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タンパク質への外来分子の部位特異的な連結及びその利用

国内特許コード P08A013624
整理番号 QP060120
掲載日 2008年8月22日
出願番号 特願2006-299023
公開番号 特開2008-054658
登録番号 特許第4604201号
出願日 平成18年11月2日(2006.11.2)
公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
登録日 平成22年10月15日(2010.10.15)
優先権データ
  • 特願2006-211451 (2006.8.2) JP
発明者
  • 神谷 典穂
  • 富永 譲
  • 丸山 達生
  • 後藤 雅宏
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 タンパク質への外来分子の部位特異的な連結及びその利用
発明の概要

【課題】トランスグルタミナーゼ(TGase)を用いて、ペプチド又はタンパク質へ部位特異的に外来分子を連結する方法の提供。
【解決手段】ペプチド又はタンパク質はTGase(トランスグルタミナーゼ)が認識可能なリシン(Lys)残基又は第1級アミンを有し、そして分子はアニオン性(例えば、核酸)であり、かつTGaseが認識可能なグルタミン(Gln)残基を有する。好ましい態様においては、TGaseは微生物由来のものであり、かつTGaseが認識可能なGln残基(Q)は、カルボベンゾイル-L-グルタミルグリシン(Z-QG)として存在しTGaseが認識可能なグルタミン(Gln)残基(K)は、MKHKGSとして存在する。in situ ハイブリダイゼーション、DNA/プロテインチップ、バイオセンサーに応用可能である。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


タンパク質に何らかの修飾を施すことにより、タンパク質機能の向上や、天然にはない機能を付与することが可能になる。有機分子により修飾を施されたタンパク質は、タンパク質ハイブリッドと呼ばれる。特に、高分子-タンパク質ハイブリッドの利用価値は高く、工・医・薬学の幅広い分野で利用されている。これまでに、酵素やタンパク質の安定化を目的としてポリエチレングリコール(PEG)による修飾が盛んに検討されてきた。



最近、核酸(DNA or PNA or RNA)-タンパク質ハイブリッドに注目が集まっている。なぜなら、核酸の配列依存的な相補性により、タンパク質に無限の組み合わせの分子認識能を付与することが可能なためである。実際、DNAチップをベースとしたproteinチップ(非特許文献1)や、DNA-タンパク質ハイブリッドとPCR法と組み合わせた高感度検出系(非特許文献2)の構築等が報告されている。しかしながら、DNA-タンパク質ハイブリッドの調製はそれほど容易ではない。タンパク質にCys残基が存在する場合は、チオール基間のジスルフィド結合や、チオール-マレイミド間の選択的な化学修飾反応が検討されてきたが、前者では結合の安定性、後者では対象タンパク質に唯一のCys残基がタンパク質表面に露出して存在しない限り反応特異性の面で不十分である。したがって、タンパク質にDNAを安定かつ部位特異的に導入するための修飾法の確立が望まれている。



これを達成する最も有力な手段として、これまでにexpressed protein ligation(EPL)技術を利用する手法が提案されている(PNA-protein conjugateについて非特許文献3及びDNA-protein conjugateについて、非特許文献4)。EPL技術を利用すれば、タンパク質の特定部位に、共有結合的にDNAを導入することが可能である。しかしながら、この方法は、目的タンパク質をインテインとの融合タンパク質として調製しなければならないこと、修飾部位がC末端に限定されること、導入するDNAにCys残基を導入する必要があること、といった制限がある。



また、タンパク質とDNAのハイブリッド化に酵素トランスグルタミナーゼ(TGase)を利用する試みもある。TGaseは、ペプチドやタンパク質中のGln残基側鎖とLys残基側鎖のε-アミノ基又は第1級アミンとの間を共有結合で架橋する反応を触媒する。TGaseを使ってタンパク質DNAハイブリッドを調製する場合、タンパク質側のGln残基とLys残基とのいずれをターゲットとするかで、ハイブリッド化する有機分子のデザインが異なる。これまで、タンパク質とポリリシン、タンパク質とPEG、又はタンパク質と分岐型糖鎖とのハイブリッド化等が検討されてきた(特許文献1及び非特許文献5~8)。これらのケースでは、ポリリシン又はアミノ化PEG若しくはアミノ化糖鎖が、タンパク質側のTGase活性なGln残基との架橋が試みられた。また、TGaseに関しては、カルボベンゾイル-L-グルタミルグリシン(Z-QG)がグルタミン残基を供与する良基質として知られている(先行技術文献9~11)ほか、TGaseに対してグルタミン供与体となりうる基質のアミノ酸配列に関連した報告がある(前掲先行技術文献6、並びに先行技術文献12~14)。



