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熱型赤外線検出器の製造方法

国内特許コード P07A013055
掲載日 2008年1月25日
出願番号 特願2002-319384
公開番号 特開2004-151054
登録番号 特許第3862080号
出願日 平成14年11月1日(2002.11.1)
公開日 平成16年5月27日(2004.5.27)
登録日 平成18年10月6日(2006.10.6)
発明者
  • 和田 英男
  • 小田 直樹
出願人
  • 防衛装備庁長官
発明の名称 熱型赤外線検出器の製造方法
発明の概要 【課題】高フレームレートの動作でも像流れを発生させず、且つ1/fノイズを増加させないことができる。
【解決手段】第四絶縁保護膜8cをエッチングして第五絶縁保護膜8dとし、ダイアフラム5の全体を薄くすることにより、ダイアフラム5の熱容量を低減し熱時定数を小さくして、高フレームレートで動作できるようにしている。また、ボロメータ用薄膜7がダイアフラム5の全面にわたって形成されている。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


従来、この種の一つの熱型赤外線検出器には、例えば、小田による特開2001-215151号公報に開示されたものがある。



この概要を、図12を参照して説明する。



この熱型赤外線検出器は受光部上に庇を有する。熱型赤外線検出素子は、基板1から空間的に隔てられた赤外線受光部としてダイアフラム構造を形成するダイアフラム5pと、このダイアフラム5pの梁部6pと、ダイアフラム5pの外周部から外側に張り出した庇12pとで構成されている。基板1上には赤外線反射膜2と第一絶縁保護膜3とが形成されている。ダイアフラム5pはサーミスターボロメータ用薄膜(以後、ボロメータ用薄膜と略称する)7pと電極部10pと更にそれらを取り囲む第二絶縁保護膜14aとにより構成され、庇12pがダイアフラム5pの外周部から外側に向かって張り出され、空間を隔てて梁部6pをおおっている。梁部6pは、金属配線9pとそれを取り囲む第三絶縁保護膜14bから成る。



ダイアフラム5pに表面側から入射した赤外線はダイアフラム5pの構成材料により受光されて吸収される。一部透過した赤外線は基板1上の赤外線反射膜2により反射され、ダイアフラム5pに再入射し、更に吸収される。このようにして吸収された赤外線は、受光部のダイアフラム5pを暖め、ボロメータ用薄膜7pの抵抗を変化させる。このボロメータ用薄膜7pにバイアス電流を印加することにより、赤外線受光量が電圧変化として信号により読み出される。



特開2001-215151号公報の技術を採用した例として、例えば下記のような、画素数が320×240、かつ画素ピッチが40μmの熱型赤外線アレイセンサがある。この熱型赤外線アレイセンサは、ボロメータ用薄膜7pとして厚さ100nmで抵抗温度係数-2%/Kの酸化バナジウム、ダイアフラム5pの絶縁保護膜14aとして厚さ500nmのシリコン窒化膜、ダイアフラム5p上の電極部10pとして厚さ100nmのTi、梁部6pの絶縁保護膜14bとして厚さ500nm、幅2.6μmで長さ86μmのシリコン窒化膜、梁部6pの金属配線9pとして厚さ100nm、幅1μmで長さ86μmのTi、及び、庇12pの絶縁保護膜として厚さ500nmのシリコン窒化膜、それぞれが用いられた。庇12pの開口率は90%で、梁の折り曲げ回数は2回強である。このような諸元の熱分離構造を有する熱型赤外線アレイセンサにおいて、熱容量は1.4×10-9J/K、熱コンダクタンスは8.2×10-8W/K、また熱時定数は15msそれぞれとなり、F/1光学系に対して温度分解能30mK弱の赤外画像を得ることができた。



また、別の一つの小田により開示された特開2001-153720号公報では、熱分離構造を有する熱型赤外線検出器において、最良の温度分解能を与える梁部の折り曲げ回数、例えば、梁長指数で表現したものを赤外線検出器の画素サイズの関数として導いている。



図13に示す熱型赤外線検出器で、これを説明する。画素31は、受光部であるダイアフラム32とそれを支える梁部33a,33bとセルコンタクト電極35a,35bとから成る。尚、梁部33a,33bには配線36a,36bそれぞれが存在し、ダイアフラム32はボロメータ用材料薄膜と電極と更にそれらを取り囲む保護膜とで構成されている。ダイアフラム32と梁部33a,33bとはスリット34a,34bそれぞれで空間的に隔てられている。また、ダイアフラム32は上記図12と同様に下部基板(図示されていない)から空間的に隔てられ宙に浮いている。



