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断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの評価方法及び評価装置

国内特許コード P07A013099
整理番号 A0200118
掲載日 2008年2月15日
出願番号 特願2005-245021
公開番号 特開2007-060440
登録番号 特許第4081552号
出願日 平成17年8月25日(2005.8.25)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
登録日 平成20年2月22日(2008.2.22)
発明者
  • 計 宇 生
出願人
  • 情報・システム研究機構
発明の名称 断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの評価方法及び評価装置
発明の概要 【課題】本発明は、自己相似指数が時間スケールによって変化する長期依存性通信トラヒックにおいても、適正な評価ができる評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 通信トラヒックに関する分散-時間スケールの関係を複数の自己相似性に係る直線の断片で近似し、時間スケール区間毎に異なる自己相似過程を採用する断片的自己相似過程を用いることにより、待ち行列(バッファ)を有する通信網において、待ち行列長がxより大きくなる確率Pr(Q>x)を算出し、通信トラヒックの待ち時間に係る品質を評価する。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要 【背景技術】一般に、定常増分を有する確率過程X(t)(t:時間)の自己相関関数がr(k)であり、(式1)のような条件を満足する場合、X(t)が2次の自己相似性を有するという。
【数1】ここに、Hは自己相関関数のkに対する減衰の速さを特徴付ける量(0.5≦H<1)で自己相似指数という(ハーストパラメータともいう)。また、tが離散値の場合、連続したm個のX(t)の平均
【数2】を考えると、2次の自己相似性は(式3)のようにも表される。
【数3】ここにσはX(t)の分散である。2次の自己相似性や長期依存性は、mに対するX(m)(k)の分散値の変化(分散-時間特性)などで確認することができる。X(t)が厳密な2次の自己相似性を有する場合、(式3)により、対数座標上ではX(m)(k)の分散の値がmに対して勾配が-2(1-H)の直線になる。確率過程X(t)がFractional Brownian Motion(FBM)確率過程であるとき、3つの特徴量{平均到着率λ,分散係数a、自己相似指数H}で記述できる。X(t)をサービス率(通信網では回線帯域または回線容量に相当する)Cの待ち行列への入力であるとしたとき、待ち行列長の補分布(すなわち、待ち行列長Qが一定の長さxを超える確率)は(式4)によって与えられる。
【数4】ただしここでは、
【数5】であり、~はxが非常に長くなるときの漸近的な値であることを表す。
【数6】(式4)を用いて、待ち行列長Qがxを超える確率を導出でき、トラヒックの性能を評価できる。図1に観測トラヒックサンプルデータの分散-時間特性の例を示す。縦軸はX(m)(k)の分散、横軸は時間スケールmである。ここで、X(m)(k)は、(式2)に示すように、k番目の、連続したm個の単位時間m×Δt内に到着した通信トラヒックのビット数の単位時間Δt当たりの平均値である。したがって、mの値はミリ秒を単位とする時間スケールとして見ることができる。図中、AはSINETデータ、BはAbileneデータである。Δtは、SINETデータでは1ミリ秒、Abileneデータでは0.1ミリ秒とした。これらについてはそれぞれ第1、第2の実施の形態で説明する。図1によれば、データの分散特性の時間スケールに対する減衰の速さは一定でなく、mの小さい領域においては減衰が比較的速く、ポアソン特性(長期依存性がなく、指数分布データの自己相似指数が0.5である)に近い。これに対して、比較的長い時間スケール(mの大きい領域)においては、分散の減衰が緩やかになり(自己相似指数が1に近づく)、変動が長く持続されることを示している。このことから、インターネットのトラヒックは長期依存性を有していることが分かる。また、インターネットのトラヒックは多くの場合、分散や自己相関関数のような2次特性が時間スケールにより異なる挙動を示しており、このような特性を従来の有力な解析手段である、Fractional Brownian Motion(FBM)確率過程の3つの特徴量{平均到着率λ,分散係数a、自己相似指数H}で記述することは不可能である。発明者達は、待ち行列システムにおけるトラヒックの挙動と深くかかわりのある時間スケールに注目し、より一般的な自己相関特性を持つ長期依存性トラヒックの性能を近似的に解析するための方法を提案した(非特許文献1参照)。 すなわち、実際のシステムにおいて待ち行列長が有限(バッファ長が有限)の場合、それに最も関係する時間スケールにおけるトラヒックの相関特性がバッファあふれ率を左右する。このような性能に最も関係する時間スケールを適正時間スケールといい、待ち行列長がxのときのFBM過程の適正時間スケールmは(式6)で表される。
