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炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システム

国内特許コード P07A013199
整理番号 NUBIC-2005000012
掲載日 2008年3月14日
出願番号 特願2005-150169
公開番号 特開2006-325433
登録番号 特許第4877900号
出願日 平成17年5月23日(2005.5.23)
公開日 平成18年12月7日(2006.12.7)
登録日 平成23年12月9日(2011.12.9)
発明者
  • 中嶋 睦安
  • 砂入 道夫
  • 岩淵 範之
  • 来住 絵美
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システム
発明の概要

【課題】 ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株の親油性を改善した、効率のよい炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムを提供する。
【解決手段】 培地成分を含む水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を添加する工程と、炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を添加する工程と、該ロドコッカス・エリスロポリスPR-4株を該有機溶媒中に移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、を有する炭化水素の処理方法により解決する。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌は、土壌や海洋などにありふれて存在するグラム陽性細菌、高G+C含量のコリネ型細菌の一種である。ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌には、石油系炭化水素やポリ塩化ビフェニール類(PCB)などをはじめとした数多くの難分解性化合物に対して分解・資化能力をもつことに加え、アクリルアミドや有用酵素群、あるいは細胞外多糖をはじめとした機能性バイオポリマーなどの生産菌が多く存在することが知られている。それゆえ、産業的に重要な菌群として位置づけられており、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化・物質生産への応用などが期待されている(非特許文献1)。特に、バイオプロセスを考える場合、応用が期待される微生物には、有機溶媒を含む特殊な環境下での良好な生育や活発な代謝活動などの性質が求められる。また、石油流出事故などによる石油汚染環境の浄化に必要な微生物にも、高濃度難揮発性化合物存在下でこれらの分解を行いながら良好な生育を示すために、これらに対する分解能だけでなく、共存する難揮発性化合物の毒性に対する耐性能が高いことが求められる。



上述したこれらの性質を解析するためには、まず、その切り口として微生物の有機溶媒耐性が必要であり、特にバイオプロセスにおいては、高濃度有機溶媒存在下での生育が求められる。微生物の有機溶媒耐性に関する研究では、これまでにグラム陰性菌の大腸菌やシュードモナス(Pseudomonas)属細菌などのモデル微生物を中心に遺伝生化学的な研究が行われ、細胞表層構造の変化やエプラックスポンプ、ベシクルの形成などの耐性機構が提案されている(非特許文献2)。一方、グラム陽性菌においては、炭化水素分解遺伝子などに関する遺伝性化学的研究は進んできたが、有機溶媒耐性に関した研究は多くない。このことは、一般にグラム陽性菌は陰性菌に比べ有機溶媒耐性レベルが低いと考えられていることに起因していると予想される。しかしながら、バイオプロセスを考える場合には、極めて応用に近い段階の微生物において、実際の利用環境に近い条件での有機溶媒耐性に関する情報が求められる。上述したようにロドコッカス(Rhodococcus)属細菌はバイオプロセスへの応用が期待されていることから、同菌の有機溶媒耐性に関する知見の蓄積が必要である。



Iwabuchiらは、ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)S-2株が高濃度石油耐性石油分解菌であることを見出し、その石油耐性に検討を加えた結果、同菌の生産する細胞外多糖(以下、「EPS」という)が長鎖アルカンなどの難揮発性有機溶媒の耐性に深く関与していることを明らかにした。さらに、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌のコロニー形態と溶媒耐性について検討したところ、EPS生産量の少ないラフ型菌は溶媒に親和性が高く結果的に溶媒感受性であり、一方で、EPS生産量の多いムコイド型菌は耐性を示したことから、同属細菌においては、コロニー形態と有機溶媒耐性に高い相関があることを明らかにした。また、EPSは溶媒に感受性のラフ型菌にも溶媒耐性を与えることが示されており、これらのことから、ムコイド型コロニーの形成が同属細菌の溶媒耐性を考える上での一つの指標であることが見出された(非特許文献3)。



ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株は分岐アルカンの一種であるプリスタン(2,6,10,14-tetramethyl-pentadecane)分解菌として単離された株であり(非特許文献4)、培養の経過と共にEPSの生産に基づいた自身のコロニー形態をラフ型→ムコイド型→ラフ型へと変化させる株である。同株は難揮発性有機溶媒に耐性を示すことが知られていることから、ゲノム解析株に選定され、また、宿主-ベクター系の開発にも着手されている。従って、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株は、近い将来、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌の中で、遺伝子操作系の発達した株になることが予想される。

【非特許文献1】Finnerty, W. R. et al. (1992) Annual Review of Microbiology, p193-218.

【非特許文献2】Ramos, J. L. et al. (2002) Annual Review of Microbiology, p743-768.

【非特許文献3】Iwabuchi, N. et al. (2000) Applied Environmental Microbiology, 66: 5073-5077.

【非特許文献4】Komukai-Nakamura, S. et al. (1996) Journal of Fermentation and Bioengineering, 82:p570-574

産業上の利用分野


本発明は、炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムに関し、詳細には、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌の一種を利用した効率のよい炭化水素の処理方法及び炭化水素の処理システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
培地成分を含む水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する工程と、
炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を添加する工程と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、
を有する炭化水素の処理方法。

【請求項2】
前記水性溶媒が、一般細菌用培地を含む請求項1記載の炭化水素の処理方法。

【請求項3】
前記炭素数14以上の炭化水素が、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、プリスタン、スクワランからなる群から選択される少なくとも1種以上の炭化水素である請求項1又は2記載の炭化水素の処理方法。

【請求項4】
前記炭化水素の処理が、撹拌しながら行われる請求項1~3のいずれか1項記載の炭化水素の処理方法。

【請求項5】
培地成分を含む第1の水性溶媒にロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する工程と、
炭素数14以上の炭化水素を含む第1の有機溶媒を添加する工程と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該第1の有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させる工程と、
培地成分を含む第2の水性溶媒に、該炭素数14以上の炭化水素を代謝させたロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する工程と、
炭素数13以下の炭化水素を含む第2の有機溶媒を添加する工程と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該第の有機溶媒中へ移行させ、該炭素数13以下の炭化水素を代謝させる工程と、
を有する炭化水素の処理方法。

【請求項6】
炭素数14以上の炭化水素を含む有機溶媒を供給する有機溶媒供給手段と、
培地成分を含む水性溶媒を供給する水性溶媒供給手段と、
ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を添加する菌体添加手段と、
該ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR-4株を該有機溶媒中へ移行させ、該炭素数14以上の炭化水素を処理させる処理手段と、
該水性溶媒中に生産された生成物を分離する生成物分離手段と、
を備えた炭化水素処理システム。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2005150169thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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