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フォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法およびその装置

国内特許コード P08A013662
整理番号 11206
掲載日 2008年8月22日
出願番号 特願2005-091076
公開番号 特開2006-275568
登録番号 特許第4657775号
出願日 平成17年3月28日(2005.3.28)
公開日 平成18年10月12日(2006.10.12)
登録日 平成23年1月7日(2011.1.7)
発明者
  • 井上 振一郎
  • 青柳 克信
出願人
  • 独立行政法人理化学研究所
発明の名称 フォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法およびその装置
発明の概要

【課題】外部からフォトニック結晶導波路の放射モードと導波モードとにおけるフォトニックバンド構造を正確かつ簡便に測定することを可能にするとともに、測定の対象となるフォトニック結晶導波路の制約を無くす。
【解決手段】フォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法において、フォトニック結晶導波路のフォトニック結晶層上に、上記フォトニック結晶層と所定の間隙を設けるようにして底部を対向させてプリズムを配置し、上記プリズムを介して上記フォトニック結晶導波路の上記フォトニック結晶層へ向けて入射ビームを入射するに際し、上記入射ビームが上記プリズムに入った後に上記プリズムの上記底部に入射角度が全反射角以上を満たす角度で入射し、上記入射ビームが上記プリズムの底部で全反射されて上記プリズムから出射される出射ビームに基づいてフォトニックバンド構造を測定するようにした。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


近年、光波長程度の周期で屈折率の異なる少なくとも2種の物質を1次元、2次元あるいは3次元的に配列させた周期的構造を備えた構造体を有するフォトニック結晶が注目されている。



このフォトニック結晶は、光波長程度のスケールで周期的に屈折率を変化させた構造を持つ人工光ナノ構造体であり、真空中の光速と比較して数十分の一以下という極端に遅い光の群速度を実現することができることが知られていて(非特許文献1参照)、こうしたフォトニック結晶は非線形分野などへの応用が期待されており、フォトニック結晶を利用した各種技術の提案が強く望まれている。




ところで、このフォトニック結晶を用いて構成される光導波路構造を備えたフォトニック結晶導波路は、例えば、光導波素子、光結合分波素子、レーザー素子、発光素子、光分散を利用した素子、スーパープリズム素子、スーパーコリメート素子、レンズ機能素子、負屈折素子、偏光性素子、波長変換素子、高調波発生素子、和周波・差周波発生素子、光パラメトリック増幅素子、誘導ラマン散乱素子、四波混合素子、小型レーザー光源、光スイッチ素子、光双安定素子、光論理演算素子、光変調素子あるいは位相共役光発生素子などの各種の光素子に用いられており、こうした各種の光素子の設計の最適化を行うためには、フォトニック結晶導波路に形成される光分散関係たるフォトニックバンド構造を正確に知ることが極めて重要であると認識されている。



即ち、フォトニック結晶導波路による光バンド分散制御は、例えば、第2高調波発生などにおける位相整合や光スイッチング時の電場増強などの非線形光学効果を著しく増大させる可能性を持っており、フォトニック結晶導波路の特徴は、全てこのフォトニックバンド構造を操作、制御することに集約できるからである。



つまり、フォトニックバンド構造を正確に検知することができれば、上記した各種の光素子における光機能をあらかじめ予測することが可能となるものであり、従って、フォトニックバンド構造を正確に知ることは、上記した各種の光素子の最適化設計のキーポイントになるものであった。




従来、フォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造を外部から測定するには、外部からレーザー光または平行化された白色光ビームをフォトニック結晶導波路に入射し、その際に入射角度を走査し、フォトニック結晶導波路からの反射光に現れる外部光とフォトニック結晶導波路内のモードとの結合現象に起因する共鳴ディップ(鋭い反射率の極小)位置の角度依存性および周波数(エネルギー)依存性を調べるという手法を用いており、これによりフォトニックバンド構造を決定するようになされていた(非特許文献1、2参照)。



しかしながら、上記した非特許文献1、2に示すような従来の手法では、ライトライン(ω=ck (ωは光の周波数、cは光速、kは波数である。))の上側の領域、即ち、フォトニック結晶導波路の外部(空気)と結合性をもつモード(放射モード)領域の光分散関係のみしか測定することができず、ライトラインの下側の領域、即ち、フォトニック結晶導波路の外部とは結合しない導波モード領域の光分散関係を測定することはできないものであった。



ここで、ライトライン下側の導波モードは、外部に光が漏洩しないため長い寿命を持ち、光損失を少なくして光を導波することができるため、フォトニック結晶導波路においては、極めて応用性が高いモードである。



従って、この導波モードの光分散関係を測定することは、フォトニック結晶導波路の動作特性を正確に把握する上で大変に重要である。具体的には、導波モードの光分散関係から、光の群速度の情報や運動量の情報、カットオフ周波数の情報などが得られ、これらは全ての上記した各種の光素子の動作において極めて重要なパラメーターである。また測定結果と理論計算設計との比較を行うことで、両者のフィードバックが可能となり、より機能的なデバイスを設計することや、各種の光素子の作製精度を検査することが可能となるものである。



