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微小物質固定装置及び微小物質固定方法 新技術説明会

国内特許コード P08A013500
整理番号 ShIP-6045
掲載日 2008年6月13日
出願番号 特願2006-236599
公開番号 特開2008-055349
登録番号 特許第4714877号
出願日 平成18年8月31日(2006.8.31)
公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
登録日 平成23年4月8日(2011.4.8)
発明者
  • 岩田 太
  • 山本 龍二
  • 伊東 聡
  • 佐々木 彰
出願人
  • 国立大学法人静岡大学
発明の名称 微小物質固定装置及び微小物質固定方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】複数の微小物質の中から任意に選択した微小物質のみを該微小物質に何ら影響を与えることなく確実且つ容易に基板上に固定でき、しかも、作業環境や液体の種類に影響を受けることなく、あらゆる種類の微小物質をコストをかけずに基板上に固定すること。
【解決手段】基板2上に液体Wを介在させた状態で対向配置され、金属層4が形成された対向基板3と、レーザ光を液体内でスポットとして集光させ、微小物質を光放射圧によって捕捉する光学系5と、微小物質を観察する観察系6と、基板を3方向に移動させて捕捉した微小物質を基板上の所定位置に近接させる移動手段7と、微小物質が基板上の所定位置に近接したときに電圧印加を行わせて、微小物質を基板上に引き寄せて固定させるように電圧印加手段8を制御する制御部9とを備えている微小物質固定装置1を提供する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要

液中に存在する微小物質、例えば、ポリスチレン微粒子や細胞等を捕捉する技術として、レーザ光を微小物質に集光させ、光放射圧を利用して捕捉する技術が従来から知られている。これは、光トラップとも呼ばれるものであり、媒質の違いによって屈折した光の運動量に起因した力を利用して微小物質を捕捉する方法である。
ところで、現在ではマイクロマシンやMEMS(Micro Electro Mechanical System)等のマイクロ物体の組み立てに応用するために、微小物質を基板上の所定位置に固定させると共に、所定の形状にパターニングすること等が求められている。そのため、上述したように液中で微小物質を捕捉した後、捕捉した微小物質を基板上に固定することが重要な課題とされている。

ところが、液中に存在する微小物質は、通常帯電している状態であるので、基板に容易に固定することができなかった。
つまり、液中環境下におかれた物体表面は、液体の種類やpH等の状況によりプラス若しくはマイナスに帯電した状態となっている。なお、説明を判り易くするため、ここでは物体表面がマイナスに帯電している場合を例に挙げて以下に説明する。
そのため、液中に存在する微小物質の表面や基板の表面についても同様に、マイナスに帯電した状態となっている。一方、物体表面の近傍は、帯電したマイナスを打ち消すようにプラスに帯電した状態となっている、そのため、微小物質の表面近傍並びに基板の表面近傍は、プラスに帯電した状態となっている。つまり、マイナスに帯電した層とプラスに帯電した層とが重なった電気二重層が形成されている。よって、液中に浮遊している微小物質が基板に接近すると、互いの電気二重層が重なり合うので、静電気的相互作用によって斥力が働く。また、この現象は、基板だけでなく他の微小物質に対しても同様である。従って、微小物質は基板や他の微小物質に付着することなく、液中を浮遊した状態となっている。

ここで、光トラップによって微小物質を捕捉する力は、ピコニュートンレベルの力であるので、捕捉した微小物質を基板に近づけたとしても、上述したように電気二重層が重なって生じた斥力によって跳ね返されてしまう。従って、単に捕捉して近づけただけでは微小物質を基板に固定することはできなかった。そこで、微小物質を基板に固定するために、幾つかの方法が考えられている。
例えば、その1つとして、光トラップした微小物質を基板に極力近づけた状態でパルスレーザを照射して、微小物質を基板に溶着する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この方法によれば、微小物質を加熱により溶解させて基板に固定するので、斥力を受けたとしても固定を行うことができる。

また、別の方法として、光硬化性材料を含む液体内に微小物質を入れた後、光トラップした微小物質を基板に極力近づけた状態で微小物質周辺に光を照射して集光させ、該光によって硬化した樹脂で微小物質を固定する方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。この方法によれば、硬化した樹脂で基板と微小物質とを繋ぎとめて固定するので、斥力を受けたとしても固定を行うことができる。

また、さらに別な方法として、光トラップした微小物質を予め帯電した基板に近づけて、静電気的相互作用を用いて固定する方法が知られている(例えば、非特許文献3参照)。この方法は、予め基板がプラスに帯電するように調整されている。これにより、光トラップした微小物質を基板に近づけると、該微小物質が斥力を受けるのではなく、逆に基板に引き寄せられる。その結果、微小物質を基板に固定することができる。
【非特許文献1】Jaihyung.Won、他3名、「Photothermal fixation of laser-trapped polymer microparticles on polymer substrates」、APPLIED PHYSICS LETTERS、1999年9月13日、VOLUME75、NUMBER11、P1506-P1508
【非特許文献2】Syoji Ito、他2名、「Optical patterning and photochemical fixation of polymer nanoparticles on glass substrates」、APPLIED PHYSICS LETTERS、2001年4月23日、VOLUME78、NUMBER17、P2566-P2568
【非特許文献3】J,P,Hoogenboom、他4名、「Patterning surfaces with colloidal particles using optical tweezers」、APPLIED PHYSICS LETTERS、2002年6月24日、VOLUME80、NUMBER25、P4828-P4830

