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高分子固定化パラジウム触媒、及びその製造方法、並びに前記触媒を用いた反応方法 コモンズ

国内特許コード P08P005689
整理番号 E076P88
掲載日 2008年9月26日
出願番号 特願2007-060817
公開番号 特開2008-221089
登録番号 特許第4701195号
出願日 平成19年3月9日(2007.3.9)
公開日 平成20年9月25日(2008.9.25)
登録日 平成23年3月11日(2011.3.11)
発明者
  • 小林 修
  • 稲崎 毅
  • 上野 雅晴
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 高分子固定化パラジウム触媒、及びその製造方法、並びに前記触媒を用いた反応方法 コモンズ
発明の概要 【課題】アミン類とハロゲン化アリール化合物との反応に特に有効で、かつ、反応終了後の漏出が殆ど無く、回収・再使用が容易な高分子固定化パラジウム触媒を提供することである。
【解決手段】パラジウムが架橋高分子に担持されてなる高分子固定化パラジウム触媒であって、
前記架橋高分子は、
側鎖に、
疎水性基と、
親水性基と、
-PR基(但し、Rは、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。)とを有し、
前記-PR基のPと前記架橋高分子の主鎖との間に、ビフェニル構造およびビナフチル構造の群の中から選ばれる少なくとも一つを有する。
従来技術、競合技術の概要


高分子固定化触媒を用いる反応は、触媒と生成物との分離が容易であり、触媒の回収・再使用が可能になる為、経済性、資源の有効利用、環境保全の観点から着目されている。



しかしながら、一般的に、均一系で使用する触媒を不溶性の担体に固定した場合、触媒活性や反応の選択性が低下する場合が多い。かつ、固定した触媒が反応時や後処理時に担体から漏出する問題も生ずる。



従って、高活性、高選択性、安定性に富み、使用時に触媒の漏出が起こらない触媒の担体への固定化法が求められている。



ところで、本発明者らは、パラジウム、スカンジウム、オスミウム、ルテニウムなどの金属を、物理的あるいは静電的相互作用を利用して芳香族系高分子上に固定化すると言う新規な金属の固定化法(マイクロカプセル化法)を提案(特許文献1,2、非特許文献1)している。この技術は、パラジウムにおいて、高分子鎖を架橋する等の改良により、より高機能を有する触媒の調製法に発展している。



すなわち、側鎖にエポキシ基及び水酸基を有する架橋性高分子にマイクロカプセル化法でパラジウムを固定した後、無溶媒条件下で加熱することで容易に架橋反応が進行し、通常の溶媒に不溶の「高分子固定化パラジウム触媒」が得られることが提案(特許文献3、非特許文献2,3,4)されている。この高分子固定化パラジウム触媒は、従来の高分子固定化パラジウム触媒に比べると、パラジウムクラスターのサイズが小さいことから、高活性であり、又、架橋していることから、耐溶剤性に優れ、しかもPdの漏出が無く、回収・再使用が容易である。そして、この触媒を水素化反応に用いると、アルキンは速やかにアルカンに還元される。



又、近年、パラジウム触媒を用いた様々な反応が開発されている。例えば、鈴木-宮浦カップリング反応、Heck反応、薗頭アセチレンカップリング反応や、Stilleクロスカップリング反応などの炭素-炭素結合形成反応や、アリル位置換反応、Buchwald-Hartwigクロスカップリング反応(アミノ化反応)等は、有機合成上、重要な反応となっている。尚、これらの反応の多くはホスフィン配位子を必要とする。



これらの反応に対しても様々な固定化パラジウム触媒が提案(非特許文献7)されているが、先に述べたような触媒の固定化による様々な問題により実用化されたものは少ない。



一方、本発明者らが開発したマイクロカプセル化法と芳香族性高分子の架橋反応とを用いて製造した高分子固定化パラジウム触媒は、パラジウムクラスターのサイズが小さい為、高活性であり、かつ、パラジウムの漏出も少なく、様々な反応に有効である。本固定化パラジウム触媒において、パラジウムは0価で、ホスフィンフリーの状態で固定されている為、これを用いる反応ではホスフィンの外部添加が有効である。



