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金属薄膜を用いた溶存水素センサ

国内特許コード P08A013354
整理番号 B37P08
掲載日 2008年4月25日
出願番号 特願2005-056498
公開番号 特開2006-242644
登録番号 特許第4714825号
出願日 平成17年3月1日(2005.3.1)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
登録日 平成23年4月8日(2011.4.8)
発明者
  • 井上 明久
  • 山浦 真一
  • 木村 久道
  • 吉田 肇
出願人
  • 学校法人東北大学
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 金属薄膜を用いた溶存水素センサ
発明の概要

【課題】簡便且つ安定して長期に使用することができ、そして小型化が可能であり、専門家でなくとも取り扱うことを可能とする、水中の溶存水素濃度の測定のための新たな手法並びに機器・装置の開発。
【解決手段】溶存水素の吸蔵及び放出により可逆的に物性値が変化する金属材料である水素感応体をセンサ素子とし、当該センサの物性値変化を計測することにより、水中に溶け込んでいる溶存水素の有無あるいは濃度を検出する溶存水素センサ、並びに溶存水素センサを備えた溶存水素検出器、さらには溶存水素の吸蔵及び放出により可逆的に物性値が変化する金属材料である水素感応体。溶存水素に対する水素感応体の可逆的に物性値が変化するのを利用して溶存水素を検出・測定する技術・手段。
【選択図】 図3

従来技術、競合技術の概要


現在、新しい健康増進法としてアルカリイオン水が脚光を浴びている。アルカリイオン水・機能水は現在、医療用具として承認を受けており、その効能としては、飲用して慢性下痢、消化不良、胃腸内異常発酵、胃酸過多等の消化器系の諸症状の緩和に有効であるとされている。上記アルカリイオン水の健康増進効果・医療効果は、水中に溶け込んでいる水素ガス(溶存水素)が要因であると考えられており、今後アルカリイオン水・溶存水素に対する医学的知識が深まれば、次の段階として、水中の溶存水素濃度の測定・制御が重要な技術となるであろう。



燃料電池・水素エネルギーへの関心の高まりから、気相中の水素ガスを検知するための水素ガスセンサの研究・開発は従来から盛んに行われている。こうした気相中の水素濃度を検出するための水素センサとしては、感応部の電気抵抗値変化を利用する形式のものが知られているが、それは感応部が半導体材料を備え、その半導体表面へのガスの吸着や反応によって半導体素子の電気抵抗が変化し、これを検出するというものである。この場合、センサ部に水蒸気等の不純物が付着したり反応したりすると、肝心の電気抵抗に変化を生じてしまうという問題があり、水素ガス以外に起因する抵抗変化を生じないようにするため、センサ部を加熱するなどの必要があった(特許文献1及び2参照)。
水中の溶存水素濃度の測定に関しては、気相中の水素を検出する場合と異なり、共存する水が導電体であることから来る問題点を解決しながら、水素のみを検出することが必要となる。また、そもそもアルカリイオン水・機能水の医療効果が報告され関心が高まり始めてからまだ10年程度しか経っておらず、溶存水素検知方法の研究開発はほとんど行われておらず、唯一実用化されている隔膜型ポーラログラフ式溶存水素センサが存在するのみである。



現在、溶存水素濃度を検出するセンサ機器としては、隔膜型ポーラログラフ式の溶存水素センサが唯一実用化されている。これには、例えば東亜DKK社製溶存水素計DHDI-1がある。これは気体透過性の隔膜を使用し、この隔膜を通して水素を電解液中に浸透・拡散させて、電解液中のアノード-カソード間に水素ガスの酸化反応に起因する電流を生じさせ、その電流値から溶存水素濃度を求めるというものである(特許文献3参照)。
しかしながら、この溶存水素計の場合、長期間の使用による隔膜・電解液の劣化が著しく、また、装置が比較的大型であり、小型化し難いという問題点がある。
また、水素吸蔵性の単体金属、水素吸蔵性の合金でもって水素を含む気相と接触することにより電気抵抗変化を生じる感応部を形成した水素センサ並びにナノカーボン材料、水素吸蔵性の単体金属、水素吸蔵性の合金から選択される材料でもって水素が溶存している液相と接触することにより電気抵抗変化を生じる感応部を形成した水素センサも提案されている(特許文献4参照)が、そこで具体的に示されている材料は、水素吸蔵性の単体金属としては、Ti等が挙げられること、水素吸蔵性の合金としては、Ni0.64Zr0.36、LaNi5等の水素吸蔵合金が挙げられること、そしてナノカーボン材料は、代表的なものとしてフラーレンやカーボンナノチューブが挙げられ、ナノカーボン材料にて形成する場合には、その表面にPd, Nb, Ti, V, Ta, Sc, Y, La, Ac, Cu, Fe, Ni, Pt, Al, Mo, W, Zr, Mg, Cr, Mn, Tc, Re, Ru, Os, Co, Rh, Ir, Hf, Ag, Au, Sn, Pb, Tl, Na, K, Ca, Li, Be, Rb, Sr, Cs, Ba, Fr, Ra, Zn, In, Ge, Si, Sb, Bi, Poから選択される金属による被覆を形成することが好ましいことが開示されている。しかし、そこではナノカーボン材料以外水素吸蔵性の材料としては具体的にはNi0.64Zr0.36、LaNi5といった合金とか、Tiという単体金属が指摘されているだけといったように、ごく限られた材料が述べられるだけであり、また、それは実証データと共に十分に明確に記載があるとは言い難い。さらにそこでは、「また上記のような測定終了後は、感応部2及び補助電極4が共に液相18中に浸漬された状態で、電源部3により、感応部2と補助電極4の間に、感応部2側が高電位、補助電極4側が低電位となるように電圧を印加する。このとき感応部2に吸蔵された水素が液相18中に放出されることとなり、次回の測定時において、より正確に溶存水素濃度を測定できるようになる。」と記載するように、一旦、水素吸蔵性の材料に水素を吸蔵せしめて測定を行った後、次回の測定のため、吸蔵水素を脱着せしめるのに特別な工夫を要するといった煩わしさもあり、継続して正確な測定を短時間に繰り返し行うには問題があった。