産業上の利用分野

本発明は、液中にて基板上に微小物質を固定する微小物質固定装置及び微小物質固定方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
液体内に予め投入された微小物質を基板上に固定する微小物質固定装置であって、
前記基板上に前記液体を介在させた状態で対向配置され、少なくとも対向面が導電性とされた対向基板と、
レーザ光を照射すると共に照射したレーザ光を前記液体内でスポットとして集光させ、前記微小物質を光放射圧によって捕捉する光学系と、
光源を有し、該光源から照射された光を利用して前記微小物質を観察する観察系と、
前記基板を、前記対向面に平行なXY方向及び対向面に垂直なZ方向の3方向に移動させ、捕捉された前記微小物質を基板上の所定位置に近接させる移動手段と、
前記基板と前記対向面との間に所定電圧値の電圧を印加する電圧印加手段と、
前記微小物質が前記基板上の所定位置に近接したときに電圧印加を行わせて、微小物質を基板上に引き寄せて固定させるように前記電圧印加手段を制御する制御部とを備えていることを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微小物質固定装置において、
前記対向基板が、導電性基板であることを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の微小物質固定装置において、
前記制御部は、前記光学系、前記移動手段及び前記電圧印加手段を制御して、前記基板上に前記微小物質を任意のパターンで複数固定させることを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の微小物質固定装置において、
前記光学系は、前記レーザ光を複数の光束に分岐させるレーザ分岐素子を備え、分岐された複数の光束を任意の配列で並んだ複数のスポットとして集光させて、前記微小物質を一度に複数捕捉することを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の微小物質固定装置において、
前記対向面には、金属層が形成されており、
前記制御部は、前記電圧印加を行わせた後、電圧値を前記所定電圧値よりも上げた状態で再度電圧印加を行わせ、前記金属層から金属微粒子を前記微小物質が固定された前記基板に向けて電気泳動により移動させると共に、基板上に金属微粒子を堆積させることで金属膜を成膜させるように前記電圧印加手段を制御することを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の微小物質固定装置において、
前記金属層は、スパッタ法又は蒸着法により前記対向面に形成されていることを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の微小物質固定装置において、
前記制御部は、前記所定電圧値で電圧印加を行わせるときと、所定電圧値よりも大きな電圧値で電圧印加を行わせるときとで、極性が逆になるように前記電圧印加手段を制御することを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載の微小物質固定装置において、
前記制御部は、所定時間以上の間、前記所定電圧よりも大きな電圧値で電圧を印加するように前記電圧印加手段を制御して、前記微小物質を埋没させるように前記金属膜を成膜させることを特徴とする微小物質固定装置。
【請求項9】
液体内に予め投入された微小物質を基板上に固定する微小物質固定方法であって、
少なくとも対向面が導電性とされた対向基板を、前記微小物質が予め投入された前記液体を間に介在させた状態で前記基板上に対向配置させるセット工程と、
該セット工程後、レーザ光を照射すると共に照射したレーザ光を前記液体内でスポットとして集光させ、前記微小物質を光放射圧によって捕捉する捕捉工程と、
該捕捉工程後、前記基板を前記対向面に平行なXY方向及び対向面に垂直なZ方向の3方向に適宜移動させて、捕捉された前記微小物質を基板上の所定位置に近接させる位置調整工程と、
該位置調整工程後、前記基板と前記対向面との間に所定電圧値の電圧を印加して、捕捉された前記微小物質を基板上に引き寄せて固定させる固定工程とを備えていることを特徴とする微小物質固定方法。
【請求項10】
請求項9に記載の微小物質固定方法において、
前記対向基板が、導電性基板であることを特徴とする微小物質固定方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の微小物質固定方法において、
前記捕捉工程、前記位置調整工程及び前記固定工程を繰り返し行って、前記基板上に前記微小物質を任意のパターンで複数固定させることを特徴とする微小物質固定方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の微小物質固定方法において、
前記捕捉工程の際、前記レーザ光を複数の光束に分岐させた後、分岐された複数の光束を任意の配列で並んだ複数のスポットとして集光させて、前記微小物質を一度に複数捕捉することを特徴とする微小物質固定方法。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか1項に記載の微小物質固定方法において、
前記対向面には、金属層が形成されており、
前記固定工程後、電圧値を前記所定電圧値よりも上げた状態で再度電圧印加を行って、前記金属層から金属微粒子を前記微小物質が固定された前記基板に向けて電気泳動により移動させると共に、基板上に金属微粒子を堆積させることで金属膜を成膜する電圧印加工程を行うことを特徴とする微小物質固定方法。
【請求項14】
請求項13に記載の微小物質固定方法において、
前記金属層は、スパッタ法又は蒸着法により前記対向面に形成されていることを特徴とする微小物質固定方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の微小物質固定方法において、
前記電圧印加工程の際、前記固定工程時の逆の極性で電圧を印加することを特徴とする微小物質固定方法。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか1項に記載の微小物質固定方法において、
前記電圧印加工程の際、所定時間以上の間電圧印加を行って、前記微小物質を埋没させるように前記金属膜を成膜させることを特徴とする微小物質固定方法。
産業区分
  • 処理操作
  • その他機械要素
  • 光学装置
  • 工業用ロボット
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006236599thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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