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金属低ホウ化物がドープされた希土類多ホウ化物系熱電変換材料とその製造方法

国内特許コード P08A013770
掲載日 2008年10月7日
出願番号 特願2005-326943
公開番号 特開2007-134541
登録番号 特許第4840755号
出願日 平成17年11月11日(2005.11.11)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発明者
  • 森 孝雄
出願人
  • 独立行政法人物質・材料研究機構
発明の名称 金属低ホウ化物がドープされた希土類多ホウ化物系熱電変換材料とその製造方法
発明の概要

【課題】希土類多ホウ化物において、耐酸化性があり高温で優れた熱電特性を発現する多ホウ化物からなる熱電材料を提供する。
【解決手段】一般式:REB26+X4+Y1+Zで表される、菱面体または三方晶に属する結晶構造を有する多ホウ化物に、REBSで表される低ホウ化物を添加し、加熱し、前記結
晶中に低ホウ化物を均一に分散、ドープさせることによって、一般式:REB26+X4+Y
1+Z・t(REBS)で表される低ホウ化物(REBS)がドープされた菱面体または三
方晶に属する結晶構造を有する希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料を提供する。ただし、式中、X、Y、Z、tはそれぞれ、-10<X<10、-3<Y<3、-1<Z<1、0<t<0.15、を満たしてなる数値、また、Sは、2、4、6、12からなる整数、REは、Sc、Y、Ho、Er、Tm、Luから選ばれるいずれか1種の希土類金属元素である。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


近年、いわゆる京都会議に象徴されるように化石燃料大量消費に伴う地球温暖化等の環境問題がクローズアップされ、二酸化炭素排出権を規定する議定書調印をめぐって各国間に利害の対立が生じている。そのため二酸化炭素の排出を抑制する代替エネルギーの開発が急がれ、その対策の一環として、大陽エネルギーや、風力発電等の各種自然エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムの開発が求められている。



特に、最近では水素を燃料とした燃料電池システムや、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる熱電変換材料による熱電発電システムが注目され、とりわけ、高温源と低温源との温度差を電気エネルギーに変換する、いわゆるゼーベック効果を利用した熱電発電は、炭酸ガス等の排ガスを発生せず、地球温暖化等の環境に悪影響を与えない発電システムとして注目されている。



熱電材料の性能は、物質の熱起電力(ゼーベック係数)、電気抵抗および熱伝導率の3つの特性の組み合わせによって決定され、一般に下記数式(1)で表わされる。
ZT=(α2 /ρ・κ)T・・・ (1)
ここに、ZTは熱電性能指数(K-1)、Tは温度差(絶対温度)、αはゼーベック係数、ρは電気抵抗率、κは熱伝導率である。



熱電性能は無次元性能指数ZTで評価され、特に、(1)式中、α2ρ-1の項は、出力
因子(PF;Power Factor)と呼ばれ、熱電材料の特性評価の上では極めて重要な因子である。式(1)から、熱電材料は、高い性能を達成するためには、ゼーベック係数αが高いほど、また、電気抵抗率ρが低いほど(逆に電気伝導度σが高いほど)、さらにまた、熱伝導率κが低いほど熱電性能は高い、ということになり、温度差Tは大きいほど性能が高くなり有利である。



一般に、半導体もしくは金属に温度勾配を加えるとゼーベック効果と呼ばれる現象によって起電力が発生し、熱エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる。このような熱伝変換材料としては、従来、BiTe系をはじめとしてSi、Ge、In、Sb、Te、およびBi等の元素からなる半導体材料が知られている。



一般に、半導体系熱電変換材料は、中低温域における熱エネルギーを電気エネルギーに変換してエネルギー回収するのに役立ってきた。ところが、最近では、より高温の温度域から電気エネルギーを回収することが検討されるようになってきた。とりわけ、各種プロセスから排出される高温廃熱ガスからの電気エネルギーの回収が検討され、そのため使用される熱電変換材料としては、より高温の廃熱ガスによる腐食に耐えられ、熱的化学的に安定したものが求められ、この要件を満たす熱電材料の開発が強く求められるようになってきた。



