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網膜新生血管に対する薬物効果の新規評価システム コモンズ

国内特許コード P08A013408
整理番号 1066
掲載日 2008年5月23日
出願番号 特願2005-360983
公開番号 特開2007-159492
登録番号 特許第4961547号
出願日 平成17年12月14日(2005.12.14)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
登録日 平成24年4月6日(2012.4.6)
発明者
  • 村上 智昭
  • 吉村 長久
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 網膜新生血管に対する薬物効果の新規評価システム コモンズ
発明の概要

【課題】増殖性糖尿病網膜症の病態を従来のものよりも反映し得るモデルの提供。
【解決手段】網膜及びそれに付着した硝子体を含み、かつ網膜から硝子体中に伸展している管状新生血管を有する、培養組織、並びに上記培養組織を含む、血管新生、特に増殖性糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫及び癌における血管新生の評価のモデル系;血管形成誘導作用を有する因子の存在下で、硝子体が付着した摘出網膜を培養することを含む、管状新生血管を有する網膜培養物の製造方法;血管新生を抑制する物質のスクリーニング方法;血管の様式を調節する物質のスクリーニング方法など。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


糖尿病網膜症は、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害とともに糖尿病の3大合併症の一つとして知られており、常に日本では成人の失明原因の上位を占めている。その病態解明、治療法の開発は急務であるが、現在までに網膜血管障害を基盤とし、進行に伴い網膜新生血管を生じる疾患であることはわかっているが、適切なモデル動物が存在しないため、十分な理解がなされていない。治療に関しては、レーザー治療、手術治療により、ある程度の寛解が得られるものの、未だに重篤な視力障害をきたす患者が多い。また、予防にいたっては血糖値のコントロールのみであり、事実上、手つかずの状態であった。



糖尿病網膜症は、進行の程度により大きく3段階、詳細には、単純糖尿病網膜症、前増殖性糖尿病網膜症、増殖性糖尿病網膜症に分類することができる。単純糖尿病網膜症は、微小血管瘤を初期病変とし、網膜血管障害による、網膜出血、網膜浮腫、硬性白斑、軟性白斑を主体とする病態である。比較的視力予後が良好な症例が多いが、上記の病変が黄斑部に発症すると重篤な視力障害を残すこともある。前増殖性糖尿病網膜症は、単純糖尿病網膜症における網膜血管障害が進行し、網膜血管閉塞を基盤とする状態であり、初期病態として血管退縮が認められ、その後に網膜内微小血管異常(IRMA)や静脈数珠状拡張に至ることを特徴とする。増殖性糖尿病網膜症は、広範な網膜血管閉塞部位から発生する因子(おそらくはVEGFが主たるものと考えられている)が網膜及び硝子体での新生血管を誘導することを特徴とし、続発する網膜剥離や硝子体出血により、失明に至ることで知られている。



従来、増殖性糖尿病網膜症に関する研究は、(1)in vitroの系(非特許文献1)、(2)未熟児網膜症モデル(非特許文献2)、(3)糖尿病モデル(非特許文献3、4)、(4)VEGF硝子体投与(非特許文献5)により行われていた。増殖性糖尿病網膜症は、一旦正常に成熟した網膜血管からの血管新生により特徴付けられるが、上記(1)については、in vitroでは網膜環境での血管の動態を再現できない、上記(2)については、未熟児網膜症モデルでは発生途中の新生血管と、一旦正常に成熟した網膜血管からの新生血管とが区別できない、上記(3)については、既存の糖尿病モデルでは新生血管が発生しない、上記(4)については、VEGF硝子体投与では新生血管が発生しない、という問題がある。また、(5)in vivoの系では、血液網膜柵のため薬物送達が困難であるという問題もある。



さらには、網膜新生血管の研究では、(6)新生血管が正常な成体網膜から生じないことが大きな問題となっているが、このような問題を解決したかのような報告が幾つかなされている(非特許文献6、7)。しかし、これらの系における新生血管は、網膜血管内皮細胞が網膜の切断部分から培養ゲルへ進展したことに起因するものであること、並びにこれらの系では、硝子体中への新生血管の伸展は認められていないことから、これらの系は増殖性糖尿病網膜症の病態を十分に反映しているものではないと考えられる。

【非特許文献1】King GL. J Clin Invest. 71: 974-9 (1983)

【非特許文献2】Smith LE. Invest Ophthalmol Vis Sci. 35: 101-11 (1994)

【非特許文献3】Engelman RL. Diabetes 33: 97-100 (1984)

【非特許文献4】Hammes HP. Proc Natl Acad Sci USA. 88: 11555-8 (1991)

【非特許文献5】Miler JW. Am J Pathol. 145: 574-84 (1994)

【非特許文献6】Forrester et al., Arch Ophthalmol vol.108: 415-420 (1990)

【非特許文献7】Knott et al., Diabetrogia vol.42:870-877 (1999)

産業上の利用分野


本発明は、管状新生血管を有する網膜培養物の製造方法、増殖性糖尿病網膜症を予防・治療し得る物質のスクリーニング方法、並びに管状新生血管を有する網膜培養物及び増殖性糖尿病網膜症のモデル系としてのその使用などを提供する。

特許請求の範囲 【請求項1】
網膜及びそれに付着した硝子体を含み、かつ網膜から硝子体中に伸展している管状新生血管を有する、培養組織。

【請求項2】
房状新生血管を有しない、請求項1記載の組織。

【請求項3】
管状新生血管が、一旦正常に成熟した網膜および網膜血管から発生している、請求項1記載の組織。

【請求項4】
管状新生血管が網膜の非切断部分から発生している、請求項1記載の組織。

【請求項5】
網膜及びそれに付着した硝子体を含み、かつ網膜から硝子体中に伸展している管状新生血管を有する培養組織を含む、血管新生の評価のモデル系。

【請求項6】
血管新生の評価のモデル系が、増殖性糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫及び癌における血管新生の評価のモデル系である、請求項5記載の系。

【請求項7】
VEGF又はPlGFの存在下で、硝子体が付着した摘出網膜を培養することを含む、管状新生血管を有する網膜培養物の製造方法。

【請求項8】
硝子体が付着した摘出網膜の培養が、網膜部分を培養膜上に固定した条件下でおこなわれる、請求項7記載の方法。

【請求項9】
硝子体が付着した摘出網膜の培養が、該摘出網膜の培養膜への非固定部分を培養ゲルに包んだ条件下でおこなわれる、請求項8記載の方法。

【請求項10】
以下の工程(a)~(c)を含む、血管新生を抑制する物質のスクリーニング方法:
(a)硝子体が付着した摘出網膜を、VEGF又はPlGF及び被験物の存在下で培養する工程;
(b)上記(a)で培養された該網膜における血管新生の程度を測定し、該程度を、該因子の存在下及び該被験物の不在下で培養された該網膜における血管新生の程度と比較する工程;ならびに
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、血管新生を抑制する被験物を選択する工程。

【請求項11】
血管新生を抑制する物質が、増殖性糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫及び癌を予防・治療し得る物質である、請求項10記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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