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バイオ分子素子、バイオセンサー分子の支持体となる脂肪酸と脂質の積層分子薄膜およびその製造方法 新技術説明会

国内特許コード P07A013082
掲載日 2008年2月8日
出願番号 特願2006-080442
公開番号 特開2007-254347
登録番号 特許第5162748号
出願日 平成18年3月23日(2006.3.23)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
登録日 平成24年12月28日(2012.12.28)
発明者
  • 辻内 裕
出願人
  • 国立大学法人秋田大学
発明の名称 バイオ分子素子、バイオセンサー分子の支持体となる脂肪酸と脂質の積層分子薄膜およびその製造方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】本発明は、従来法の困難な問題に取り組み、バイオ分子素子、バイオセンサーとしての膜蛋白質等分子が生体中と同等に機能可能な、分子の支持体となる柔軟かつ強度の高い有機薄膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、無機基板上に形成した第一種薄膜層である脂肪酸分子の層の上に脂質分子の層を形成することによって、バイオ分子素子、バイオセンサー分子の支持体となる有機薄膜の作製するものである。また、脂肪酸分子の選択と組み合わせによって特徴的なパターン構造をもった薄膜構造を得ることができる。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


生物は外界に存在する千差万別の物質を分子レベルで感受して挙動している。この高度の機能は外界に接している膜蛋白質で起きる物理化学反応過程で始まる。よってこのような反応過程を人工系のインターフェースに接続することができれば利用できることになるが、膜蛋白質の機能発現にはその分子を取り巻く他の分子環境が大きく関わっており、容易ではない。



膜蛋白質の機能発現に関わる分子環境には、主に脂質が存在している。
脂質にはフォスファチジルコリンに見られるような疎水性の炭化水素鎖が二本と親水性のリン酸基に分かれた分子構造をもち、これが二分子で逆さまに向かい合うようにして炭化水素鎖を一個の膜蛋白質分子の疎水性領域を包む形で多数の数十個~100個の脂質分子に膜蛋白質は取り囲まれて、脂質二重層という細胞膜によくみられる膜空間構造の中で機能している。



この脂質分子特有の自己組織化能によってカプセル様の構造として安定化しリポソームといわれる球状構造にまでなる性質が平面的な人工膜として作製しようとするとき困難となる原因になっている。



従来からこの問題に多くの解決策を講じられてきた。とくに1980年代にIkonenらによって光駆動プロトンポンプである膜蛋白質バクテリオロドプシンを含む紫膜とリン脂質SoyaPC(Soya豆に含まれるフォスファチジルコリン)のへキサン混合溶液を水溶液上に展開して基板に移し取るラングミュア・ブロジェット法による膜作製の試みがなされている(非特許文献を参照)。



前記に紹介したラングミュア・ブロジェット法を応用した脂質膜の作製には従来より様々な試みがあったが、脂質の平面的人工膜化の問題の解決策には大きな発展は起きていない。前記のIkonenらの方法でも、膜構造の一様性が低く100回以上の累積によってできた紫膜をもって、例えば、光反応特性等の研究に用いられただけである。



またこうした累積による特異的な光反応をもった分子として膜構造中に存在し機能させる利用法は光メモリー等が考えられるものである。閉鎖系としての膜構造である限り、膜が独立しており、他のデバイスとの連続的な物質輸送、エネルギー変換には不向きである。溶媒の膨潤と蒸発の過程をうまく利用して作製される脂質分子の平面膜は閉鎖系ではなく開放系であるが、脂質分子の疎水性相互作用による分子の横の結合で維持された膜構造であり強度の点で問題があり、時間的にも空間的にも連続的な物質輸送のデバイスには不向きである。



