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血液細胞の力学的特性計測システム 新技術説明会

国内特許コード P08P005426
整理番号 IP381
掲載日 2008年7月25日
出願番号 特願2007-006090
公開番号 特開2008-170390
登録番号 特許第4843794号
出願日 平成19年1月15日(2007.1.15)
公開日 平成20年7月24日(2008.7.24)
登録日 平成23年10月21日(2011.10.21)
発明者
  • 安田 利貴
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 血液細胞の力学的特性計測システム 新技術説明会
発明の概要

【課題】 高速度カメラや高粘度溶媒を用いなくても、血液細胞、特に赤血球の力学的特性を再現性よく、かつ、定量的に測定が可能な計測システム。
【解決手段】 少なくとも一部が透明な第1平板1と、第1平板に対して隙間を隔てて平行に配置されている第2平板2と、第1平板と第2平板との間の隙間に配置される、血液細胞を含む試料3と、試料中の血液細胞に周期的なせん断応力負荷を加えるため、第1平板と第2平板の少なくとも一方を平行振動させる平板振動手段と、試料に光を照射する光照射手段4と、試料からの透過光、反射光又は散乱光を受光する受光手段5と、受光手段からの信号を解析して前記血液細胞の力学的特性を求める信号解析手段と、を有し、信号解析手段は、受光手段からの信号を周波数解析する手段を有しており、周波数解析によって得られた周波数情報と位相情報の少なくとも一方から前記血液細胞の力学的特性を求める。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


血液細胞の主要な働きを担う赤血球は、自らの直径よりも小さい毛細血管を通過する機能を備えている。この赤血球の変形能は、一般的に、赤血球自身の加齢、浸透圧、さらには血液内に溶解している脂質の影響などを受けると言われている。さらには、人工心臓、人工弁、透析などの循環器系人工臓器を用いた延命・治療において、生体内では生じないような非生理的な大きさのせん断応力が赤血球に加わり、赤血球の瞬時な破壊には至らないものの、膜の損傷が生じて不可逆的な形態変化や変形能の低下をもたらすことがあり、これにより赤血球の寿命を低下させ貧血などを誘発する可能性もある。一方、医薬品による赤血球の変形能機能改善薬なども開発されているため、その効果を測定するためにも赤血球の詳細な変形能計測装置の開発が要求されている。



従来、赤血球の変形能の評価技術として、赤血球が微細な細孔を通過する時間を測定する膜通過法(特許文献1)、毛細血管相当の流路内を通過する赤血球状態をCCDにより観察、もしくは散乱光(回折光分布)を測定するマイクロフローセル法(特許文献2、特許文献3、特許文献4)、回転粘度計をベースとしたエクトサイト法、赤血球膜を吸引法で測定するマイクロピペット法などがある。また、周期的な流れ場における赤血球の形状変化を高速度カメラで捉える方法もある(非特許文献1)。



一方、赤血球の力学的負荷、すなわち耐久性を計測する方法には、異なる2つの内径を備えたフローセル内を通過する赤血球の散乱光強度から推定する方法などもある(特許文献5)。



赤血球の変形能計測は、赤血球の形状を直接的ならびに間接的な方法で測定を行い、その測定結果から赤血球の変形能を推定する方法がある。直接的な方法としては、赤血球が毛細血管などを通過する速度や形状変化などを想定しており、随意な流路形状を備えたフローセル内を随意な条件で流れる状態をCCDカメラで捉えるため、赤血球の形状変化や流路を塞ぐ状態などの主観的な評価となりやすく、定量的な評価は赤血球の移動速度などの情報に留まってしまう。また、平行平板間内の周期的な流れ場における赤血球の形状変化から、変形能を測定する方法もある。しかしながら、この方法では、高せん断応力下での赤血球の形状変化、すなわち楕円体形状、を計測するためには、血漿の粘性に比べ数10~数100倍の高粘度溶媒に赤血球を浮遊させる必要がある。そのため、赤血球内部の粘性影響などを考慮した変形能の測定は困難となる。