しかしながら、ホスフィンを外部添加した場合、反応終了後に生成物とホスフィン配位子とを分離する操作が必要となり、回収した触媒を再使用する際には、再度、ホスフィンの外部添加が必要となる(非特許文献4参照)。



ところで、ごく最近、本発明者らは、ホスフィン配位子の添加を必要としないで、種々のパラジウム触媒反応に有効で、使用後の回収と再使用が容易で、繰り返し使用しても活性低下が無く、更には反応中及び後処理中にパラジウムの漏出が無い高分子固定化パラジウム触媒を提案(特許文献3)している。更に、パラジウムを架橋高分子に担持させてなる高分子固定化パラジウム触媒であって、該架橋高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖、架橋性基、及び-PR(式中、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)で表されるリン含有基を有する架橋性高分子を架橋させてなることを特徴とする高分子固定化パラジウム触媒を提案(特許文献4、非特許文献8,9)している。そして、この高分子固定化パラジウム触媒は、R-C≡C-R(式中、R及びRは、各々、同じであっても異なってもよく、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表す。)で表されるアルキンを水素化するR-CH=CH-Rで表されるアルケンの製法や、有機ホウ素化合物とハロゲン化アリール又はハロゲン化ビニルとをクロスカップリング反応(鈴木-宮浦カップリング)させるビアリール化合物、アルキルアリール化合物又は置換オレフィン類の製法において、極めて有効な触媒であることが謳われている。
【特許文献1】
特開2002-66330
【特許文献2】
特開2002-253972
【特許文献3】
WO2004/024323
【特許文献4】
特開2006-231318
【特許文献5】
WO2000/02887
【非特許文献1】
Kobayashi, S.: Akiyama, R. Chem.Commun. 2003, 449.
【非特許文献2】
Akiyama, R., Kobayashi, S. J. Am.Chem. Soc. 2003, 125, 3412.
【非特許文献3】
K.Okamoto et al. J.Org.Chem. 69,2871(2004).
【非特許文献4】
K.Okamoto et al. Org.Lett. 6,1987(2004).
【非特許文献5】
Suzuki, T. et al. TetrahedronLett. 42, 65(2001).
【非特許文献6】
J. Org. Chem. 54, 2998(1989).
【非特許文献7】
Uozumi, Y. Topics in CurrentChemistry, 242, 77-112 (2004).
【非特許文献8】
Nishio, R.:Sugiura, M.:Kobayashi, S. Org. Biomol. Chem., 4, 992(2006).
【非特許文献9】
Nishio, R.:Sugiura, M.:Kobayashi, S. Org. Lett., 7, 4831(2005).
【非特許文献10】
Buchwald, S. L. et al, J. Am.Chem. Soc., 121, 4369(1999).
【非特許文献11】
Buchwald, S. L. et al, J. Am.Chem. Soc., 121, 9550(1999).
【非特許文献12】
Buchwald, S. L. et al, J. Org.Chem., 65, 1158(2000).
【非特許文献13】
Fu, G. C. et al, Angew. Chem.Int. Ed., 38, 2411(1999).

産業上の利用分野


本発明は高分子固定化パラジウム触媒に関する。特に、アミン類とハロゲン化アリール化合物との反応に用いられる高分子固定化パラジウム触媒に関する。中でも、アミン類とハロゲン化アリール化合物とのカップリング反応(アミノ化反応)に用いられる高分子固定化パラジウム触媒に関する。更には、回収・再使用が可能な高分子固定化パラジウム触媒に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
パラジウムが架橋高分子に担持されてなる高分子固定化パラジウム触媒であって、
前記触媒はアミン類とハロゲン化アリール化合物との反応に用いられる触媒であり、
前記架橋高分子は、
側鎖に、
疎水性基と、
親水性基と、
-PR基(但し、Rは、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。)とを有し、
前記-PR基のPと前記架橋高分子の主鎖との間に、ビフェニル構造およびビナフチル構造の群の中から選ばれる少なくとも一つを有する
ことを特徴とする高分子固定化パラジウム触媒。

