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伝送回路一体型マイクロ波発生素子並びにマイクロ波検出方法、マイクロ波検出回路、マイクロ波検出素子及び伝送回路一体型マイクロ波検出素子

国内特許コード P07A012629
整理番号 K020P69
掲載日 2008年1月11日
出願番号 特願2006-069533
公開番号 特開2006-295908
登録番号 特許第4677589号
出願日 平成18年3月14日(2006.3.14)
公開日 平成18年10月26日(2006.10.26)
登録日 平成23年2月10日(2011.2.10)
優先権データ
  • 特願2005-080043 (2005.3.18) JP
発明者
  • 鈴木 義茂
  • 湯浅 新治
  • 福島 章雄
  • アーシュイン トラプルカール
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 伝送回路一体型マイクロ波発生素子並びにマイクロ波検出方法、マイクロ波検出回路、マイクロ波検出素子及び伝送回路一体型マイクロ波検出素子
発明の概要 【課題】電子回路のマイクロ波発生及びマイクロ波検出部分を、高能率化、小型化する。
【解決手段】マイクロ波発生素子Aは、下部電極1と、下部電極1上に島状に形成された磁気抵抗素子を形成する層3と、磁気抵抗素子を形成する層3の周囲を囲むように下部電極1上に形成された絶縁体7と、絶縁体7及び磁気抵抗素子を形成する層3上に形成された上部電極5と、を有している。磁気抵抗素子を形成する層3は、下部電極1側から順に磁化固定層3aと中間層3bと、磁化自由層3cと、を有している。磁化自由層3cは、電流によって共鳴振動を起こすことが必要であり、例えば、断面積の大きさで200nm角以下、膜厚において1から5nm程度の厚さであるのが好ましい。磁化固定層3aは、単一材料であれば、磁化自由層3cの10倍程度以上の厚さを必要とする。尚、磁化固定層3aとして、反強磁性結合を利用する磁性金属多層膜を用いることも可能である。
【選択図】図1A
従来技術、競合技術の概要


電子素子の高速化が進むにつれ、マイクロ波(1GHz帯以上の周波数)を用いた回路の集積化(小型化)、高能率化が重要な課題となっている。代表的なマイクロ波の発振源としては、ガン発振器がある。ガン発振器には、低電圧動作が出来る、発振スペクトルの純度が良い(希望する発振周波数と異なる周波数成分の割合が少ない)という利点があるものの、構造上小型化が難しいこと、発振効率が悪いこと(出力電力/入力電力で1%以下)などの欠点から、現在はトランジスタやピンダイオードなどの半導体素子による発振を逓倍して、高周波を得る方法が主流となってきている。



さらに、マイクロ波回路においては、発振器(又は検出器)の発振効率(検出効率)の向上だけでは不十分であり、周波数が上昇するほどマイクロ波の伝送回路(ストリップラインや同軸ケーブルによる回路)の大きさが小さくなることにより(周波数が高くなると波長が短くなるため)、伝送回路でのインピーダンス・ミスマッチによる減衰が大きな問題になっている。



これまでに、伝送回路との結合効率を良くするために、ガン発振子とストリップラインとをモジュール化した発振素子(特許文献1)や、半導体素子をマイクロ波伝送回路上に形成した発振器(非特許文献1:平面基板上に作製できるフリップチップ型ガンダイオード)などが提案されているが、発振効率の点では旧来の技術に比べ著しい向上は困難である。



以上のように、半導体素子によるマイクロ波発振器の大きな問題は、発振効率の低さと、発振器と伝送回路とのインピーダンス・ミスマッチにある。また、半導体発振素子による発振の場合は発振出力の周波数純度も改善すべき問題である。



近年、CPP-GMR(giant magneto-resistance:巨大磁気抵抗)素子において、電流による磁化反転が起こることが発見された。ここでCPP-GMR素子とは、面直型巨大磁気抵抗素子を意味し、磁化自由層/中間層/磁化固定層を持つ磁性多層膜を膜面に対し垂直方向に柱状に加工し、電流が膜面に対して垂直方向に流れる構造を持つ素子のことである。磁気抵抗とは、外部磁界を与えることにより、磁化自由層の磁化の方向が変化し、結果として素子の抵抗値が変化するという現象である。これまで、磁気抵抗素子において、抵抗を変化させるためには、外部磁化を与え磁化自由層の磁化の向きを変えることでしかなしえないと考えられていたので、電流のみにより磁化自由層の磁化の向きを変えることが出来るということは新規な発見であった。



この電流による磁化反転は、磁化自由層におけるスピンの共鳴振動によるものであり、共鳴の励起に伴いマイクロ波が発生していること、その周波数が外部磁場によって変化することが報告されている。非特許文献2では、Co/Cu/Coの3層からなるCPP-GMR素子に於けるマイクロ波の発生についての報告がなされている。この実験で得られたマイクロ波の発振周波数は10GHz程度から25GHz程度までであった。



