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電力変換機器に適用されるコモンモード漏れ電流抑制回路

国内特許コード P08A013886
整理番号 DP1253
掲載日 2008年10月28日
出願番号 特願2007-056609
公開番号 特開2008-220109
登録番号 特許第5093452号
出願日 平成19年3月7日(2007.3.7)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
登録日 平成24年9月28日(2012.9.28)
発明者
  • 加藤 利次
  • 井上 馨
出願人
  • 学校法人同志社
発明の名称 電力変換機器に適用されるコモンモード漏れ電流抑制回路
発明の概要 【課題】各種電力変換機器において、負荷寄生容量に起因するコモンモード漏れ電流とともに、スイッチ寄生容量に起因するコモンモード漏れ電流をも抑制する。
【解決手段】第1の発明に係るPWMインバータ1は、出力平均電圧を検知する検知部4と、出力平均電圧と等しい重畳電圧を発生する電圧生成部5と、重畳電圧と逆極性の電圧をインバータの上下アーム電源ラインE、Eに重畳する重畳部6を備え、負荷寄生容量及び下アーム側スイッチ寄生容量に起因するコモンモード漏れ電流を抑制する。また、第2の発明に係るPWMインバータ1’は、上アーム側スイッチ寄生容量の漏れ電流に相当する補償電流を発生する補償電流発生部7をさらに備え、上アーム側スイッチ寄生容量に流れる漏れ電流をインバータ内で循環させ、上アーム側スイッチ寄生容量に起因するコモンモード漏れ電流を抑制する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年の電力用半導体スイッチング素子の高速化により、PWMインバータに代表される各種電力変換機器においてスイッチング周波数の高速化が進んでいる。スイッチング周波数の高速化は、モーター等の負荷をきめ細かく制御できるというメリットがある。しかしながら、その一方で、高速スイッチング時の急峻な電流、電圧の変化によって生じる電磁波が他の電子機器に影響を及ぼす電磁波干渉(EMI)が問題となってきている。



このEMIを引き起こす要因の1つにコモンモード漏れ電流がある。コモンモード漏れ電流は、主に、負荷の寄生容量によるものと、スイッチング素子の寄生容量によるものがある。



このうち、スイッチング素子の寄生容量について、図8(A)~(C)を参照して説明する。図8(A)は、三相負荷3を制御する最も基本的な三相のPWMインバータ10の回路図である。PWMインバータ10は、E[V]を出力する直流電源2と、上アーム電源ラインE及び下アーム電源ラインEを介して直流電源2に接続されるインバータINVで構成される。インバータINVは、U相を制御する一対のスイッチSW及びSW、V相を制御する一対のスイッチSW及びSW、W相を制御する一対のスイッチSW及びSWからなる。また、図9に示されるように、直流電源2が出力するE[V]は、通常、三相交流電圧を整流して生成される。



通常、インバータINVの各相のスイッチは電力用半導体スイッチで構成されており、図8(B)に示す一例において、各スイッチはN型IGBTトランジスタである。図8(B)のトランジスタTrは図8(A)のスイッチSWに対応し、トランジスタTrはスイッチSWに対応している。
スイッチを構成するこれらのトランジスタは、複数の素子が一体的にモジュール化された状態で使用されることが多く、例えば、一相分のトランジスタ(2個)を含む「2 in 1」タイプや、三相分のトランジスタ(6個)を含む「6 in 1」タイプ等がある。



図8(C)は、2個のトランジスタTr及びTrからなる「2 in 1」モジュールの断面模式図である。各トランジスタにおいて、コレクタ電極14は絶縁基板11に接続され、各絶縁基板11は、放熱の役割を果たす金属板12にはんだ付け等によってそれぞれ接続されている。そして、トランジスタTrのエミッタ電極13と、トランジスタTrのコレクタ電極14とが適当な導体で相互に接続されて、インバータ出力(U相)となる(例えば、非特許文献1参照)。
この構造では、コレクタ電極14と金属板12が絶縁基板11を挟んだ並行平板状の電極となっているので、コレクタ電極14と金属板12の間には寄生のコンデンサが形成されることになる。図8(B)において、この寄生のコンデンサはスイッチ寄生容量Cで表される。



コモンモード漏れ電流を引き起こすもう一つの寄生容量である負荷寄生容量Cは、主に、モーター巻線と接地されたフレームとの間の浮遊容量である。



上記スイッチ寄生容量及び負荷寄生容量を、図8(A)に示す三相のPWMインバータ10に反映させると図10のようになる。図10に示されるように、PWMインバータ10には、上アーム側スイッチSW~SWのコレクタ側に付随するスイッチ寄生容量CSU、下アーム側スイッチSW~SWのコレクタ側に付随するスイッチ寄生容量CSD、及び三相負荷3に付随する負荷寄生容量Cが存在する。
なお、接地点は様々に設定可能であるが、本明細書及び各添付図面では直流電源2の中間点を接地し、ここを基準電位として説明する。



図11は、図10に示した最も基本的なPWMインバータ10の動作波形の一例である。図11に示す動作において、インバータINVは、時間T、T、T、Tに各スイッチが切り替わる。また、図11に図示されていない上アーム側スイッチSWはOFF、下アーム側スイッチSWはONである。
なお、PWMインバータの動作波形を示す各添付図面において、例えば“↑E[V]”は、スイッチ状態の変化に応じて電圧がE[V]上昇したことを示し、“↓E[V]”はE[V]下降したことを示す。



