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H.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病の検出方法、およびその予防治療剤のスクリーニング方法

国内特許コード P08A013363
整理番号 2005-029
掲載日 2008年5月2日
出願番号 特願2007-083426
公開番号 特開2007-292741
登録番号 特許第4852706号
出願日 平成19年3月28日(2007.3.28)
公開日 平成19年11月8日(2007.11.8)
登録日 平成23年11月4日(2011.11.4)
優先権データ
  • 特願2006-087836 (2006.3.28) JP
発明者
  • 竹内 啓晃
  • 森本 徳仁
出願人
  • 国立大学法人高知大学
発明の名称 H.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病の検出方法、およびその予防治療剤のスクリーニング方法
発明の概要

【課題】特発性血小板減少性紫斑病(ITP)から、H.ピロリ関連ITPを選択的に検出する方法、当該H.ピロリ関連ITPの予防治療有効成分をスクリーニングする方法の提供。
【解決手段】H.ピロリ関連ITPの検出は、H.ピロリ由来17kDa、27 kDaまたは36 kDaのタンパク質に対する抗体を検出することによって実施。スクリーニング方法は下記工程で実施:(1)被験物質の存在または非存在下で、H.ピロリ由来17kDaタンパク質及び血小板、または17kDaタンパク質、血小板および抗H.ピロリ抗体を混合する工程、(2)被験物質の存在下での複合物生成量(標的生成量)と被験物質の非存在下での複合物生成量(対照生成量)とを対比し、(3)対照生成量に比して標的生成量が低減する場合の被験物質をH.ピロリ関連ITP予防治療有効成分として選択する工程。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


H.ピロリの感染は、胃粘膜局所の慢性炎症を引き起こし、胃十二指腸潰瘍、胃癌およびリンパ腫の発生と関与することが知られている(非特許文献1~3参照)。さらに、H.ピロリは、特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;以下、単に「ITP」ともいう)および自己免疫性甲状腺炎の病因に関連していることが示されている(非特許文献4および5参照)。



ITPは、成人および小児のいずれもが罹患する最も一般的な自己免疫疾患の1つである(非特許文献6~8等参照)。この疾患における血小板減少症は、自己抗体が、糖タンパク質IIb/IIIa(GPIIb/IIIa)あるいはGPIb/IX複合体等の血小板糖タンパク質(GP)を含む、様々な血小板膜レセプターと結合することによって生じると考えられている(特許文献7および8)。これらの標的抗原に対する自己抗体の結合が、結果として細網内皮系による血小板破壊をもたらし、血小板を減少させることになる(非特許文献10~13等参照)。



慢性ITP(以下、「cITP」ともいう)患者に対してH.ピロリ除菌療法を行うと、しばしば血小板の増加が認められる(非特許文献5、9および14参照)。このため、ITPは、H.ピロリ除菌療法が有効なH.ピロリ関連ITPと、H.ピロリ除菌療法が無効な本態性ITPとに大きく分類されている。ITPの発症に関与する血小板関連免疫グロブリンG(PA-IgG)のレベルは、本態性ITPほど顕著ではないが、H.ピロリ関連ITPにおいても同様に増加を示し、H.ピロリ除菌によって減少する(非特許文献15)。



このように、ITPの患者の中には、H.ピロリ除菌療法が有効な一群(H.ピロリ関連ITP)があることは明白であるが、ITPの病態にH.ピロリがどのように関わっているのかは明らかではない。



最近、高橋らは、H.ピロリ関連cITP患者では、PA-IgGが、100-150kDaのH.ピロリ由来CagAタンパク質を認識していることを(非特許文献15)、またフランチェスコらは、55-kDa血小板抗原を有するH.ピロリ関連cITP患者について、抗CagA抗体によって血小板が減少することを報告した(非特許文献2)。これらの報告は、PA-IgGおよび/または抗CagA抗体がH.ピロリ関連cITPの発症に関与することを示唆するものである。



しかしながら、抗ピロリ抗体は、血清中にH.ピロリ除菌の後も数ヶ月は存在しているにも関わらず、血小板数はそれ以前(1-2週間内)に回復することから、抗ピロリ抗体とH.ピロリ関連cITPとの直接的な関連性は不明瞭である。H.ピロリ除菌療法が血小板を増やす機序が解明されたら、そのメカニズムを利用して、治療にあたって不必要にH.ピロリ除菌療法を行うことなく、予めH.ピロリ関連ITP患者と本態性ITP患者とを選別することが可能である。また、上記機序の解明は、H.ピロリ陰性ITP患者やH.ピロリ除菌療法無効ITP患者に対する新たな治療方法の開発につながるのみならず、ITP以外の自己免疫疾患発症の機序解明と臨床応用にも寄与すると考えられる。

【非特許文献1】Cover, T. L., et al., 1992. Helicobacterpylori and gastroduodenal disease. Annu. Rev. Med. 43: 135-145.

【非特許文献2】Rauws, E. A., et al., 1990. Cure of duodenal ulcer associated with eradication of Helicobacter pylori. Lancet. 335: 1233-1235.