一方、間接的な方法としては、フローセルもしくは2重円筒管内を流れている赤血球に光を照射し、その回折像もしくは散乱光を計測し、その光強度特性から変形能を推定する方法がある。この方法では、高せん断応力下の測定であるため、赤血球を高粘度溶媒内に浮遊させるため、前述と同様な問題が生じる.
赤血球の負荷蓄積の測定は、流れ場内における赤血球の形状変化を示す散乱光と、損傷を受けた程度を示す散乱光のデータベースとを比較することで、損傷の程度を推定するシステムがある。従来のシステムでは、別途、負荷を受けた血液試料の損傷を調べていくシステムであり、疲労破壊のような特定試料に対して繰り返し負荷を与える方法には不向きである。



赤血球の耐久性を測定する疲労破壊試験では、回転粘度計をベースとした試験機や平行平板を用いた試験機などがある。これらの試験機の多くは、負荷を与えた後の赤血球の状態を観察もしくは遊離ヘモグロビン計測をするため、赤血球の状態をリアルタイムに計測するような方法には適さない。
平行平板間に赤血球試料を浮遊させて、せん断応力を加え、赤血球の形状を可視化する方法があるものの、前述のように高速度カメラを用いた画像処理を用いた方法であるため、装置が大きく、高価になる。



回転粘度計をベースとした装置では、リアルタイムな疲労破壊の計測が可能であるが、回転粘度計をベースとした装置では、一定の応力を与える方法には非常に優れている。しかしながら、周期的な繰り返し負荷を与える方法では、直接の回転軸を動力源としているため振幅の大きさや周期を調整することは困難である。




【特許文献1】特開2001-242166号公報

【特許文献2】特開2006-145345号公報

【特許文献3】特開平8-122328号公報

【特許文献4】特表2001-507122号公報

【特許文献5】特開2004-138561号公報

【非特許文献1】Biophysical Journal、2006年9月発行、Vol.91、No.5、p.1984-1998

産業上の利用分野


本発明は、血液細胞、特に赤血球の力学的特性を再現性よく、かつ、定量的に測定が可能な計測システム及び方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
血液細胞に周期的なせん断応力負荷を加えることで血液細胞の力学的特性を計測する、血液細胞の力学的特性計測システムであって、
少なくとも一部が透明な第1平板と、
前記第1平板に対して隙間を隔てて平行に配置されている第2平板と、
前記第1平板と前記第2平板との間の隙間に配置される、血液細胞を含む試料と、
前記試料中の血液細胞に周期的なせん断応力負荷を加えるため、前記第1平板と前記第2平板の少なくとも一方を所定の振動周波数で平行振動させる平板振動手段と、
前記試料に光を照射する光照射手段と、
前記試料からの透過光、反射光又は散乱光を受光する受光手段と、
前記受光手段からの信号を解析して前記血液細胞の力学的特性を求める信号解析手段と、を有し、
前記信号解析手段は、前記受光手段からの受光信号を周波数解析する手段を有しており、前記周波数解析によって前記受光信号の周波数情報及び位相情報を求め、前記平板振動手段の振動周波数を含む制御情報と、前記受光信号の周波数情報及び位相情報と関係から前記血液細胞の力学的特性を求める、血液細胞の力学的特性計測システム。

【請求項2】
血液細胞に周期的なせん断応力負荷を加えることで血液細胞の力学的特性を計測する、血液細胞の力学的特性計測方法であって、
少なくとも一部が透明な第1平板と、前記第1平板に対して隙間を隔てて平行に配置される第2平板との間に、血液細胞を含む試料を配置する、試料準備工程と、
前記試料中の血液細胞に周期的なせん断応力負荷を加えるため、前記第1平板と前記第2平板の少なくとも一方を所定の振動周波数で平行振動させる平板振動工程と、
前記試料に光を照射する光照射工程と、
前記試料からの透過光、反射光又は散乱光を受光手段によって受光する受光工程と、
前記受光手段からの信号を解析して前記血液細胞の力学的特性を求める信号解析工程と、を有し、
前記信号解析工程は、前記受光手段からの受光信号を周波数解析する工程を有しており、前記周波数解析に前記受光信号の周波数情報及び位相情報を求め、前記平板振動手段の振動周波数を含む制御情報と、前記受光信号の周波数情報及び位相情報と関係から前記血液細胞の力学的特性を求める、血液細胞の力学的特性計測方法。
産業区分
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007006090thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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