時間0の初期状態において、上アーム側スイッチSW、SW、SWはいずれもOFF、下アーム側スイッチSW、SW、SWはいずれもONである。このとき、インバータINVの各相(U相、V相、W相)出力は、接続された直流電源2にしたがって-E/2[V]であり、三相負荷3のコモンモード電圧VCOMは各相出力の平均電圧(-E/2[V])である。



時間Tにおいて、スイッチSWがOFFからONに、スイッチSWがONからOFFにそれぞれ変化すると、インバータINVのU相出力が-E/2[V]からE/2[V]まで+E[V]変動し、これに応じて、コモンモード電圧VCOMが+E/3[V]変動する。そして、この変動に伴って、負荷寄生容量Cに漏れ電流Iが流れ、さらに、スイッチSWの寄生容量CSDに漏れ電流ISDが流れる。



同様に、時間T、T・・・においても、各スイッチの変化に伴って各相出力及びコモンモード電圧VCOMが変動し、漏れ電流I及びISDが流れる。
なお、図10に示すPWMインバータ10では、各スイッチが変化しても上アーム電源ラインEは変化しない。したがって、PWMインバータ10では、各スイッチが変化しても上アーム側スイッチ寄生容量CSUに印加される電圧は一定に保たれ、スイッチ寄生容量CSUに漏れ電流ISUは流れない。



以上のように、図10に示す従来のPWMインバータ10では、各スイッチが変化する度に、負荷寄生容量C及び下アーム側スイッチ寄生容量CSDにそれぞれ漏れ電流I及びISDが流れ、これらがコモンモード漏れ電流の一因となっていた。



この対策として、例えば、特許文献1では、負荷寄生容量Cに着目したコモンモード漏れ電流の抑制が検討されている。
図12に示す、特許文献1に記載された三相のPWMインバータ10’は、インバータINVの各相出力に接続されて出力平均電圧(=各相の平均電圧)Vinvを検知する3つのコンデンサCと、コンプリメンタリなNPNトランジスタTr及びPNPトランジスタTrからなるプッシュプル型エミッタホロワ回路8と、この回路の出力に接続された一次コイルLcm1と、インバータINVの各相出力と三相負荷3の間に直列に接続された3個の二次コイルLcm2と、を含むコモンモードキャンセル回路20を備えている。



上記構成によれば、コモンモード電圧VCOMが一定に保たれ、負荷寄生容量Cの漏れ電流Iに起因するコモンモード漏れ電流を抑制することができる。



しかしながら、図12に示すコモンモードキャンセル回路20では、下アーム側スイッチ寄生容量CSDの漏れ電流ISDを抑制することはできず、これに起因するコモンモード漏れ電流を抑制することはできなかった。また、今までに、スイッチ寄生容量に着目し、これに起因するコモンモード漏れ電流を抑制する検討はあまりなされていない。
【特許文献1】
特開平10-94244号公報
【非特許文献1】
清水、木村、広瀬、「トランジスタモジュールの浮遊静電容量に起因する高周波漏洩電流の解析と抑制法」:電学論D、116巻7号、p758~p759、平成8年

産業上の利用分野


本発明は、各種電力変換機器において、電力用半導体スイッチング素子のスイッチング動作に応じて発生するコモンモード漏れ電流の抑制回路に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
上アーム電源ライン及び下アーム電源ラインを介して直流電源から電力が供給され、電力用半導体スイッチング素子のスイッチング動作によって電力変換を行う電力変換機器において、該スイッチング動作に応じて生じるコモンモード漏れ電流を抑制すべく備えられる回路であって、
i)前記電力変換機器の各相の出力に接続され、前記スイッチング動作に応じて変動する出力平均電圧を検知する検知部と、
ii)前記検知部に接続され、前記出力平均電圧と等しい重畳電圧を発生する電圧生成部と、
iii)前記電圧生成部に接続され、前記重畳電圧と変動量が等しい逆極性の電圧を、前記上アーム電源ライン及び下アーム電源ラインに重畳する重畳部と、
iv)前記重畳部に接続された補償電流発生部と、
を備え
前記重畳部が、
a)前記電圧生成部に接続され、前記重畳電圧が入力される一次コイルと、
b)前記上アーム電源ライン及び下アーム電源ラインにそれぞれ直列に接続され、前記一次コイルと巻数が等しい2個の二次コイルと、
からなるトランスを含み、
前記補償電流発生部が、
c)前記トランスに備えられ、前記一次コイルから電圧が誘起されるコイルであって、前記一次コイルのn倍(ただしn>1)の巻数を有し、一端が接地された補助コイルと、
d)前記補助コイルの他端と前記上アーム電源ラインの間に接続され、容量値が、
=(前記上アーム電源ラインに付随する寄生容量の総和)/(n-1)
に基づいて決定される補償コンデンサとからなり、
前記一次コイルと二次コイルの電磁誘導作用により、前記重畳電圧と変動量が等しい逆極性の電圧が前記上アーム電源ライン及び下アーム電源ラインに重畳されること、及び前記補償コンデンサの両端の電位差に応じた補償電流が発生することを特徴とするコモンモード漏れ電流抑制回路。

【請求項2】
前記電圧生成部は、プッシュプル型エミッタホロワ回路からなることを特徴とする請求項1に記載のコモンモード漏れ電流抑制回路。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007056609thum.jpg
出願権利状態 登録
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