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静電噴霧法を用いる生体適合性シリカ繊維の製造方法 コモンズ

国内特許コード P08P006102
整理番号 KT06-17
掲載日 2008年8月1日
出願番号 特願2007-010058
公開番号 特開2008-174872
登録番号 特許第4973925号
出願日 平成19年1月19日(2007.1.19)
公開日 平成20年7月31日(2008.7.31)
登録日 平成24年4月20日(2012.4.20)
発明者
  • 飯村 健次
出願人
  • 兵庫県
発明の名称 静電噴霧法を用いる生体適合性シリカ繊維の製造方法 コモンズ
発明の概要

【課題】完全無機質、かつ、柔軟性を有する生体適合性シリカ繊維を、実験室レベルの小型で簡便な装置でも製造しうる製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】アルコキシシランを、リン酸トリエチルを含む水と有機溶媒の混合溶媒に溶解させ、大気と接触させながらゾル状の紡績液とし、粘度を調整した紡績液を、静電噴霧法により紡糸化してシリカ不織布とする。その後、カルシウムイオンを含む水溶液中でイオン交換し、400℃以上1000℃以下の温度で焼成する。または、前記混合溶媒にリン酸トリエチルを添加せずに、静電噴霧法により紡糸化してシリカ不織布とした後、リン酸中で加熱し、その後、カルシウムイオンを含む水溶液中でイオン交換し、400℃以上1000℃以下の温度で焼成してもよい。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


無機ケイ酸化合物は、ガラス、セメント、陶磁器等の原材料として古くから使用されている。一般に、無機ケイ酸化合物は化学的に安定しており、耐熱性及び耐薬品性にも優れている。また、多孔質であるため化学物質等を吸着することができるもの、触媒機能を有するために化学物質等を分解できるもの、無害で生体適合性が高いもの等、様々な機能性を備えた無機ケイ酸化合物も存在する。



しかし、無機ケイ酸化合物の多くは粉末状であるため、そのままでは取り扱いが難しく、用途も限定されるため、商品として展開しにくい。一方、無機ケイ酸化合物を不織布として繊維状に形成すれば、容易に切断したり、曲げたり、容器に詰めたりできるため、広範囲の用途へ応用することが可能になる。



無機ケイ酸化合物を繊維状に形成する場合、一般的には2000℃以上の高温で熔融し、その熔融液を流出させることによって繊維化するが、この製造方法では繊維径を小さくすることが極めて困難であり、また、原料である無機ケイ酸化合物を熔融するために多大なエネルギーを必要とする。さらに、高温の熔融液を取り扱うため、製造装置が大がかりなものとならざるを得ず、作業の安全性に関しても問題がある。



アルコキシシランには、有機溶媒に溶かした状態で重合化させることによりゾル状となるものがあり、微細孔から押し出して繊維状に形成することも可能である。例えば、特許文献1には、変性ポリカルボシランと低分子量の有機金属化合物をトルエンに溶解させて紡糸原液とした後、合成繊維紡糸用装置を用いて繊維状に形成する方法が開示されている。



一方、生体適合性を有する無機材料として、ヒドロキシアパタイトやβ-3リン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系材料が注目されているが、これらリン酸カルシウム系材料は、すべて粉末として得られるため、合成後に成型及び焼成して使用せざるを得ない。例えば、特許文献2には、骨細胞活性を薄膜上で支えるためのリン酸カルシウム材の薄膜の改良製造方法として、リン酸アンモニウムの溶液を硝酸カルシウムの溶液と合わせてヒドロキシアパタイト含有ゾル-ゲルを形成させることによって調製し、このゾル-ゲルの膜を基層の少なくとも片側に当てがい、基層上にコーティングされた膜を焼結してリン酸カルシウム材の固体膜を形成させる方法が開示されている。



