TOP > 国内特許検索 > 光-光スイッチング方法、光-光スイッチング素子およびその製造方法

光-光スイッチング方法、光-光スイッチング素子およびその製造方法 コモンズ

国内特許コード P08S000120
整理番号 P05-013PCT-JP
掲載日 2008年10月31日
出願番号 特願2007-501621
登録番号 特許第4590645号
出願日 平成18年2月2日(2006.2.2)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
国際出願番号 JP2006301780
国際公開番号 WO2006082897
国際出願日 平成18年2月2日(2006.2.2)
国際公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
優先権データ
  • 特願2005-028319 (2005.2.3) JP
発明者
  • 坂東 弘之
  • 松末 俊夫
  • 高橋 了
出願人
  • 国立大学法人 千葉大学
発明の名称 光-光スイッチング方法、光-光スイッチング素子およびその製造方法 コモンズ
発明の概要

制御光で信号光をオン/オフする光-光スイッチング方法において、二光子吸収特性を有する半導体に、光強度の低い信号光を照射しつつ、光強度の高い制御光を間欠的に照射し、該制御光の照射時には発生した二光子吸収により該信号光の通過を遮断し、該制御光の非照射時には該信号光を通過させる光-光スイッチング方法;二光子吸収特性を有する半導体、該半導体へ入力する制御光と信号光の伝播手段および該半導体を透過した信号光の伝播手段とからなる光-光スイッチング素子;基板上に二光子吸収特性を有する半導体を形成する工程および導波路を形成する工程からなる光-光スイッチング素子の製造方法。

従来技術、競合技術の概要


近年の情報化社会において情報量の増大化が顕著であり、それに対応すべく光を用いた光通信及び光情報処理システムの構築が期待されている。特に光通信及び光情報処理システムにおいては、光交換器、光中継器などが期待され、これを実現するには光を用いるスイッチング素子やこれらを用いた論理回路などが必要である。光を用いるスイッチング素子やこれらを用いた論理回路においては、広い波長領域において高速に応答することが求められている。



制御光により信号光のオン/オフを制御する光-光スイッチが、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されている。



特許文献1、特許文献2記載の光-光スイッチは一光子吸収特性を有する半導体を利用しており、特許文献3の光-光スイッチは二光子吸収特性を有する擬一次元遷移金属化合物を利用している。



図1(A)は一光子吸収特性を示す概念図である。



一光子吸収特性は、図1(A)の上部の伝導帯と下部の価電子帯との間のバンドギャップに相当するエネルギー以上のエネルギーを有する光が当たれば、一個の光子を吸収して価電子帯から伝導帯に電子が遷移するという特性である。



特許文献1記載の光-光スイッチは、一光子吸収特性を利用しており、半導体薄膜のバンドギャップエネルギーがその制御光や信号光などの光の波長に対応するフォトンエネルギーよりも80meV以上小さくなるようにしたものである。この光-光スイッチは、高速応答性を得るために,バンド端波長(基礎吸収端)ではなく、それよりも短い波長(バンド内部波長)を利用しており、そのために低温成長の試料を用いる必要がないことを特徴としている。



ここで、一光子吸収を利用した可飽和吸収特性は、強い光励起密度によって発生した高密度キャリアが状態密度を占有するために生じるバンドフィリング効果、あるいは高密度キャリアによって生じる多体効果であるバンドギャップのリノーマリゼーション効果、更にはワニエ励起子に基づく位相空間フィリング効果などによって生じるものである。そのため、価電子帯から伝導帯に励起された電子が元に戻るためには再結合過程を経なければならない。



しかしながら、特許文献1の光-光スイッチでは、結局、励起キャリアのバンド端での再結合過程を高速化しているわけではないため、励起されたキャリア(電子,ホール)がバンド端にたまってしまい、連続使用すると特性が劣化していく「パターン効果」が発生するという問題がある。



特許文献2記載の光-光スイッチは、一光子吸収特性を利用しており、半導体基板上に製作したIII -V族化合物半導体からなる半導体薄膜結晶において、該薄膜結晶は成長温度が150℃~450℃の範囲であり、V族元素とIII 族元素のビーム強度比V/III が2~200の範囲であり、Be又はCのドーパントがドープされているという条件で成長されており、該薄膜結晶がそのバンド端波長で吸収飽和の過渡特性において1ps程度の時定数を持つ急峻な応答だけを示し、その他の緩慢応答は無視できる程度に小さくするものである。つまり、広波長帯域性・超高速性を得るために、Be又はCドーピングと低温成長をした半導体材料を用いて緩慢応答成分を除去することを特徴としている。



しかしながら、特許文献2記載の意図的に薄膜中に結晶欠陥を導入する手法では各半導体材料に応じて成長温度やドーパント量などを個々に調節しなければならず、また再結合速度は有限であるために連続パルス照射時にはキャリアの蓄積が生じる「パターン効果」が生じやすいという問題がある。



特許文献1、特許文献2記載の一光子吸収特性を利用した光-光スイッチは、光通信波長として極めて有用な1200nm~1700nmの範囲の様々な波長に対する高速応答が実現されていないという問題もある。



