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単一光子発生装置

国内特許コード P07S000058
整理番号 NUBIC-2003JP0004
掲載日 2008年3月14日
出願番号 特願2005-505788
登録番号 特許第4625907号
出願日 平成16年4月22日(2004.4.22)
登録日 平成22年11月19日(2010.11.19)
国際出願番号 JP2004005803
国際公開番号 WO2004095124
国際出願日 平成16年4月22日(2004.4.22)
国際公開日 平成16年11月4日(2004.11.4)
優先権データ
  • 特願2003-117055 (2003.4.22) JP
発明者
  • 井上 修一郎
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 単一光子発生装置
発明の概要

単一光子発生装置により、一定の周期で効率よく単一光子を発生させる。CW半導体レーザー1で、波長780nmのレーザー光を発生する。波長780nmの光子を、非縮退導波路型PPLN2で、波長1550nmと1570nmの2つの光子に変換する。ダイクロイックミラー6で、2つの光子を分離する。ゲート動作の単一光子検出器4で、一方の光子を検出する。この検出信号により、LN偏波変調器を動作させる。LN偏波変調器と偏光ビームスプリッターにより構成される光スイッチ5で、もう一方の光子の偏光を90度回転させ一定方向に出力する。これにより、光子1個だけを数百kHzの周期で進行方向に取り出すことができる。非縮退導波路型PPLNによる自発パラメトリック下方変換によって波長の異なる2つの光子を発生させ、それらをダイクロイックミラーで分離し、ゲート動作の単一光子検出器で一方の光子を検出し、高速LN偏波変調器により他方の光子の出力を制御するので、一定の周期で効率よく単一光子を発生できる。

従来技術、競合技術の概要

現在、暗号鍵の配布には公開鍵暗号が広く使用されている。将来的には、原理的に盗聴・解読が不可能な暗号技術が必要となる。量子暗号は、原理的に盗聴・解読が不可能な暗号技術であり、この暗号鍵配布の問題を完全に解決することができる。また、「無相互作用測定」を利用すれば、「光を当てずに物を見る」ことが可能である。この無相互作用測定を並行的に行い、光を当てずに物を見る「無相互作用イメージング」が実現できる。量子暗号や無相互作用測定では、光子の量子力学的な性質を用いるために、単―光子発生技術が必要となる。
従来、光子源として、単一光子レベルまで減衰された光パルスが用いられてきた。この光源では、光子統計がポアッソン分布に従うため、同一パルス中に2個以上の光子が含まれる確率が存在する。量子暗号通信は、光子1個を伝送することで安全性を確保するため、ビームスプリッターアタック等の盗聴の可能性がある。量子暗号における単一光子発生は、レーザーからの光パルスを平均光子数が0.1個になるまで減衰することにより行なわれてきた。この方法では、単一光子は全パルスの10%にしか存在しないため、鍵配布率は低い。これを改善するためには平均光子数を上げればよいが、1パルスに含まれる光子数がポアソン分布に従うため、同じパルス内に2個以上の光子が存在する確率が増加してしまう。そのため量子暗号の安全性が破綻してしまう。
従来の他の単一光子源の例として、量子ドットによるものがある。これは、極低温下での動作や、1550nm帯の光子発生が困難であることから、量子暗号通信への応用は難しい。そのため、単一光子の発生には、非線形光学過程である自発パラメトリック下方変換(Spontaneous Parametric Down Conversion:SPDC)が広く使用されている。このSPDCでは、エネルギーの高い光子を、エネルギーの低い2つの光子に変換する。以下、パラメトリック下方変換により発生する光子対を用いる単一光子源について説明する。
自発パラメトリック下方変換(SPDC)とは、非線形光学結晶の2次の非線形性を利用して、波長変換を行うものである。波長λの光子は、エネルギー保存則と運動量保存則(位相整合条件)
hc/λ=hc/λ+hc/λ
=k+k
を満たしながら、波長λの光子と波長λの光子へ変換される。ここで、hはプランク定数であり、cは光速である。λ=λ=2λの場合は、縮退パラメトリック下方変換と呼ばれる。λ≠λ≠2λの場合は非縮退パラメトリック下方変換と呼ばれる。
位相整合方法には2種類ある。1つは、ベータバリウムボレート(Beta Barium Borate:BBO)、ニオブ酸リチウム(Lithium Niobate:LN)バルク結晶の角度位相整合である。これは結晶の光軸に対するポンプ光の入射方向を調節することにより、位相整合条件を満たす。光子対を構成する光子は、アイドラー光子とシグナル光子と呼ばれる。シグナル光子とアイドラー光子が同一偏光を持ち、また、これらがポンプ光の偏光と直交する形をとるものをタイプI位相整合と呼ぶ。一方、シグナル光子とアイドラー光子の持つ偏光が直交するものをタイプII位相整合と呼ぶ。もう一つの位相整合方法は、擬似位相整合(Quasi Phase Matching:QPM)である。これは、結晶に周期的な分極反転構造を設けることにより、擬似位相整合を達成する。そして、ポンプ光と同じ偏光を持ったシグナル光子とアイドラー光子が発生する。これは、タイプ0位相整合と呼ばれる。波長1550nmが出力可能なものとして、LNに分極反転構造を設けたPPLN(Periodically Poled Lithium Niobate)がある。
自発パラメトリック下方変換により発生する光子対、つまりシグナル光子とアイドラー光子は、完全な時間相関を持つ。第14図に示すように、光子検出器Dによりアイドラー光子が検出されたとすると、この検出信号は、シグナル光子が存在するタイミングの情報を持つ。よって、光子検出器Dで光子が検出された時のみ光スイッチを開くことで、正確に相関のある光子が出力できる。この方法をポストセレクションと呼ぶ。
以下、従来の単一光子発生技術の例をいくつかあげる。特許文献1に開示された「単一光子発生装置」は、パルス内にただ1つの光子を発生させるものである。第15図(a)に示すように、発生時刻に相関をもつ、シグナル光子とアイドラー光子からなる光子対を、光子対源で発生する。光子対源では、擬似位相整合型非線型光学媒質をレーザー光でポンプして、縦横の偏光をもつ蛍光対を発生する。光子検出器で、アイドラー光子の入射を検出する。クロック発生器のクロックによって規定される一定時間内に、特定の回数を下回る回数のみ、ゲート装置を開閉するための信号を、ゲート装置制御部で生成する。ゲート装置制御部からの信号に応じて、ゲート装置を開閉する。
特許文献2に開示された「量子暗号を使用したキー分配用システム」は、単一光子を用いてキー配布を行う量子暗号システムであり、単一光子を発生するために、第15図(b)に示すような単一光子発生装置を使用する。レーザーは、KDP等の非線型結晶をポンプする。結晶によるパラメトリック下方向変換で、2つの光子ビームを発生する。1つのビームの光子は、光検出器により検出され、単一の光子が通過するように、シャッターを開くゲートをトリガする。非特許文献1に開示された「光子対を用いる量子鍵配布システム」では、第15図(c)に示すような単一光子発生装置を使用する。この相関光子源(CPS)は、自発パラメトリック下方変換(SPDC)を利用して相関光子対を発生する。光子対のうちのアイドラー光子が検出器に到達したときにのみ、検出器でゲートをトリガして、シグナル光子を送出する。
非特許文献2に開示された「単一光子発生装置」は、第16図(a)に示すように、非線形結晶を用いた下方変換器を配列する。各下方変換器は光子対を生成することができる。各下方変換器には、光子検出器が設けられている。光子検出器で光子を検出すると、光スイッチをトリガして、光子を出力する。非特許文献3に開示された「蓄積型単一光子発生装置」は、第16図(b)に示すように、蓄積型の下方変換器を用いて、単一光子を擬似的にオンデマンドで発生できる光子源である。光子対がパラメトリック下方変換器から発生する。光子検出器からの検出信号により光スイッチを制御して、光子を蓄積ループに蓄える。必要なときに光スイッチを開いて、光子を取り出すことができる。