ここで、ヒドロキシアパタイト等を繊維状に形成する方法として、熔融紡糸法やゲル紡糸後に焼成する方法(非特許文献1,2)が知られているが、いずれもヒドロキシアパタイト等を溶融する必要があるため、上述した無機ケイ酸化合物と同様の問題がある。



また、ポリマー繊維にヒドロキシアパタイト等を分散させたコンポジット繊維も知られているが(非特許文献3)、得られる繊維は脆く、応用範囲が制限されるという問題がある。

【特許文献1】特開2003-328236号公報

【特許文献2】特開2004-209261号公報

【非特許文献1】“Preparation of Porous Ceramics with Calcium Metaphosphate Fiber Skelecton for Biomedical Use”, Journal of American ceramic society, Vol. 78, Page. 245-247, 1995.

【非特許文献2】“A study of hydroxyapatite fibers prepared via sol-gel route”, Material Letters, Vol. 58, Page. 3320-3323, 2004.

【非特許文献3】“Effect of Spinning Conditions on the Structure and Properties of PAN Fibers Containing Nano-Hydroxyatatite”, Journal of Polymer Science, Vol. 100, Page. 2881-2888, 2006.

産業上の利用分野


本発明は、表面にリン酸カルシウム系物質が形成されている生体適合性シリカ不織布の製造方法に関するものである。また、本発明は、そのような生体適合性シリカ不織布を構成する生体適合性シリカ繊維に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルコキシシランを、リン酸トリエチルを含む水と有機溶媒の混合溶媒に溶解させ、大気と接触させながらゾル状の紡績液とするリン分添加ゾル化工程と、
粘度調整後の前記紡績液を静電噴霧法により紡糸化するリン分添加紡糸化工程と、
前記リン分添加紡糸化工程で得られた不織布を、カルシウムイオンを含む水溶液中に浸漬することによりイオン交換させるイオン交換工程と、
前記イオン交換工程後の不織布を400℃以上1000℃以下の温度で焼成する焼成工程と、
を含み、
前記混合溶媒における水の量が、アルコキシシランのモル数に対して1倍以上2倍以下であることを特徴とする生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項2】
アルコキシシランがテトラエトキシシランであり、有機溶媒がエタノールである請求項1に記載の生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項3】
前記混合溶媒におけるリン酸トリエチルの量が、アルコキシシランのモル数の2%以上10%以下である請求項1又は2に記載の生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項4】
前記リン分添加ゾル化工程において、前記混合溶媒に塩酸を加えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項5】
前記リン分添加ゾル化工程において、加湿した大気と接触させながら撹拌することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の生体適合性シリカ不織布を構成する生体適合性シリカ繊維。

【請求項7】
アルコキシシランを水と有機溶媒の混合溶媒に溶解させ、大気と接触させながらゾル状の紡績液とするゾル化工程と、
粘度調整後の前記紡績液を、静電噴霧法により紡糸化する紡糸化工程と、
前記紡糸化工程で得られた不織布を、リン酸に浸漬して加熱するリン酸化工程と、
前記リン酸化工程後の不織布を、カルシウムイオンを含む水溶液中に浸漬することによりイオン交換させるイオン交換工程と、
前記イオン交換工程後の不織布を400℃以上1000℃以下の温度で焼成する焼成工程と、
を含み、
前記混合溶媒における水の量が、アルコキシシランのモル数に対して1倍以上2倍以下であることを特徴とする生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項8】
前記アルコキシシランがテトラエトキシシランであり、前記有機溶媒がエタノールであることを特徴とする請求項に記載の生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項9】
前記ゾル化工程において、前記混合溶媒に塩酸を加えることを特徴とする請求項7又は8に記載の生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項10】
前記ゾル化工程において、加湿した大気と接触させながら撹拌することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の生体適合性シリカ不織布の製造方法。

【請求項11】
請求項乃至10のいずれか1項に記載の生体適合性シリカ不織布を構成する生体適合性シリカ繊維。
産業区分
  • 布製品
  • 無機化合物
  • その他繊維
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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