電流注入磁化反転は、磁化自由層の磁化が単磁区化するような微小な断面積(たとえばCo/Cu/Co3層膜においては100nm×200nm以下の大きさ)が必要であることが報告されている。この反転は、磁化自由層の磁化が、電流を流すことによって生じるスピントルクによって共鳴振動を起こすことによって起こるものである。磁化反転に至らない電流の領域でも、磁化自由層ではスピントルクにより、マイクロ波の発振(おおむね10GHz程度)が起こっていることが報告されている。



この発振は、磁化自由層における電子スピンの集団運動によるものであるため、本質的にQ値(共鳴回路の共鳴の鋭さを表す指数)が高くなることが期待される。そのため、この共鳴振動をマイクロ波の発振源として、利用することが出来れば、今までのマイクロ波の発振源に比べて効率が高くなることが期待される。



次に、マイクロ波の検出における問題点を説明する。マイクロ波の検波には、通常、半導体ダイオードの二乗検波特性が用いられる。高効率に検波を行うためには、半導体内において、電子の運動の遅れが無いことが必要であり、このために移動度の高い半導体やピンダイオードなどが利用されている。電子のチャネル長を短くすること(素子を薄くすること)により高周波化することは可能であるが、そのような構造にすると接合容量の増大が避けられない。さらに、接合容量を小さくするために素子面積を小さくすると素子抵抗が増大し、伝送回路とのインピーダンス・ミスマッチにより感度が低下するという問題が起こる。



さらに、半導体ダイオードの二乗特性は温度に大きく依存するために、安定な感度を得ることが難しい。それ故、マイクロ波領域での半導体ダイオード検波における上記の問題(電子の運動の遅れ、接合容量およびインピーダンス-ミスマッチ)を解決した場合であっても、検波効率の特性は温度で限定されてしまうという問題が残る。



【特許文献1】
特開2000-353920(P2000-353920A)、名称:ガンダイオード発振器。
【非特許文献1】
フリップチップ型ガンダイオード、中川敦・渡辺健一、「フリップチップガンダイオード」応用物理、69巻、2号、(2000)182ページ。
【非特許文献2】
CPP-GMR素子に於ける直流電流によるマイクロ波の発振実験、S.I.Kiselev, J.C.Sankey, I.N.Krivorotov, N.C.Emley, R.J.Schoelkopf, R.A.Buhrman & D.C.Ralph, “Microwave oscillations of a nanomagnet driven by a spin-polarized current,” Nature vol.425, (2003) pp. 380.

産業上の利用分野


本発明は、マイクロ波を発生することが可能な素子マイクロ波を検出することが可能な素子、マイクロ波を検出する方法およびマイクロ波を検出する回路に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
強磁性多層膜磁気抵抗素子と、該強磁性多層膜磁気抵抗素子を挟むように設けられた下部ストリップラインおよび上部ストリップラインと、を有し、
前記強磁性多層膜磁気抵抗素子が前記下部ストリップラインと前記上部ストリップラインとの接続部に配置されていることを特徴とする伝送回路一体型マイクロ波発生素子。

【請求項2】
前記強磁性多層膜磁気抵抗素子がトンネル磁気抵抗素子であって、該トンネル磁気抵抗素子が、MgOトンネル障壁層、前記トンネル障壁層を挟んで形成された「強磁性体からなる磁化固定層」及び「強磁性体からなる磁化自由層」を有するトンネル磁気接合構造を備えることを特徴とする請求項1に記載の伝送回路一体型マイクロ波発生素子。

【請求項3】
前記MgOが、単結晶MgOx(001)あるいは(001)結晶面が優先配向した多結晶MgOx(但し、0<x<1)であることを特徴とする請求項2に記載の伝送回路一体型マイクロ波発生素子。

【請求項4】
(1)信号電極及び接地電極を有するマイクロ波伝送回路としてのストリップライン及び
(2)前記ストリップライン上に載置されたトンネル磁気抵抗素子
からなる伝送回路一体型マイクロ波発生素子であって、
前記トンネル磁気抵抗素子は、MgOトンネル障壁層、前記トンネル障壁層を挟んで形成された「強磁性体からなる磁化固定層」及び「強磁性体からなる磁化自由層」を有するトンネル磁気接合構造を備え、
前記信号電極又は前記接地電極のいずれか一方は、前記磁化固定層に接しており、他方は前記磁化自由層に接しており、
前記トンネル磁気抵抗素子は、100%以上のMR比を有し、
前記トンネル磁気抵抗素子は、50Ω~300Ωの抵抗値を有し、かつ
前記トンネル磁気抵抗素子は、その面内方向において200nm角以下の大きさを有する
ことを特徴とする伝送回路一体型マイクロ波発生素子。

【請求項5】
前記MgOが、単結晶MgOx(001)あるいは(001)結晶面が優先配向した多結晶MgOx(但し、0<x<1)であることを特徴とする請求項4に記載の伝送回路一体型マイクロ波発生素子。

