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分子論理素子

国内特許コード P08A013510
掲載日 2008年6月13日
出願番号 特願2005-281941
公開番号 特開2007-096627
登録番号 特許第4664791号
出願日 平成17年9月28日(2005.9.28)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
登録日 平成23年1月14日(2011.1.14)
発明者
  • 杉本 直己
  • 三好 大輔
  • 井上 真美子
出願人
  • 学校法人甲南学園
発明の名称 分子論理素子
発明の概要

【課題】核酸による論理素子に関し、酵素反応を用いない単純なシステムであり、汎用性のある論理素子を提供する。さらに、該論理素子を用いた出力の簡便な出力検出方法を提供する。
【解決手段】少なくとも二つの核酸鎖(オリゴヌクレオチド)を含み、該核酸鎖が環境要因により核酸の四重らせん構造を形成しうる配列を含み、環境要因を入力することにより、核酸鎖の四重らせん構造と二重鎖構造間の平衡を制御させて、出力を検出可能とする分子論理素子による。出力は、光学的手段、具体的には蛍光強度変化や蛍光エネルギー移動(FRET)を検出することによる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


論理素子は、入力に応答して出力するデバイスであり、集積回路などのシステム全体の大きさの決定やその設計において最も重要である。現在までの論理素子は、p型とn型半導体を組み合わせ、入力を電流とすることで開発されてきた。
半導体デバイスは、トランジスタの発明以来、シリコンデバイスの微細化・集積化(トップダウンテクノロジー)とともに発展してきた。トランジスタの集積度を現状以上に向上させるには、集積回路に使われるトランジスタのソースとドレイン間の距離(ゲート長)をナノメートルスケールへと微細化する必要がある。しかし、リソグラフィーをはじめとするトップダウンによる微細加工技術には限界がある。また、微細化に伴いゲートの絶縁膜におけるリーク電流やソースとドレイン間でのトンネル効果などが問題となっている。さらに微細化が進行するに従い、その製造コストも高騰するため、トップダウンに代わる新たなナノテクノロジーが必要とされている。



ナノスケールで分子を合目的的に制御するために、有用な方法がボトムアップテクノロジーである。ボトムアップテクノロジーでは、分子の自己組織化能力を利用する。特に、生体分子の自己組織化能力を活用したデバイス、すなわち生体分子ナノデバイスが注目されている。



分子で論理素子を構築するためには、分子の自己組織化能に加えて、入力に対して構造や機能を変化させ、それを出力として検出する必要がある。現在までに、有機化合物を用いた分子論理素子が報告されている。しかし、有機化合物を用いたスイッチの設計と合成は、一般に困難であり、その種類は限られている。



一方、入力に応答して出力するデバイスは生体反応においても数多く見られる。生命活動を維持するために無数に繰り返される生体反応は、様々な指令(入力)に基づいて行われ、その結果は、さらに次の生体反応を誘起・制御する(出力)。生命の根幹であるセントラルドグマも様々な指令(入力)に基づいて行われる生体反応の一例である。



近年、核酸鎖やタンパク質などの生体分子を用いた分子論理素子の構築も多く試みられている(非特許文献1~6)。特に核酸鎖は、塩基対の形成による配列特異的な二重鎖構造の形成を利用することで、核酸鎖の自己集合を制御することができる。この配列特異的な構造形成を用いることで、論理素子をはじめとする種々のナノデバイスが開発されつつある。しかし、二重鎖構造は、遺伝情報を保持するために周辺環境の変化などに対して敏感ではない。すなわち、核酸鎖の二重鎖構造は、周辺環境の変化などに対して応答できない。そこで、従来の核酸鎖などの生体分子を用いた論理素子は、配列特異的二重鎖構造の形成と、酵素や低分子認識核酸(アプタマー)などの機能素子を組み合わせて、それらの反応によって入力に応答(反応)させていた。このような組み合わせにより、系全体が複雑になり、汎用性のある論理素子の構築が困難であるという問題点があった。さらに、従来の分子論理素子における出力は、電気泳動などの複雑な手法により検出しなければならなかった。



少なくとも5塩基対の長さを有し、かつ第1タンパク質結合部位および第2タンパク質結合部位をコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸を含み、ゲートおよびフリップ・フロップとして作用する核酸を用いた新規な論理素子について報告がある(特許文献1)。しかし、汎用性のある論理素子については開示されていない。




【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 2004, 126, 9458-9463

【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 6914-6915

【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 3555-3561

【非特許文献4】J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 6673-6676

【非特許文献5】Nucleic Acids Research, 2004, 32, 3115-3123

【非特許文献6】Nature Biotechnology, 2003, 21, 1069-1074

【特許文献1】特表2002-508161号公報

産業上の利用分野


本発明は、核酸鎖(オリゴヌクレオチド)の四重らせん構造を利用した分子論理素子に関する。より詳しくは、核酸鎖の四重らせん構造と二重鎖構造間の平衡を制御するよう環境要因を入力し、出力を検出することを特徴とする分子論理素子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも二つの核酸鎖を含み、該核酸鎖が環境要因により核酸鎖の四重らせん構造を形成しうる配列を含み、環境要因を入力し、核酸鎖の四重らせん構造と二重鎖構造間の平衡を制御させて、出力を検出可能とする分子論理素子。

【請求項2】
核酸鎖の二重鎖構造、四重らせん構造と一本鎖構造、および四重らせん構造と四重らせん構造の組み合わせにより出力を検出可能とする請求項1に記載の分子論理素子。

【請求項3】
入力に対し、AND、NAND、OR、NOR、XOR、XNORまたはNOTIFの出力パターンで出力される請求項1または2に記載の分子論理素子。

【請求項4】
四重らせん構造を形成しうる配列を含む核酸鎖が、グアニン(G)に富む塩基配列を含む核酸鎖と、その相補鎖であって、シトシン(C)に富む塩基配列を含む核酸鎖である請求項1~3のいずれか一に記載の分子論理素子。

【請求項5】
グアニンに富む塩基配列がd(GxMy)zG4であり、シトシンに富む塩基配列がd(CxNy)zC4である請求項4に記載の分子論理素子。[但し、塩基配列中のMは、チミン(T)、アデニン(A)若しくはシトシン(C)から選択され、Nはアデニン(A)、チミン(T)若しくはグアニン(G)から選択される。また、塩基配列中のxおよびyは、各々2以上10以下の整数であり、zは0以上1000以下の整数である。]

【請求項6】
入力が、カチオンおよび水素イオン濃度(pH)である請求項1~5のいずれか一に記載の分子論理素子。

【請求項7】
入力が、カチオン、水素イオン濃度(pH)および温度である請求項1~5のいずれか一に記載の分子論理素子。

【請求項8】
カチオンが、リチウムイオン(Li+)若しくはカリウムイオン(K+)である請求項6または7に記載の分子論理素子。

【請求項9】
出力が、光学的に検出される請求項1~8のいずれか一に記載の分子論理素子。

【請求項10】
少なくとも二つの核酸鎖の、何れか一方または双方に蛍光発色物質が導入されてなり、他方の一方若しくは双方に蛍光消光物質が導入されてなる請求項1~9のいずれか一に記載の分子論理素子。

【請求項11】
請求項1~10のいずれか一に記載の分子論理素子において、核酸鎖の二重鎖構造、四重らせん構造と一本鎖構造、および四重らせん構造と四重らせん構造の組み合わせにより出力を光学的に検出することを特徴とする分子論理素子を用いた出力の検出方法。
産業区分
  • 基本電子回路
  • 微生物工業
  • 固体素子
  • 演算制御装置
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 権利存続中
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