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走査型プローブ顕微鏡システム

国内特許コード P08A013661
整理番号 11204
掲載日 2008年8月22日
出願番号 特願2005-090396
公開番号 特開2006-275528
登録番号 特許第4717481号
出願日 平成17年3月28日(2005.3.28)
公開日 平成18年10月12日(2006.10.12)
登録日 平成23年4月8日(2011.4.8)
発明者
  • 齋藤 彰
  • 青野 正和
  • 桑原 裕司
  • 丸山 淳平
  • 真鍋 賢
出願人
  • 独立行政法人理化学研究所
発明の名称 走査型プローブ顕微鏡システム
発明の概要

【課題】原子スケールの空間分解能により元素を同定することを可能にする。
【解決手段】測定対象に対してビーム径が1mmよりも小径な高輝度単色X線を照射するX線照射手段と、上記測定対象に対向して配置される探針と、上記探針を介してトンネル電流を検出して処理する処理手段と、測定対象と上記探針と上記測定対象に対する高輝度単色X線の入射位置とを相対的に移動するための走査手段とを備える走査型プローブ顕微鏡とを有する。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


従来のナノ構造評価手法の多くは、限られた個別情報を提供するのみであり、ナノ構造自体については、複数のナノ構造評価手法からそれぞれ得られる個別情報を総合判断することにより解釈されてきた。



こうした従来のナノ構造評価手法のなかで、走査型プローブ顕微鏡は、原子スケールの空間分解能があって実空間情報が得られるため、周期性のない系の観察にも適用することができ、今日におけるナノサイエンスの発展に大きく貢献してきた。



しかしながら、走査型プローブ顕微鏡においては、元素を同定することができないという問題点があった。



このため、上記した問題点に鑑み、原子スケールの空間分解能での元素分析の試みが、電子状態、振動状態あるいは静電容量などの観点から種々提案されているが、元素分析が行われた実際の例は、ごく限られた特殊な材料の測定対象や条件でのみわずかに報告されているに過ぎないものであり、一般的な手法としては存在していないものであった。




一方、走査型プローブ顕微鏡に元素選択性を付与するための手法として、X線を用いる手法が提案されている。この手法は、測定対象に対してX線を照射することにより、走査型プローブ顕微鏡の観察下の特定原子種に選択的な内殻励起を起こし、これを観察しようとするものである(非特許文献1参照)。



ところが、このX線を用いる手法では励起効率が小さいことから、入射光の光子密度の大幅な増大が望ましいことが指摘されていた。



こうした指摘に鑑みて、入射光の光子密度を大幅に増大する手法として、最近、高輝度光源であるシンクロトロン放射光の利用例が報告されている(非特許文献2参照)。



ここで、上記した非特許文献1ならびに非特許文献2に開示されている技術においては、ビーム径がφ1~数mm程度のX線を測定対象に照射しているため、測定対象におけるX線の照射領域がφ1~数mm程度の径を備えるような広い領域となるとともに、走査型プローブ顕微鏡の探針を放出電子のコレクターとして用いて励起された特定元素からの放出電子をとらえるようにしていた。



このため、非特許文献1ならびに非特許文献2に開示されている技術によれば、広範囲で発生する電子を集めてしまうため、空間分解能は10μmオーダーにとどまっているという問題点があった。なお、こうした問題点は、こうした従来の技術と不可分な原理的な問題点であり、原子スケールの空間分解能を得ることは極めて困難である。この従来の技術を用いて空間分解能を上げるには、むしろ走査型プローブ顕微鏡の探針の先端の数nmだけを導体にし、それ以外を絶縁コートするなどという、極めて実現が困難である技術を確立するほかはないものであった。

【非特許文献1】K.Tsuji et al., Jpn.J.Appl.Phys., 37,L1271-1273(1998)

