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キャピラリー及びそれを用いたマイクロリアクター並びに該マイクロリアクターによる固相-液相-気相反応方法 コモンズ

国内特許コード P08P005643
整理番号 E076P89
掲載日 2008年9月26日
出願番号 特願2007-061135
公開番号 特開2008-221094
登録番号 特許第4734544号
出願日 平成19年3月10日(2007.3.10)
公開日 平成20年9月25日(2008.9.25)
登録日 平成23年5月13日(2011.5.13)
発明者
  • 小林 修
  • 鈴木 淑恵
  • 上野 雅晴
  • 小山田 秀和
  • 内藤 武詩
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 キャピラリー及びそれを用いたマイクロリアクター並びに該マイクロリアクターによる固相-液相-気相反応方法 コモンズ
発明の概要

【課題】キャピラリー及びマイクロリアクター及びそれを用いた固相-液相-気相反応方法を提供する。
【解決手段】マイクロリアクター1は、キャピラリー2と、キャピラリー2へ液相となる基質を溶解した溶液7を供給する溶液供給部10と、キャピラリー2へ気相となる気体9を供給する気体供給部20と、キャピラリー2における反応生成物を回収する回収部30とを備え、キャピラリー2の管本体3の内壁3aに固相となるポリシランと金属触媒とから成るか、又は、ポリシランと金属触媒と金属酸化物とから成る触媒5が担持され、キャピラリー2は一端が溶液供給部10及び気体供給部20へ接続され、他端が回収部30へ接続され、基質を溶解した溶液7及び基質と反応する気体9を、キャピラリーへ所定の流量で連続的に流す。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


不均一系触媒を用いる接触水素化反応、所謂、接触還元反応は化学工業の最も重要なプロセスの一つであり、芳香族ニトロ化合物や不飽和結合の水素化や水素化分解による脱ベンジル化反応等に広く利用されているが、しばしば収率の低下や反応の進行の遅れ等が認められている。これらの問題点は、触媒表面(固相)-溶液(液相)一水素ガス(気相)(以下、固相一液相一気相反応または三相系接触還元反応と称する。)の各層間接触面積を増大させることにより改善されるため、激しく撹拌したり、水素ガスを細かい泡として吹き込む等の工夫が試みられてきた。通常の反応容器(以下、適宜フラスコ反応と呼ぶ)による接触水素化反応では、系内に水素ガス、溶媒蒸気、高活性な金属触媒が共存するため発火や爆発が生じる可能性がある。



近年、マイクロリアクターを用いる有機合成が急速に発展しつつある。マイクロリアクターはガラス等の不活性材料にその大きさが数~数百μmのマイクロ流路(以下、適宜マイクロチャネルと称する。)を有する微小反応器の総称である。マイクロリアクターの反応器は小さいので、厳密な温度コントロールを容易に行なうことができる。従って、マイクロリアクターを用いる合成反応では、単位体積あたりの表面積が大きいため、(1)界面での反応効率が高い、(2)分子拡散による混合が効率的、(3)温度制御が容易、等の利点を有している。
このように、マイクロリアクターによる合成反応は通常の反応容器による合成反応よりも反応時間が早く、取り扱う液量も極微少で済む為にコストが低く、新規な化合物や薬品の為に開発用反応器として注目されている。



例えば、非特許文献1に記載のBesser等の報告においては、マイクロリアクターを用いた水素添加反応が記載されているが、マイクロチャネルの内壁部に触媒を固定化した気相-固相の二相反応である。



特許文献1及び非特許文献2には、マイクロ空間に還元触媒を充填させ、基質と水素ガスを吹き込むことにより反応の高効率化を図る例が報告されている。しかしながら、マイクロ空間に触媒を充填させ、基質を流すと内部では乱流が発生してしまい、微視的に見るとフラスコの状態を微少量で行なっていることになり、マイクロ空間の特徴を生かした系にはなっていない。さらに、圧力損失が低くなるよう流れの不均一化が起こってしまうため、却って変換効率が悪くなる可能性がある。



一方、特許文献2及び3、非特許文献3及び4には本発明者等により固相一液相一気相の三相系接触反応を短時間で収率良く行なうことのできるマイクロリアクターを用いた接触反応方法が報告されている。用いる金属触媒としては、金属触媒または金属錐体触媒を高分子またはポリマー内に固定化したポリマー封入触媒(以下、PI題触媒と呼ぶ。非特許文献5参照)が好適であった。



PI触媒をマイクロチャンネルの内壁から脱離しないように強固な接合とするために、PI触媒とマイクロチャンネルの内壁とを、共有結合で固定化、即ち担持するのが好ましい。マイクロチャンネルの内壁がガラスの場合には、PI触媒の表面をトリアルコキシシラン構造で修飾して、マイクロチャネルの内壁となるガラス表面のシラノール基と結合させる。ガラス表面をアミノ基が表面になるように修飾を施すことにより、直接PI触媒の高分子表面の適当な官能基、例えばエポキシ基と結合させることができる。これにより、PI触媒をマイクロチャンネルの内壁に強固に担持できる為、繰り返し使用に耐えることができる。



また、固体触媒相の被担持担体としてガラス基板を微細加工したマイクロチップのみならず、安価に市販されているガラスキャピラリー等も用いることが出来る。また、同様の手法でPI触媒を担持した複数のマイクロキャピラリーに対し、それぞれ独立に所定の流量で液体と気体を流すことにより、1本の変換能力を単純にキャピラリーの本数分だけ積算することのできるシステムが構築できる(特許文献4、非特許文献6)。



特許文献5~7には、高分子であるポリシランが、金属クラスターやナノ粒子、光触媒で知られる酸化チタンのような金属酸化物の粒子を基盤上に分散させて保持するためのバインダーとして利用できることが開示されている。