さらには、一光子吸収を利用した光非線形材料の中には同時に起こる二光子吸収に阻害されて使いにくい恐れがあるものがあり問題である。



一方、材料の二光子吸収特性とは、光強度の高い光を当てると二つの光子を用いた遷移確率(二光子吸収)が上がり、材料の光の吸収係数が増加する特性である。図1(B)は二光子吸収特性を示す概念図である。図1(B)で示すように光強度の高い光を当てると二個の光子を吸収して価電子帯から伝導帯に電子が遷移するという特性である。



なお、InPにおける二光子吸収特性が下記非特許文献1に記載されており、GaAsとInPにおける二光子吸収特性の検討が下記非特許文献2に記載されているが、ともに光-光スイッチへの応用は、記載も示唆もされていない。また、GaAsは二光子吸収特性を実質的に有するとは言えず、光-光スイッチングへ応用は困難である。



特許文献3記載の光-光スイッチは、光で別の光をオンオフする光-光スイッチにおいて、非線形光学材料として擬1次元遷移金属酸化物を使用し、ポンプ光(制御光)とプローブ光(信号光)のフォトンエネルギーの和を、二光子吸収のピークの近傍に設定したことを特徴としている。特許文献3記載の光-光スイッチは、二光子の各々のエネルギー(波長)を変え、二光子吸収の効率のよい二光子のエネルギー和を検討している。そして、その二光子のエネルギー和値における二光子吸収の時間応答を検討している。



特許文献3記載の二光子吸収特性を利用した光-光スイッチ、すなわち光-光スイッチング素子は、非線形光学材料がSrCuO又はSrCuOであり、組成を変化させることができないため、物性(波長依存性や2光子吸収特性など)の最適化ができないという問題、基板上に成長できないため光導波路を作製し難いという問題、デバイスの集積化に向かないという問題がある。



光-光スイッチにおける信号光の波長は、通常の光通信波長域(1200nm-1700nm)にあることが好ましく、特には最もよく使用される1550nm(=0.8eV)近傍であることが好ましい。しかしながら、特許文献3では、信号光の波長が1550nm(=0.8eV)である場合の二光子吸収特性である透過率変化の測定結果は無く、信号光の波長が光通信波長域(1300nm-1600nm)の範囲であったとしても、1.38μm、すなわち1380nm(=0.9eV)での二光子吸収特性である透過率変化の測定結果はτ=1.8psという遅い応答成分が大きく、この遅い成分があるために次の信号光の透過率が影響されてしまうという問題がある。




【特許文献1】特開2003-84321号公報

【特許文献2】特開2003-270596号公報

【特許文献3】特許第3533137号公報

【非特許文献1】D.Vignaudら、“Two-photon absorption in InP substrates in the 1.55μm range”、Appl.Phys.Lett.、2004年、85巻、2号、239~241頁

【非特許文献2】C.C.Leeら、“Two-photon absorption and photoconductivity in GaAs and InP”、Appl.Phys.Lett.、20巻、1号、18~20頁

