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新規エンドグリコセラミダーゼ

国内特許コード P08A013613
整理番号 50143
掲載日 2008年8月22日
出願番号 特願2006-145648
公開番号 特開2007-312677
登録番号 特許第4355810号
出願日 平成18年5月25日(2006.5.25)
公開日 平成19年12月6日(2007.12.6)
登録日 平成21年8月14日(2009.8.14)
発明者
  • 伊東 信
  • 石橋 洋平
  • 沖野 望
  • 大森 彬
  • 一ノ瀬 幸代
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 新規エンドグリコセラミダーゼ
発明の概要

【課題】糖脂質解析、診断、医薬品、化粧品、食品、飼料、農薬、環境、洗剤、有機化学品、繊維等の分野での活用が期待される、糖鎖・セラミド間がβ-ガラクトシド結合により構成される糖脂質に作用するという基質特異性をもつエンドグリコセラミダーゼ及びその遺伝子を提供する。
【解決手段】Rhodococcus equi M-750が生産する酵素と、以前から得られているガングリオ系、グロボ系、ラクト系の糖脂質に作用する酵素との組み合わせで、すべての糖脂質から糖鎖を切り離すことができる。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


スフィンゴ糖脂質は、親水性を示す糖鎖と疎水性を示すセラミドで構成される両親媒性の化合物である。スフィンゴ糖脂質は細胞膜の主要な構成成分として細胞間認識、分化や発生への関与、ホルモンや細菌及び細菌毒素の受容体として働く(非特許文献1)ほか、コレステロールや他のスフィンゴ脂質、そしてSrc family kinaseやG-proteinとともにマイクロドメインを形成し、細胞間、細胞内の情報伝達を制御していると考えられている(非特許文献2)。



エンドグリコセラミダーゼ(以下EGCaseということもある。)はスフィンゴ糖脂質の糖-セラミド間のグリコシド結合を特異的に加水分解する酵素である。放線菌Rhodococcussp. strain G-74-2の培養上清より初めて見出され(非特許文献3、特許文献1)。また、放線菌Rhodococcus sp. strain G-74-2の変異株であるM-750の培養上清に含まれる2種類のEGCaseが精製され、諸性質が検討された(非特許文献4)。その他、ヒル(非特許文献5)、ミミズ(非特許文献6)、シジミ(非特許文献7)、クラゲ(非特許文献8)、ヒドラ(非特許文献9)などの生物にもEGCaseの活性が見出された。EGCaseは糖鎖やセラミドの構造を破壊することなく、それぞれを遊離することができるため、糖脂質の構造、機能解析のツールとして非常に有益な酵素である。



近年になり、Rhodococcus sp. strain G-74-2の変異体であるRhodococcus sp. M-777のゲノムDNAよりEGCase遺伝子がクローニングされた(非特許文献10)。その推定アミノ酸配列にはアスパラギン、グルタミン酸、プロリンからなるNEP配列と呼ばれる、family A cellulose (endo-1,4-β-glucanase)の活性部位と考えられているアミノ酸が保存されていた。点変異導入により、NEP配列中のグルタミン酸をアスパラギン酸又はグルタミンに変えた変異体を作成した結果、活性は大幅に減少した(非特許文献11)。このことから、NEP配列中のグルタミン酸がEGCaseの酵素活性には特に重要であることが示された。



クラゲ、ヒドラのEGCaseもまた、クローニングされている(前掲非特許文献8及び8)。これらのEGCaseは最適pHが3.0と酸性域にあり、ポリシアロガングリオシドによく作用するという特徴を持っていた。また、これらのEGCaseにもNEP配列が存在することが確認された。ヒドラを用いたinsitu hybridization により、EGCaseは消化細胞に多く発現しており、食作用により取り込んだ糖脂質の異化経路において重要な役割を担っていることが明らかとなった(前掲非特許文献9)。クラゲのEGCaseは加水分解反応だけでなく、糖転移反応及び糖縮合反応も触媒することが判明した(非特許文献12)。



上述したEGCaseはすべて、糖鎖・セラミド間がβ-グルコシド結合、つまり糖鎖の還元末端がグルコースから始まる糖脂質に特異的に作用する。




【特許文献1】特開昭62-122587(特公平7-89914)

【非特許文献1】Hakomori, S. (1981) Annu. Rev. Biochem. 50, 733-764

【非特許文献2】Hakomori, S., Hanada, K., Iwabuchi, K., Yamamura, S., and Prinetti,A. (1998) Glycobiology 8, xi-xviii

