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メタン発酵消化液の濃縮装置とその濃縮方法

国内特許コード P08A013337
掲載日 2008年4月18日
出願番号 特願2006-197272
公開番号 特開2008-023434
登録番号 特許第5307325号
出願日 平成18年7月19日(2006.7.19)
公開日 平成20年2月7日(2008.2.7)
登録日 平成25年7月5日(2013.7.5)
発明者
  • 山岡 賢
  • 柚山 義人
  • 中村 真人
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 メタン発酵消化液の濃縮装置とその濃縮方法
発明の概要

【課題】酸を添加せず消化液からアンモニア濃縮蒸留液と清浄蒸留液と消化液濃縮液を分離して回収する。
【解決手段】濃縮装置2は、蒸留タンク3と、冷却部4と、減圧ポンプ5と、この減圧ポンプ5と冷却部4との間に通路10を介して設けられた切替弁6と、この切替弁6を介して冷却部4にそれぞれ連通する第1および第2の受液タンク7、8と、蒸留タンク3に設けられたヒータ9とを備えている。バッチ処理で蒸留タンク3から濃度の高いアンモニア凝縮液L-NHを第1の受液タンク7に導き、アンモニア濃度が低下すると切替弁6を切り替え、アンモニア濃度の低下した凝縮液を第2の受液タンク8に導き、蒸留タンク3から消化液の濃縮液Lcを、第1の受液タンク7からアンモニア濃縮蒸留液L-NHを、第2の受液タンク8から清浄蒸留液L-Wをそれぞれ回収するようにしている。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


一般に、有機性廃棄物を発酵させメタンを生成した後に残留する消化液を肥料として利用するには、消化液を減量・圧縮して貯留・輸送の効率化を果たすことが求められる。すなわち、メタン発酵処理を経た有機性廃棄物は消化液として排出される。消化液は窒素、リン、カリウムなどを含有しているので、液肥として利用することが期待されている。しかしながら、消化液は、T-N(総窒素)で、1,000-5,000mg/L、T-P(総リン)で、200-800mg/L、T-K(総カリ)で1,000-4000mg/L程度と肥料成分が薄い。このため、消化液を濃縮・減量して、貯蔵や輸送、農地への施用の効率化を図り、季節的も地域的にも偏在する肥料の需要に応える必要がある。



従来、消化液の濃縮・減量化を図る取り組みとして、消化液をそのまま蒸留することにより水分を分離する方法が知られている(非特許文献1および特許文献2参照)。また、消化液の固形分を脱水機で分離して得られるろ液に対して蒸留することにより水分を分離する方法も知られている(非特許文献2参照)。非特許文献1に記載の技術は、消化液に硫酸を添加してph調整を行った後、蒸発器により消化液の濃縮と高濃度アンモニア水の抽出を行うものである。また、特許文献1に記載の発明は、連続処理により1段目のアンモニアストリッピングを第1蒸発装置でpHの高い状態で行い、2段目の蒸留を第2蒸発装置でpHの低い状態で行うことにより清浄な凝縮水(蒸留水)へのアンモニアの混入を防止するようにしている。さらに、非特許文献2に記載の技術は、メタン発酵後の消化液を固液分離機で固液分離させ、分離されたろ液に硫酸を添加後、減圧濃縮機にかけ、放流用の凝縮水と液肥用濃縮液を取り出すようにしている。

【非特許文献1】地域生物系廃棄物資源化システム専門委員会・畜産環境対策緊急調査検討分科会調査報告書「畜尿・消化液処理の現状と展望」社団法人日本有機資源協会編集・発行、平成17年9月2日発行、p.130-132

【非特許文献2】白藤沙織、松田従三、近江谷和彦、吉田賢輔、前田俵吾、吉田毎郎著「農業環境工学関連7学会2005年合同大会講演要旨集」日本植物工場学会、日本農業気象学会、日本生物環境調節学会、農業情報学会、農業機械学会、農業施設学会、生態工学会、2005年9月12日-15日、金沢大学、p.224

【特許文献1】特許第3703420号(第4頁、第5頁、図1)

