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小型可変エネルギー単色コヒーレントマルチX線発生装置

国内特許コード P07A013185
整理番号 NUBIC-2004000078
掲載日 2008年3月14日
出願番号 特願2004-339792
公開番号 特開2006-147510
登録番号 特許第4649607号
出願日 平成16年11月25日(2004.11.25)
公開日 平成18年6月8日(2006.6.8)
登録日 平成22年12月24日(2010.12.24)
発明者
  • 佐藤 勇
  • 早川 恭史
  • 早川 建
  • 田中 俊成
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 小型可変エネルギー単色コヒーレントマルチX線発生装置
発明の概要

【課題】パラメトリックX線発生装置において、1つの高エネルギー電子ビームから複数のX線を取り出す。
【解決手段】高エネルギー電子線加速器1で、高エネルギー電子ビームを発生する。高エネルギー電子ビームを当ててパラメトリックX線を発生するための複数個のX線発生用の薄板単結晶2、4、6、8を、高エネルギー電子ビームの方向に沿って直線状に並べる。1つのX線発生用単結晶から、1つまたは複数のパラメトリックX線を発生する。それぞれのパラメトリックX線を、X線選択用の反射単結晶3、5、7、9、10で選択的に反射させて取り出す。このようにして、小型でX線エネルギーを変えることができるとともに、単色でコヒーレントなX線を発生できるパラメトリックX線発生装置において、1つの高エネルギー電子ビーム1から複数のX線を取り出せる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


X線を発生する方法としては、電子ビームを対陰極(陽極)金属に当てて、対陰極金属固有の線スペクトルの特性X線を発生する方法が最も一般的である。その場合には、対陰極物質に関係ない電子の制動放射による連続スペクトルの連続X線も発生する。また、シンクロトロン放射を利用してX線を発生する方法もある。シンクロトロン放射は、磁場中で曲線軌道を描く相対論的高エネルギー電子が、求心加速度により放射する電磁波である。シンクロトロン放射は、幅広いスペクトルの強力なX線源として重要であり、真空紫外からX線にわたる強力な光源として利用されている。最近では、貯蔵リングや線形加速器の高エネルギービームを使った自由電子レーザーであるX線レーザーも開発が提案されている。X線レーザーは、真空紫外線~軟X線領域では実証されている。



近年では、パラメトリックX線発生装置も開発されつつある。高エネルギー電子ビームで結晶を、適当な角度条件で照射すると、単色に近い、位相の揃ったX線(パラメトリックX線、PXR: Parametric X-ray Radiation)が放射される。すなわち、パラメトリックX線とは、結晶に高エネルギー電子を入射したときに、図2に示すように、結晶にX線を入射したときと同様に、ブラッグ条件を満たす角度・エネルギーで放射されるX線である。1972年にTer-MikaelianがPXRを予言したが、1985年にトムスクのグループが初めて実際にPXRを観測した。PXRについての詳細は、非特許文献1などを参照されたい。



このパラメトリックX線を単結晶で反射させることにより、γ線や電子線などの放射線と分離して、単色のX線のみを取り出すことができる。すなわち、図3に示すように、高エネルギーに加速した電子ビームで、薄い単結晶板を照射し、発生したX線を更に単結晶で全反射させて、X線のみを取り出す。このPXRの特長は、指向性が高いこと、エネルギーを変えられること、エネルギー分散が小さいこと、X線の位相が揃っていること、である。



具体的なPXR発生システムは、真空槽に収められた2台のゴニオメータで制御される2つのSi単結晶で構成され、X線取り出しポートを固定したまま、連続的にX線のエネルギーを変えることができるものである。詳細は、非特許文献2、3を参照されたい。PXRビームラインでの電子ビームの仕様は、次の通りである。加速周波数は、2856MHzである。最大電子エネルギーは、100MeVである。エネルギー分散は、1%である。ビーム電流は、100mAである。マクロパルス幅は、20μsである。繰り返しは、2.5Hzである。平均電流は、5μAである。規格化エミッタンスは、20πmm mrad未満である。アナライザーでのスリットが固定であるため、エネルギー分散は変えられないが、それ以外は、自由電子レーザーのビームラインとほぼ同じである。ビームカレントは、ストレートラインで100mA、90°偏向後で90mAである。