【数7】ここにρは平均負荷である。この適正時間スケールmは(式5)の等号右辺の最大値が得られるtの値である。この適正時間スケールmを分散-時間特性の横軸とする。発明者らが提案した方法では、適正時間スケールを用いて表した分散-時間特性を複数の直線により近似する。図8に、分散-時間特性を2本の直線で近似したときのグラフを示す。また、図9に、分散-時間特性を3本の直線で近似したときのグラフを示す。図8の分散-時間特性の例では、mが小さく減衰が比較的速い領域の第1の直線(Line1、ハーストパラメータH1=0.69)とmが大きく減衰が比較的遅い領域の第2の直線(Line2、ハーストパラメータH2=0.932)の2本の直線で、2つの直線の交点の近くを除けばその大部分を近似できる。図9では、その交点の近くを第3の直線(Line3)で近似することにより、より滑らかな性能曲線を得ている。この第3の直線(Line3)は、評価値が安全側になるように、Line1とLine2の交点(時間スケールTm)の両側のLine1、Line2上の点(それぞれ時間スケールT1,T2)を結ぶように引かれる。
【非特許文献1】時間スケールを考慮した長期依存性トラヒックの性能解析、計宇生他、情報処理学会論文誌、第45巻第5号、平成16年5月発行
産業上の利用分野 本発明は通信トラヒックの評価方法及び評価装置に関する。詳しくは、断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの待ち時間に係る品質を評価する評価方法及びその評価方法を実施するための評価装置に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 通信網における通信トラヒックの各時間スケールにおける到着トラヒック量を採取するデータ採取工程と; 採取された到着トラヒック量データに基づき、時間スケール区間毎に異なる自己相似過程を採用する断片的自己相似過程を適用することにより、各時間スケール区間における前記通信トラヒックの自己相似指数を含む特徴量を導出する特徴量導出工程と; 前記時間スケールと前記通信網に生成される待ち行列の待ち行列長との関係を用いて、導出された自己相似指数を含む特徴量に基づき、前記通信網の負荷が与えられたときの、待ち行列長が所定値より大きくなる確率を求める確率導出工程と; 前記確率を用いて、前記通信トラヒックの待ち時間に係る品質を評価する品質評価工程とを備える; 断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの評価方法。
【請求項2】 前記特徴量導出工程は、単位時間をΔtとし、k番目の、連続するm個の単位時間mΔt内に到着した通信トラヒックの単位時間Δt当たりのビット数の平均値をX(m)(k)とし(この場合mは時間スケールとみなすことができる)、その分散Var[X(m)(k)]の前記時間スケールmに対する分散-時間特性を求める分散-時間特性導出工程と、 前記分散-時間特性導出工程で求められた分散-時間特性に基づいて、前記各時間スケール区間における前記通信トラヒックの自己相似指数を含む特徴量を導出する自己相似指数等導出工程とを有する; 請求項1に記載の断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの評価方法。
【請求項3】 前記特徴量導出工程において、隣り合う時間スケールの比が一定になるよう前記品質を評価するための各評価点時間スケールを定め; 前記評価点時間スケールが前記時間スケール区間の中間点となるように、前記評価点時間スケール毎に前記時間スケール区間を対応させ、前記時間スケール区間の長さを前記隣り合う時間スケールの比の倍数に定める; 請求項1又は請求項2に記載の断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの評価方法。
【請求項4】 前記通信トラヒックに正規性が近似的に成り立つ場合、前記断片的自己相似過程として、マルチスケールフラクショナルブラウン運動(MFBM:Multiscale Fractional Brownian Motion)確率過程を用いて、前記特徴量を導出する; 請求項2又は請求項3に記載の断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの評価方法。
【請求項5】 通信網における通信トラヒックの各時間スケールにおける到着トラヒック量を採取するデータ採取手段と; 採取された到着トラヒック量データに基づき、時間スケール区間毎に異なる自己相似過程を採用する断片的自己相似過程を適用することにより、各時間スケール区間における前記通信トラヒックの自己相似指数を含む特徴量を導出する特徴量導出手段と、 前記時間スケールと前記通信網に生成される待ち行列の待ち行列長との関係を用いて、前記導出された自己相似指数を含む特徴量に基づき、前記通信網の負荷が与えられたときの、前記の待ち行列長が所定値より大きくなる確率を求める補分布演算手段と、 前記確率を用いて、前記通信トラヒックの待ち時間に係る品質を評価する品質評価手段とを備える; 断片的自己相似過程を用いる通信トラヒック評価装置。
【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の断片的自己相似過程を用いる通信トラヒックの評価方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
産業区分
  • 電信
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
※ 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は、我が国唯一の情報系に特化した研究所です。NIIでは、外部資金による研究成果の社会還元を中心に、技術移転活動に積極的に取り組んでいます。上記の発明にライセンス対象や共同開発対象として関心をお持ちいただいた方は、国立情報学研究所 社会連携推進室までお気軽にお問合せください。


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