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実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法と余寿命予測方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P08A013459
整理番号 ShIP-5040
掲載日 2008年6月13日
出願番号 特願2005-340393
公開番号 特開2007-147375
登録番号 特許第4774515号
出願日 平成17年11月25日(2005.11.25)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発明者
  • 東郷 敬一郎
  • 小粥 宣拓
出願人
  • 国立大学法人静岡大学
発明の名称 実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法と余寿命予測方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】任意の応力分布下にある構造材料の腐食環境との接触表面における微小な表面き裂の発生、合体、進展により検出可能な寸法の表面き裂が形成されるまでの過程とその後のき裂の進展と合体により大き裂が形成されるまでの過程を予測する方法と、予測結果に基づいて余寿命を予測する方法を提供しようとする。【解決手段】構造材料の実験室加速試験および実構造物環境における小型試験片において微小な表面き裂の発生、合体、進展挙動に関するデータを取得する。これらのデータをインプットデータとして、実構造物における応力腐蝕割れたる、微小な表面き裂の発生を確率過程として、合体および進展を確定過程としてコンピュータシミュレーションを行う。シミュレーションの結果、限界表面き裂に達するまでのSCC寿命が統計量として得られるので、実構造物の現時点からの余寿命を予測する。【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


発電プラントなどの機器および構造物(以下「実構造物」ともいう)の損傷、破壊は人命にかかわるとともに多大な経済的損失を招くことから、これらの実構造物の健全性、信頼性の確保は重要な課題である。また、既に長年使用してきた構造物をさらに有効に利用するため、安全に長い期間使用する技術の開発が望まれている。



経年劣化という観点からは、低応力、腐食環境下で徐々に進行する応力腐食割れ(以下「SCC」とも言う)対策が特に重要となっている。SCCは材料、環境および応力の組合せにより生ずる極めて複雑な破壊現象であり、その挙動を学術的に解明するための詳細な研究と実際の発電プラントなどの構造材料のSCC挙動、余寿命を予測する手法の開発が行われている。SCC挙動を解明するための研究は、実験室レベルで、加速環境下で試験を行い、腐食ピットの発生、ピットからの微小な表面き裂の発生、微小な表面き裂の合体による進展性表面き裂の形成、表面き裂の進展と合体による大き裂の形成などの挙動が明らかにされている。



一方、発電プラントなどの構造物におけるSCC挙動と余寿命評価は、特許文献1にあるように、機器および実構造物中に負荷をかけた金属試験片を入れ、実構造物環境でのSCC挙動を採取するとともに、実験室レベルでの加速試験を行い、実構造物環境でのSCCデータと加速試験データから、実構造物環境での未来のSCC挙動を予測し、余寿命を評価する方法が提案されている。また、特許文献2にあるように、実構造物中から材料を切出し、SCC感受性について試験を行い、余寿命を評価する方法が提案されている。これらに開示されているように、実際の構造物のSCC挙動、余寿命評価法として既に提案されている方法は、比較的大きくなった検出可能なき裂(数mm~10数mm)を捉え、その後のき裂進展挙動により余寿命を予測しようとするものであり、微小な表面き裂の発生および合体により検出可能な表面き裂が形成されるまでの過程は考慮されていない。



非特許文献1に見るように、SCCにおける微小なき裂の発生から合体、進展により大き裂にいたる確率過程を考慮したシミュレーション方法が提案されている。しかし、これは、一様応力場の貫通き裂を仮定し、合体条件、進展条件も特定の実験結果に基づいており、実験室レベルの実験の再現シミュレーションにとどまっており、実構造物環境のSCC挙動を予測できるまでには至っていない。



上記のように、これまでの実際の機器および構造物におけるSCC挙動、余寿命の予測方法においては、SCCにおける検出可能な表面き裂が形成されるまでの微小な表面き裂の発生、合体および進展の過程が考慮されておらず、合理性、信頼性が充分ではなく、そのために過度に安全側の評価とせざるを得なかった。また、微小なき裂の発生過程、合体、進展を考慮したシミュレーションによる方法も、実際の機器および構造物に適用し得るようには至っていない。

【特許文献1】特開平05-297181公報

【特許文献2】特開平11-173970公報

【非特許文献1】(Y.-Z. Wang et al., The behaviour of multiple stress corrosion cracks in a Mn-Cr and Ni-Cr-M0-V steel: III Monte Carlo simulation, Corrosion Science, Vol. 37, No. 11 (1995), pp. 1705-1720)

