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効率的なトランスジェニックカイコの作出方法

国内特許コード P08A013326
掲載日 2008年4月18日
出願番号 特願2006-090174
公開番号 特開2007-259775
登録番号 特許第5240699号
出願日 平成18年3月29日(2006.3.29)
公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
登録日 平成25年4月12日(2013.4.12)
発明者
  • 田村 俊樹
  • 瀬筒 秀樹
  • 小林 功
  • 神田 俊男
  • 小島 桂
  • 内野 恵郎
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 効率的なトランスジェニックカイコの作出方法
発明の概要 【課題】高い効率で、トランスジェニックカイコを作出する方法を提供する。
【解決手段】任意の遺伝子が挿入されたトランスポゾン及びその転移酵素のmRNAをカイコ卵に注入し、該カイコ卵からカイコを作出することによって、トランスジェニックカイコの作出効率を著しく上昇させる。即ち、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素の供給源として、従来用いているヘルパープラスミドの代わりに、in vitroで合成したmRNAを用いることで、トランスジェニックカイコの作出効率を著しく上昇させる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


遺伝子組換え生物を使って有用物質を生産する方法は、大腸菌や酵母、植物、哺乳動物等で広く用いられている。近年、昆虫の一種であるカイコにおいて、DNA型のトランスポゾンを利用して、組換えカイコ作る技術が開発され、カイコによる異種生物の組換えタンパク質を生産することが可能になってきた。カイコは、唯一の家畜化された昆虫である。すなわち、ヒトに飼われることによってのみ生存可能で、自然界では数日で死滅する。また、幼虫は餌のある場所に止まり、蛾には飛ぶ力がないため飼育場所の外に拡散する確率は非常に低い。また、カイコは絹を作るために分化した絹糸腺と呼ばれる特殊な組織を持ち、この組織を利用することによって大量のタンパク質を生産することができる。このようなカイコの特徴は、有用物質を生産するための組換え生物として有利な点であり、今後カイコを利用して多くの組換えタンパク質が生産され、検査薬や医薬品に用いられると予測される。



しかしながら、現在用いられているトラトランスポゾンpiggyBacをベクターとする組換えカイコの作出方法(Tamura et al. 2000)は組換え効率が低く、組換え体の作出に多くの労力が必要であるという欠点がある。すなわち、現在の方法はトランスポゾンpiggyBacの逆位末端反復配列(IVR)の間に目的遺伝子とマーカー遺伝子を挿入したプラスミドをベクターとし、これにヘルパープラスミドと呼ばれるトランスポゾンの転移酵素遺伝子を持つプラスミドを一緒にカイコの卵に注射することを特徴とする。つまり、卵の中で転移酵素遺伝子を強制的に発現させ、ベクタープラスミドからゲノムへの目的遺伝子の転移を生殖細胞内で引き起こし、次世代において組換え個体を回収する方法である。この方法で注射したカイコ同士を交配した場合の組換え体の作出効率は、注射した次世代の全調査蛾区中で組換え体が出現する蛾区数で見た場合で、0.5~15%である(Imamura et al. 2003; Tomita et al. 2003)。この頻度は、導入する遺伝子の大きさが大きくなるにつれさらに低下する。そのため、さらに効率の高い組換え体作出方法を開発することが求められている。



尚、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【非特許文献1】
Imamura, M., J. Nakai, S. Inoue, G. X. Quan, T. Kanda et al., 2003 Targeted gene expression using the GAL4/UAS system in the silkworm Bombyx mori. Genetics 165: 1329-1340.
【非特許文献2】
Inoue, S., T. Kanda, M. Imamura, G. X. Quan, K. Kojima et al., 2005 A fibroin secretion-deficient silkworm mutant, Nd-sD, provides an efficient system for producing recombinant proteins. Insect Biochem Mol Biol 35: 51-59.
【非特許文献3】
Kapetanaki, M. G., T. G. Loukeris, I. Livadaras and C. Savakis, 2002 High frequencies of Minos transposon mobilization are obtained in insects by using in vitro synthesized mRNA as a source of transposase. Nucleic Acids Res 30: 3333-3340.
【非特許文献4】
Pavlopoulos, A., A. J. Berghammer, M. Averof and M. Klingler, 2004 Efficient transformation of the beetle Tribolium castaneum using the Minos transposable element: quantitative and qualitative analysis of genomic integration events. Genetics 167: 737-746.
【非特許文献5】
Tamura, T., C. Thibert, C. Royer, T. Kanda, E. Abraham et al., 2000 Germline transformation of the silkworm Bombyx mori L. using a piggyBac transposon-derived vector. Nat Biotechnol 18: 81-84.
【非特許文献6】
Tomita, M., H. Munetsuna, T. Sato, T. Adachi, R. Hino et al., 2003 Transgenic silkworms produce recombinant human type III procollagen in cocoons. Nat Biotechnol 21: 52-56.

