TOP > 国内特許検索 > CXCR3阻害剤を含有する医薬組成物

CXCR3阻害剤を含有する医薬組成物 コモンズ

国内特許コード P08S000085
整理番号 665
掲載日 2008年6月27日
出願番号 特願2006-510797
登録番号 特許第4452839号
出願日 平成17年3月9日(2005.3.9)
登録日 平成22年2月12日(2010.2.12)
国際出願番号 JP2005004098
国際公開番号 WO2005084708
国際出願日 平成17年3月9日(2005.3.9)
国際公開日 平成17年9月15日(2005.9.15)
優先権データ
  • 特願2004-065612 (2004.3.9) JP
発明者
  • 武藤 誠
  • 河田 健二
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 CXCR3阻害剤を含有する医薬組成物 コモンズ
発明の概要

CXCR3阻害剤を含有することを特徴とする、その生存及び/又は転移がケモカイン・レセプターCXCR3を介するシグナル伝達の影響下にある癌の治療のための医薬組成物、及びそのような癌の治療及び診断方法。

産業上の利用分野
【0001】
本発明は癌の予防及び治療、さらに詳しくはその生存及び/又は転移がケモカイン・レセプターCXCR3を介するシグナル伝達の影響下にある癌の治療のための医薬組成物、並びにそのような癌の治療及び診断方法等に関する。
【0002】
リンパ節転移は多くのヒトの腫瘍における最も初期の転移形式の一つであり、悪性黒色腫の場合には60%以上の症例でリンパ節転移が起きている。癌転移の機序はリンパ行性転移と血行性転移に大別されるが、これらは独立というより、同時に起こっている。リンパ管静脈シャントなどの存在により、癌細胞は局所(領域)リンパ節(regional lymph node)をバイパスし、早期から全身に循環すると考えられている。癌(悪性腫瘍)の悪性度は、発現部位や進行速度、及び転移傾向の強さにより判定することができる。従って局所リンパ節への転移傾向は癌の生物学的な悪性度を反映しており、その評価は予後の予測や治療法の選択に重要である。
【0003】
悪性腫瘍は、通常、転移性であるが、現在行われている転移癌の外科的、内科的処置の有効性は未だ十分でない。実際、利用可能な化学療法剤の多くは原発性癌に有効であっても、再発性の転移性癌には効果が低いか殆ど無いと言われている。また、癌の治療は早期であればあるほど成功率が高いことから、転移癌を効果的に治療するためには、その早期発見、早期治療が重要である。
【0004】
癌は腫瘍マーカーを用いる方法、ポジトロンCT検査などにより診断しているが必ずしも確実に癌を発見できるとは限らない。特に転移癌の多くが難治性であり、その治療成功率は原発癌より低いのが通常である。また、リンパ節を介する遠隔転移の場合、癌の発見が遅れがちである。このように癌治療の発展には、発見された癌の治療のみならず、転移の防止、特にリンパ節への転移の防止及び/又は転移癌の治療のための効果的な手段を確立することが不可欠である。
【0005】
癌細胞の機能発現にはケモカイン-受容体相互作用を介するシグナル伝達が深く関与している。ケモカインは4つのシステイン残基の位置が保存された構造上の類似性をもつ分子量約1万の小型のサイトカインファミリーであり、システイン残基の位置によりCXC、CC、C、CX3Cの4つのファミリーに分類され、7回膜貫通G蛋白質受容体を介してその作用を発揮する。ケモカイン-受容体系が関与する疾患としては炎症、感染症、組織障害、アレルギー疾患、心血管性病変に加え悪性腫瘍などが知られている。悪性腫瘍におけるケモカインの役割は複雑であり、免疫細胞を刺激したり血管新生を抑制することで抗腫瘍効果を示す場合がある一方で、腫瘍細胞の増殖や運動性を促進したり血管新生を起こし腫瘍の増殖や転移を亢進させる場合もある。癌の転移に関して、メラノーマ、乳癌、卵巣癌などで、ある種のケモカイン・レセプター(CXCR4等)が重要な役割を持つことが報告されている(非特許文献1~3)。
【0006】
特許文献1には、CCR7、CXCR4あるいはCCR10等のケモカイン・レセプターを介するシグナル伝達を阻害することにより癌細胞の転移又は維持を阻害する方法が記載されている。該特許文献1の記載からは癌細胞におけるこれらケモカイン・レセプターの発現が該癌細胞の転移に関連するか否かが不明であり、最も初期の転移巣の一つであり、遠隔転移における重要な器官の一つであるリンパ節への転移については言及されていない。
【0007】
他のケモカイン・レセプターであるCXCR3は、メラノーマ、悪性リンパ腫などの腫瘍で発現しており、培養細胞の実験で走化性を誘導することが報告されている(非特許文献4、5)。しかし、癌の転移における役割はもとより、転移に関与するか否かも知られていない。
特許文献2には、CXCR3を介するシグナル伝達により、感染性疾患及び癌の処置に有益な白血球機能が選択的に刺激されるとの観点から、CXCR3リガンド又は促進剤の投与が該受容体の機能を刺激し、上記疾患の治療に有用であると記載されている。そのようなCXCR3機能の促進剤として、例えば抗体、別の種に由来する天然リガンドのホモログ及び受容体に結合することなく受容体機能を促進する物質が例示されている。しかしながら、CXCR3と癌の発生、特に転移癌の発生における役割との解明が充分になされているとは言えず、癌の治療、特に転移癌、とりわけリンパ節への転移の有効な処置法の開発に対する要望に応えるものではない。
【0008】
CXCR3はT細胞がIFN-γ刺激を受けTh1細胞に分化すると発現してくる。またそのリガンドであるCXCL9、CXCL10、CXCL11はIFN-γ刺激により増加し、炎症部位にTh1細胞を引きよせることに関与している。従ってCXCL9とCXCL10はIFN-γを介してIL-12の抗腫瘍効果に少なくとも部分的には関与していると言われている(非特許文献6)。実際、CXCL9遺伝子治療をIL-2抗体の融合蛋白と併用するとマウス大腸癌細胞の増殖や肺転移を抑制することが報告されている(非特許文献7)。また、CXCL9は腫瘍部位に直接注入することで癌細胞の壊死を促進することも報告されている(非特許文献8)。一方でCXCL9とCXCL10は腫瘍の微少環境に対して抗腫瘍作用とは逆に作用することも報告されている。例えば、CXCL9はRhoA、Rac1を活性化しアクチン骨格の再構成を誘導し走化性や浸潤性を促進する(非特許文4)。