産業上の利用分野


本発明は、発電プラントなどの構造材料における応力腐食割れによる微小な表面き裂の発生、合体、進展の挙動を予測する実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法とその実構造物における寿命または現時点からの余寿命(以下「余寿命」という)を予測する余寿命予測方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
実構造物環境における表面き裂の発生を確率過程とし、表面き裂の合体および進展を確定過程とするアルゴリズムによって、実構造物の応力腐食割れの挙動を予測する実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法であって、
前記アルゴリズムでは、
実構造物の解析領域における応力分布を考慮するために前記解析領域内を複数の応力領域に分割して同応力領域ごとに引張応力を設定し、
表面き裂発生過程における表面き裂の発生時間は、表面き裂発生可能数と累積確率分布に基づく乱数により割り当てられ、
前記表面き裂発生可能数は、前記応力領域ごとの面積に応じて決定され、
前記累積確率分布は、前記応力領域ごとの引張応力に応じて決定され、
前記表面き裂の合体および進展過程においては、表面き裂のき裂長さとき裂深さとの比であるアスペクト比を用いてき裂の進展を予測することを特徴とする実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項2】
前記累積確率分布は、加速試験や実構造物環境下の試験片により得られたデータに基づき得ることを特徴とする請求項記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項3】
前記アルゴリズムでは、表面き裂の発生位置は一様分布の乱数により、表面き裂長さは正規分布の乱数によるものとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項4】
前記アルゴリズムでは、近隣の表面き裂との先端間距離が臨界距離内となった表面き裂同士は合体させるとしたことを特徴とする請求項1乃至記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項5】
前記臨界距離は、合体領域半径rcとして、
【数式1】


(但し、KIAは各き裂の表面部での応力拡大係数、σysは材料の降伏応力、kは材料および環境に依存する係数である。)
で与えられることを特徴とする請求項記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項6】
前記合体後の表面き裂のき裂長さは合体前の2個の表面き裂を含んだ長さ寸法とし、き裂深さは2個の表面き裂の内のより深い方の深さ寸法としたことを特徴とする請求項記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項7】
幾つかの表面き裂同士が臨界距離内にあるとき、多数の表面き裂間の相互作用を考慮した表面き裂同士が合体するとしたことを特徴とする請求項乃至記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項8】
前記多数の表面き裂間の相互作用を考慮した表面き裂同士とは、表面き裂同士が合体する条件を満たす全ての表面き裂の組について先端間距離dを計算し、これを該当する表面き裂同士でつくる合体領域半径rcで除した値d/rcが最も小さい表面き裂同士であるとしたことを特徴とする請求項記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項9】
前記アルゴリズムでは、表面き裂の発生、合体、及び進展により応力解放された応力解放域内には、次の表面き裂の発生、合体、又は進展はできないとしたことを特徴とする請求項乃至記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項10】
前記応力解放域内とは、当該表面き裂のき裂長さを直径とする円内としたことを特徴とする請求項記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項11】
前記アルゴリズムでは、表面き裂の合体および進展は、直前の表面き裂発生からの時間Δtの間において、当該時間Δtを細分割して逐次進行させるとしたことを特徴とする請求項乃至10記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項12】
前記アルゴリズムは、実構造物の解析領域と該解析領域における応力分布を設定するステップ1と、各応力領域および全領域における発生可能表面き裂数を得るステップ2と、各応力領域で発生可能な全ての表面き裂数に対する発生時間を各応力領域の累積確率分布に基づく乱数により割り当てて全領域で発生可能な全ての表面き裂数の発生時間を決定するステップ3と、表面き裂の発生は割り当てられた表面き裂発生時間の短いものから順に該当の応力領域に生じ得るとして、そのき裂発生位置はその応力領域内の一様乱数により、そのき裂長さは正規乱数により割り当てるステップ4と、き裂発生位置が応力解放域内であった場合には、当該表面き裂は発生できなかったものとして、次の表面き裂発生について前記ステップ4へ戻るステップ5と、き裂発生位置が応力解放域外であった場所には、当該表面き裂を発生させるとともに直前の表面き裂発生からの時間Δtを計算するステップ6と、応力解放域外において近隣の表面き裂との先端間距離が臨界距離内になったときは、近隣の表面き裂と合体させるステップ7と、合体が進んで進展性表面き裂長さに達した表面き裂を表面き裂進展特性に基づいて時間Δtに相当する分だけ進展させるステップ8とを有していることを特徴とする請求項1記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項13】
前記ステップ7の合体では、合体後の表面き裂のき裂長さは合体前の2個の表面き裂を含んだ長さ寸法とし、き裂深さは2個の表面き裂の内のより深い方の深さ寸法としたことを特徴とする請求項12記載の実構造物の応力腐蝕割れ挙動予測方法。

【請求項14】
請求項1乃至13記載の応力腐蝕割れ挙動予測方法を多数回繰り返して、その統計的特性から限界き裂長さに達するまでの余寿命を推定する余寿命予測方法。

産業区分
  • 試験、検査
  • 原子力
  • 原子力
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005340393thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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