特開2001-153720号公報の技術を採用した例として、画素数が320×240で画素ピッチが25μmの熱型赤外線アレイセンサがある。このアレイセンサには、サーミスターボロメータ用薄膜として厚さ100nmで抵抗温度係数-2%/Kの酸化バナジウム、ダイアフラム32の絶縁保護膜として厚さ500nmのシリコン窒化膜、ダイアフラム32上の電極部として厚さ100nmのチタン合金、梁部33a,33bの絶縁保護膜として厚さ500nm、幅2μmで長さ32μmのシリコン窒化膜、及び梁部33a,33bの金属配線36a,36bとして厚さ100nm、幅1μmで長さ32μmのチタン合金、それぞれが用いられた。赤外線の受光部であるダイアフラム32の開口率は51%であり、またスリット34a,34bの幅は0.5μmである。梁の折曲げ回数の最適値は、この場合1.3回である。このような諸元の熱分離構造を有する熱型赤外線アレイセンサにおいて、熱容量は3.3×10-10J/K、熱コンダクタンスは8.5×10-8W/K、また熱時定数は3.9msのそれぞれとなり、F/1光学系に対して温度分解能100mKの赤外画像を得ることができた。



上述した特開2001-215151号公報と特開2001-153720号公報とを組み合わせることにより、最良の温度分解能を与える梁部の折曲げ回数又は梁長指数を有し、ダイアフラム外周部から外側方向に張り出した庇を有し、かつ、熱分離構造を有する高感度の熱型赤外線検出器を提案することができる。



その具体例として、前述の特開2001-153720号公報で例示した熱型赤外線検出器に開口率92%の庇を付けた場合について述べる。庇の絶縁保護膜として厚さ500nmのシリコン窒化膜を用いた。その結果、熱容量が5.2×10-10J/K、熱コンダクタンスが8.8×10-8W/K、および熱時定数が6ms、のそれぞれが得られ、F/1光学系に対して温度分解能60mKの赤外画像を得ることができた。



また、ハネウェル社の米国特許(USP)第6,046,485号明細書による非冷却赤外センサがある。図14(a)の平面図に示すように、このような熱分離構造を有する非冷却赤外センサの画素60は、赤外線吸収部65と外周のボロメータ部56,58とから成る受光部と、セルコンタクト電極42,44を含むコンタクト部と、上記受光部及びコンタクト部を電気的・機械的に接続する梁部46,48とで構成されている。尚、接続点52,54が、受光部と梁部とを結合する。図14(b)に示される図14(a)のS-S断面図から分かるように、受光部(56,58,65)は梁部46,48によって基板から宙に浮かせられ、熱分離構造が形成されている。



この米国特許では、受光部において外周のボロメータ部56,58を取り囲む保護膜64の厚さをそのままにして赤外線吸収部65だけ薄くすることにより、受光部(56,58,65)の熱容量を小さくして熱時定数を小さくするという工夫をしている。このことにより、熱分離構造を有する高フレームレートの非冷却赤外センサが実現できていた。



【特許文献1】
特開2001-215151号公報



【特許文献2】
特開2001-153720号公報



【特許文献3】
米国特許第6,046,485号明細書

産業上の利用分野


本発明は、熱分離構造を有する熱型赤外線検出器の製造方法に関し、特に、高フレームレートの動作でも像流れの発生を回避し、且つ1/fノイズの増加を抑圧することができる熱型赤外線検出器の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
各画素領域毎の赤外線反射膜を表面に有する基板と、前記表面から空洞部を隔てて配置され、各画素毎に設けられ、入射する赤外線を受け、受けた赤外線を吸収して発熱することにより赤外線の入射を検出する薄膜状の赤外線検出部と、当該赤外線検出部との相互間に隙間を設け、かつ前記赤外線検出部を前記基板から空洞部を隔てて支持する梁部と、導電性材料により所定個所を電気的に接続する電極及び配線とで熱分離構造を形成する熱型赤外線検出器の製造方法であって、
コンタクトパッドを有し、当該コンタクトパッド側の表面で前記赤外線検出部に対応する部分に形成された前記赤外線反射膜を含む全表面に第一絶縁保護膜を形成した前記基板を準備する工程と、
前記基板の前記コンタクトパッド側の表面部分に、前記空洞部のための第一犠牲層を形成する工程と、
前記第一犠牲層の表面に第二絶縁保護膜を形成する工程と、
前記第二絶縁保護膜の、前記赤外線検出部に対応する部分の表面に熱検出材料薄膜を形成する工程と、
前記熱検出材料薄膜の電極部に対応する部分を除き前記第二絶縁保護膜の表面露出部分の全面に、前記第三絶縁保護膜を形成する工程と、
前記第一、第二、第三絶縁保護膜で、前記コンタクトパッドに対応する部分と前記熱検出材料薄膜上における前記電極に対応する部分とのそれぞれに開口部を形成して金属配線する工程と、
前記第三絶縁保護膜が露出するように金属膜をパターニングして前記赤外線検出部の前記電極と前記梁部の金属配線とを形成する工程と、
前記金属配線及び前記第三絶縁保護膜の表面に、第四絶縁保護膜を形成する工程と、
前記第一犠牲層が露出するように前記第二、第三、第四絶縁保護膜をパターニングして、赤外線検出部と梁部との間隙の第一スリットと各画素の境界となる境界スリットとを形成する工程と、
前記赤外線検出部上の前記第四絶縁保護膜だけをエッチングにより薄くして第五絶縁保護膜に形成する工程と、
前記赤外線検出部の前記第五絶縁保護膜上で、前記赤外線検出部の前記梁部と隙間を隔てる外周部から赤外線入射面側で相互間に空間を隔てて前記梁部を覆う庇の端部となる領域を除いてエッチストップ用金属薄膜を形成する工程と、
前記第四絶縁保護膜の表面で、前記第一犠牲層の露出面を有する前記第一スリット及び前記境界スリットと、前記梁部と前記庇との間の空間と、前記基板の前記コンタクトパッドと前記庇との間の空間とを形成するための第二犠牲層を形成する工程と、
前記第二犠牲層、前記第五絶縁保護膜の露出面、および前記エッチストップ用金属薄膜の露出面に、前記庇を形成するための庇用絶縁保護膜を形成する工程と、
前記庇用絶縁保護膜のうち、前記庇の付け根を除く赤外線検出部上の前記庇用絶縁保護膜をエッチングして、前記エッチストップ用金属薄膜を露出させる工程と、
前記エッチストップ用金属薄膜をエッチング除去して第五絶縁保護膜を露出させる工程と、
前記第二犠牲層の一部が露出するように、前記庇用絶縁保護膜をパターニングして第二スリットを形成する工程と、
前記第二スリットと前記第一スリット及び境界スリットとを介して、前記第二犠牲層及び前記第一犠牲層を除去する工程と
を有する熱型赤外線検出器の製造方法。