【特許文献1】:特開2000-292821号公報
【特許文献2】:特表平8-505019号公報
【非特許文献1】:Z.Walton,A.V.Sergienko,M.Atature,B.E.A.Saleh,and M.C.Teich1,”Performance of Photon-Pair Quantum Key Distribution System”,J.Mod.Opt.Vol.48,No.14,pp.2055-2063,(Apr.22,2001).
【非特許文献2】:A.L.Migdall,D.Branning,S.Castelletto and M.Ware,”Single Photon Source with Individualized Single Photon Certifications”,Proc.of the SPIE Vol.4821,pp.455-465,(2002).
【非特許文献3】:T.B.Pittman,B.C.Jacobs,and J.D.Franson,”Single Photons on Pseudo-Demand from Stored Parametric Down-Conversion”,Phys.Rev.A66,042303(2002).

産業上の利用分野

本発明は、単一光子発生装置に関し、特に、レーザー光を非線形光学結晶に当てて自発パラメトリック下方変換によって生成した2つの光子から単一光子を分離する単一光子発生装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】レーザー光源と、前記レーザー光源からの1つの光子を同じ波長の2つの光子に変換する導波路型擬似位相整合LiNbO3と、2つの光子を分離するビームスプリッターと、平均5個程度の光子が入射するゲート幅であって受動クエンチング効果により単一の光子のみを毎回必ず検出するのに最適なゲート幅で開くように制御されて分離された一方の光子を検出する波長1550nm用の単一光子検出器と、分離された他方の光子を入力して前記単一光子検出器の検出信号で制御される5GHz程度で変調可能なLN偏波変調器と偏光ビームスプリッターとを用いた偏光スイッチとを具備することを特徴とする単一光子発生装置。
【請求項2】レーザー光源と、前記レーザー光源からの1つの光子を異なる波長の2つの光子に変換する非縮退導波路型擬似位相整合LiNbO3と、異なる波長の2つの光子を分離するダイクロイックミラーと、平均5個程度の光子が入射するゲート幅であって受動クエンチング効果により単一の光子のみを毎回必ず検出するのに最適なゲート幅で開くように制御されて分離された一方の光子を検出する波長1550nm用の単一光子検出器と、分離された他方の光子を入力して前記単一光子検出器の検出信号で制御される5GHz程度で変調可能なLN偏波変調器と偏光ビームスプリッターとを用いた偏光スイッチとを具備することを特徴とする単一光子発生装置。
【請求項3】レーザー光源と、前記レーザー光源からの1つの光子を2つの光子に変換して異なる方向に出力するバルク型擬似位相整合LiNbO3と、平均5個程度の光子が入射するゲート幅であって受動クエンチング効果により単一の光子のみを毎回必ず検出するのに最適なゲート幅で開くように制御されて一方の光子を検出する波長1550nm用の単一光子検出器と、分離された他方の光子を入力して前記単一光子検出器の検出信号で制御される5GHz程度で変調可能なLN偏波変調器と偏光ビームスプリッターとを用いた偏光スイッチとを具備することを特徴とする単一光子発生装置。
産業区分
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005505788thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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