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(R)-2-クロロマンデル酸メチルエステルの製造方法 コモンズ

国内特許コード P08P006424
整理番号 OP00258
掲載日 2008年8月15日
出願番号 特願2007-021162
公開番号 特開2008-182984
登録番号 特許第5103616号
出願日 平成19年1月31日(2007.1.31)
公開日 平成20年8月14日(2008.8.14)
登録日 平成24年10月12日(2012.10.12)
発明者
  • 依馬 正
  • 酒井 貴志
  • 沖田 修康
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 (R)-2-クロロマンデル酸メチルエステルの製造方法 コモンズ
発明の概要

【課題】(R)-2-クロロマンデル酸メチルエステルを、対応するケトンの不斉還元により高い鏡像体純度で製造する方法を提供すること。
【解決手段】サッカロマイセス セレビシエ由来カルボニル還元酵素遺伝子YOL151wの導入により該遺伝子を発現するように形質転換された大腸菌又は該形質転換大腸菌の抽出物を準備し、これと式(I)
【化1】

の化合物とを混合して、該化合物を水性媒質中での不斉還元に付すことによる、式(II)の化合物のエナンチオ特異的製造方法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


式(II)
【化学式1】






で示される(R)-2-クロロマンデル酸メチルエステルは、式(III)



【化学式2】






で示される血小板凝集阻害剤クロピドグレルの製造に使用できるキラル合成中間体である(特許文献1参照)。



一方、式(IV)



【化学式3】






で示されるカルボン酸の鏡像異性体(エナンチオマー)は、(R)-体も(S)-体もすでに市販されている。これらの光学活性カルボン酸は、エフェドリンやα-メチルベンジルアミンなどの光学活性アミンを光学分割剤として用いる光学分割法によってラセミ体から調製できる。しかし、ラセミ体の光学分割のみでは、目的とするエナンチオマーは最高でも50%の収率でしか得られず、これより収率を高めるためには、他方の無用なエナンチオマーにラセミ化や立体反転の処理を施すことを通じた、目的のエナンチオマーへの更なる変換が必要であった。従って、そのような煩雑且つ非効率な方法でなく、望みのエナンチオマーのみを得ることができる製造法の開発が急がれていた。他方、式(IV)で示されるカルボン酸のラセミ体を片方の鏡像異性体へと微生物変換する方法が報告されている(特許文献2参照)。また、式(IV)で示されるカルボン酸を、対応するケトンから不斉還元する技術も報告されている(特許文献3並びに非特許文献1及び2参照)。



最終生成物クロピドグレルに近い段階で不斉点を導入する方が経済的に有利であること、並びに原料合成の簡便さを考えると、式(II)の化合物に対応するα-ケトエステルである式(I)



【化学式4】






の化合物を不斉還元する方が、一層有利である。式(I)で示されるケトンの不斉還元による式(II)で示される光学活性アルコールの合成は、特許文献4で報告されているが、そこでは、光学活性Ru錯体を用いた不斉水素化反応が用いられ、最高でも50%eeの鏡像体純度(すなわち、多い方の鏡像体量と少ない方の鏡像体量の差とを全体量で除した値)しか達成されていない。



一方、すでに発明者らは、YOL151w(または別名Gre2)として特定されるパン酵母(サッカロマイセス セレビシエ: Saccharomyces cerevisiae)由来カルボニル還元酵素遺伝子並びにバチルス メガテリウム由来グルコース脱水素酵素(GDH)遺伝子をプラスミド中に組み込んだものにより形質転換した、これらの遺伝子を高発現する組換え大腸菌を用いて式(V)



【化学式5】






で示されるα-ケトエステルを還元すると、式(VI)



【化学式6】






で示される(R)体アルコールを92%eeの鏡像体純度で与えることを報告している(非特許文献3及び4参照)。しかしながら、この鏡像体純度は、医薬品に求められる極めて高い要求レベル(99%eeを超えること)には遠く及ばない。また、式(V)の化合物の不斉還元により、カルボニル基とエステル基の位置関係に関しヒドロキシル基の立体配置が式(VI)と同じであるアルコールが得られたことは、後述のように他の殆どの場合に逆のタイプのエナンチオマーが得られることが知られていることから(非特許文献5、表1参照)、例外的である。



また、式(VII)



【化学式7】






で示されるオルトフルオロ化合物が、上記と同様の方法により、99%ee以上の鏡像体純度で得られることが知られているものの(非特許文献4参照)、本カルボニル還元酵素による反応が、酵素反応に特有の不規則な挙動を示すことや(非特許文献5参照)、式(VII)の化合物に比し、式(II)の化合物はラセミ化を受けやすいことから、更には、式(II)の化合物のベンゼン環に結合しているハロゲンが塩素であり且つヒドロキシル基の結合した炭素にメチル基でなく-COOCH3基が結合しているため、これら置換基の立体障害及び電気陰性度の兼ね合いから、同様の方法は、式(II)の化合物を高い鏡像体純度で得る方法の候補ではなかった。

【特許文献1】WO 99/18110

【特許文献2】特開平6-165695号公報

【特許文献3】EP1316613

【特許文献4】WO 94/01390

【非特許文献1】三橋和也・山本浩明・三木克哉・小林良則、不斉還元法による(R)-2-クロロマンデル酸の製法開発-I、2006年度日本農芸化学会大会 講演要旨集83頁 講演番号2B18p05.

【非特許文献2】木本訓弘・山本浩明・三橋和也・小林良則、不斉還元法による(R)-2-クロロマンデル酸の製法開発-II、2006年度日本農芸化学会大会 講演要旨集83頁 講演番号2B18p06.

【非特許文献3】T. Ema, H. Yagasaki, N. Okita, K. Nishikawa, T. Korenaga, T. Sakai, Asymmetric reduction of a variety of ketones with a recombinant carbonyl reductase: identification of the gene encoding a versatile biocatalyst. Tetrahedron: Asymmetry, 16(6), 1075≡1078 (2005).

【非特許文献4】T. Ema, H. Yagasaki, N. Okita, M. Takeda, T. Sakai, Asymmetric reduction of ketones using recombinant E. coli cells that produce a versatile carbonyl reductase with high enantioselectivity and broad substrate specificity. Tetrahedron, 62(26), 6143≡6149 (2006).

【非特許文献5】T. Ema, H. Moriya, T. Kofukuda, T. Ishida, K. Maehara, M. Utaka, T. Sakai, High enantioselectivity and broad substrate specificity of a carbonyl reductase: toward a versatile biocatalyst. J. Org. Chem., 66(25), 8682≡8684 (2001).

産業上の利用分野


本発明は、遺伝子組換えによって得られる形質転換大腸菌を用いる、(R)-2-クロロマンデル酸メチルエステルの製造法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
サッカロマイセス セレビシエ由来カルボニル還元酵素遺伝子YOL151w及びバチルス メガテリウム由来グルコース脱水素酵素遺伝子の導入によりこれらの遺伝子を発現するように形質転換された大腸菌又は該形質転換大腸菌の抽出物を準備し、これと式(I)
【化学式1】



の化合物とを水性媒質中で混合して、式(I)の化合物を水性媒質中での不斉還元に付すことによる、式(II)
【化学式2】



の化合物のエナンチオ特異的製造方法。

【請求項2】
該不斉還元が10~30℃の温度にて行なわれるものである、請求項の製造方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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