産業上の利用分野


本発明は、二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング方法、二光子吸収スイッチング素子、すなわち二光子吸収特性を利用した光-光スイッチング素子およびその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】制御光で信号光をオン/オフする光-光スイッチング方法において、
InGa1-xAs(xは0より大きく0.8以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.82以下)、InGa1-zN(zは0.4以上1以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)のいずれかの組成からなる二光子吸収特性を有する化合物半導体(ただし、量子井戸、量子細線、量子ドットのような量子効果のある構造および半導体周期構造を有しない)に、光強度の低い信号光を照射しつつ、光強度の高い制御光を間欠的に照射し、該制御光の照射時には発生した二光子吸収により該信号光の通過を遮断し、該制御光の非照射時には該信号光を通過させることを特徴とする光-光スイッチング方法。
【請求項2】Ga1-xAs中の0より大きく0.53以下であり、InAl1-yAs中の0以上0.69以下であり、InGa1-z中のが0.4以上0.75以下であることを特徴とする、請求項1記載の光-光スイッチング方法。
【請求項3】前記信号光と前記制御光は、式[hc/λsignal+hc/λcontrol ≧ hc/λgap (式中、h:プランク定数、c:光の速度、λsignal:信号光の波長、λcontrol:制御光の波長、λgap:前記化合物半導体の基礎吸収端の波長)]の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光-光スイッチング方法。
【請求項4】前記化合物半導体が単結晶であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項記載の光-光スイッチング方法。
【請求項5】前記化合物半導体がバルク半導体であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項記載の光-光スイッチング方法。
【請求項6】InGa1-xAs(xは0より大きく0.8以下)、InAl1-yAs(yは0以上0.82以下)、InGa1-zN(zは0.4以上1以下)およびIn(1-a-b)GaAlAs(1-c)(a、b、a+bは0以上1以下、cは0より大きく1未満、又は、a、b、a+bは0より大きく1未満、cは0以上1以下。但し、両組成が重複する場合を除く。)のいずれかの組成からなる二光子吸収特性を有する化合物半導体(ただし、量子井戸、量子細線、量子ドットのような量子効果のある構造および半導体周期構造を有しない)、該化合物半導体へ入力する制御光と信号光の伝播手段および該半導体を透過した信号光の伝播手段からなることを特徴とする光-光スイッチング素子。
【請求項7】Ga1-xAs中の0より大きく0.53以下であり、InAl1-yAs中の0以上0.69以下であり、InGa1-z中のが0.4以上0.75以下であることを特徴とする、請求項6記載の光-光スイッチング素子。
【請求項8】前記化合物半導体が単結晶であることを特徴とする、請求項6または請求項7記載の光-光スイッチング素子。
【請求項9】前記化合物半導体がバルク半導体であることを特徴とする、請求項6~請求項8のいずれか1項記載の光-光スイッチング素子。
【請求項10】前記制御光の伝播手段前記信号光の伝播手段が導波路であり、前記化合物半導体へ連結していることを特徴とする、請求項6~請求項9のいずれか1項記載の光-光スイッチング素子。
【請求項11】前記信号光の入力用導波路前記制御光の入力用導波路と、前記信号光出力用導波路とが、前記化合物半導体を挟んで対向位置にあることを特徴とする請求項10記載の光-光スイッチング素子。
【請求項12】前記信号光入力用導波路と前記信号光出力用導波路とが、前記化合物半導体を挟んで対向位置にあり、前記制御光入力用導波路が、前記信号光入力用導波路と前記信号光出力用導波路を結ぶ直線に交叉するように前記化合物半導体に連結していることを特徴とする請求項10記載の光-光スイッチング素子。
【請求項13】前記化合物半導体がそれよりも屈折率が小さいクラッドで挟持または包囲されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項14】各導波路と前記化合物半導体とが基板上に形成されていることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項15】前記化合物半導体がそれよりも屈折率が小さいクラッドで挟持または包囲されていることを特徴とする請求項14記載の光-光スイッチング素子。
【請求項16】前記化合物半導体、前記クラッド、前記導波路ともに層状であり、前記化合物半導体、前記クラッドは、下部クラッド層、前記化合物半導体層、上部クラッド層の順に、および前記導波路は、下部クラッド層、コア層、上部クラッド層の順に、基板上に形成されていることを特徴とする請求項15記載の光-光スイッチング素子。
【請求項17】前記化合物半導体が平面視にて正方形または長方形であることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項18】前記化合物半導体が平面視にて略T字形であり、前記信号光入力用導波路と前記信号光出力用導波路が、略T字の横線部分を挟んで対向位置に連結しており、前記制御導波路が略T字の縦線の下端に連結していることを特徴とする請求項10記載の光-光スイッチング素子。
【請求項19】前記一対の導波路間の距離は、100nm~500μmの範囲内にあることを特徴とする請求項11または請求項12記載の光-光スイッチング素子。
【請求項20】基板上に前記化合物半導体を形成する工程および導波路を形成する工程からなることを特徴とする請求項14記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項21】基板上に、下部クラッド層、前記化合物半導体層、ついで上部クラッド層を積層する工程および導波路用の下部クラッド層、コア層、ついで上部クラッド層を積層する工程からなることを特徴とする、請求項16記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項22】二光子吸収特性を有する化合物半導体結晶ウェーハ上に、エピタキシー成長法を用いて前記化合物半導体層を形成する工程および前記導波路を形成する工程からなることを特徴とする請求項21記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項23】前記化合物半導体層を形成する工程は、分子線エピタキシー法又は有機金属化学堆積法を用いることを特徴とする請求項22記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
【請求項24】(1)基板上に前記化合物半導体用下部クラッド層を形成し、該下部クラッド層上にクラッド層より屈折率が大きくかつ二光子吸収特性を有する前記化合物半導体コア層を形成し、ついで該コア層上に前記化合物半導体用上部クラッド層を形成する工程、(2)前記上部クラッド層上(但し、平面視にて略T字形状の導波路形成予定領域を除く)にレジスト層を形成する工程、(3)導波路形成予定領域の前記上部クラッド層、前記コア層および前記下部クラッド層をエッチングして除去する工程、(4)前記レジスト層上と導波路形成予定領域の基板上に導波路用下部クラッド層を形成し、該導波路用下部クラッド層上に導波路用コア層を形成し、ついで該導波路用コア層上に導波路用上部クラッド層を形成する工程、(5)前記レジスト層およびその上層部をリフトオフする工程、(6)平面視にて略T字形状の導波路領域および前記化合物半導体用上部クラッド層上にレジスト層を形成する工程、(7)前記レジスト層で被覆されていない前記化合物半導体用上部クラッド層、前記化合物半導体コア層および前記化合物半導体用下部クラッド層をエッチングして除去する工程、ついで(8)前記レジスト層を除去する工程からなることを特徴とする、請求項12を引用した請求項17記載の光-光スイッチング素子の製造方法。
産業区分
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

22039_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close