【請求項6】
トンネル障壁層、前記トンネル障壁層を挟んで形成された「強磁性体からなる磁化固定層」及び「強磁性体からなる磁化自由層」からなるトンネル磁気接合構造にマイクロ波電流を注入する工程と、
前記工程により前記磁化自由層に発生する磁化の共鳴振動に基づいて、前記磁化自由層と前記磁化固定層との間に発生する電圧を検出する工程と
を有することを特徴とするマイクロ波検出方法。

【請求項7】
トンネル障壁層、前記トンネル障壁層を挟んで形成された「強磁性体からなる磁化固定層」及び「強磁性体からなる磁化自由層」からなるトンネル磁気接合構造と、
前記トンネル磁気接合構造にマイクロ波電流を注入する手段と、を有し、
前記マイクロ波電流の注入により前記磁化自由層に発生する磁化の共鳴振動に基づいて、前記磁化自由層と前記磁化固定層との間に発生する電圧を出力することを特徴とするマイクロ波検出回路。

【請求項8】
トンネル障壁層、前記トンネル障壁層を挟んで形成された「強磁性体からなる磁化固定層」及び「強磁性体からなる磁化自由層」からなるトンネル磁気接合構造を有し、マイクロ波電流が注入されると前記磁化自由層の磁化の共鳴振動が生じ、そのため前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に発生する電気信号を出力することを特徴とするマイクロ波検出素子。

【請求項9】
マイクロ波を検出するとき、前記トンネル磁気接合構造に外部磁場を印加するか、又は前記磁化固定層と前記磁化自由層との間に電流バイアスを印加することによって、検出するマイクロ波の周波数帯域を可変とすることを特徴とする請求項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項10】
前記トンネル障壁層が、MgOからなることを特徴とする請求項8または9に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項11】
前記MgOが、単結晶MgOx(001)あるいは(001)結晶面が優先配向した多結晶MgO(但し、0<x<1)であることを特徴とする請求項10に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項12】
前記磁化自由層の磁化ベクトルと前記磁化固定層の磁化ベクトルとが、これらの層に平行な平面に垂直な方向から見たとき、直交することを特徴とする請求項から11までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項13】
前記磁化自由層又は前記磁化固定層の磁化ベクトルが、この層に平行な平面に対して垂直な成分を持つことを特徴とする請求項から11までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項14】
前記磁化自由層の磁化ベクトルが、この層に平行な平面に対して45度の角度を成すことを特徴とする請求項から11までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項15】
前記磁化自由層がフェリ磁性体からなることを特徴とする請求項から14までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項16】
前記磁化自由層及び前記磁化固定層が反強磁性結合を利用する磁性金属多層膜からなることを特徴とする請求項から15までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項17】
前記トンネル磁気接合構造の抵抗値が10Ω~1kΩであることを特徴とする請求項から16までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項18】
前記トンネル磁気接合構造の抵抗値が50Ω~300Ωであることを特徴とする請求項から16までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項19】
前記トンネル磁気接合構造の大きさが、単磁区化が可能な大きさであることを特徴とする請求項から18までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項20】
前記トンネル磁気接合構造の大きさが、この接合構造を構成する層を平面と見たとき、
その面内方向において200nm角より小さく、かつ、面直方向において100nmより小さいことを特徴とする請求項から18までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項21】
前記トンネル磁気接合構造の大きさが、この接合構造を構成する層を平面と見たとき、その面内方向において100nm角より小さく、かつ、面直方向において100nmより小さいことを特徴とする請求項から18までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項22】
前記磁化自由層が、この層を平面と見たとき、面内方向においてその反磁界が略一様となる形状を持つことを特徴とする請求項から21までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項23】
前記磁化自由層が、この層を平面と見たとき、面内方向において円形、楕円形、正方形又は長方形の形状を持つことを特徴とする請求項から21までのいずれか1項に記載のマイクロ波検出素子。

【請求項24】
(1)信号電極と接地電極とを有するマイクロ波伝送回

(2)請求項から23までのいずれかに記載のマイクロ波検出素子
からなり、
前記マイクロ波検出素子は、前記電極より十分に小さく、そのため、マイクロ波検出素子を載置する前に比べ載置した後の前記マイクロ波伝送回路のインピーダンス変化率が1000分の1以下であり、
前記マイクロ波検出素子は、前記信号電極又は前記接地電極の一部の上に載置されており、
前記磁化固定層は前記信号電極又は前記接地電極の一方と接触しており、前記磁化自由層は他方と接触している、
ことを特徴とする伝送回路一体型マイクロ波検出素子。

【請求項25】
前記マイクロ波伝送回路がストリップラインであることを特徴とする請求項24に記載の伝送回路一体型マイクロ波検出素子。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノと物性 領域
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