一方、本発明者らはTGaseの工学的応用について研究してきたが、TGaseに対しLys残基を供与し、良基質として働くMKHKGS(非特許文献15及び16)、GSGMKETAAARFERAHMDSGS(改変型S-peptide:非特許文献17)、MGGSTKHKIPGGS(非特許文献18)、N末端トリ又はペンタグリシン(N-terminal GGG or N-terminal GGGGG:非特許文献19)といったタグを見いだしている。

産業上の利用分野


本発明は、タンパク質の部位特異的な修飾方法に関する。より詳細には、トランスグルタミナーゼを用いて、タンパク質に部位特異的に核酸を連結する方法に関する。本発明は、in situ ハイブリダイゼーション、DNA/プロテインチップ、バイオセンサーに応用可能である。

特許請求の範囲 【請求項1】
トランスグルタミナーゼ(TGase)を用いて、ペプチド又はタンパク質へ部位特異的に外来分子を連結する方法であって:
ペプチド又はタンパク質が、TGaseが認識可能なリシン(Lys)残基又は第1級アミンを有するものであり、そして
外来分子が、核酸であり、TGaseが認識可能なグルタミン(Gln)残基を有し、かつ標的分子に特異的に結合可能な配列を有するものであり、
連結が、標的分子に特異的に結合可能にされるものであり、
連結反応の際、TGaseが認識可能なGln残基を有する核酸に対する、TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するペプチド又はタンパク質のモル濃度比が、2以上である、前記方法。

【請求項2】
TGaseが微生物由来のものであり、かつTGaseが認識可能なGln残基(Q)が、カルボベンゾイル-L-グルタミルグリシン(Z-QG)、又はLLQG、LAQG、LGQG、PLAQSH、FERQHMDS、若しくはTEQKLISEEDLのアミノ酸配列からなるペプチド、又はGLGQGGG、GFGQGGG、GVGQGGG、若しくはGGLQGGGのアミノ酸配列からなる、N末端保護ペプチドとして存在するか、又は
TGaseがほ乳類由来のものであり、かつTGaseが認識可能なGln残基(Q)が、Z-QG、カルボベンゾイル-L-グルタミルフェニルアラニン(Z-QF)、又はEAQQIVMのアミノ酸配列からなるペプチド、又はGGGQLGG、GGGQVGG、GGGQRGG、GQQQLG、PNPQLPF若しくはPKPQQFMのアミノ酸配列からなる、N末端保護ペプチドとして存在する、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
該モル濃度比が、5以上である、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
TGaseを用いて、ペプチド又はタンパク質と外来分子とが連結された複合体を製造する方法であって:
外来分子が、核酸であり、TGaseが認識可能なGln残基を有し、かつ標的分子に特異的に結合可能な配列を有するものであり;そして
ペプチド又はタンパク質が、TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するものであり、
連結が、標的分子に特異的に結合可能にされるものであり、
連結反応の際、TGaseが認識可能なGln残基を有する核酸に対する、TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するペプチド又はタンパク質のモル濃度比が、2以上である、前記方法。

【請求項5】
TGaseが微生物由来のものであり、かつTGaseが認識可能なGln残基(Q)が、カルボベンゾイル-L-グルタミルグリシン(Z-QG)、又はLLQG、LAQG、LGQG、PLAQSH、FERQHMDS、若しくはTEQKLISEEDLのアミノ酸配列からなるペプチド、又はGLGQGGG、GFGQGGG、GVGQGGG、若しくはGGLQGGGのアミノ酸配列からなる、N末端保護ペプチドとして存在するか、又は
TGaseがほ乳類由来のものであり、かつTGaseが認識可能なGln残基(Q)が、Z-QG、カルボベンゾイル-L-グルタミルフェニルアラニン(Z-QF)、又はEAQQIVMのアミノ酸配列からなるペプチド、又はGGGQLGG、GGGQVGG、GGGQRGG、GQQQLG、PNPQLPF若しくはPKPQQFMのアミノ酸配列からなる、N末端保護ペプチドとして存在する、請求項4に記載の方法。

【請求項6】
該モル濃度比が、5以上である、請求項4又は5に記載の方法。

【請求項7】
TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するペプチド又はタンパク質と、TGaseが認識可能なGln残基を有し、かつ標的分子に特異的に結合可能な配列を有する核酸とを、TGaseにより連結することにより得られる、標的分子に特異的に結合可能な、ペプチド又はタンパク質-核酸複合体であって、タンパク質が、アルカリホスファターゼ、緑色蛍光タンパク質又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼである、複合体。

