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無水・高温下に作動可能なプロトン導電性燃料電池用膜、及びその製造方法

国内特許コード P08A013812
掲載日 2008年10月7日
出願番号 特願2006-227490
公開番号 特開2007-109634
登録番号 特許第5062722号
出願日 平成18年8月24日(2006.8.24)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
登録日 平成24年8月17日(2012.8.17)
優先権データ
  • 特願2005-269282 (2005.9.15) JP
発明者
  • 金 済徳
出願人
  • 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明の名称 無水・高温下に作動可能なプロトン導電性燃料電池用膜、及びその製造方法
発明の概要 【課題】 無水又は低湿度かつ高温度で優れたプロトン導電性があり、燃料電池に応用され得るプロトン導電性燃料電池用膜を提供する。
【解決手段】 以下の工程、(1)溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部~200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部~100重量部を配合したワニス状高分子電解質用前駆体を添加・混合し、高分子電解質膜用前駆体(ワニス)を調製する工程;(2)基板上に前記ワニスを膜状に展開・延伸する工程;(3)溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程;(4)必要に応じて、基板上に形成された燃料電池用高分子電解質膜を基板から剥離する工程;を経て、燃料電池用高分子電解質膜を得る。
【選択図】 図5
従来技術、競合技術の概要


近年クリーンエネルギー、とりわけ燃料として水素ガスないし水素を含む炭化水素原料と、酸化剤として酸素ガスとを反応させて電力を得る燃料電池が注目されている。このような水素源及び酸素ガスを使ったポリマー電解質燃料電池(polymer electrolyte fuel cell;PEFC)は、クリーンで環境にやさしいエネルギー生産系及びエネルギー生産の高効率性のゆえに、次世代の強力なエネルギー生産系装置として注目され、燃料電池を構成するセルや、プロトン導電性高分子膜等、使用する材料としては安定で効率のいい材料、あるいは効率のいい材料の組み合わせ等システムの開発が求められている。



ここに燃料電池とは、燃料および酸化剤に化学反応を起こさせて電気および水を発生させる電気化学装置と定義される。燃料電池に供給される典型的な燃料は水素であり、燃料電池に供給される典型的な酸化剤は酸素(または周囲の空気)である。燃料電池の作動条件および種類に応じて他の燃料または酸化剤が使用可能である。



燃料電池の特徴としては、その反応プロセスが極めて高効率であること、特に、水素が直接燃料供給される燃料電池では、完全に無公害であることが挙げられる。燃料電池は、様々な大きさのスタックに容易に組み立てることができることから、小さな形態のものから比較的に広範囲、大規模に電力を作り出しえるものまで様々な形態が開発されている。そのため、各種産業分野のみならず、家庭用も含めて利用可能であり、今後おおいに発展が期待されている。



また、燃料電池の出力システムは、一つの電解質を共有するぞれぞれの電極界面で燃料および酸素に化学反応を起こさせることにより起電力を作り出す。例えば、プロトン交換膜燃料電池においては、電池構造には電解質として機能するだけでなく水素と酸素との混り合いを防ぐバリアとしても機能するプロトン交換膜が含まれている。市販されているプロトン交換膜の一つは、後述するようにナフィオン(Nafion:商標名)という名前で、デュポン社から販売されているパーフルオロスルホン酸ポリマー材料から作られているがこれに限定はされない。すなわち、プロトン交換膜は、他の市販ソースからも購入できる。理解しておくべきこととして、プロトン交換膜は、燃料電池のアノードおよびカソードを形成する二つの電極の間に、かつ二つの電極に接触して配置されている。



PEM型燃料電池の場合、第一の電極(アノード)に水素ガスが導入され、そこで水素ガスは触媒の存在下で電気化学的に反応を起こして電子とプロトンを生じる。電子は、第一の電極から第二の電極(カソード)へとこれら各電極を結合する電気回路を通って流れる。さらに、プロトンは、固体高分子電解質(プロトン交換膜)を通って第二の電極(カソード)へと流れる。同時に、酸素ガス(または空気)などの酸化剤が第二の電極に導入されて、そこで酸化剤は触媒の存在下で電気化学的に反応を起こして、電子回路を流れて来た電子およびプロトン(プロトン交換膜を通過して来た)と結合して水を形成する。この反応によって、電気が出力される。