【特許文献1】特開2002-71611号公報

【特許文献2】特許第323120号

【特許文献3】特開5-232082号公報

【特許文献4】特開2004-125513号公報

産業上の利用分野


本発明は、水中に溶け込んでいる溶存水素検出・測定のための溶存水素センサ、並びに溶存水素センサを備えた溶存水素検出器、さらには溶存水素の吸蔵及び放出により可逆的に物性値が変化する金属材料である水素感応体に関する。本発明は、さらに溶存水素に対する水素感応体の可逆的に物性値が変化するのを利用して溶存水素を検出・測定する技術・手段に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
溶存水素の吸蔵及び放出により可逆的に物性値が変化する金属材料である水素感応体をセンサ素子とし、当該センサ素子の物性値変化を計測することにより、水中に溶け込んでいる溶存水素の有無あるいは濃度を検出することを特徴とする溶存水素センサであり、該溶存水素センサにおいて、下記の組成式:
Pd100-xMx
( M = Ni, Pt, Au; 0 ≦ x ≦ 50 at% )
で表されるPd金属又はPd-M合金をセンサ素子作製時の適切な加熱、あるいは該合金又はPd金属をセンサ素子作製時の適切な加熱及びその後の焼鈍熱処理を施し、平均結晶粒径を30nm以上に制御することによって微量水素への感受性を高めた金属材料水素感応体をセンサ素子とすることを特徴とする溶存水素センサ。

【請求項2】
前記金属材料水素感応体の電気抵抗値あるいは交流インピーダンスの変化に基づいて水中の微量水素を検出することを特徴とする請求項1に記載の溶存水素センサ。

【請求項3】
前記金属材料が薄膜材料であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の溶存水素センサ。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか一に記載の溶存水素センサを含むセンサ手段と、前記センサ素子の物性値の変化を検出する検出手段とを備えることを特徴とする溶存水素検出器。

【請求項5】
溶存水素の吸蔵及び放出により可逆的に物性値が変化する金属材料である水素感応体をセンサ素子とし、当該センサ素子の物性値変化を計測することにより、水中に溶け込んでいる溶存水素の有無あるいは濃度を検出することを特徴とする溶存水素センサを含むセンサ手段と、前記センサ素子の物性値の変化を検出する検出手段とを備えることを特徴とする溶存水素検出器であって、当該溶存水素検出器において、センサ素子における溶存水素感応部を除く全面を樹脂を含めたコーティング材を用いて被覆し、感応部のみを水中に露出することにより、溶存水素検出器の水中での使用を可能としたことを特徴とする溶存水素検出器。

【請求項6】
該溶存水素センサにおいて、下記の組成式:
Pd100-xMx
( M = Ni, Pt, Au; 0 ≦ x ≦ 50 at% )
で表されるPd金属又はPd-M合金をセンサ素子作製時の適切な加熱、あるいは該合金又はPd金属をセンサ素子作製時の適切な加熱及びその後の焼鈍熱処理を施し、平均結晶粒径を30nm以上に制御することによって微量水素への感受性を高めた金属材料水素感応体をセンサ素子とすることを特徴とする溶存水素センサであることを特徴とする請求項5に記載の溶存水素検出器。

【請求項7】
前記金属材料水素感応体の電気抵抗値あるいは交流インピーダンスの変化に基づいて水中の微量水素を検出することを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の溶存水素検出器。

【請求項8】
該溶存水素センサにおいて、前記金属材料が薄膜材料であることを特徴とする請求項5~7のいずれか一に記載の溶存水素検出器。
産業区分
  • 試験、検査
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005056498thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) SORST 平成14年度採択課題
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