【非特許文献3】Forman, D. 1995. The prevalence of Helicobacter pylori infection in gastric cancer. Aliment. Pharmacol. Ther. 9 Suppl 2: 71-76.

【非特許文献4】Parsonnet, J., et al., 1994. Helicobacterpylori infection and gastric lymphoma. N. Engl. J. Med. 330: 1267-1271.

【非特許文献5】Emilia, G., et al., 2001. Helicobacterpylori eradication can induce platelet recovery in idiopathic thrombocytopenic purpura. Blood. 97: 812-814.

【非特許文献6】Gasbarrini, A., et al., 1999. Autoimmune diseases and Helicobacter pylori infection. Biomed. Pharmacother. 53: 223-226.

【非特許文献7】Harrington, W. J., et al., 1953. Immunologic mechanisms in idiopathic and neonatal thrombocytopenic purpura. Ann. Intern. Med. 38: 433-469.

【非特許文献8】Lusher, J.M., et al., 1966. Idiopathic thrombocytopenic purpura in childhood. J. Pediatr. 68: 971-979.

【非特許文献9】McMillan, R. 1981. Chronic idiopathic thrombocytopenic purpura. N. Engl. J. Med. 304: 1135-1147.

【非特許文献10】Beardsley, D. S., et al., 1984. Platelet membrane glycoprotein IIIa contains target antigens that bind anti-platelet antibodies in immune thrombocytopenias. J. Clin. Invest. 74: 1701-1707.

【非特許文献11】McMillan, R. 2000. Autoantibodies and autoantigens in chronic immune thrombocytopenia purpura. Semin. Hematol. 37: 239-248.

【非特許文献12】van Leeuwen, E. F., et al., 1982. Specificity of autoantibodies in autoimmune thrombocytopenia. Blood. 59: 23-26.

【非特許文献13】Varon, D., et al., 1983. A monoclonal anti-platelet antibody with decreased reactivity for autoimmune thrombocytopenic platelets. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 80: 6992-6995

【非特許文献14】Kohda, K., et al., 2002. Effect of Helicobacter pylori eradication on platelet recovery in Japanese patients with chronic idiopathic thrombocytopenic purpura and secondary autoimmune thrombocytopenic purpura. Br. J. Haematol. 118: 584-588.

【非特許文献15】Takahashi, et al., 2004. Molecular mimicry by Helicobacter pylori CagA protein may be involved in the pathogenesis of H. pylori-associated chronic idiopathic thrombocytopenic purpura.Br. J. Haematol. 124: 91-96.

産業上の利用分野


本発明は、特発性血小板減少性紫斑病の患者の中から、ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、本明細書および特許請求の範囲において「H.ピロリ」という)の感染に関連する特発性血小板減少性紫斑病(以下、「H.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病」という)の患者を選択的に検出する方法に関する。また本発明は、当該H.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病の予防または治療に有効な成分をスクリーニングする方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被験者について、SDS-PAGEで分子量17kDaと同定されるH.ピロリ由来のタンパク質に対する抗体を検出することを特徴とする、H.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病の検出方法。

【請求項2】
H.ピロリの細胞溶解物またはその調製物に含まれるSDS-PAGEで分子量17kDaと同定されるH.ピロリ由来のタンパク質と被験者の血清とを反応させて、抗原抗体反応の有無を指標として、SDS-PAGEで分子量17kDaと同定されるH.ピロリ由来のタンパク質に反応する抗体を検出する工程を有する、請求項1記載の検出方法。

【請求項3】
上記分子量17kDaと同定されるH.ピロリ由来のタンパク質が、pH5-8の等電点を有するものである、請求項1または2に記載する検出方法。

【請求項4】
下記の工程を有するH.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病の予防または治療のための有効成分をスクリーニングする方法:
(1)被験物質の存在下または被験物質の非存在下で、SDS-PAGEで分子量17kDaと同定されるH.ピロリ由来のタンパク質(17kDaタンパク質)と血小板、または17kDaタンパク質と血小板と17kDaタンパク質に対する抗体若しくはそれを含む成分を混合する工程、
(2)被験物質の存在下で、17kDaタンパク質と血小板、または17kDaタンパク質と血小板と17kDaタンパク質に対する抗体若しくはそれを含む成分を混合した場合に生じる複合物生成量(標的生成量)と、被験物質の非存在下で、17kDaタンパク質と血小板、または17kDaタンパク質と血小板と17kDaタンパク質に対する抗体若しくはそれを含む成分を混合した場合に生じる複合物生成量(対照生成量)とを対比し、
(3)対照生成量に比して標的生成量が低減する場合の被験物質を、H.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病の予防または治療剤の有効成分として選択する工程。

【請求項5】
上記17kDaタンパク質がpH5-8の等電点を有するものである、請求項4に記載する方法。

【請求項6】
血小板凝集量を複合物生成量として用いる請求項4または5に記載する方法。

【請求項7】
17kDaタンパク質に対する抗体を含む成分がH.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病に罹患した患者の血清である請求項4乃至6のいずれかに記載する方法。

【請求項8】
上記H.ピロリ関連特発性血小板減少性紫斑病に罹患した患者の血清がB型である、請求項7記載の方法。
産業区分
  • 治療衛生
  • 薬品
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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