電子ビームを照射するターゲット結晶は、X線のラジエーターであり、このシステムの基本となるものである。PXR発生システムとして、Si(111)‐Si(111)の組み合わせを用いている。ブラッグ角12°付近で、反射鏡である第2結晶の回転角をスキャニングすると、図4に示すように、ピークが観測される。ピークの幅は、理論計算と比べるとやや広いが、ほぼ同程度であり、観測されたシグナルがPXRによるものであることを示している。詳細は、非特許文献5を参照されたい。



写真フィルムやイメージングプレート(IP)によるX線透過画像は、7keVから18keVの範囲で撮影され、エッジが非常に鮮明であり、この線源が指向性と単色性について優れていることを示している。PXRのプロファイルは、図5、図6、図7に示すようなドーナツ状になる。PXRのエネルギーと強度の変化は、図8に示すようになる。図9は、PXRピーク強度の電子エネルギー依存性を示すグラフである。電子ビームのエネルギーが1000MeVを超えると、X線のピーク強度は飽和する。



PXR発生装置で得られるX線には、水平方向にほぼリニアなエネルギー(波長)グラデーションを持つという特徴がある。そのため、イメージングによってK吸収端を確認することができる。図10は、CuのK吸収端(8.981keV)の写真である。左側が高エネルギー側となっている。厚さ20μmのCu薄膜を使用した。写真フィルムの場合、乳剤にAgBrを使用しているため、BrのK吸収端(13.474keV)で感度が大きく変わる。図11は、写真フィルムのBr-K吸収端(13.474keV)付近の挙動を示す写真である。図11の画像は、ターゲット結晶の回転によりPXRの中心エネルギーを変えて撮影したものである。中心エネルギーは、(a)13.35keV、(b)13.5keV、(c)13.65keVである。条件を変えても、吸収端周辺に同じような構造が現れている。中心エネルギーの変化に従って、K吸収端に相当するエネルギーの位置が動いている。また、図12は、画像の破線内部の明度を縦方向に積算してプロットして、写真フィルムのBr-K吸収端付近の挙動を示すグラフにしたものである。詳細は、非特許文献5を参照されたい。



一方、低エネルギー電子ビームでパラメトリックX線を発生する方法も提案されている。特許文献1に開示された「X線発生方法」は、加速器を用いることなく、通常の実験室で得られる程度の低い電圧で加速した非相対論的低エネルギーの電子によりパラメトリックX線放射を起こさせて単色X線を発生させることのできるX線発生方法である。図13に示すように、真空空間において、電子銃から低い電圧で加速された低エネルギー電子を方位のそろった結晶体に入射させて、結晶体からのパラメトリックX線放射を発生させてX線を取り出す。

【特許文献1】特開2000-30892号公報

【非特許文献1】A. V. Shchagin et al., Phys. Lett. A 148, (1990) 485.

【非特許文献2】Y. Hayakawa et al., Proc. of the 12th Symposium on Accelerator Science and Technology, (1999) 391.

【非特許文献3】Y. Hayakawa et al., Proc. of 26th Linear Accelerator Meeting in Japan, (2001) 110.

【非特許文献4】Y. Hayakawa et al., Proc. of VI International Symposium "RREPS-03", Sep. 8-11, 2003, Tomsk (to be published in Nucl. Instrum. & Methods B).

【非特許文献5】第1回加速器学会年会・第29回リニアック技術研究会、2004年8月4日~6日、プロシーディング(2004),pp.60~62.

産業上の利用分野


本発明は、X線発生装置に関し、特に、小型でX線エネルギーを変えることができ、単色でコヒーレントなX線を発生できるパラメトリックX線発生装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
100MeV程度の高エネルギー電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、高エネルギー電子ビームを当ててパラメトリックX線を発生するために、高エネルギー電子ビームの方向に沿って直線状に並べた複数個のX線発生用単結晶と、それぞれのX線発生用単結晶から得られるパラメトリックX線のなかから所望の波長のX線のみを選択的に反射させて高エネルギー電子ビームの方向に平行な方向に取り出すためのX線選択用単結晶とを具備することを特徴とするマルチX線発生装置。

【請求項2】
1つのX線発生用単結晶から複数の方向にパラメトリックX線を発生することを特徴とする請求項1記載のマルチX線発生装置。

【請求項3】
前記X線発生用単結晶の角度と位置を変える発生用調整手段と、前記X線選択用単結晶の角度と位置を変える選択用調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のマルチX線発生装置。

【請求項4】
パラメトリックX線の波長を変えても出力位置が一定になるように、前記発生用調整手段と前記選択用調整手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のマルチX線発生装置。
産業区分
  • 電子応用機器
  • 原子力
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004339792thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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