従来設計されてきた燃料電池用高分子膜としては、前述したようにパーフルオロスルホン酸ポリマーの一種であるナフィオン(デュポン社の登録商標)膜を使用し、これを加湿条件下に組み込み、80℃以下で作動しうるように設計されたPEFCが用いられてきた。しかし、燃料電池としては高温で作動可能であり、CO毒に対する許容範囲を高めたものが要求され、高温度(100-200℃)で作動可能な燃料電池が強く要望されている。換言すれば、より高温度側で作動可能なPEFCは、COに対する白金電極の許容度を改善し、高効率で単純な熱管理及びコジェネレーションを可能にするものとして期待されている。



燃料電池では、プロトン導電性膜は、アノードで生じたプロトンをカソード側へ運ぶ役目がある。それゆえ、プロトン導電性膜は、ポリマー電解質燃料電池において鍵となる重要なものである。これまでに、イオン交換膜として、パーフルオロ化イオノマーやそのコンポジット、高分子/低分子のコンポジット、無機-有機のコンポジット等の電解質膜がいくつか知られている。



しかし、これらの電解質膜は、高温で不安定な欠点、すなわち、100℃以上の高温で長時間にわたって使用すると、膜から水分が蒸発して含水率が低下してイオン伝導度が低下し、電圧が降下し、電池の性能が低下するとともに不可逆的反応によって分子構造の崩壊が起こり、プロトン導電性が減少して使えなくなる欠点があった。さらにこのよう燃料電池には、アノード(燃料極)でHは解離することなくHのまま通過してしまうことがあり、起電圧の低下や発電量の低下などの問題を招くことがあった。



そこで、最近では、無水(又は低湿度)かつ高温度の条件で優れたプロトン導電性を有する電解質膜が得られれば上記問題が解決されるのではないかと考えられ、これらの観点から、高温で可動なPEFCへ応用するための酸-塩基複合電解質に焦点が当てられてきた(非特許文献1、ほか)。



一方、特許文献1に開示されているように、無水プロトン伝導を実現できる「第四級化」可能な第三級窒素原子をもつ有機アミン材料を、シリカなどのナノ微粒子状酸化物及び安定な結合剤(テフロンなど)と結合させることにより、無水で、高温度(190℃)においても作動するプロトン導電膜も得られている。



【非特許文献1】
M. Yamada and I. Honma: Electrochim. Acta 48 (2003) 2411-2415
【特許文献1】
特表2005-516345号公報

産業上の利用分野


本発明は、無水・高温下で優れたプロトン(水素イオン)導電性を示すプロトン導電性燃料電池用膜、及びその製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部~200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部~100重量部を配合した高分子電解質膜用前駆体を基板上に層状に展開・延伸し、これを加熱乾燥して得られる燃料電池用高分子電解質膜。

【請求項2】
膜厚が200μm以下である、請求項1の燃料電池用高分子電解質膜。

【請求項3】
膜厚が20μm~200μmで、膜自体に自己支持性がある、請求項1又は2の燃料電池用高分子電解質膜。

【請求項4】
比導電率は、温度80~200度にて0.001(S/cm)以上である、請求項1~3いずれかの燃料電池用高分子電解質膜。

【請求項5】
次の工程を含んでなる燃料電池用高分子電解質膜の製造方法。
(1)溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部~200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部~100重量部を添加・混合し、高分子電解質膜用前駆体を調製する工程;
(2)基板上に前記高分子電解質膜用前駆体を膜状に展開・延伸する工程;
(3)溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程。

【請求項6】
次の工程を更に含んでなる請求項5の燃料電池用高分子電解質膜の製造方法
4)基板上に形成された燃料電池用高分子電解質膜を基板から剥離する工程。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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