このように、CXCR3が癌の生存、さらにはその転移にどのように関わっているかは、未だ解明されていない状況である。
【0009】
【特許文献1】
特表2003-516324
【特許文献2】
特表2002-513388
【非特許文献1】
Muller, A.ら、A. Involvement of chemokine receptors in breast cancer metastasis. Nature., 410: 50-56, 2001.
【非特許文献2】
Wiley, H. E.ら、Expression of CC chemokine receptor-7 and regional lymph node metastasis of B16 murine melanoma. J. Natl. Cancer Inst., 93: 1638-1643, 2001
【非特許文献3】
Scotton, C. J.ら、Epithelial cancer cell migration: A role for chemokine receptor? Cancer Res., 61: 4961-4965, 2001
【非特許文献4】
Robledo, M. M.ら, J. Expression of functional chemokine receptors CXCR3 and CXCR4 on human melanoma cells. J. Biol. Chem., 276: 45098-45105, 2001
【非特許文献5】
Trentin, L.ら、The chemokine receptor CXCR3 is expressed on malignant B cells and mediates chemotaxis. J. Clin. Invest., 104: 115-121, 1999
【非特許文献6】
Tannenbaum, C. S.ら、The CXC chemokines IP-10 and Mig are necessary for IL-12 mediated regression of the mouse RENCA tumor. J. Immunol., 161: 927-932, 1998
【非特許文献7】
Ruehlmann, J. M.ら、MIG (CXCL9) chemokine gene therapy combines with antibody-cytokine fusion protein to suppress growth and dissemination of murine colon carcinoma. Cancer Res., 61: 8498-8503, 2001.
【非特許文献8】
Sgadari, C.ら、Mig, the monokine induced by interferon-γ, promotes tumor necrosis in vivo. Blood., 89: 2635-2643, 1997
特許請求の範囲 【請求項1】 (A)CXCR3を介するシグナル伝達の阻害剤及び(B)CXCR3の発現に対する阻害剤から選択されるCXCR3阻害剤を含有することを特徴とする、CXCR3を発現している癌のリンパ節転移を予防又は治療するための医薬組成物、ここで
(A)CXCR3を介するシグナル伝達の阻害剤は、CXCL9およびCXCL10によるシグナル伝達を阻害するものであり、CXCR3抗体、CXCR3抗体の抗原結合活性を有するフラグメント、ならびにCXCL9抗体およびCXCL10抗体から選択されるCXCR3アンタゴニストである、
(B)CXCR3の発現に対する阻害剤は、配列番号2の64-608位に相補的な配列をもつCXCR3のアンチセンスRNA、もしくは配列番号29または32の配列に相補的な配列をもつCXCR3のsiRNA、またはそれらの化学的修飾体である
【請求項2】 癌が、メラノーマ、乳癌、腸癌及び卵巣癌から選択される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】 癌が、メラノーマまたは腸癌である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】 次の工程
(1)試験化合物をCXCR3発現細胞に接触させる工程
(2)試験化合物がCXCL9およびCXCL10によるCXCR3を介するシグナル伝達を阻害するか否かを確認する工程
を含む、CXCR3を発現している癌のリンパ節転移を予防又は治療するための治療剤をスクリーニングする方法。
【請求項5】 CXCR3発現細胞が、マウスメラノーマ細胞株(B16F10)、ヒトメラノーマ細胞株(32TG、G361、HMV-1)、ヒト大腸癌細胞株(Colo205、HCT116、HT29、RKO、WiDr)及びDLD-1-CXCR3 細胞から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】 工程(2)が、CXCR3を介したCXCR3発現細胞の走化性、浸潤性、細胞骨格の再構成、FAK、パキシリンのリン酸化、細胞生存の亢進に対する阻害を確認する工程である、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】 工程(2)が、CXCR3を介したCXCR3発現細胞の走化性又は浸潤性に対する阻害を確認する工程である、請求項6記載の方法。
産業区分
  • 薬品
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 微生物工業
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

21283_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close