産業上の利用分野


本発明は、メタン発酵消化液の濃縮装置とその濃縮方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液が注入される蒸留タンクと、
この蒸留タンクに設けられ内部の消化液を所定の温度で加熱する加熱手段と、
この蒸留タンクに連通され蒸留タンクで蒸発した気体を冷却して凝縮させる冷却部と、
吸引側が冷却部に接続され装置内の圧力を減圧させる減圧ポンプと、
冷却部に連通され、冷却部で冷却された凝縮液を導き入れる第1および第2の受液タンクと、
これら第1および第2の受液タンクと冷却部との間に設けられ連通路を切り替える切替弁とを備え、
蒸留タンク内に注入された消化液を加熱手段で加熱し、蒸発した気体を冷却部で凝縮させ、このアンモニア濃度の高いアンモニア濃縮蒸留液を切替弁を介して第1の受液タンクに導き、蒸留タンク内で蒸発する気体のアンモニア濃度が低下すると切替弁を切り替え、冷却部で凝縮されたアンモニア濃度の低い清浄蒸留液を第2の受液タンクに導き、第1の受液タンクからアンモニア濃縮蒸留液を、第2の受液タンクから清浄蒸留液を、蒸留タンクから消化液の濃縮液をそれぞれ回収することを特徴とするメタン発酵消化液の濃縮装置。

【請求項2】
切替弁の動作を制御する制御装置を設けるとともに、
冷却部と切替弁との間に、冷却部により冷却され凝縮された溶液を一時的に貯留するモニタリング貯留部を設け、
モニタリング貯留部には、一時的に貯留された溶液の成分を検知するとともに上記制御装置と電気的に接続されるセンサを設け、
制御装置がセンサからのモニタリング信号に基づき凝縮された溶液のアンモニア濃度に応じて高濃度の溶液を第1の受液タンクに、低濃度の溶液を第2の受液タンクにそれぞれ導くように切替弁を切り替えることを特徴とする請求項1に記載のメタン発酵消化液の濃縮装置。

【請求項3】
減圧ポンプの吸入側を冷却部に、排出側をモニタリング貯留部にそれぞれ接続し、
減圧ポンプとモニタリング貯留部との間に接続される通路には、制御装置と電気的に接続され開閉動作される第1の開閉弁を介して排気処理装置を設け、
減圧ポンプと第1の開閉弁との間の通路と第1の受液タンクとの間には、一端が第1の受液タンクの液中に没するよう底面近傍に開口して配置され、第2の開閉弁を有する吹き込みパイプを設け、
第1の受液タンクと排気処理装置との間には、一端が第1の受液タンクに他端が第3の開閉弁を介して排気処理装置に接続される排気パイプを設け、
第1の受液タンク側への切替弁切り替え時、第1の開閉弁を閉じて第2第3の開閉弁を開き、減圧ポンプ排出側の気体を吹き込みパイプを通じて第1の受液タンク内の液中に導き、気室に逃げた気体を排気パイプを通じて排気処理装置に導き、
第2の受液タンク側への切替弁の切り替え時、第1の開閉弁を開いて第2第3の開閉弁を閉じ、減圧ポンプ排出側の気体を第1の開閉弁を介して排気処理装置に導くことを特徴とする請求項2に記載のメタン発酵消化液の濃縮装置。

【請求項4】
蒸留タンクには、消化液にエアを送り込むエアポンプを設け、このエアポンプの単位時間当たりのエア送り込み量を、減圧ポンプの単位時間当たりの吸引量と同一または小さくなるよう調整可能としたことを特徴とする請求項1または3のうちいずれか1に記載のメタン発酵消化液の濃縮装置。

