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可視光応答型複合酸化物光触媒

国内特許コード P08A013798
掲載日 2008年10月7日
出願番号 特願2006-045933
公開番号 特開2007-222761
登録番号 特許第4660766号
出願日 平成18年2月22日(2006.2.22)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
登録日 平成23年1月14日(2011.1.14)
発明者
  • 加古 哲也
  • 葉 金花
出願人
  • 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明の名称 可視光応答型複合酸化物光触媒
発明の概要 【課題】太陽光や室内照明に含まれているエネルギーの高い紫外光以外にも、これよりエネルギーの低い、波長の長い可視光領域の光に対して触媒活性を有する、光スペクトルを効率よく利用できる光触媒の提供。
【解決手段】一般式;PbxMgyNbzOw(0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、0<w≦10)で表される組成を有する複合酸化物半導体によって有害物質を分解して無害化したり、あるいは水を分解して水素発生したりする、光化学反応に供せられる可視光応答性光触媒。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを有する光が照射されると価電子帯の電子が伝導帯に励起され、伝導帯、価電子帯にそれぞれ電子、ホールを生成する。特にホールは強い酸化力を持ち、さまざまな有機物質を酸化分解することができ、脱臭や抗菌などさまざまな分野に応用されている。



このような光触媒として機能しえる典型的な実用材料としては、これまで主として酸化チタンが知られている(非特許文献1)。しかしながら、酸化チタンのバンドギャップは3.2eVと大きいため400nmより短い波長の紫外光に対しては極めて高い光触媒活性を示すことが知られているが、これより波長の長い波長領域、すなわち可視光領域の光に対して活性を示すことはなかった。



光源となる太陽光や蛍光灯に含まれている紫外線の量は、可視光の約4~10%しかない。換言すれば、自然光の大部分は可視光で占められており、従来の酸化チタンを光触媒として使用する限りにおいては、自然光の光スペクトルの大部分を占める可視光領域の部分は、全く利用されることがないままに無駄になる。そのため、光の利用効率は極端に低く、特に光の絶対量が少ない、室内においては光触媒技術・材料がほとんど利用されるまでに至っていない。



それゆえ、光の絶対量が少ない室内空間においても機能する可視光応答型の光触媒材料の開発が期待されている。このような状況から、近年、可視光領域の波長に対しても活性を示す各種光触媒が提案され、開発されている。



たとえば、その一つに、酸化チタンにCrやVなどの金属イオンをドープすることによって、可視光に対しても触媒活性を発現しうる触媒が提案されている(非特許文献2)。この提案によるとCrやVなどの金属イオンがドープされることによって、酸化チタンの伝導帯と価電子帯の間にエネルギー準位が新たに作り出され、バンドギャップが狭窄し、確かに可視光を吸収することができるようになる。しかしながら、金属イオンのドープによって導入されたエネルギー準位は電子とホールの再結合サイトにもなりえ、活性の上昇がそれほどには期待することができなかった。



これに対して、酸化チタンに窒素などのアニオンをドープすることによって可視光応答型光触媒材料を作製することが提案されている(特許文献1)。この提案による酸化チタン光触媒は、金属イオンドープ型光触媒よりも確かに可視光照射下における活性は上昇するが、窒素をドープすることによって酸化チタン内部に酸素欠陥が作製され、光触媒活性が低下してしまうという欠点があった。何れにしてもドープという手法を用いることによって作製されてなる可視光応答型光触媒材料は、現段階ではその活性はまだ不十分であり、更に一段と高いレベルの光触媒活性を発現しうる触媒が求められている。



最近では、酸化チタン以外の酸化物によって可視光応答型光触媒を設計し、作製する試
みが提案されている。例えば、一般式In1-xxAO4(Mは遷移金属元素を、Aは周期
律表第5a元素を、xは0<x<1の数を表す。)で表されるインジウム(In)含有複合酸化物半導体によって可視光応答型光触媒を設計することが提案されている(特許文献2)。



このような酸化チタン以外の複合酸化物によって光触媒を設計する試みは、本発明者等研究グループにおいて精力的、系統的に取り組んできた。すなわち、本発明者等において鋭意研究を重ねた結果、上記とは異なる複合酸化物によって紫外線は勿論、可視光領域の光に対しても活性を示す可視光応答型光触媒を設計することに成功し、その成果について一連の特許出願をした。



これを要約して列挙すると、以下(1)から(9)に記載するとおりである。
すなわち、その第1番目に開発に成功した可視光応答型光触媒は、(1)一般式;BVO4で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体(ただし、Bは周期律表中3b族
元素或いは3価の遷移金属を表す。)によって設計した光触媒が挙げられる(特許文献3)。



次いで、その次に開発に成功した可視光応答型光触媒は、(2)一般式;RVO4で表
されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体(ただし、RはY元素或いはランタノイド元素を表す。)によって設計されてなる触媒である(特許文献4)。



