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廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉

国内特許コード P08A013384
整理番号 12873
掲載日 2008年5月16日
出願番号 特願2006-210862
公開番号 特開2008-037673
登録番号 特許第4691710号
出願日 平成18年8月2日(2006.8.2)
公開日 平成20年2月21日(2008.2.21)
登録日 平成23年3月4日(2011.3.4)
発明者
  • 正木 敏夫
  • 山下 照雄
出願人
  • 独立行政法人 日本原子力研究開発機構
発明の名称 廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉
発明の概要

【課題】溶融槽内の溶融ガラスの下層部分の導電性物質の分布濃度が上層部分より大きくなることによる通電加熱における発熱部分の偏りを防止する。
【解決手段】円錐状耐熱合金製炉底部壁2と耐熱合金製加熱電極18の間に交流電圧を印加するように接続した第1の交流電源装置27から独立した耐熱合金製垂直部壁4と耐熱合金製加熱電極18の間に交流電圧を印加するように接続した第2の交流電源装置28によって溶融槽1内の溶融ガラス24の上層部分に通電するように構成することにより、廃棄物中に含まれている白金族元素などにより生成される導電性物質によって溶融槽内の溶融ガラスの下層部分の導電性物質の分布濃度が上層部分より大きくなっても通電加熱における発熱部分の偏りを防止して廃棄物処理能力の低下を防止する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


従来の廃棄物固化処理用電気溶融炉は、耐火物溶融炉では耐火煉瓦により炉体および溶融槽を形成し、その溶融槽内に1対ないし複数対の耐熱合金製の電極を配設した構造である。金属製溶融炉では耐熱合金製の溶融槽壁を有する円筒状の溶融槽に該溶融槽壁を対極とする耐熱合金製の加熱電極を該溶融槽内に1本ないし数本配設した構造である。



このような電気溶融炉は、溶融ガラスが導電性を有することを利用し、前記電極を介して溶融槽内の溶融ガラスに電流を流すことにより発生するジュール熱によってガラスを加熱溶融する構成であり、放射性液体廃棄物およびガラス原料を、溶融炉の上部から溶融ガラス液面上に供給することにより、ここで溶融ガラスによって加熱されて昇温,水分の蒸発,仮焼の過程を経て溶融ガラスと混ざり合った後に溶融炉から排出,冷却されてガラス固化される。



溶融炉を構成する耐火煉瓦および金属材料の健全性は、それらと接触する溶融ガラスの温度によって左右されるため、溶融炉内の溶融ガラスの温度分布は均一であることが望ましい。このために、溶融炉の形状や廃棄物処理量などに応じて様々な電極配置が試みられている。



高放射性液体廃棄物を処理する場合には、炉底部壁の異常温度上昇が発生し、廃棄物処理能力が低下する問題が生じている。この炉底部壁の異常温度上昇現象は、高放射性液体廃棄物に含まれているRu,Pd,Rh等の白金族元素が溶融ガラスに難溶性で溶融ガラスより高い粘性の導電性物質を形成して炉底に堆積して電極間電流がその導電性堆積物に集中することから、発生するジュール熱が上方の溶融ガラス液面に十分に供給されないことが原因である。



例えば、耐火物溶融炉については、米国ワシントン州パスコで1988年9月11日から15日にわたって開催された国際廃棄物管理会議スペクトラム88の議事録(Proceedings of the International Topical Meeting on Nuclear and Hazardous Waste Management SPECTRUM'88)(American Nuclear Society,Inc.出版)の75頁に記載されているホルスト・ヴィーゼ(Horst Wiese)の「ベルギーのパメラプラントでの高放射性液体廃棄物の工業的ガラス固化」(Industrial Vitrification of High Level Liquid Waste with The PAMERA Plant in Belgium)では、通常の3分の1の電気抵抗値および通常の5倍の粘性値を有する白金族元素からなる導電性物質が炉底に5cmの厚さに堆積したことによって通電特性が変化し、ガラス製造速度が30kg/hrから20kg/hrに低下したと報告されている。



また、同会議の議事録の82頁に記載された虎田真一郎(Shin-ichiro Torata)の「動燃東海ガラス固化技術開発施設のためのガラス溶融炉の開発」(Development of Glass Melter for PNC Tokai Vitrification Facility)には、炉底勾配を持つ実験室規模の溶融炉を使用した数種の実験の結果、45°の勾配が白金族元素からなる堆積物の排出に有効であることが判り、同勾配を持つ実規模大の溶融炉の試験結果から、その効果が評価されたと報告されている。



