制御することは極めて困難である。このため、制御されたナノ空間をナノ粒子近傍に有する多孔質材料を調製するのは、従来技術によっては極めて困難である。



すなわち、制御されたナノ空間をナノ粒子近傍に有する構造体、及び、この構造体を構成単位とした構造体は、その有用性が予測されるにもかかわらず、従来の方法では調製することが困難であった。



【非特許文献1】
J.Electrochem.Soc.,145,1964-1968(1998)
【非特許文献2】
Chem.Lett.,379-380(1999)、J.Phys.Chem.B,105,6838-6845(2001)
【非特許文献3】
Science,270,1335-1338(1995)
【非特許文献4】
Langmuir,15,1853-1858(1999)
【非特許文献5】
J.Phys.Chem.B,103,8799-8803(1999)

産業上の利用分野


この発明は、触媒、電子デバイス材料等に用いられる、コア・シェル構造体の調整方法とコア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調整方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
光溶解する固体からなる粒子の粒径を制御してコアを形成し、
上記粒子表面と結合する元素と光溶解しない酸化物の成分元素を含む基とを含む化学物質で化学修飾して上記粒子表面に上記基を導入し、この基を加水分解して上記酸化物からなりかつ多数のマイクロ孔を有する被膜を形成し、この被膜をシェルとするコア・シェル構造体を形成し、
このコア・シェル構造体に光溶解液中で所望の粒径に対応する吸収端波長の光を照射し上記コアを光溶解して、コア・シェル構造体内部に制御された空隙を形成することを特徴とする、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体の調製方法。

【請求項2】
前記加水分解した後に、親水基または疎水基を有する化学物質を添加してさらに化学修飾することにより、水に可溶または有機溶媒に可溶に形成することを特徴とする、請求項1に記載の内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体の調製方法。

【請求項3】
前記光溶解する固体からなる粒子は、光吸収端を有する金属,金属酸化物,半導体または高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体の調製方法。

【請求項4】
前記光溶解する固体からなる粒子はCdS(硫化カドミウム)であり、
前記粒子表面と結合する元素はS(イオウ)元素であり、
前記光溶解しない酸化物の成分元素はSi(シリコン)であり、前記基はSiを含む(CH3 O)3 Si(トリメトキシシリル)基であり、
前記化学物質は(CH3 O)3 Si(CH2 3 SH(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)であり、
前記加水分解して形成する被膜はSiOx (シリコン酸化物,0<x)であることを特徴とする、請求項1に記載の内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体の調製方法。

【請求項5】
前記光溶解する固体からなる粒子はCdS(硫化カドミウム)であり、
前記粒子表面と結合する元素はS(イオウ)元素であり、
前記光溶解しない酸化物の成分元素はSi(シリコン)であり、前記基はSiを含む(CH3 O)3 Si(トリメトキシシリル)基であり、
前記化学物質は(CH3 O)3 Si(CH2 3 SH(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)であり、
前記親水基を有する化学物質は、カルボシキル基、4級アンモニウム基、アミノ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基等を有するアルキルシランであり、
前記疎水基を有する化学物質は、n-オクタデシルトリメトキシシランであることを特徴とする、請求項に記載の内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体の調製方法。

【請求項6】
請求項1~に記載のいずれかの方法で調製した内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を溶媒に分散し、この溶媒を徐々に蒸発させて上記コア・シェル構造体を自己組織化させ、このコア・シェル構造体を構成要素とする構造体を形成することを特徴とする、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法。

【請求項7】
請求項1~に記載のいずれかの方法で調製した内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を気・液界面に2次元膜として展開し、この2次元膜を圧縮して組織化させ、このコア・シェル構造体を構成要素とする構造体を形成することを特徴とする、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法。

【請求項8】
請求項1~に記載のいずれかの方法で調製した内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を、DNAをテンプレートとして配列し、このコア・シェル構造体を構成要素とする構造体を形成することを特徴とする、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法。

【請求項9】
光溶解する固体からなる粒子とこの粒子表面を覆う光溶解しないかつ多数のマイクロ孔を有する被膜とでコア・シェル構造体を形成し、このコア・シェル構造体を溶媒に分散し、この溶媒を徐々に蒸発させてコア・シェル構造体を自己組織化し、光溶解液中でこの自己組織化したコア・シェル構造体に上記粒子の所望の粒径に対応する吸収端波長の光を照射し上記コアを光溶解してコア・シェル構造体内部に制御された空隙を形成し、このコア・シェル構造体を構成要素とする構造体を形成することを特徴とする、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法。

【請求項10】
光溶解する固体からなる粒子とこの粒子表面を覆う光溶解しないかつ多数のマイクロ孔を有する被膜とでコア・シェル構造体を形成し、このコア・シェル構造体を気・液界面に2次元膜として展開し、この2次元膜を圧縮して自己組織化し、光溶解液中で上記2次元膜に上記粒子の所望の粒径に対応する吸収端波長の光を照射し上記コアを光溶解してコア・シェル構造体内部に制御された空隙を形成し、このコア・シェル構造体を構成要素とする構造体を形成することを特徴とする、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法。

【請求項11】
光溶解する固体からなる粒子とこの粒子表面を覆う光溶解しないかつ多数のマイクロ孔を有する被膜とでコア・シェル構造体を形成し、このコア・シェル構造体をDNAをテンプレートとして配列し、光溶解液中でこの配列したコア・シェル構造体に上記粒子の所望の粒径に対応する吸収端波長の光を照射し上記コアを光溶解してコア・シェル構造体内部に制御された空隙を形成し、このコア・シェル構造体を構成要素とする構造体を形成することを特徴とする、内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体を構成要素とする構造体の調製方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 光と制御 領域
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