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貴金属イオン捕集剤として有用なポリマー 新技術説明会

国内特許コード P08A013360
整理番号 06T16
掲載日 2008年4月25日
出願番号 特願2007-206959
公開番号 特開2008-095072
登録番号 特許第5522615号
出願日 平成19年8月8日(2007.8.8)
公開日 平成20年4月24日(2008.4.24)
登録日 平成26年4月18日(2014.4.18)
優先権データ
  • 特願2006-251209 (2006.9.15) JP
発明者
  • 馬場 由成
出願人
  • 国立大学法人 宮崎大学
発明の名称 貴金属イオン捕集剤として有用なポリマー 新技術説明会
発明の概要 【課題】分子内にキレート配位子を備えたポリマー及び該ポリマーを含有する貴金属イオン捕集剤の提供。
【解決手段】下式で示されるキトサン分子間を架橋せしめたポリマー及び該ポリマーを含有する貴金属イオン捕集剤。



(式中、R1、R2又はR3は、それぞれ独立に、貴金属イオンに配位可能架橋基、或いは水素を示す。)
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



九州地区のめっき企業から排出されるスラッジの発生量は約3千トン/年であり、その処理費用として約1億円/年の産廃処理コストが発生していることが明らかになった。特に、金、パラジウム、白金などの貴金属はめっき廃液中に微量に含まれているにもかかわらず、それらの希薄な濃度のために排水されている場合が多い。





一方、一次産業を多く抱える宮崎県では、農業、漁業や食品加工業から大量のバイオマス廃棄物(蜜柑果汁滓,蟹や海老殻など)が発生している。海洋投棄ができなくなった現在、その処理法技術や有効利用技術の開発も急を要する問題となっている。なかでも、エビ、カニ等の甲殻類の殻から得られるキトサンについては多くの分野で有効利用の研究が進められている。





本発明者等はこれまでに、キトサンが特定の金属イオンに対して高い選択性を有し、且つ飽和吸着量も相当大きいことを見出して発表した[Chem,Lett.p.1281(1988)]。この優れた性質は、天然多糖類キトサンの持つ、(1)高い親水性、(2)柔軟性に富んだ骨格構造及び、(3)多くの活性アミノ基の存在、によるものと考えられる。このようにキトサンは、市販のキレート樹脂にはみられない優れた金属イオン吸着特性を有し、かつ出発原料がバイオマス産業の廃棄物であるため、安価に得られる利点がある。しかし、貴金属または重金属イオンのキトサンによる吸着が起こるのは、酸性ではあるが比較的pHが高い領域であるため、pHが極めて低い酸侵出液などを処理する場合には、アルカリを加えてpH調整をしなければならないという難点があった。この問題を解決するため多くのキトサン誘導体が合成され、金属イオンの吸着性が検討された。しかし、金属イオンの効果的な捕集を目的としてキレート形成能を有する官能基を導入すると、キトサン誘導体が酸性溶液に溶解する問題が発生した。





そこで官能基を導入したキトサン誘導体を架橋して、酸性溶液に不溶な樹脂にすることが試みられた。しかし、その架橋反応によって官能基がつぶされるため交換容量が大幅に低下する問題が生じた。





本発明者等はこの問題を解決するため、特開平6-227813号公報に記載の発明を完成させた。特開平6-227813号公報に記載の発明は、先ずキトサンを構成するグルコサミンのアミノ基を、ピリジン環またはチオフェン環を含むアルデヒド誘導体と反応させ、シッフ塩基を形成させてアミノ基を保護してから、エピクロロヒドリンによりキトサン分子間の架橋を行い、次に四水素化ホウ素ナトリウムでシッフ塩基を還元することにより、キレート形成能を有する官能基であるピリジン環、またはチオフェン環を有する架橋ポリマーを合成する方法に関する。特開平6-227813号公報に記載の発明によるポリマーは、キトサン分子骨格が架橋構造を有するため貴金属イオンの吸着に適した酸性溶液中で溶解することがなく、且つキレート形成能を有する官能基が結合されているため貴金属イオンを効率的に吸着することができる。





