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フェブリフジン及びイソフェブリフジンの新規製造方法 コモンズ

国内特許コード P08P005686
整理番号 E076P75
掲載日 2008年9月26日
出願番号 特願2007-059111
公開番号 特開2008-222566
登録番号 特許第4829152号
出願日 平成19年3月8日(2007.3.8)
公開日 平成20年9月25日(2008.9.25)
登録日 平成23年9月22日(2011.9.22)
発明者
  • 小林 修
  • 上野 雅晴
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 フェブリフジン及びイソフェブリフジンの新規製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】熱帯性マラリア原虫に対して極めて強い活性を有するフェブリフジン(3-[3-(3-ヒドロキシ-2-ピペリジニル)-2-オキソプロピル]-4(3H)-キナゾリノン)及びイソフェブリフジンの新規な合成方法であり、全ての段階において、水性溶媒中で行う全合成ルートによる製造方法の提供。
【解決手段】(R)-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-カルボキサアルデヒドを出発物質として数段階の工程により(3’S)-1-[2’-(3’-ベンジルオキシ)-1’-(tert-ブトキシカルボニル)-ピペリジノ]-3-ヒドロキシ-2-プロパノンを得、これを4-ヒドロキシキナゾリンと反応させて、目的物の保護体を得る。これを6N塩酸と加熱処理することによりフェブリフジンが得られる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


マラリア原虫感染によって引き起こされるマラリアは、現在においても人類最大の寄生原虫感染症である。地球温暖化や全世界規模の交流化に伴いマラリア感染地域と交渉する機会が増えるにも関わらず、医薬品製造メーカーは市場性が期待できないという理由から新薬開発に十分な力を入れていない状況にある。そのため、治療としては現在上市しており、入手しやすいキニーネ、アルテミシンなどの薬剤の混合物(カクテル)を投与する場合が多く、不十分な治療によって、多剤耐性を持ったマラリアを生み出してしまうという悪循環に陥っている。



キニーネやアルテミシニン同様天然物由来の抗マラリア活性を有する化合物として、生薬・常山(原植物:ジョウザンアジサイ=Dichroa febrifugaLour.)に含まれる植物アルカロイドの一種であるフェブリフギン(Febrifugine、化合物(1))又はイソフェブリフギン(Isofebrifugine、化合物(2))が知られている。



フェブリフジン、イソフェブリフジンはマラリアに対して高い抗活性を有することが知られているが、天然には極微量しか存在していない。例えば特許文献1において、生薬・常山からフェブリフジン、イソフェブリフジンを抽出した例が報告されているが、生薬・常山の細片10kgからフェブリフジンを27mg、イソフェブリフジンを50mg単離している。一方、1日あたりの投与量は0.1~1000mg必要とされ、天然からの供給では薬剤として投与するのは不可能であるばかりか、フェブリフジン、イソフェブリフジンを出発物質とした誘導体探索ですら困難な状況である。



上記の理由から、フェブリフジン、イソフェブリフジンに対して、これまでにも効率的な化学合成法の検討が行われてきた。例えばラセミ体合成としては、非特許文献1~10が、中間体の光学分割により合成した光学活性体としては例えば非特許文献11~14が、天然若しくは非天然の光学活性化合物から誘導した合成例としては例えば特許文献2及び非特許文献15~20が、そして、触媒量の不斉源を用いた触媒的不斉合成の例として特許文献3~4、非特許文献21~23をあげることができる。



しかし、上記に挙げた合成例は何れも厳密な無水条件が必要なステップが含まれており、合成に際し通常の合成化学で必要とされる実験設備環境下で行う必要がある。前述したマラリア治療の現状を鑑みると、流行国で新薬を開発するのが理想的であるが、入手できる試薬の純度も含めて、厳密な条件下の反応を必要とする適切な環境が必要でないプロセスが望ましい。また、昨今の環境負荷の低減の観点からも、従来の有機溶媒中での反応を、環境に優しい水系反応で代替する重要性は極めて大きい。