【請求項2】
パラジウムが架橋高分子に担持されてなる高分子固定化パラジウム触媒であって、
前記触媒はアミン類とハロゲン化アリール化合物との反応に用いられる触媒であり、
前記架橋高分子は架橋性高分子が架橋されてなり、
前記架橋性高分子は、
側鎖に、
架橋性基と、
疎水性基と、
親水性基と、
-PR基(但し、Rは、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。)とを有し、
前記-PR基のPと前記架橋性高分子の主鎖との間に、ビフェニル構造およびビナフチル構造の群の中から選ばれる少なくとも一つを有する
ことを特徴とする高分子固定化パラジウム触媒。

【請求項3】
-PR基を有する側鎖が下記の式[1]で表される基である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の高分子固定化パラジウム触媒。
式[1]


(但し、Rは、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。R及びR3は、水素原子、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。)

【請求項4】
がシクロアルキル基である
ことを特徴とする請求項1~請求項3いずれかの高分子固定化パラジウム触媒。

【請求項5】
疎水性基が芳香族基である
ことを特徴とする請求項1~請求項4いずれかの高分子固定化パラジウム触媒。

【請求項6】
請求項1~請求項5いずれかの高分子固定化パラジウム触媒の存在下で、 アミン類とハロゲン化アリール化合物とを反応させる
ことを特徴とする反応方法

【請求項7】
パラジウムが架橋高分子に担持されてなる高分子固定化パラジウム触媒であって、前記架橋高分子は、側鎖に、疎水性基と、親水性基と、-PR基(但し、Rは、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。)とを有し、前記-PR基のPと前記架橋高分子の主鎖との間に、ビフェニル構造およびビナフチル構造の群の中から選ばれる少なくとも一つを有する高分子固定化パラジウム触媒の製造方法であって、
架橋性基、疎水性基、親水性基、及び-PR基(但し、Rは、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。)を側鎖に有し、前記-PR基のPと架橋性高分子の主鎖との間にビフェニル構造およびビナフチル構造の群の中から選ばれる少なくとも一つを有する架橋性高分子と、パラジウム化合物とを含む溶液に相分離を生じさせる相分離工程と、
前記相分離工程での相分離によりパラジウムが担持された架橋性高分子に架橋反応を行なわせる架橋反応工程
とを具備することを特徴とする高分子固定化パラジウム触媒の製造方法

【請求項8】
請求項1~請求項いずれかの高分子固定化パラジウム触媒の製造方法であって、
架橋性基、疎水性基、親水性基、及び-PR基(但し、Rは、アルキル基、アリール基およびアラルキル基の群の中から選ばれる何れかの基であり、各々、同じであっても異なっていても良い。)を側鎖に有し、前記-PR基のPと架橋性高分子の主鎖との間にビフェニル構造およびビナフチル構造の群の中から選ばれる少なくとも一つを有する架橋性高分子と、パラジウム化合物とを含む溶液に相分離を生じさせる相分離工程と、
前記相分離工程での相分離によりパラジウムが担持された架橋性高分子に架橋反応を行なわせる架橋反応工程
とを具備することを特徴とする高分子固定化パラジウム触媒の製造方法。

【請求項9】
相分離工程は、相分離を生じさせて架橋性高分子にパラジウム微粒子が担持したミセルを形成する相分離工程である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の高分子固定化パラジウム触媒の製造方法。

【請求項10】
相分離工程は、架橋性高分子とは極性が異なる溶媒を添加することにより相分離を生じさせる相分離工程である
ことを特徴とする請求項7~請求項9いずれかの高分子固定化パラジウム触媒の製造方法。

【請求項11】
パラジウム化合物がPdと配位子との錯体である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8の高分子固定化パラジウム触媒の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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