このように従来の方法により作製される膜構造にはイオン輸送等の機能をもったバイオ分子素子やバイオセンサー分子の導入には構造、強度等の面から困難な点が多い。



したがって、脂質分子の平面構造の形成と同時にイオン物質の連続輸送が可能な柔軟な構造的特徴と強度を兼ね備えた薄膜とその作製方法の考案が必要である。



その他、近年の新種の方法には、民谷らが開発した微小孔を覆って脂質を平面膜状化する方法がある。これは小孔が形成された基板上に薄膜形成材料としての脂質等分子を有機溶媒に溶解して供給して溶媒の膨潤と蒸発の過程をうまく利用して脂質分子の平面膜を得るものである(特許文献1を参照)。この方法では平面膜の作製は一定条件で正確に行えるなどの特徴がある方法である。

【特許文献1】特開2005-245331号公報

【非特許文献1】Marjo Ikonen, Jouko Peltonen, Elina Vuorimaa and Helge Lemmetyinen: " Study of photocycle and spectral properties of bacteriorhodopsin in Langmuir - Blodgett films". Thin Solid Films 213 (1992) 277-284.

産業上の利用分野


本発明は、イオンや分子など種々の化学種に特異的に反応する膜蛋白質や特異的な光反応や光駆動イオンポンプなどの働きをする膜蛋白質の機能発現を人工薄膜系で実現するための有機薄膜に関するものであり、さらには、かかる薄膜の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
脂肪酸及び脂質の分子薄膜の積層体を含む薄膜であって、
前記脂肪酸からなる第一種層と前記脂質からなる第二種層とを備え、
前記第一種層が基板上に形成され、前記第二種層が前記第一種層上に形成されている、薄膜。

【請求項2】
前記脂肪酸が、イオノン環を有する脂肪酸、又は、イオノン環を有する脂肪酸及びアルキン酸である、請求項1に記載の薄膜。

【請求項3】
前記イオノン環を有する脂肪酸がレチノイン酸である、請求項2に記載の薄膜。

【請求項4】
前記脂質がリン脂質である、請求項1に記載の薄膜。

【請求項5】
前記リン脂質が、ジミリストイルフォスファチジルコリン、又は、ジパルミトイルフォスファチジルコリンである、請求項4に記載の薄膜。

【請求項6】
前記第一種層が3層である、請求項1~5のいずれかに記載の薄膜。

【請求項7】
前記第二種層が2層である、請求項1~6のいずれかに記載の薄膜。

【請求項8】
前記脂肪酸がレチノイン酸であり、前記薄膜の表面が幅200nm前後の一様な曲面状の凸面の集合体で構成されている、請求項1~7のいずれかに記載の薄膜。

【請求項9】
膜蛋白質を導入したときに該膜蛋白質が前記第二種層中で安定化して機能発現する、請求項7に記載の薄膜。

【請求項10】
脂肪酸及び脂質の分子薄膜の積層体を含む有機薄膜の製造方法であって、
基板上に一層又は複数層の前記脂肪酸の分子薄膜を形成する工程と、
溶媒及び前記脂質を含む懸濁液に超音波を印加して前記脂質を分散させ、垂直浸漬法によって前記基板上に形成された前記脂肪酸の分子薄膜上に前記脂質の分子薄膜を接合させる工程と、
を備える、有機薄膜の製造方法。

【請求項11】
記脂質を分散させる溶媒として有機溶媒を用いることを特徴とする請求項10記載の有機薄膜の製造方法。

【請求項12】
前記有機溶媒として沸点が40℃~70℃の範囲にある有機溶媒を用いることを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜の製造方法。

【請求項13】
前記有機溶媒としてヘキサンを用いることを特徴とする請求項12に記載の有機薄膜の製造方法。

【請求項14】
前記懸濁液に膜蛋白質分混合することにより最上段に前記脂質分子及び前記膜蛋白質分子、その下部に前記脂肪酸の構成の有機薄膜を得ることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一つに記載の有機薄膜の製造方法。

【請求項15】
前記垂直浸漬法とはラングミュアーブロジェット法にって前記基板上前記有機薄膜累積形成されることである請求項10記載の有機薄膜の製造方法。
産業区分
  • 有機化合物
  • 微生物工業
  • 液体燃料・油脂
  • 塗料・接着剤
  • 治療衛生
  • 省エネルギー
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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