【特許文献1】
特開2000-7673号公報
【特許文献2】
特開2002-201170号公報
【特許文献3】
WO2000/52005
【特許文献4】
特開2002-201192号公報
【非特許文献1】
Baker B. R.; Schaub, R. E.; McEvoy, F. J.; Williams, J. H. J. Org. Chem. 1952, 17, 132.
【非特許文献2】
Baker B. R.; Schaub, R. E.; McEvoy, F. J.; Williams, J. H. J. Org. Chem. 1953, 18, 153.
【非特許文献3】
Baker B. R.; McEvoy, F. J. J. Org. Chem. 1955, 20, 136.
【非特許文献4】
Burgess, L. E.; Gross, E. K. M.; Jurka, J. Tetrahedron Lett. 1996, 37, 3255.
【非特許文献5】
Takeuchi, Y.; Abe, H.; Harayama, T. Chemical & Pharmaceutical Bulletin 1999, 47, 905.
【非特許文献6】
Takeuchi, Y.; Hattori, M.; Abe, H.; Harayama, T. Synthesis 1999, 1814.
【非特許文献7】
Sugiura, M.; Kobayashi, S. Organic Letters 2001, 3, 477.
【非特許文献8】
Sugiura, M.; Hagio, H.; Hirabayashi, R.; Kobayashi, S. Synlett 2001, 1225.
【非特許文献9】
Kikuchi, H.; Tasaka, H.; Hirai, S.; Takaya, Y.; Iwabuchi, Y.; Ooi, H.; Hatakeyama, S.; Kim, H.-S.; Wataya, Y.; Oshima, Y. Journal of Medicinal Chemistry 2002, 45, 2563.
【非特許文献10】
Takeuchi, Y.; Oshige, M.; Azuma, K.; Abe, H.; Harayama, T. Chemical & Pharmaceutical Bulletin 2005, 53, 868.
【非特許文献11】
Baker B. R.; McEvoy, F. J.; Schaub, R. E.; Joseph, J. P.; Williams, J. H. J. Org. Chem. 1953, 18, 178.
【非特許文献12】
Takeuchi, Y.; Azuma, K.; Takakura, K.; Abe, H.; Harayama, T. Chemical Communications, 2000, 17, 1643.
【非特許文献13】
Takeuchi, Y.; Azuma, K.; Takakura, K.; Abe, H.; Kim, H.-S.; Wataya, Y.; Harayama, T. Tetrahedron 2001, 57, 1213.
【非特許文献14】
Ooi, H.; Urushibara, A.; Esumi, T.; Iwabuchi, Y.; Hatakeyama, S. Organic Letters 2001, 3, 953.
【非特許文献15】
Taniguchi, T.; Ogasawara, K. Organic Letters, 2000, 2, 3193.
【非特許文献16】
Sugiura, M.; Hagio, H.; Hirabayashi, R.; Kobayashi, S. Journal of the American Chemical Society 2001, 123, 12510.
【非特許文献17】
Huang, P.-Q.; Wei, B.-G.; Ruan, Y.-P. Synlett 2003, 1663.
【非特許文献18】
Katoh, M.; Matsune, R.; Nagase, H.; Honda, T. Tetrahedron Letters 2004, 45, 6221.
【非特許文献19】
Ashoorzadeh, A.; Caprio, V. Synlett 2005, 346.
【非特許文献20】
Katoh, M.; Matsune, R.; Honda, T. Heterocycles 2006, 67, 189.
【非特許文献21】
Kobayashi, S.; Ueno, M.; Suzuki, R.; Ishitani, H. Tetrahedron Letters 1999, 40, 2175.
【非特許文献22】
Kobayashi, S.; Ueno, M.; Suzuki, R.; Ishitani, H.; Kim, H-S.; Wataya, Y. Journal of Organic Chemistry 1999, 64, 6833.
【非特許文献23】
Okitsu, O.; Suzuki, R.; Kobayashi, S. Journal of Organic Chemistry 2001, 66, 809

産業上の利用分野


本発明は、フェブリフジン及びイソフェブリフジンの新規な製造方法に関する。より詳細には、本発明は、溶媒として水性溶媒のみを用いたフェブリフジン及びイソフェブリフジンの新規な製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
(A)下記の式(9)
【化1】