ところが、上記したように、非特許文献1、2に示すような従来の手法では、肝心の導波モード領域の光分散関係を測定することができないという大きな問題点があり、新たな手法の開発が望まれていた。




また、近年、2次元フォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造を外部から測定する手法として、2次元フォトニック結晶導波路内の欠陥導波路に対して面内導波の透過率を測定し、その透過スペクトルに現れるファブリペロー干渉縞から欠陥バンドの光分散関係を実験的に求める手法が提案されている(非特許文献3参照)。



この非特許文献3に示す手法は、面内を導波させるという意味で、導波モードの光分散関係を測定することができるものである(なお、非特許文献3に示す手法では、放射モードはロスのため測定することはできない。)。



しかしながら、上記した非特許文献3に示す手法は、2次元フォトニック結晶導波路の極微小な導波路内に実際に光を入射結合して透過率を測定する必要があるため、極めて高精度な高い技術ならびに煩雑な工程を要するという問題点があった。



即ち、上記した非特許文献3に示す手法は、実際に2次元フォトニック結晶導波路を動作させることと等しい作業を行う必要があるので、予め測定しておくという意味合いは全く無くなってしまうものであった。



また、透過スペクトル上の干渉を利用するという特性上、大きなサイズの2次元フォトニック結晶導波路や、光の損失の比較的大きな2次元フォトニック結晶導波路では測定が困難になってしまうという問題点もあった。

【非特許文献1】Phys. Rev. B 69, 205109 1-6 (2004)

【非特許文献2】特開2004-133429号公報

【非特許文献3】Phys.Rev.Lett. 87, 253902 (2001)

産業上の利用分野


本発明は、フォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法およびその装置に関し、さらに詳細には、フォトニック結晶導波路の光学特性の評価を行う際に用いて好適なフォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法およびその装置に関する。



なお、本明細書において、「フォトニック結晶」とは、屈折率が異なる少なくとも2種の材料を含み、かつ、これら屈折率が異なる少なくとも2種の材料が周期的構造を備えた構造体を形成するようにしたものを意味するものとする。従って、少なくともその一部に上記した周期的構造を備えた構造体を含む限りは、当該周期的構造を備えた構造体以外の構造の有無や種類は問うことなく、全て本明細書における「フォトニック結晶」に含まれるものとする。換言すれば、本明細書における「フォトニック結晶」とは、上記した周期的構造を備えた構造体そのものを意味するとともに、また、上記した周期的構造を備えた構造体を含んで構成されるより大きな構造体をも意味するものとする。



また、本明細書において、「フォトニック結晶導波路」とは、上記した「フォトニック結晶」を用いて構成される光導波路構造を意味するものとする。

特許請求の範囲 【請求項1】
フォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法において、
フォトニック結晶導波路のフォトニック結晶層上に、前記フォトニック結晶層と所定の間隙を設けるようにして底部を対向させてプリズムを配置し、
前記プリズムを介して前記フォトニック結晶導波路の前記フォトニック結晶層へ向けて入射ビームを入射するに際し、前記入射ビームが前記プリズムに入った後に前記プリズムの前記底部に入射角度が全反射角以上を満たす角度で入射し、
前記入射ビームが前記プリズムの底部で全反射されて前記プリズムから出射される出射ビームに基づいてフォトニックバンド構造を測定する
ことを特徴とするフォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法。

【請求項2】
請求項1に記載のフォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法において、
前記入射ビームは、前記フォトニック結晶導波路内の導波モードの波数および周波数と前記入射ビームの導波路面内進行方向の波数および周波数とが一致するような、入射角度および光周波数を備える
ことを特徴とするフォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定方法。

【請求項3】
プリズムを固定するプリズム固定機構と、
基板の上に形成されたフォトニック結晶層を有するフォトニック結晶導波路を、前記フォトニック結晶層と前記プリズムの底部とが対向するように配置して固定する試料固定機構と、
ヘッド部を前記フォトニック結晶導波路の前記基板へ押しつけるための基板方向微動機構と、
前記プリズムと前記フォトニック結晶導波路の前記フォトニック結晶層とをθ回転方向へ相対的に微動するθ回転機構と
前記プリズムを介して前記フォトニック結晶導波路の前記フォトニック結晶層へ向けて入射ビームを入射する光源であって、該入射ビームが前記プリズムに入った後に前記プリズムの前記底部に入射角度が全反射角以上を満たす角度で入射する光源と、
前記入射ビームが前記プリズムの底部で全反射されて前記プリズムから出射される出射ビームを検出する光検出器と、
前記光検出器の検出結果を解析する解析手段と
を有することを特徴とするフォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定装置。

【請求項4】
請求項3に記載のフォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定装置において、さらに、
前記ヘッド部と前記フォトニック結晶導波路との少なくともいずれか一方を、直交座標系のXYZ方向へ微動する微動機構と
を有することを特徴とするフォトニック結晶導波路のフォトニックバンド構造の測定装置。
産業区分
  • 試験、検査
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005091076thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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