典型的には、近年ゴミ焼却炉の操業は、ダイオキシンの発生を抑えるため、高温焼成炉に転換され、そのため該炉から排出される廃ガスは極めて高温となり、このガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換するのに使用される熱電変換材料は、高温焼成ガスに曝されても長期間にわたり安定に機能し、しかも高温の排ガス中に含まれる酸性腐食性ガスによって侵されることなく、高温域において高い出力因子を有する熱電材料が求められている。



従来の化合物半導体や金属系半導体による熱電変換材料では、前述したように室温から中低温の領域において機能するにすぎず、高温、腐食性ガスを含んだ廃熱ガス環境下での使用には到底耐えることが出来ず、前記要望に対して応えることができなかった。そのため、高温域においても長期間に亘り機能しえる耐蝕性と高い出力因子を有する新たな熱電材料が盛んに探索されており、上記特許文献等によって例示される酸化物系熱電変換材料も、その一環で開発されたものといえる(特許文献1ないし8)。



一方、本発明者においても、より高温域のレベルで高い出力因子を有する熱電材料を開発すべく各種材料を探索し、ホウ化物について着目した。とりわけ、ホウ化物の中でも金属元素1モルに対し、ホウ素元素数十モルが含まれる多ホウ化物領域のホウ化物(多ホウ化金属)が2000Kを超える高い融点を有し、しかも耐食性に富んでいることに着目し、この化合物を熱電材料として使用することを想到するに至った。すなわち、多ホウ化物を用いて高温において長時間に亘り、優れた熱電特性を発現しうる材料を開発すべく鋭意研究した。その結果、希土類に対してホウ素のモル比を調整し、これに珪素、あるいは炭素さらに窒素をドープせしめることによって高い出力因子を有する多ホウ化物が得られることを知見し、先に特許出願した(特許文献9ないし11)。



しかしながら、これまで開発された熱電変換材料は、酸化物系熱電変換材料も含め、より高温域(およそ1000K近傍ないしそれ以上の高温)の各種排ガス等も含めたプロセスガスに長時間さらされても、性能が鈍化せず、安定に機能し、高い熱電変換性能を実現しうる熱電変換材料を設計し、確保することは極めて困難な状況であった。また、本発明者ら研究グループによって開発された先の特許出願による多ホウ化物系熱電材料は、高温安定性を有し、酸化物を超える性能を備えた熱電材料を提供することが出来ようになった点で、一応、所期の目標を達成し得た意義は大きいといえる。しかしながら、この種系統の材料は、組成領域と結晶、そして物性との関係等は十分に解明されているとはいえず、研究は緒についたばかりで今後の研究に待つところ大であり、先の提案を超える性能を備えたものを創出することが大いに期待されている。




【特許文献1】特開平8-231223号公報

【特許文献2】特開平8-236818号公報

【特許文献3】特開平8-242021号公報

【特許文献4】特開2000-156529号公報

【特許文献5】特開2002-26407号公報

【特許文献6】特開2004-214244号公報

【特許文献7】特開2004-363576号公報

【特許文献8】特開2005-93450号公報

【特許文献9】特開2005-159242号公報

【特許文献10】特願2005-237800

【特許文献11】特願2005-237801

産業上の利用分野


本発明は、一般式:REB26+X4+Y1+Z・t(REBS)で表され、菱面体または三
方晶に属する結晶構造を有する、低ホウ化物(REBS)がドープされてなる希土類多ホ
ウ化物からなる熱電変換材料とその製造方法に関する。