(式中、Rは、それぞれ独立して炭化水素基を示す。)
で表されるキラルアルデヒド化合物を、触媒の存在下又は非存在下でアリル化剤を作用させ、次いで生じたアリル化第2級アルコールの水酸基を保護基で保護した後、Rで示されているケタール基を除去し、生じた1,2-ジオールを酸化的開裂に付すことにより、下記の式(7)
【化2】


(式中、Rは水酸基の保護基を示す。)
で表されるキラルアルデヒド化合物を製造する工程、
(B) 2-アルコキシプロペンを、無溶媒又は水性溶媒中で、N-ハロゲン化スクシイミドを作用させて2-アルコキシプロペンのアリル位をハロゲン化した後、これに置換基を有してもよいアリールアルキルアルコールを作用させることにより、下記の式(8)
【化3】


(式中、Rは置換基を有してもよいアリールアルキル基を示し、Rはアルキル基を示す。)
で表されるアルコキシプロペン化合物を製造する工程、
(C) 工程(A)で製造した式(7)で表されるキラルアルデヒド化合物、工程(B)で製造した式(8)で表されるアルコキシプロペン化合物、及び次式
N-R
(式中、Rは置換基を有してもよいアリール基を示す。)
で表されるアミン化合物を、希土類金属水系ルイス酸又は界面活性機能を有するブレンステッド酸触媒の存在下に水性溶媒中でマンニッヒ型の反応をさせて、下記の式(6)
【化4】


(式中、Rは水酸基の保護基を示し、Rは置換基を有してもよいアリール基を示し、Rは置換基を有してもよいアリールアルキル基を示す。)
で表されるβ-アミノケトン化合物を製造する工程、
(D) 工程(C)で製造された式(6)で表されるβ-アミノケトン化合物を、水性溶媒中で末端のオレフィン部分をシリル化した後、シリル基を水性溶媒中で除去することにより、下記の式(5)
【化5】


(式中、Rは水酸基の保護基を示し、Rは置換基を有してもよいアリール基を示し、Rは置換基を有してもよいアリールアルキル基を示す。)
で表される5-アミノアルコール化合物を製造する工程、
(E) 工程(D)で製造された式(5)で表される5-アミノアルコール化合物を、無溶媒又は水性溶媒中で、末端のヒドロキシル基を脱離基に変換した後、系中でピペリジン環を構築した後、金属塩の存在下でR及びRを除去し、さらに塩基性条件下でピペリジン環部の2級アミンを保護することで下記の式(4)
【化6】


(式中、Rは水酸基の保護基を示し、Rはアミノ基の保護基を示す。)
で表されるキラルピペリジン化合物を製造する工程、
(F) 工程(E)で製造した式(4)で表されるキラルピペリジン化合物の末端のヒドロキシル基を脱離基に変換した後、次いで塩基の存在下で4-ヒドロキシキナゾリンを作用させて、下記の式(3)
【化7】


(式中、Rは水酸基の保護基を示し、Rはアミノ基の保護基を示す。)
で表される保護されたフェブリフジン化合物を得、次いで保護基R及びRを除去する工程、
からなる(A)~(F)の工程を含む下記の式(1)
【化8】


で表されるフェブリフジン及び/又はその異性体である下記の式(2)
【化9】


で表されるイソフェブフジンを製造する方法であって、これらの工程において溶媒として水性溶媒のみを用いることを特徴とするフェブリフジン及び/又はイソフェブリフジンを製造する方法。

【請求項2】
下記の式(7)
【化21】


(式中、Rは水酸基の保護基を示す。)
で表されるキラルアルデヒド化合物、下記の式(8)
【化22】


(式中、Rは置換基を有してもよいアリールアルキル基を示し、Rはアルキル基を示す。)
で表されるアルコキシプロペン化合物、及び次式
N-R
(式中、Rは置換基を有してもよいアリール基を示す。)
で表されるアミン化合物を、希土類金属水系ルイス酸又は界面活性機能を有するブレンステッド酸触媒の存在下に水性溶媒中でマンニッヒ型の反応をさせて、下記の式(6)
【化23】


(式中、Rは水酸基の保護基を示し、Rは置換基を有してもよいアリール基を示し、Rは置換基を有してもよいアリールアルキル基を示す。)
で表されるβ-アミノケトン化合物を製造する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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