一方、非特許文献7には、ナノ寸法の白金やパラジウムからなる微粒子をポリシランに担持した水素添加反応用の触媒が報告されている。




【特許文献1】特開2006-36752号公報

【特許文献2】WO2005-073151号公報

【特許文献3】WO2006-080404号公報

【特許文献4】特願2005-261406号公報

【特許文献5】特開2006-307084号公報

【特許文献6】特開平11-237266号公報

【特許文献7】EP/2000/1016458

【非特許文献1】R. S. Besser, X. Ouyang, H. Surangalikar, Chemical Engineering Science, vol.53, p.19, 2003

【非特許文献2】Matthew W. Losey, Martin A. Schmidt, and Klavs F. Jensen, Ind. Eng., Chem., Res., vol.40, p.2555, 2001

【非特許文献3】Kobayashi, J.; Mori, Y.;Okamoto, K.;Akiyama, R.;Ueno, M.;Kitamori, T.;Kobayashi, S., Science, vol.304, p.1305, 2004

【非特許文献4】Kobayashi, J.;Mori, Y.;Kobayashi, S.; Chem. Commu., p.2567, 2005

【非特許文献5】Akiyama, R.; Kobayashi, S., J. Am. Chem. Soc., vol.125, p.3412, 2003

【非特許文献6】Kobayashi, J.;Mori, Y.; Kobayashi, S., Adv. Synth. Catal., vol.347, p.1889, 2005

【非特許文献7】Oyamada,H.; Akiyama, H.;Hagio, H.; Naito, T.;Kobayashi, S., Chem. Commun., p.4297, 2006

産業上の利用分野


本発明は、キャピラリーと、このキャピラリーを用いたマイクロリアクター及びマイクロリアクターによる固相-液相-気相反応方法に関する。さらに、詳しくは、キャピラリーの内壁にポリシランを含む触媒を担持したキャピラリー及びそれを用いたマイクロリアクター並びにこのマイクロリアクターを用いた固相-液相-気相反応方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
管本体とこの管本体の内壁に担持される触媒と、を備えていて、
上記触媒が、下記化学式(1)で表されるポリシランと金属触媒とから成ことを特徴とする、キャピラリー。
【化学式1】


ここで、RとRは側鎖置換基であり、Rはアリール基又はフェニル基、Rはメチル基、アルコキシシリル基、シリル基、シリルオキシ基、複素環基、置換基を有してもよい炭化水素基、の何れかの基である。

【請求項2】
管本体とこの管本体の内壁に担持される触媒と、を備えていて、
上記触媒が、下記化学式(1)で表されるポリシランと金属触媒と金属酸化物とから成ることを特徴とする、キャピラリー。
【化学式1】


ここで、RとRは側鎖置換基であり、Rはアリール基又はフェニル基、Rはメチル基、アルコキシシリル基、シリル基、シリルオキシ基、複素環基、置換基を有してもよい炭化水素基、の何れかの基である。

【請求項3】
前記ポリシランのRはフェニル基であり、Rはメチル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。

【請求項4】
前記金属触媒は、パラジウム、金、銀、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、タングステン、オスミウム、イリジウム、白金の何れかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。

【請求項5】
前記金属酸化物は、チタン、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、金、銀の何れかの金属の酸化物であることを特徴とする、請求項に記載のキャピラリー。

【請求項6】
前記触媒は、前記キャピラリーの管本体の内壁に熱架橋により担持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。

【請求項7】
前記ポリシランと金属触媒とから成る触媒は、該金属触媒1mmolに対して該ポリシランが0.1gから1000gの範囲で含有されていることを特徴とする、請求項1に記載のキャピラリー。

【請求項8】
前記ポリシランと金属触媒と金属酸化物から成る触媒は、該金属触媒1mmolに対して、上記ポリシラン及び金属酸化物が0.1gから1000gの範囲で含有されていることを特徴とする、請求項に記載のキャピラリー。

【請求項9】
前記管は、ガラスからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャピラリー。

【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載のキャピラリーと、
上記キャピラリーへ液相となる基質を溶解した溶液を供給する溶液供給部と、
上記キャピラリーへ気相となる気体を供給する気体供給部と、
上記キャピラリーにおける反応生成物を回収する回収部と、を備え、
上記キャピラリーは管本体を有し、該管本体の内壁に固相となるポリシランと金属触媒とから成るか、又は、ポリシランと金属触媒と金属酸化物とから成る触媒が担持され、
上記キャピラリーは一端が上記溶液供給部及び気体供給部へ接続され、他端が上記回収部へ接続され、
上記基質を溶解した溶液及び基質と反応する気体を、上記キャピラリーへ所定の流量で連続的に流すことを特徴とする、マイクロリアクター。

【請求項11】
さらに制御部を有し、該制御部は、前記溶液供給部及び前記気体供給部を、前記キャピラリーの流路へ所定の流量で連続的に流すように制御することを特徴とする、請求項10に記載のマイクロリアクター。

【請求項12】
請求項10又は11に記載のマイクロリアクターを用いた固相-液相-気相反応方法であって、
上記キャピラリーの流路に、液相となる被還元物質を溶解した溶液及び気相となるガスを流し、
上記溶液と上記ガスとの反応を上記ポリシラン担持型触媒により促進される固相-液相-気相反応で行うことを特徴とする、マイクロリアクターを用いた固相-液相-気相反応方法。

【請求項13】
前記気相が水素ガスであることを特徴とする、請求項12に記載のマイクロリアクターを用いた固相-液相-気相反応方法。
産業区分
  • その他無機化学
  • 処理操作
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007061135thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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