さらに詳しくは、本発明は、2000K以上の高融点を有し、高温ガスに曝されても安定であり、しかも、腐食性高温ガスに対して耐蝕性を有する、一般式:REB26+X4+Y
1+Z・t(REBS)で表され、菱面体または三方晶に属する結晶構造を有する、低ホウ化物(REBS)がドープされてなる希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料とその製造
方法に関する。
ただし、前記式中、X、Y、Z、tはそれぞれ、-10<X<10、-3<Y<3、-1<Z<1、0<t<0.15、を満たす数値、また、Sは、2、4、6、12からなる整数、REは、Sc、Y、Ho、Er、Tm、Luから選ばれるいずれか1種の希土類金属元素である。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式:REB26+X4+Y1+Z・t(REBS)で表される菱面体または三方晶に属する結晶構造を有する、低ホウ化物(REBS)がドープされてなる希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料。
ただし、式中、X、Y、Z、tはそれぞれ、-10<X<10、-3<Y<3、-1<Z<1、0<t<0.15、を満たしてなる数値、また、Sは、2、4、6、12からなる整数、REは、Sc、Y、Ho、Er、Tm、Luから選ばれるいずれか1種の希土類金属元素である。

【請求項2】
前記希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料が、一般式:REB26+X4+Y1+Zで表される、菱面体または三方晶に属する結晶構造を有する多ホウ化物から出発されるものであることを特徴とする、請求項1に記載する希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料。
ただし、式中、X、Y、Z、tはそれぞれ、-10<X<10、-3<Y<3、-1<Z<1、0<t<0.15、を満たしてなる数値、REは、Sc、Y、Ho、Er、Tm、Luから選ばれるいずれか1種の希土類金属元素である。

【請求項3】
前記希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料が、一般式:REB26+X4+Y1+Zで表される、菱面体または三方晶に属する結晶構造を有する多ホウ化物から出発し、これにREBSで表される低ホウ化物が均一に分散、焼結され、ドープさせることによって得られてなるものである、請求項1または2に記載する希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料。
ただし、式中、X、Y、Z、tはそれぞれ、-10<X<10、-3<Y<3、-1<Z<1、0<t<0.15、を満たしてなる数値、また、Sは、2、4、6、12からなる整数、REは、Sc、Y、Ho、Er、Tm、Luから選ばれるいずれか1種の希土類金属元素である。

【請求項4】
一般式:REB26+X4+Y1+Zで表される、菱面体または三方晶に属する結晶構造を有する多ホウ化物を粉砕したものに、REBSで表される低ホウ化物の粉末を均一に混合し1300℃から1900℃の温度範囲で加熱することにより、前記結晶中に低ホウ化物を均一に分散、ドープさせることを特徴とした、一般式:REB26+X4+Y1+Z・t(REBS)で表される低ホウ化物(REBS)がドープされた菱面体または三方晶に属する結晶構造を有する希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料の製造方法。
ただし、式中、X、Y、Z、tはそれぞれ、-10<X<10、-3<Y<3、-1<Z<1、0<t<0.15、を満たしてなる数値、また、Sは、2、4、6、12からなる整数、REは、Sc、Y、Ho、Er、Tm、Luから選ばれるいずれか1種の希土類金属元素である。

【請求項5】
前記希土類多ホウ化物は、
希土類金属にホウ素と炭素と窒化ホウ素を混合し、
真空または不活性ガス雰囲気またはホットプレス条件で1500℃~1900℃の温度範囲で反応焼結させて生成する、
請求項4に記載の希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料の製造方法。

【請求項6】
前記希土類多ホウ化物は、
希土類ホウ化物にホウ素と炭素と窒化ホウ素を混合し、
酸素を含まない真空または不活性雰囲気またはホットプレス条件で1500℃~1900℃の温度範囲で反応焼結させて生成する、
請求項4に記載の希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料の製造方法。

【請求項7】
前記希土類多ホウ化物は、
希土類酸化物にホウ素を混合し、真空下で1200℃~2200℃で反応させてREBV-3/2(4<V<15)を生成させ、
前記生成されたREBV-3/2にホウ素と炭素と窒化ホウ素を混合し、
真空またはホットプレス条件で1500℃~1900℃で反応焼結させて生成する、
請求項4に記載の希土類多ホウ化物からなる熱電変換材料の製造方法。
産業区分
  • 固体素子
  • 窯業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005326943thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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