【非特許文献2】T.Matsushima et al., Rev.Sci.Instrum., 75,(2004)2149

産業上の利用分野


本発明は、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)システムに関し、さらに詳細には、走査型トンネル顕微鏡(STM:Scanning Tunneling Microscope)や原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)に代表される探針(マイクロプローブ)を走査する顕微法を用いた走査型プローブ顕微鏡システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象に対してビーム径が1mmよりも小径な高輝度単色X線を、前記測定対象への入射角を浅くして全反射条件で照射するX線照射手段と、
前記測定対象に対してトンネル条件で配置される探針と、前記探針を介して前記高輝度単色X線励起によるトンネル電流の変化を検出して処理する処理手段と、前記測定対象と前記探針と前記測定対象に対する前記高輝度単色X線の入射位置とを相対的に移動する走査手段と、前記高輝度単色X線が透過した影で前記測定対象の領域内の観察を可能にする密度の高い蛍光結晶よりなるスクリーンを備えた監視手段とを有する走査型プローブ顕微鏡と
を有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項2】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記処理手段は、前記測定対象へ入射される前記高輝度単色X線エネルギーが元素の吸収端をまたぐことで生じるトンネル電流自体の変化を検出する
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記X線照射手段から照射される前記高輝度単色X線のXビーム径は、1μm以上100μm以下である
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項4】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記X線照射手段は、前記測定対象に対して全反射条件により前記高輝度単色X線を照射するように配置された
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項5】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記走査手段は、
XYZ直交座標系における水平面に平行な回転平面を有して前記X線照射手段から照射される前記高輝度単色X線の前記測定対象に対する入射角の制御を行うθステージと、
XYZ直交座標系におけるX軸方向への移動を制御して前記探針の先端を前記θステージの回転中心に合わせるためのXtステージと、
XYZ直交座標系におけるZ軸方向への移動を制御して前記探針の先端を前記θステージの回転中心に合わせるためのZtステージと、
XYZ直交座標系におけるZ軸方向への移動を制御して前記θステージの回転中心を前記X線照射手段から照射される前記高輝度単色X線のビーム位置に合わせるためのZbステージと、
XYZ直交座標系におけるY軸方向への移動を制御して前記探針の直下の前記測定対象の観察点の高さを前記高輝度単色X線のビーム位置に合わせるためのYbステージと
を有する
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項6】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記監視手段は、前記探針の直下の前記測定対象上の観察点近傍を監視する
を有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項7】
請求項6に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記監視手段は、
前記X線照射手段から照射される前記高輝度単色X線のビーム進行方向に対して最上流に位置してビーム径を1mmよりも小径に絞るための少なくとも1以上のピンホールを備えたアパーチャー部材と、
前記アパーチャー部材のピンホールを通過した前記高輝度単色X線のビームのビーム強度をモニターするイオンチャンバーと、
前記測定対象に照射された前記高輝度単色X線を吸収してビーム強度を低減する吸収板と、
前記吸収板を通過した前記高輝度単色X線が照射されて前記探針と前記測定対象と前記高輝度単色X線のビーム位置との位置関係が影絵の形で投影される蛍光結晶よりなるスクリーンと、
前記スクリーンに投影された影絵を拡大する光学顕微鏡システムと、
前記光学顕微鏡システムにより拡大された影絵を撮像するCCDカメラと、
前記スクリーンの影絵を反射して前記CCDカメラへ入射するための反射鏡と、
前記測定対象および前記探針から放出される蛍光X線収量をカウントしてエネルギー分析する半導体分析器と
を有する
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項8】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記探針は、先端以外を絶縁コーティングされた
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項9】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記探針は、カーボンナノチューブにより構成された
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項10】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
超高真空環境において動作させる
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項11】
請求項4に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記高輝度単色X線は、約0.1°の入射角で前記測定対象に入射する
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。

【請求項12】
請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡システムにおいて、
前記高輝度単色X線は、ビーム径が約10μmである
ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡システム。
産業区分
  • 試験、検査
  • 測定
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005090396thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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