さらに、第3番目に開発に成功した可視光応答型光触媒は、(3)一般式;(BaO)n(In23mで表される複合酸化物半導体(ただし、n=1から8、m=1から3)によって設計された(特許文献5)。



続いて第4番目に開発に成功した可視光応答型光触媒は、(4)一般式:ABO3(た
だし、式中、AはCa、Sr、Ba元素、BはB1とB2の2種類の元素がチャージバランスを取りながら置換したもので、そのうち、B1は、In、Co、Ni、Cu、Zn元素、B2はV、Nb、Ta、Cr、Mo、W元素を含む)で表される、ペロブスカイト型結晶構造を有する複合酸化物半導体によって設計されてなるものであり(特許文献6)、第5番目のものは、(5)一般式:MIn24で表されるインジウム系複合酸化物半導体(ただし、式中M=Ca,Sr,Baの中の少なくと1種の元素を表す)による可視光応答型光触媒であり(特許文献7)、さらに、第6番目は、(6)一般式:MBi24で表される複合酸化物半導体(ただし、M=Ca、Sr、Ba)からなる可視光応答型光触媒である(特許文献8)。



さらにまた、第7番目に開発された可視光応答型光触媒は、(7)一般式:MBiO3
・nH2Oで表される複合酸化物半導体(ただし、M=Li、Na、K、Ag、0≦n≦
2)によって設計されてなるものであり(特許文献9)、第8番目に開発されたものは、(8)一般式:AgxBiyzw(ただし、式中、MはV、Nb、Taの5A族金属元素から選ばれた1種または2種類以上の元素であり、0<x、y≦3、0<z≦9、0<w≦24の任意の数値)で表される複合酸化物半導体によって設計されてなるものであり(特許文献10)、続いて第9番目に開発された可視光応答型光触媒は、(9)一般式BaBixy(式中、0.5<x<2、2.5<y<4)で表される複合酸化物半導体によって設計されてなるものである(特許文献11)。



【非特許文献1】
A.Fujishima、K.Hashimoto、T.Watanabe、TiO2 photocatalysis:Fundamentals and Applications、BKC Inc、(1999.5)
【非特許文献2】
E. Borgarello, J. Kiwi, M. Gratzel, E. Pelizzetti and M. Visca: J. Am. Chem. Soc. Vol 104 No.11 2996-3002. American Chemical Society Publications、(1982)
【特許文献1】
特開2004-988号公報
【特許文献2】
特開2003-19437号公報
【特許文献3】
特開2003-33661号公報
【特許文献4】
特開2003-251197号公報
【特許文献5】
特開2004-66028号公報
【特許文献6】
特開2004-275946号公報
【特許文献7】
特開2004-275947号公報
【特許文献8】
特開2004-358332号公報
【特許文献9】
特開2005-34716号公報
【特許文献10】
特開2005-199134号公報
【特許文献11】
特開2005-254154号公報

産業上の利用分野


本発明は光触媒材料とこの触媒の用途ならびにこの触媒を用いた有害物質の分解方法、汚れ物質分解清浄化方法、及び水素発生方法に関する。詳しくは、太陽光、室内照明などに含まれる紫外線は勿論、紫外線以外の可視光線に対しても高い光触媒活性を示す複合酸化物型光触媒材料とこの触媒の用途ならびにこの触媒を用いた有害物質の分解方法、汚れ物質分解清浄化方法、及び水素発生方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式;PbxMgyNbzw(0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、0<w≦10)で表される組成を有する複合酸化物半導体からなることを特徴とする、可視光応答性光触媒。

【請求項2】
前記可視光応答性光触媒が、有害物質分解用に供されることを特徴とする、請求項1に記載する可視光応答性光触媒。

【請求項3】
前記可視光応答性光触媒が、汚れを分解し、清浄化するのに供されることを特徴とする、請求項1に記載する可視光応答性光触媒。

【請求項4】
前記可視光応答性光触媒が、水または水素含有物質を分解して水素を製造するのに供されることを特徴とする、請求項1に記載する可視光応答性光触媒。

【請求項5】
一般式;PbxMgyNbzw(0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、0<w≦10)で表される組成を有する複合酸化物半導体からなる可視光応答性光触媒を用い、この光触媒の存在下で有害物質に紫外線および可視光線を含む光を照射し、有害物質を分解することを特徴とした、有害物質分解除去方法。

【請求項6】
一般式;PbxMgyNbzw(0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、0<w≦10)で表される組成を有する複合酸化物半導体からなる可視光応答性光触媒を用い、この光触媒の存在下で汚れ物質に紫外線および可視光線を含む光を照射し、汚れ物質を分解することを特徴とした、汚れ物質分解清浄化方法。

【請求項7】
一般式;PbxMgyNbzw(0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、0<w≦10)で表される組成を有する複合酸化物半導体からなる可視光応答性光触媒を用い、この光触媒の存在下で水または水素含有物質に紫外線および可視光線を含む光を照射し、水または水素含有物質を分解して水素を発生することを特徴とした、水素発生方法。
国際特許分類(IPC)
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