産業上の利用分野


本発明は、効率の高いカイコの組換え体の作出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(1)トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域を有するmRNA、及び任意のDNAが挿入されたトランスポゾンpiggyBacをカイコ卵に注入する工程、
(2)(1)のカイコ卵から生じたカイコの中から、任意のDNAが挿入されたトランスジェニックカイコを選択する工程を含む、トランスジェニックカイコの製造方法であって、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域を有するmRNAが、配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、3'非翻訳領域、及びpolyA領域を有するDNAまたは該DNAを含むベクターから転写されるmRNAである、方法。

【請求項2】
トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域を有するmRNA、及び任意のDNAが挿入されたトランスポゾンpiggyBacをカイコ卵に注入する工程を含む、任意のDNAが導入されたカイコ卵の製造方法であって、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域を有するmRNAが、配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、3'非翻訳領域、及びpolyA領域を有するDNAまたは該DNAを含むベクターから転写されるmRNAである、方法。

【請求項3】
トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域を有するmRNA、及び任意のDNAが挿入されたトランスポゾンpiggyBacをカイコ卵に注入する工程を含む、任意のDNAをカイコ卵に導入する方法であって、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域を有するmRNAが、配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、3'非翻訳領域、及びpolyA領域を有するDNAまたは該DNAを含むベクターから転写されるmRNAである、方法。

【請求項4】
配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、トランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、3'非翻訳領域、及びpolyA領域を有するDNAまたは該DNAを含むベクターが、以下の(a)~(l)のいずれかである、請求項1~3のいずれかに記載の方法;
(a)配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:10に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(b)配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:11に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(c)配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:12に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(d)配列番号:8に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:10に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(e)配列番号:8に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:11に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(f)配列番号:8に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:12に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(g)配列番号:9に記載の塩基配列からなる5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:10に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(h)配列番号:9に記載の塩基配列からなる5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:11に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(i)配列番号:9に記載の塩基配列からなる5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:12に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(j)配列番号:4に記載の塩基配列を含むDNA、
(k)(a)~(j)のいずれかに記載のDNAを含むベクター、
(l)配列番号:15に記載の塩基配列からなるベクター。

【請求項5】
任意のDNAが挿入されたトランスポゾンpiggyBacが少なくとも以下(a)~(c)を有する、請求項1~のいずれかに記載の方法;
(a)トランスポゾンpiggyBacの右側逆位末端反復配列を含むDNA、
(b)トランスポゾンpiggyBacの左側逆位末端反復配列を含むDNA、
(c)上記(a)及び(b)の間に挟まれた任意のDNA。

【請求項6】
以下の(a)~(l)のいずれかに記載のDNAまたはベクターを含む、請求項4に記載の方法に用いるためのキット
(a)配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:10に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(b)配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:11に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(c)配列番号:7に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:12に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(d)配列番号:8に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:10に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(e)配列番号:8に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:11に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(f)配列番号:8に記載の塩基配列を含む5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:12に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(g)配列番号:9に記載の塩基配列からなる5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:10に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(h)配列番号:9に記載の塩基配列からなる5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:11に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(i)配列番号:9に記載の塩基配列からなる5'非翻訳領域、配列番号:1に記載の塩基配列からなるトランスポゾンpiggyBacの転移酵素のコード領域、配列番号:12に記載の塩基配列からなる3'非翻訳領域、及び配列番号:13に記載の塩基配列からなるpolyA領域をこの順番に有するDNA、
(j)配列番号:4に記載の塩基配列を含むDNA、
(k)(a)~(j)のいずれかに記載のDNAを含むベクター、
(l)配列番号:15に記載の塩基配列からなるベクター

【請求項7】
さらに以下(a)~(c)を有するベクターを含む、請求項に記載のキット;
(a)トランスポゾンpiggyBacの右側逆位末端反復配列を含むDNA、
(b)トランスポゾンpiggyBacの左側逆位末端反復配列を含むDNA、
(c)上記(a)及び(b)の間に挟まれたクローニングサイトを含むDNA。

【請求項8】
さらに以下(a)~(c)を有するベクターを含む、請求項に記載のキット;
(a)トランスポゾンpiggyBacの右側逆位末端反復配列を含むDNA、
(b)トランスポゾンpiggyBacの左側逆位末端反復配列を含むDNA、
(c)上記(a)及び(b)の間に挟まれた任意のDNA。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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20871_01SUM.gif
出願権利状態 登録


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