たま、金属溶融炉については、日本原子力研究開発機構の公開研究成果報告書である「円筒電極直接通電型溶融炉工学試験装置第9回試験(JCEM-E9試験)」(N8410 98-041)では、45°の炉底勾配を有する金属溶融炉にて白金族元素の抜き出し性については良好な結果を得ているにもかかわらず、白金族元素を含有した模擬廃液での処理能力は、白金族元素を含有しない模擬度廃液を用いた試験での結果よりも20%以上低下することが確認された。これは、溶融ガラス中の導電性白金族元素の濃度が溶融槽の上層部分と下層部分では下層部分の方が高くなることによる、加熱電流密度分布の下部への移動が主な原因と考える、と報告されている。




【非特許文献1】Proceedings of the International Topical Meeting on Nuclear and Hazardous Waste Management SPECTRUM'88 American Nuclear Society,Inc.出版

【非特許文献2】円筒電極直接通電型溶融炉工学試験装置第9回試験(JCEM-E9試験)-高放射性廃液固化研究報告- 1998年2月 動力炉・核燃料事業団 東海事業所

産業上の利用分野


本発明は、廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉に関し、特に、溶融炉内の溶融ガラスに通電することにより発生するジュール熱を利用してガラス原料を溶融させ、溶融ガラス内に廃棄物を混入させて固化処理するための電気溶融炉に関するものである。この溶融炉は、各種の産業廃棄物のガラス固化処理、特に高放射性液体廃棄物のガラス固化処理に使用するのに好適である。

特許請求の範囲 【請求項1】
円錐状耐熱合金製炉底部壁と円環状耐火煉瓦製垂直部壁と該円環状耐火煉瓦製垂直部壁によって前記円錐状耐熱合金製炉底部壁から電気的に絶縁して設けた円筒状耐熱合金製垂直部壁によって包囲して溶融空間を形成し、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁は、前記溶融空間における下部の円錐状側壁の全域を形成するように構成した溶融槽と、前記溶融槽内にガラス原料および廃棄物を供給する供給口と、前記溶融槽内の廃棄物を含む溶融ガラスを排出する溶融ガラス排出口と、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁および円筒状耐熱合金製垂直部壁を対極とするように前記溶融槽の中心部に垂下させて設置した耐熱合金製加熱電極と、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁と円環状耐火煉瓦製垂直部壁と円筒状耐熱合金製垂直部壁および耐熱合金製加熱電極に設けた空冷式の冷却手段と、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁と耐熱合金製加熱電極の間に交流電圧を印加するように接続した第1の交流電源装置と、前記円筒状耐熱合金製垂直部壁と前記耐熱合金製加熱電極の間に交流電圧を印加するように接続した第2の交流電源装置を備えたことを特徴とする廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉。

【請求項2】
請求項1において、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁の傾斜壁面は、底部中央部に位置する溶融ガラス排出口に向けて45°~60°の均一な勾配で形成したことを特徴とする廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉。

【請求項3】
請求項1において、前記円錐状耐熱合金製炉底浴壁の傾斜壁面は、底部中央部に位置する溶融ガラス排出口に向けて45°~90°まで段階的または連続的に変化する勾配で形成したことを特徴とする廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉。

【請求項4】
請求項1~3の1項において、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁と前記溶融ガラス排出口の周辺には、補助加熱装置を配設したことを特徴とする廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉。

【請求項5】
請求項4において、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁と円環状耐火煉瓦製垂直部壁と円筒状耐熱合金製垂直部壁と溶融ガラス排出口と耐熱合金製加熱電極および補助加熱装置は、それぞれ、単独に交換可能な独立部品として構成したことを特徴とする廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉。

【請求項6】
請求項4において、前記円錐状耐熱合金製炉底部壁の周囲に設けた補助加熱装置は、前記溶融槽内の溶融ガラスを前記溶融ガラス排出口から排出させる前の所定時間にわたって発熱させて該溶融槽内における前記円錐状耐熱合金製炉底部壁の近傍の溶融ガラスを更に加熱するように構成したことを特徴とする廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉。

【請求項7】
請求項1~6の1項において、前記溶融槽内には、該溶融槽内の溶融ガラスを攪拌するための攪拌気体供給管および/または機械式攪拌装置を設けたことを特徴とする廃棄物ガラス固化処理用電気溶融炉。
産業区分
  • 窯業
  • 原子力
  • 放射性物質処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006210862thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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