【特許文献1】

開平6-227813号公報

【特許文献2】

開2004-2582号公報

【特許文献2】

許3235283号公報

【非特許文献1】

hem,Lett.p.1281(1988)

産業上の利用分野



本発明は貴金属イオン捕集剤及びそれを用いた貴金属イオン回収法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
貴金属イオンに配位可能な硫黄原子を含む配位基を含有する架橋基によりキトサン分子間を架橋せしめた構造を有するポリマーであって、キトサンを構成するグルコサミンとして式(I):
【化1】




(式中、R、R又はRは、それぞれ独立に、貴金属イオンに配位可能な硫黄原子を含む配位基を含有する架橋基を形成しているか、或いは水素であり、ただしR、R及びRが同時に水素であることはなく、
前記架橋基を形成するR、R又はRは、それぞれ独立に、同一又は異なるキトサン分子を構成する他のグルコサミンのR、R又はRと一緒になって貴金属イオンに配位可能な硫黄原子を含む配位基を含有する架橋基を形成しており、
前記架橋基の少なくとも1つは、異なるキトサン分子間に形成された架橋基である)
で表されるグルコサミン誘導体を含有し、前記架橋基が式(III)又は(IV):
【化2】




(式中、*印は式(I)のRが結合する窒素原子、Rが結合する酸素原子又はRが結合する酸素原子への結合位置を示す)
で表される架橋基である、前記ポリマー。

【請求項2】
請求項1記載のポリマーの製造方法であって、キトサンを構成するグルコサミンのアミノ基、6位炭素上の水酸基、及び/又は3位炭素上の水酸基を反応性基に変換し、当該変換後のキトサンに、当該反応性基に結合可能な官能基を少なくとも2つ有し、かつ貴金属イオンに配位可能な硫黄原子を含む配位基を含有する化合物を反応させてキトサン分子間を架橋させて、前記式(I)で表されるグルコサミン誘導体を含有するポリマーを得ることを特徴とする前記方法。

【請求項3】
請求項1記載のポリマーを含有する貴金属イオン捕集剤。

【請求項4】
酸性溶液中で吸着剤として請求項記載の貴金属イオン捕集剤を使用することを特徴とする貴金属イオン回収法。

【請求項5】
請求項1記載のポリマーを含有する微粒子の製造方法であって、
キトサンが溶解した第一水溶液を水相とするO/W/Oエマルションと、1)当該第一水溶液の浸透圧よりも高い浸透圧を有する第二水溶液および/または2)当該第二水溶液を水相とするW/Oエマルションとを混合することにより、前記第一水溶液からなる水相中のキトサンを濃縮するキトサン濃縮工程を含み、必要に応じて、前記濃縮工程後の前記第一水溶液中のキトサンを不溶化する不溶化工程を更に含む、キトサン微粒子調製工程、ならびに
前記キトサン微粒子調製工程により得られたキトサン微粒子に対して、当該微粒子中のキトサンを構成するグルコサミンのアミノ基、6位炭素上の水酸基、及び/又は3位炭素上の水酸基を反応性基に変換し、当該変換後のキトサンに、当該反応性基に結合可能な官能基を少なくとも2つ有し、かつ貴金属イオンに配位可能な硫黄原子を含む配位基を含有する化合物を反応させてキトサン分子間を架橋させて、前記式(I)で表されるグルコサミン誘導体を含有するポリマーを得る処理を施す架橋工程、
を含む、前記方法。

【請求項6】
請求項記載の方法により製造された、請求項1記載のポリマーを含有する微粒子。

【請求項7】
請求項記載の微粒子を含有する貴金属イオン捕集剤。

【請求項8】
酸性溶液中で吸着剤として請求項記載の貴金属イオン捕集剤を使用することを特徴とする貴金属イオン回収法。

【請求項9】
請求項記載の貴金属イオン捕集剤が充填されたカラムに、貴金属イオンを含む酸性溶液を通過させることを特徴とする請求項記載の貴金属イオン回収法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007206959thum.jpg
出願権利状態 登録


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