【請求項5】
メタン発酵消化液の濃縮装置を、有機性廃棄物を発酵させてメタン生成後に残留する消化液が注入される蒸留タンクと、この蒸留タンクに設けられ内部の消化液を所定の温度で加熱する加熱手段と、この蒸留タンクに連通され蒸留タンクで蒸発した気体を冷却して凝縮させる冷却部と、吸引側が冷却部に接続され装置内の圧力を減圧させる減圧ポンプと、冷却部に連通され、冷却部で冷却された凝縮液を導き入れる第1および第2の受液タンクと、これら第1および第2の受液タンクと冷却部との間に設けられ連通路を切り替える切替弁とを備えて構成し、
蒸留タンクに消化液を注入するとともに切替弁を介して第1の受液タンクを冷却部に連通させる第1のステップと、
加熱手段により蒸留タンク内の消化液を加熱するとともに、減圧ポンプにより連通する蒸留タンクと冷却部と第1の受液タンクとを常圧または常圧より低い第1の圧力条件下におく第2のステップと、
冷却部で冷却され凝縮されたアンモニア濃度の高いアンモニア濃縮蒸留液を第1の受液タンクに集める第3のステップと、
冷却部で冷却され凝縮された凝縮液のアンモニア濃度が低下した後、切替弁を切り替え第2の受液タンクを冷却部に連通させる第4のステップと、
冷却部で冷却され凝縮されたアンモニア濃度の低い清浄蒸留液を第2の受液タンクに集める第5のステップと、
蒸留タンク内の液量減少後、減圧ポンプを停止させ、第1の受液タンクからアンモニア濃縮蒸留液を、第2の受液タンクから清浄蒸留液を、蒸留タンクから消化液の濃縮液をそれぞれ回収する第6のステップとを有することを特徴とするメタン発酵消化液の濃縮方法。

【請求項6】
第5のステップで、減圧ポンプの圧力を常圧または第1の圧力条件より低い第2の圧力条件とすることを特徴とする請求項5に記載のメタン発酵消化液の濃縮方法。

【請求項7】
切替弁の動作を制御する制御装置を設けるとともに、冷却部と切替弁との間に、冷却部により冷却され凝縮された溶液を一時的に貯留するモニタリング貯留部を設け、モニタリング貯留部には、一時的に貯留された溶液の成分を検知するとともに上記制御装置と電気的に接続されるセンサを設け、制御装置がセンサからのモニタリング信号に基づき凝縮された溶液のアンモニア濃度に応じて高濃度の溶液を第1の受液タンクに、低濃度の溶液を第2の受液タンクにそれぞれ導くように切替弁を切り替えるべく構成し、
第4のステップで、冷却部で冷却され凝縮された凝縮液のアンモニア濃度低下をセンサが検知すると、制御装置が切替弁を動作させ、低濃度の溶液を第2の受液タンクに導くように連通路を切り替えることを特徴とする請求項5または6に記載のメタン発酵消化液の濃縮方法。

【請求項8】
減圧ポンプの吸入側を冷却部に、排出側をモニタリング貯留部にそれぞれ接続し、減圧ポンプとモニタリング貯留部との間に接続される通路には、制御装置と電気的に接続され開閉動作される第1の開閉弁を介して排気処理装置を設け、減圧ポンプと第1の開閉弁との間の通路と第1の受液タンクとの間には、一端が第1の受液タンクの液中に没するよう底面近傍に開口して配置され、第2の開閉弁を有する吹き込みパイプを設け、第1の受液タンクと排気処理装置との間には、一端が第1の受液タンクに他端が第3の開閉弁を介して排気処理装置に接続される排気パイプを設けて構成し、
第3のステップで、第1の開閉弁を閉じて第2第3の開閉弁を開き、減圧ポンプ排出側の気体を吹き込みパイプを通じて第1の受液タンク内の液中に導き、気室に逃げた気体を排気パイプを通じて排気処理装置に導いて排気処理し、
第5のステップで、第1の開閉弁を開いて第2第3の開閉弁を閉じ、減圧ポンプ排出側の気体を第1の開閉弁を介して排気処理装置に導いて排気処理することを特徴とする請求項7に記載のメタン発酵消化液の濃縮方法。

【請求項9】
蒸留タンクには、消化液にエアを送り込むエアポンプを設け、このエアポンプの単位時間当たりのエア送り込み量を、減圧ポンプの単位時間当たりの吸引量と同一または小さくなるよう調整可能とし、
第3のステップまたは第3および第5のステップで、蒸留タンクの消化液にエアレーションを行うことを特徴とする請求項8に記載のメタン発酵消化液の濃縮方法。
産業区分
  • 処理操作
  • 無機化合物
  • 微生物工業
  • 衛生設備
  • 廃棄物処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006197272thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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