【請求項8】
TGaseが認識可能なLys残基を有するペプチド又はタンパク質と、Z-QG、又はLLQG、LAQG、LGQG、PLAQSH、FERQHMDS、若しくはTEQKLISEEDLのアミノ酸配列からなるペプチド、又はGLGQGGG、GFGQGGG、GVGQGGG、若しくはGGLQGGGのアミノ酸配列からなる、N末端保護ペプチドを有する核酸とが、ε(γ-グルタミル)リシン結合で連結している、請求項に記載の複合体。

【請求項9】
ペプチド又はタンパク質の基材表面への固定化方法であって:
a) 基材表面に固定化された核酸、
b) ペプチド又はタンパク質-核酸複合体であって、TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するペプチド又はタンパク質と、TGaseが認識可能なGln残基を有する核酸とを、TGaseにより連結することにより得られるものであり;さらに核酸部分が、固定化核酸の有する塩基配列の全部又は一部に相補的な核酸配列を有し、連結が、固定化核酸とハイブリダイズ可能にされているものである、前記ペプチド又はタンパク質-核酸複合体
を用い、
固定化核酸と、ペプチド又はタンパク質-核酸複合体の核酸部分とを、ハイブリダイズさせて固定化物を形成する工程を含むものである、前記固定化方法。

【請求項10】
ペプチド又はタンパク質の基材表面固定化物の製造方法であって:
a) 基材表面に固定化された核酸、
b) ペプチド又はタンパク質-核酸複合体であって、TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するペプチド又はタンパク質と、TGaseが認識可能なGln残基を有する核酸とを、TGaseにより連結することにより得られるものであり;さらに核酸部分が、固定化核酸の有する塩基配列の全部又は一部に相補的な核酸配列を有し、連結が固定化核酸とハイブリダイズ可能にされているものである、前記ペプチド又はタンパク質-核酸複合体
を用い、
固定化核酸と、ペプチド又はタンパク質-核酸複合体の核酸部分とを、ハイブリダイズさせて固定化物を形成する工程を含むものである、前記固定化物の製造方法。

【請求項11】
標的分子の検出方法であって:
ペプチド又はタンパク質-核酸複合体であって、TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するペプチド又はタンパク質と、TGaseが認識可能なGln残基を有する核酸とを、TGaseにより連結することにより得られるものであり;さらにペプチド又はタンパク質部分が容易に検出可能な性質を有し、かつ核酸部分が標的分子に特異的に結合可能な塩基配列を有し、連結が標的分子に特異的に結合可能にされているものである、前記ペプチド又はタンパク質-核酸複合体を準備し;そして
対象物中に存在する標的分子と複合体とを核酸部分により特異的に結合させ;そして
結合している複合体を、ペプチド又はタンパク質部分により検出する工程を含む、前記検出方法。

【請求項12】
標的分子が核酸であり、複合体の核酸部分が標的核酸分子の配列の全部又は一部と相補的な配列を有するものであり、
標的核酸分子と複合体の核酸部分とをハイブリダイズさせることにより特異的に結合させる工程を含む、請求項11に記載の検出方法。

【請求項13】
標的分子の検出方法であって:
a) 基材表面に固定化された核酸、
b) 固定化核酸の全部又は一部に相補的な配列(固定化核酸相補的配列)、及び標的分子に特異性的に結合可能な配列(標的分子特異的配列)を有するアプタマー核酸、並びに
c) ペプチド又はタンパク質-核酸複合体であって、TGaseが認識可能なLys残基又は第1級アミンを有するペプチド又はタンパク質と、TGaseが認識可能なGln残基を有する核酸とを、TGaseにより連結することにより得られるものであり;さらにペプチド又はタンパク質部分が容易に検出可能な性質を有し、かつ核酸部分がアプタマー核酸の標的分子特異的配列の全部又は一部に相補的な配列を有するものである、前記ペプチド又はタンパク質-核酸複合体
を用い、
1) 固定化核酸に、アプタマー核酸を供し、固定化核酸とアプタマー核酸の固定化核酸相補的配列を有する部分とをハイブリダイズさせることにより、アプタマー核酸を固定化し;
2) 固定化アプタマー核酸に、標的分子を含む可能性のある試料を供し、標的分子が存在する場合には標的分子とアプタマー核酸の標的分子特異的配列を有する部分とを結合させ、かつタンパク質-核酸複合体を供し、標的分子が存在しない場合にはタンパク質-核酸複合体の核酸部分とアプタマー核酸とをハイブリダイズさせることにより、タンパク質を固定化し;
3) 固定化タンパク質の有無又はその量をタンパク質の性質に基づいて検出することにより、試料中の標的分子を検出する
工程を含む、前記検出方法。

【請求項14】
核酸が、TGaseが認識可能なグルタミン(Gln)残基を、末端に有するものである、請求項1に記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 権利存続中
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