【請求項2】
請求項において、前記エッチストップ用金属薄膜をエッチング除去して第五絶縁保護膜を露出させる工程に続いて、前記庇用絶縁保護膜と前記第五絶縁保護膜との表面に金属薄膜の赤外線吸収膜を形成する工程を加え、次の工程を、前記第二犠牲層の一部が露出するように、前記庇用絶縁保護膜に加えて前記赤外線吸収膜をもパターニングして第二スリットを形成する工程とすることを特徴とする熱型赤外線検出器の製造方法。

【請求項3】
請求項において、前記庇用絶縁保護膜と前記第二、第三、第五絶縁保護膜とに赤外線吸収材質のものを用いることを特徴とする熱型赤外線検出器の製造方法。

【請求項4】
各画素領域毎の赤外線反射膜を表面に有する基板と、前記表面から空洞部を隔てて配置され、各画素毎に設けられ、入射する赤外線を受け、受けた赤外線を吸収して発熱することにより赤外線の入射を検出する薄膜状の赤外線検出部と、当該赤外線検出部との相互間に隙間を設け、かつ前記赤外線検出部を前記基板から空洞部を隔てて支持する梁部と、導電性材料により所定個所を電気的に接続する電極及び配線とで熱分離構造を形成する熱型赤外線検出器の製造方法であって、
コンタクトパッドを有し、当該コンタクトパッド側の表面で前記赤外線検出部に対応する部分に形成された前記赤外線反射膜を含む全表面に第一絶縁保護膜を形成した前記基板を準備する工程と、
前記基板の前記コンタクトパッド側の表面部分に、前記空洞部のための第一犠牲層を形成する工程と、
前記第一犠牲層の表面に第二絶縁保護膜を形成する工程と、
前記第二絶縁保護膜の、前記赤外線検出部に対応する部分の表面に熱検出材料薄膜を形成する工程と、
前記熱検出材料薄膜部分を除き前記第二絶縁保護膜の表面露出部分の全面に、前記第三絶縁保護膜を形成する工程と、
前記第一、第二、第三絶縁保護膜で、前記コンタクトパッドに対応する部分と前記熱検出材料薄膜上における前記電極に対応する部分とのそれぞれに開口部を形成して金属配線する工程と、
前記第三絶縁保護膜が露出するように金属膜をパターニングして前記赤外線検出部の前記電極と前記梁部の金属配線とを形成する工程と、
前記金属配線及び前記第三絶縁保護膜の表面に、第四絶縁保護膜を形成する工程と、
前記第一犠牲層が露出するように前記第二、第三、第四絶縁保護膜をパターニングして、赤外線検出部と梁部との間隙の第一スリットと各画素の境界となる境界スリットとを形成する工程と、
前記赤外線検出部上の前記第四絶縁保護膜だけをエッチングにより薄くして第五絶縁保護膜に形成する工程と、
前記第四絶縁保護膜の表面で、前記第一犠牲層の露出面を有する前記第一スリット及び前記境界スリットと、前記梁部と該梁部の赤外線入射側を覆う庇との間の空間と、前記基板の前記コンタクトパッドと前記庇との間の空間とを形成するための第二犠牲層を形成する工程と、
前記第二犠牲層で前記境界スリットに対応する部分を除いた表面と前記第五絶縁保護膜の露出面とに赤外線吸収膜を形成する工程と、
前記境界スリットに対応する部分の前記第二犠牲層露出面と前記赤外線吸収膜との全面に前記庇を形成するための庇用絶縁保護膜を形成する工程と、
前記第二犠牲層の前記境界スリットに対応する部分が露出するように、前記庇用絶縁保護膜をパターニングして第二スリットを形成する工程と、
前記第二スリットと前記第一スリット及び境界スリットとを介して、前記第二犠牲層及び前記第一犠牲層を除去する工程と
を有する熱型赤外線検出器の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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