【非特許文献3】Ito, M., and Yamagata, T. (1986) J. Biol. Chem. 261, 14278-14282

【非特許文献4】Ito, M., and Yamagata, T. (1989) J. Biol. Chem. 264, 9510-9519

【非特許文献5】Zhou, B., Li,S.-C., Laine, R. A.,Huang, R. T. C., and Li, Y. -T. (1989) J. Biol. Chem. 205, 729-735

【非特許文献6】Li, Y. -T., Ishikawa, Y., and Li,S.-C. (1987) Biochem. Bipphys.Res. Commun. 149, 162-172

【非特許文献7】Basu, S. S., Dastgheib-Hosseini, S., Hoover, G., Li, Z., and Basu, S. (1994) Anal. Biochem. 222, 270-274

【非特許文献8】Horibata, Y., Okino N., Ichinose, S., Omori, A., amd Ito M. (2000) J.Biol. Chem. 275, 31297-31304

【非特許文献9】Horibata, Y., Sakaguchi, K., Okino, N., Iida, H., Inagaki, M., Fujisawa, T., Hama, Y., and Ito, M. (2004) J. Biol. Chem.279, 33379-33389

【非特許文献10】Izu, H., Izumi, Y., Kurome, Y., Sano, M., Kondo, A., Kato, I., and Ito, M. (1997) J. Biol. Chem. 272, 19846-19850

【非特許文献11】Sakaguchi, K., Okino, N., Izu, H., and Ito, M. (1999) Biochem.Bipphys. Res. Commun. 260, 89-93

【非特許文献12】Horibata, Y., Higashi, H., and Ito, M. (2001) J. Biochem. 130, 263-268

産業上の利用分野


本発明は、新規なエンドグリコセラミダーゼに関する。本発明は、新規なエンドグリコセラミダーゼの遺伝子も提供する。本発明のエンドグリコセラミダーゼは、スフィンゴ糖脂質に作用し、糖-セラミド間のβ-ガラクトシド結合を切断することができる。本発明は、糖脂質や糖鎖に関連した分野で有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)を含有するポリヌクレオチド:
(a)配列番号:15に記載の塩基配列の全部又は少なくともORF部分を含む一部からなるポリヌクレオチド;
(b)(a)に記載のポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつエンドグリコセラミダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)(a)に記載のポリヌクレオチドの塩基配列において1~9個の塩基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された塩基配列からなり、かつエンドグリコセラミダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号:16に記載のアミノ酸配列の全部又はシグナル配列部分を除いた部分を少なくとも含む一部からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)(e)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において1~9個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつエンドグリコセラミダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。

【請求項2】
Rhodococcus属に属する菌由来である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。

【請求項3】
下記の(e')、(f')又は(g')のタンパク質:
(e')配列番号:16に記載のアミノ酸配列の全部又はシグナル配列部分を除いた部分を少なくとも含む一部からなるタンパク質;
(f')(e')に記載のタンパク質のアミノ酸配列において1~9個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつエンドグリコセラミダーゼ活性を有するタンパク質。

【請求項4】
Rhodococcus equi M-750(FERM AP-20926)の培養上清より得られる、以下の性質を有する、加水分解酵素:
(ア)スフィンゴ糖脂質に作用し、糖又は糖鎖-セラミド間の結合を加水分解的に切断して、糖又は糖鎖とセラミドとを生成することができ;
(イ)β-ガラクトシルセラミド結合を有するスフィンゴ糖脂質を加水分解することができるが、β-グルコシルセラミド結合を有するスフィンゴ糖脂質は分解せず;
(ウ)37℃で作用することができ;
(エ)至適pHは5.5~6.0であり;かつ
(オ)分子量は約54 kDaである。

【請求項5】
請求項3に記載のタンパク質、又は請求項4に記載の加水分解酵素を用いることを特徴とする、ガラ系糖脂質の解析又は検出方法。

【請求項6】
請求項3に記載のタンパク質、又は請求項4に記載の加水分解酵素を用いることを特徴とする、糖脂質又は糖鎖の処理方法。

【請求項7】
請求項3に記載のタンパク質、又は請求項4に記載の加水分解酵素を用いることを特徴とする、糖脂質の製造方法。

【請求項8】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。

【請求項9】
請求項8に記載のベクターにより形質転換された、形質転換菌。

【請求項10】
請求項9に記載の形質転換菌を用いることを特徴とする、請求項3に記載のタンパク質、又は請求項4に記載の加水分解酵素を製造する方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
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